挑んで死にたい、ダンボールアーティストとして[12]ダンボールアート作品の敵は子どもだった?/いわい ともひさ

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●ダンボールアート作品を映画館へ運搬

ディズニーからの依頼を受けて作り始めたダンボールアート作品が、約一か月半かけて完成しました。

我ながら会社勤めの傍らで、テレビの取材も受けながらよくやりきったと思いました(笑)

夜8時過ぎに、自家用車に作品を載せて映画館まで運びました。横幅・奥行きともに約180cmという大きさの作品は、完成形のままでは車には乗らないため、部品をバラバラにして、緩衝材で一つ一つの部品を丁寧に包んで載せました。

幸いにも自家用車が空間に余裕のあるワンボックスタイプだったため、後部座席をたたむことにより、作品を載せる場所が確保できました。

映画館への道中は作品を壊さないこと、事故をしないことなどを考えて緊張しながら車を運転しました。




万が一のことがあれば、ディズニーにもテレビ局にも迷惑をかけることとなり、責任は重大です。ダンボールアートを作っているときよりも、このときの方が緊張感がありました。

無事、映画館に到着すると、待機していた関係者の人達に手伝ってもらって作品を搬入しました。

●映画館で最後の撮影を終えて、作品をショッピングモールに移動

作品を持ち込んだ当日は、ディズニー、テレビ局、映画館の人達と作品の設置場所を検討しました。正式なお披露目は納品日翌日の日中でした。

作品は仮設置した後で再び解体し、映画館の倉庫に保管し、この日は帰宅しました。

翌日、再び映画館に足を運び、「プレーンズ2」の上映開始を待って作品の設置を行いました。

「プレーンズ2」は子ども向けの作品だったため、映画を見終わった子ども達が、上映開始前にはなかったダンボールで作られた主役キャラクターを見て驚くところをカメラに収めるのが狙いでした。

しかし、子どもは残酷なまでに正直です。ダンボールアートを見ても、無反応だったり、似ていないと言われることも十分に考えられます。作り手としては不評だったら地獄です(苦笑)

映画の上映が終わり、親子連れが少しずつ映画館から出てきます。やがて、子ども達も興味を示し始め、ダンボールアートを背景に写真を撮影する親子も何組か現れました。

どうやら、子ども達からは及第点をもらえたようで、ホッとしました。テレビ局の人からインタビューを受け、取材は終了しました。

子ども達の反応をカメラに収めるために映画館に設置したダンボールアートは、併設されたショッピングモールに常設するための場所が用意されていました。

映画館前での撮影を終えて、常設の展示場所に作品を移動。巨大な広告(立て看板)の前に作品を設置してもらいました。

●密着取材の映像が情報番組の冒頭特集で15分間も放映

作品を納品し、取材も終了。あとはテレビ放映を待つばかりとなりました。テレビ局の担当さんからは、災害や事件が発生した場合は放映されないこともあり得るため、その場合はご了承くださいと言われていました。

また、取材期間は一か月にも及びましたが、放映時間は5分程度だろうということも聞いており、それほど大した内容は流れないものと考えていました。

番組の放映日は平日の夕方。4時から始まる番組のどこかで映像が流れる予定でした。

その日は社内にいました。録画予約もしていたので、家に帰ってから見ようと思っていましたが、ワンセグ付きの携帯を持っていた同僚が今見ようと言い出して、放映時間を待つことに。

すると、番組が始まってすぐに冒頭特集として放映されることがわかりました。徐々に作品が出来上がっていく様子が映し出され、最後は映画館での展示の様子が流れました。

当初、5分程度と聞いていましたが、結局、コマーシャルを挟んで約15分間も映像が流れました。

こうして初めてのテレビ出演(?)が終了しました。これですべてが終わったはずでしたが、実はまだ、予期せぬ続きがありました。

●子ども達に破壊されてしまったダンボールアート作品を補修

すべてが終わったと思っていたところ、ディズニーの担当さんから電話が入りました。どうやら、子どもが作品に触ってしまい、壊れてしまったため、補修して欲しいというのです。

平日は対応が難しかったため、週末にショッピングモールに向かいました。

展示場所には柵が作られており、一目見て立ち入り禁止と分かる状態になっていました。ただ、柵と作品との距離が近く、手を伸ばせば作品に触れることができました。

作品はプロペラの部分が少し折れており、翼も傾いていました。プロペラ部分は回転するようになっていたため、面白がって回す子どもがいたのでしょう。

翼も簡単に動かせる構造となっていたため、こちらも触られて向きが変わったようでした。

壊れた箇所の補修を終えると、作品を壁際に寄せ、柵との距離をとって触れられないようにして、再び作品を壊されることのないように配慮しました。

ところが、またもや壊されてしまったとの電話が入り、翌週末もショッピングモールに足を運ぶことになりました。

今度は壊れ方がかなり激しく、もっとも丈夫に作ったはずの胴体が折れていました。少し触れた程度ではそのような壊れ方をするとは到底考えられず、激しく接触したことは明らかでした。

なぜそのようなことになるのかは、補修を行っていてわかりました。親から離れて遊んでいる子ども達が、柵をくぐって作品を触りに入ってくるのです。

節度のわからない子ども達が親の知らないうちに壊してしまうのは、どうしようもないことと思いましたが、子どもが柵を越えて作品に触っているのを止めない親が多かったことには、がっかりしました。

二回目の補修を行った後も、再び作品が壊されたとの連絡が入りましたが、毎週末、補修のために展示場所に足を運ぶのはさすがに厳しく、それ以上は補修を行いませんでした。

一か月間の展示が終了し、作品を回収しに行ったところ、まるで墜落した飛行機のようなボロボロの状態になっていました。

その様子を見ていたお母さんが、子どもに「ダスティくん(主人公の名前)、壊れちゃって、映画の中と一緒だね。」などと話しかけていました。

映画ではダスティくんが消防士を目指して、厳しい訓練や消火活動によって傷付く場面があり、確かに映画と同じようになってしまいました。お母さん、うまいこと言うな〜(涙)

今回は飛行機が主役の映画だったため、作品の展示場所として県営名古屋空港に隣接する映画館とショッピングモールが選ばれました。

こちらでの展示が終了したら、次は中部国際空港セントレアに展示される予定でしたが、子ども達による作品の破壊活動(?)が続いたことから、次の展示場ではさらに激しく壊されることが予想され、展示は見送りになりました。

とても残念ではありましたが、子ども達が作品に触りたいと思ったのは、そこに惹きつけるだけの何らかの魅力があったのではないかと、前向きにとらえました。

次回は、ディズニーの仕事が終わった二か月後に、会社に退職の意思表示をするまでの心境についてお伝えします。


【いわい ともひさ/ダンボールアーティスト】
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今週の一言:10月に激しく足首を捻ってしまい、続けていたランニングを二週間程休まねばいけなくなりました。気を付けないといけないな〜