crossroads[06]誰もがメディアリテラシーを求められる時代
── 若林健一 ──

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こんにちは、若林です。この日曜日にCoderDojoのメンバーでLT(ライトニングトーク=短いプレゼンテーション)大会を開催し、私も「組み込みソフトウェアって何?」をテーマにしゃべってきました。

参加者の多くはWebやiOS/Androidのエンジニア、もしくはデザイナーさんでしたので、スタックとかROM/RAM容量を気にするような開発とは無縁。ほとんどは伝わらなかったと思いますが、「ニブル」(データ量の単位で1バイトの半分)にちょっと反応していただけでも満足でした。

・素晴らしい?組み込みの世界
http://bit.ly/20160228LT




●その記事の本質は?

さて、先週のセキュリティの話題に関連して、今週こんな記事を見つけました。

【悪用厳禁】iPhoneから10秒で自宅と行動履歴が特定される危険が危ない!
http://enter101.hatenablog.com/entry/2016/02/26/043606


内容は、iPhoneの設定の中にある「利用頻度の高い位置情報」から自宅住所などの情報が知られてしまうので、設定を変更してこれを記録されないようにした方がよい、というもの。

自分は、自分の行動が可視化できるという意味で面白いなと思って見ていますが、多くの方にとってはあまり意味のない情報ですし、気になるようであればオフにしておいたら良いと思います。位置情報の記録を止めることで、多少はバッテリーの消費を節約できるかもしれません。

ただ、この記事で述べられているような「住所の情報が他人に見られるからオフにした方がよい」という論調には賛成できません。

そもそも、この情報は設定画面の奥深くにあって、この情報にアクセスできるということは、それ以前にもっと多くの情報にアクセスできるわけです。

「利用頻度の高い位置情報」を他人が見られるとすれば、メール、連絡先、LINEを見ることだってできます。そんな状態でiPhoneを渡す相手なんてかなり親しい人、つまり住所ぐらいは知っててもおかしくない人、なのでシチュエーションとしてはほぼありえない。

もしあったとすれば、よほどセキュリティ(というよりもプライバシー)に無頓着な人のはずなので、「利用頻度の高い位置情報」をオフにするよりも、もっと基本的なことを教えてあげた方が良い。

この記事の内容に沿うことで誰も損はしないでしょうし、誰も被害を被らないとは思いますが、もし私が述べたようなことを分かった上でこの記事を公開しているのなら、恣意的と言わざるをえない。

もし分からないで善意で書いているのなら、誰でも情報を発信できる現代ではどうしようもない。今の時代、情報の本質を見抜く能力(メディアリテラシー)がひとりひとりに求められてくる、便利になった反面負担も大きくなっていると感じます。

少なくとも、自分は同じ過ちを犯さないようにはしたいものです。


【若林健一 / kwaka1208】
Web: http://kwaka1208.net/

Twitter: https://twitter.com/kwaka1208


・CoderDojo奈良
http://coderdojo-nara.org/

次回は、3月12日(土)開催です!