アナログステージ[142]仕事で使っていい言葉、ダメな言葉
── べちおサマンサ ──

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蕗の煮物が美味しい春。お供の油揚げはそう、大和あげがいいかな。近所のお豆腐屋さんで、揚げたての油あげでもいい。

鶏もも肉を軽く炒め、蕗と油揚げを、花鰹で丁寧にとったお出汁に、白醤油、薄口醤油、みりんを合わせて煮込む。

火は弱火。せっかくの蕗がトロトロになってしまっては、旬から笑われてしまうので、強火は禁物だ。

漬物皿には、自家製の胡瓜と茄子のぬか漬け。アゴと日高昆布でしっかりととった出汁に、仙台味噌を溶かし、火を止める。

茶碗に炊きたての白飯をよそい、地場産の春キャベツを手でちぎり、味噌汁の椀の上に浮かべる。一瞬で、キャベツの色がハッキリとした緑に変わる。平鉢にツマを盛り、脂ののった鰆の刺身を三切れ、横に穂じそを添える。ほかの薬味はいらない。

今年の春を迎える支度はできた。

「いただきます」

うまい。カラダが春がきたことを感じている。アゴ出汁と仙台味噌の相性は抜群だ。春キャベツの甘さと柔らかさに、温々とした優しさがある。

蕗はどうだろう。シャッキリとした歯ごたえがあるが、筋ばってはいない。塩梅も上々。茶碗の白飯が、あっという間に空になる。口直しにぬか漬けを頬張る。毎年、変わらぬ我が家の味だ。

醤油皿に穂じそを茎に沿って落とす。我が家には、数十種類の醤油があり、食に合わせて醤油をかえている。3年くらい前から、刺身には、弓削多の『吟醸純生しょうゆ』を愛用している。

まずは、脂でほのかに光っている鰆の刺身を一切れ、口に運ぶ。

白身で身のやわらかい鰆だが、この時期の脂がのった鰆は、中とろに近い旨味がある。白身魚と穂じその相性も、これまた抜群だ。本当ならば、穂じそより紫芽(芽じそ)のほうが合いそうだが、紫芽はまだ時期ではない。

これは好みによるが、ワタクシは、白身魚のときには山葵は使わない。繊細な白身の旨さが、山葵のアクセントで台無しになってしまい、なんの魚を喰っているのか分からなくなるからだ。その代わりに、穂じそや紫芽などの、香りアクセントにできる香辛野菜を添える。

気がつくと、二杯目の茶碗が空になっていた。さすがに食べ過ぎたであろうか、春の香りも手伝って、最高の満腹感でいっぱいの、べちおです。

ここまでが枕です(笑)

ということで、今回はグルメコラムではなく、前回の続きのようなコラムです。



●無意識に使ってしまうあの言葉たち

通常の会話ではあまり気にならない言葉も、メールやFAXなど、テキストでのやり取りでは、ものすごく気になる言葉が存在します。気にしないかたは気にしないのでしょうが、オイラは気になります。とても気になります。

今回は、ついつい無意識に使いがちなあの言葉(キーワード)を挙げてみます。

・キーワード:その1『お世話さまです』

なにをどなた様にどのようにお世話になっているのか、未だにオイラもさーっぱりと分かりませんが、社会人になると、家族の間で交わす「おはよう」や「おやすみ」以上に、口にする言葉になります。

メールで、取引先や下請けさんへの連絡事項を書く際にも、「お世話になっております」と、とにかく使用頻度が一番高くなる言葉。

稀に(でもないんだけど)、「お世話様です、下記の件ですが…」というような、「おれってば、めっちゃ忙しいんだよね、知ってるよね、だから簡略でいいよね、わかってくれるよね、みんな」のような輩から上記のような、手抜きの挨拶をいただきますが「オマエが忙しいのなんか知ったこっちゃない」です。

気心が知れている仲ならばいざ知らず、通常業務ではきちんと「いつもお世話になっております」を使いましょう。

・キーワード:その2『なるほど』

もうこれ、本当に多いです。なるほどTHEワールドの影響力が強いのか、テレビでも「なるほど、なるほど」と、あちこちで多用されているので、普通に使っているかたも多いでしょう。

