おかだの光画部トーク[150]写真データのバックアップはこれで決まり!
── 岡田陽一 ──

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2008年10月14日の第1回から、足掛け8年の間お世話になったデジクリでの連載ですが、今回の150回をもって終わります。

この8年の間に、カメラもデバイスもネット環境も大きく進化しました。そして、社会もいろいろな出来事がありました。

一番大きな出来事といえば、やはり2011年3月11日の東日本大震災でしょう。テレビに刻々と映し出されるリアルタイムの津波の映像や、個人のスマホで撮影された生々しい動画から、地震・津波・原発事故の怖ろしさ、悲惨さを目の当たりにしました。

震災後の記事がこちら

#53:写真や映像は何を伝える事ができるのか その1
https://bn.dgcr.com/archives/20110412140100.html

#54:写真や映像は何を伝える事ができるのか その2
https://bn.dgcr.com/archives/20110510140200.html


そして、震災で大切な写真データを消失してしまうリスクを改めて考え、クラウドにバックアップする必要性について、いろいろな方法を考えました。



#57:大事な写真データの保存先
https://bn.dgcr.com/archives/20110621140200.html


当時の環境ではFlickrが一番コストパフォマンスが高く、使いやすかったので3回に分けてFlickrについて書きました。

#58〜60:Flickrを使ってみよう その1〜3
https://bn.dgcr.com/archives/20110705140100.html

https://bn.dgcr.com/archives/20110719140100.html

https://bn.dgcr.com/archives/20110823140100.html


その後、Google+ Picasaウェブアルバムにもふれました。
#61:おすすめ Google+ Picasa ウェブアルバム
https://bn.dgcr.com/archives/20110906140100.html


8年経った今、それらが進化した「Googleフォト」がリリースされ、更に先日Amazonから「Amazonプライム・フォト」が日本でも使えるようになりました。個人的には本日時点で、デジタル写真データのバックアップは、もうこのふたつの併用で決まり! と考えています。

Googleフォトについては昨年の記事をご覧いただくとして、
#136:写真クラウドサービスの決定版になるか?「Google Photos」
https://bn.dgcr.com/archives/20150602140300.html


今回は「Amazonプライム・フォト」について解説します。
https://www.amazon.co.jp/clouddrive/primephotos/


Amazonプライム・フォトを使うには、Amazonプライム会員になっておく必要があります。今日現在、年間3,900円のサービスですが、特に最近、Amazonプライムのサービス内容の充実ぶりには3,900円以上の価値を感じます。

以前は、Amazonからの買い物に関しては、何度でも、どんなに安いものを買ったとしても送料無料ということだけだったので、頻繁にAmazonで買い物する人以外は、大したメリットはありませんでした。

しかし、最近は矢継ぎ早にさまざまなプライム会員限定のサービスがスタートしています。

・無料のお急ぎ便で、自宅でもコンビニなどの店頭でも受け取れる、お急ぎ便、お届け日時指定便が使い放題サービス
http://www.amazon.co.jp/gp/help/customer/display.html/?ie=UTF8&nodeId=200042080


・映画もTV番組も見放題のプライム・ビデオ
http://www.amazon.co.jp/b?ie=UTF8&node=3535604051


・100万曲以上が聴き放題のPrime Music
https://www.amazon.co.jp/b?ie=UTF8&node=3589137051


その他の特典に加えてのプライム・フォト。

他のクラウドに写真を保存するサービスとの大きな違いは、多くのサービスがJPEGやPNG形式のみというのに対して、TIFFや、RAWフォーマットまで対応していること。

もうこれだけのために、3,900円払ってもいいくらいです。仕事で写真を撮っている人は特に。

今まで、大量にたまる一方のRAWデータをバックアップすることができず、写真を大量に撮影する人は、RAWデータをどうバックアップするか頭を悩ませていましたが、もうその必要はありません。

ただし、サポートしているRAWデータは、今のところNikon(NEFファイル)、Canon(CR2ファイル)、Sony(ARWファイル)と、DNG(Adobe Digital Negative)ファイル。
https://www.amazon.co.jp/gp/help/customer/display.html?nodeId=201649930


対応メーカー以外のRAWデータの場合は、LightroomでDNG(汎用のRAWデータ)に変換して、バックアップするのが良さそう。

対応フォーマット以外のデータは、写真として扱われないので、あっという間に5GBの上限に達してしまう。つまり、写真データと認識されたものだけが容量無制限で、それ以外のデータは、無料枠が5GBまでとなっている。

3,900円の中で最大限バックアップ用途として使うには、JPEGやRAWの写真データのみをバックアップ先として利用する。

そのためには、JPEGやRAW以外のデータを、それらと一緒のフォルダにまとめて管理しないような運用が必要になる(別に一緒でもかまわないが、アップロード時のファイルの選択が面倒になる)。

例えば、写真データを人に渡すためにzipでまとめたものを同じ場所に置いておくと、写真以外の大きなデータと認識されてしまう。

また、PSD(Photoshop)データも、写真として扱われないので、撮影後にPhotoshopでレタッチしたデータなども、別のフォルダで管理しておいた方がよいでしょう。

PCからのアップロード方法は、PC用のAmazon Cloud Driveアプリをダウンロードしてインストール。
https://www.amazon.co.jp/gp/drive/app-download


任意のフォルダを選択すると、その中のデータがアップロードされる。

今のところ、Googleフォトのように、監視するフォルダを設定しておき、そのフォルダに追加されたデータを自動でバックアップするような機能はないので、手動で任意のフォルダを選んでバックアップという方法になる。

スマホの写真に関しても、撮影した写真をすべて自動でアップロードするのではなく、自分で選択した写真のみをアップロード。そして、アプリを起動したままにしておく必要があるので、少し面倒で使い勝手はよくない。

ということで、スマホなどで撮った日常の写真はGoogleフォトに保存。デジカメでしっかりと撮影し、PCに取り込んだ写真(RAWとJPEG)は、Amazon プライム・フォトにバックアップ。というフローが現時点で最強ではないかと考えています。

大切な思い出となる写真のデジタルデータ。PCやハードディスクが壊れたり、家が火事になったり、地震や津波やゲリラ豪雨による水害などで街中が大きな災害に遭ったとしても、ネットのどこかにバックアップが残っていると少しは救われますよね。

「大切なデータは必ず、Cloudにバックアップする!」ということを最後のまとめとして、「おかだの光画部トーク」を締めたいと思います。

長い間読んでいただき、ありがとうございました!

【岡田陽一/株式会社ふわっと 代表取締役 ディレクター+フォトグラファー】
mailto:okada@fuwhat.com
Twitter:http://twitter.com/okada41