腕時計百科事典[19]腕時計のブランド(オリエント)
── 吉田貴之 ──

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海外では、国によってはセイコーやシチズンよりも知名度があるにもかかわらず、国内では「知る人ぞ知る」玄人向けの時計ブランドである「オリエント」。早くから積極的に海外展開しており、その姿勢がひと味違うデザインとなって現れています。




●社名変更の裏側

オリエントの歴史は「吉田時計店」からスタートします。同社は1920年に「東洋時計製作所」を設立。大規模な時計工場を設立するなど順調に成長を続けていましたが、1946年、労働者によるストライキが発生。これを発端として同社は解散に追い込まれてしまいました。

●度重なる社名変更

その4年後には「多摩計器株式会社」として再出発します。その翌年には現在の「オリエント時計株式会社」に名称を変更しました。会社の規模やその時のビジョンにあわせて、自由自在に社名を変えているようにも思えます。

●海外進出の先駆け

オリエントは1950年代後半から、積極的に海外進出を行ってきました。中国、東南アジア、中近東、ヨーロッパ、アメリカなど、各地域のニーズに沿った仕様の腕時計を製造しました。

その中で、万年カレンダーを搭載したモデルや、ゴツゴツしたダイバーズといった、特徴的な機能とデザインの時計をたくさん輩出していきます。

●特徴的なデザイン

オリエントの腕時計は、他の日本の腕時計メーカーのものとは少し違った印象を受けます。これは、海外市場に向けて腕時計作りをしていたからに他なりません。

ロゴやモデル名の強調の仕方や色使い、ケースの金属部分の分量など、欧米でウケるモデルとは一味違ったデザインのエッセンスがみられます。

●逆輸入で再評価

上記のような理由で、個性的なデザインを施されたオリエントの腕時計は、2000年代になって日本国内のおしゃれバイヤーの目にとまり、セレクトショップの店頭で多く目にするようになりました。

どこか不思議な感じのするデザインは、若者を中心に人気を集め、オリエントの腕時計が再度評価されるに至りました。


【吉田貴之】info@nowebnolife.com

イディア:情報デザインと情報アーキテクチャ
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兵庫県神戸市在住。Webサイトの企画や制作、運営を生業としながら、情報の整理や表現について研究しています。