crossroads[24]プログラミング教育に関わるふたつの視点
── 若林健一 ──

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こんにちは、若林です。日曜日、原因不明の発熱にみまわれ一日寝込む事態に陥ってました。私の周辺でも高熱が出たとか、体調不良を訴える方が多く、何かが流行っているのもしれません。

病に倒れてわかる、何事もない日常の有難さ。みなさまもどうぞお気をつけて。

さて、私事ではありますが、8月1日に転職いたしました。新しい勤め先は、学習教材の製作と販売をしている会社で、私は主にプログラミング教育関係の開発に携わることになりました。

これまでは、プライベートでそしてボランティアで、子どもたちにプログラミングを学ぶ場を作っていました。この活動はこれからも続けるのですが、それとは別に本業として教育に関われるのは嬉しい限りです。

まだ始まったばかりで、どういう関わり方ができるかはわからないのですが、せっかくのチャンスを活かしたいと思います。




●「教育」と「学び」

プライベートの方の話になりますが、私が関わっているCoderDojoでは、自分たちの活動を「子どもたちにプログラミングを学ぶ場を提供する活動」として紹介しています。

場合によっては、なかなか理解されにくいこともありますので、便宜上「子どもたちにプログラミングを教える」という表現を使うこともありますが、本質的にCoderDojoは「教える場」ではない、というのが活動に関わる人たちの共通認識です。

これは、CoderDojoというのが忍者(高校生以下の子どもたち)が自主的に参加し、自分の作りたいものを作る活動であり、メンター(大人や学生)はそれをサポートするという役割を担っているからです。

学校のようにあらかじめ用意された教科書やカリキュラムを持っているわけでも、何かを一方的に教えるわけでもないのでいわゆる「教える」=「教育」とは違うと考えています。

また、私たちは教育のプロではないので、教育現場の大変さはわかりません。

自分たちがエンジニアとしてソフトウェアのプロであり、ソフトウェアのプロにしかわからない大変さを抱えているように、教育のプロにも当事者にしかわからない大変さがあると考えているはず。

それを分からずして「教育」を名乗るのは違うのではないか、という思いもあります。私たちにはノルマはありませんし、子供たちに成績をつける責務もありません。

私たちは、あくまでも子どもたちの自主的な「学び」をサポートしているのであって「教育」しているのではない、というところにこだわる理由はそういったところにあります。

●教育者の視点とエンジニアの視点

「プログラミング教育」を議論する時「教育者」の視点と「エンジニア」の視点の両方が存在しますが、それぞれは別々に議論されていることが多く、教育者とエンジニアが一緒に議論する場はあまり見かけないように思います。

それは、単に機会がないということよりも、立場が違いすぎてそれぞれがお互いの領域に踏み込まないようにしているからだと思います。

でも、きっとそれぞれの強みがそれぞれの弱みを補うことはできるはずなので、もっと踏み込んだ議論があってもいいのにな、というのが率直な思いです。

自分はまだまだエンジニアの立場でしか「プログラミング教育」に関われないでいますが、少しでも「教育」の視点に近づいて、「教育者」と「エンジニア」の橋渡しができるようになりたいと考えています。


【若林健一 / kwaka1208】
Web: http://kwaka1208.net/

Twitter: https://twitter.com/kwaka1208


CoderDojo奈良&生駒の開催予定
http://coderdojo-nara.org/

奈良:9月10日(土)午後