「なるほど」は使ってはいけない言葉というよりも、目上のかたに対しては、使ってはいけない言葉のひとつです。あまりにも浸透しすぎて、つい忘れがちになりますが、いち社会人として、使うケースを減らしていきたい言葉です。

・キーワード:その3『そうなんですか』

ときたま、「そうなんですね」とか、「よろしかったでしょうか?」など、首を横に、カコっと傾けたくなるような、不思議な日本語を耳にしたりしますが、皆さんはいかがでしょう。

プライベートでは、「ふーん、そうなんだ」って使う場面は多いですよね。オイラも多いです。しかも「ほぅほぅ、そーなんだ、ふーん」といった具合に、うわの空チックに相槌を打ちがちです。

しかし、この「そうなんですか」という言葉、人によっては不快指数が高い言葉だということはあまり知れられておりません。オイラはそこまで気になるような言葉でもありませんが。

同僚なんかは「こいつ、話し聞いてない(理解してない)だろ」って思うらしく、「そうなんですか」を多用する人には、なるべく仕事を振らないようにしていたりします(そこまで神経質にならなくてもいいような気もしますけど)。

では、「そうなんですか」の代わりに用いる言葉というと…… ありません。似たような言葉で「そうですね」がありますが、これは問題ない。

「そうなんですか」という言葉の代わりに、その話しの流れをくみ取り、話の中枢になっていることに対して、返事をすることが、「そうなんですか」の代わりの言葉になります。

「あそこのラーメン、すごく美味しかったんだよ」
「そうなんですか」

素っ気ないですよね。会話もそこで終わるパターンがほとんどです。

「あそこのラーメン、すごく美味しかったんだよ」
「噂には聞いたことがありますが、何系のラーメンですか?」

このように、話を繋げながら、会話のキャッチボールを楽しむのも、コミュニケーション能力のひとつですし、なにより、『会話の内容をあやふやにしない』話しかたが、デキる大人には大切です。

・キーワード:その4『了解しました』

メールで一番多いのがこれ。オイラが仕事メールの文中で書かれて、一番嫌いな言葉であったりします(笑) オイラは、プライベートでは使いますけど、立場関係なく、仕事では絶対に使いません。

「なるほど」と同じで、目上のかたに使うのは絶対にNG。「承知いたしました」という言葉があるのに、なぜ「了解しました」と書くのか、問い詰めたい衝動に駆られたりもします。

オイラ部署では、ベンダー(下請け)さんだろうが、部下ちゃんだろうが同僚だろうが、普段から「承知いたしました」を必ず使うようにさせております。

・キーワード:その5『すいません(すみません)』

謝るときの「すいません」、尋ねるときの「すいません」、難しい日本語の代表格でもありますが、謝るときは「申し訳ございません」、尋ねるときは「お尋ねしたいことがありまして」とか、いくらでも代用がある言葉。

「すいません、○○でもよろしいですか、すいません」

会話で使うのは、場の空気というものが存在しているので、すみませんレベルが把握しやすいが、メールでは、「どのすみません?」となる。


今回でまた暫く地下にこもります

まだまだたくさんあるのですが、タイムオーバーなので、また機会があったときにでも、デジクリで取り上げてみますね。

「オマエに言われたくねーよ!」とか仰らずに、ぜひご参考にしてください。明るい未来が待っているかもしれません。

ピンチヒッターでの登板は今回で最後になります。クソ忙しいけど、原稿もなんとか書けているし、レギュラーに戻ってもよさそうな。

時期をみてまた戻ってきます。ゴールデンウイーク、事故や怪我ないよう、愉しい時間をお過ごしくださいね、ではまた。


【べちおサマンサ】pipelinehot@yokohama.email.ne.jp

NDA拘束員であり、本当の横浜を探しているヒト。ぶら撮り散歩師。愛機はD90とGRD4。最近はiPhone6で写真撮影多し。全国寺社巡りで、過去の懺悔道中をしております(そろそろ冬眠終わり)。

・先日、出張(という息抜き)先での休日に、滋賀県の海津大橋の桜を見にいってきました。琵琶湖の湖面に沿った、たくさんの桜。絶景のひと言。久しぶりに愛機のD90を肩からぶら下げるも、「写真に残すより、心に残したい景色」で、撮った写真は、わずか3枚。

そんなケースがこれから増えていくんだろうな…… と、思い耽る中年。