晴耕雨読[25]現実に追い越されたメカデザイン/福間晴耕

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久しぶりにゲームの仕事に復帰し3Dモデルを作っている。今回の仕事ではザコ敵などはラフスケッチしかなく、デザイナー側で補完して作る必要があるのだが、テクスチャを書いてみると微妙にデザインが古めかしい感じがする。

そこで改めて実在する最新の兵器をググってみると、ここ10年ちょっとでステルス化のせいで、兵器の外観がすっかり変化していることに気がついた。




最新の兵器では航空機を中心に、レーダーに映らないようにしたステルス化のために、継ぎ目や凸凹がなくなり、飛び出した面はもちろんのこと、外壁のつなぎ目でさえ90度の角は消え、6角形などの微妙な多角形で構成されている。

お陰で実在しないメカでさえ、ディテールを書き込むときに、ビスやリベットはもちろんのこと、うっかり四角いパネルや直角に交わるつなぎ目を書き込んだだけで、途端に古めかしく感じるのだ。

まったくの架空世界のデザインは別として、現在の延長線上の未来を想定したメカデザインではリアリティーが必要だが、そのせいで油断していると、いつの間にか現実に追い越されてしまったようだ。

アニメや漫画のヒロインの顔などのキャラクターデザインでは、一目瞭然だが絵柄も時代とともに流行り廃りがあり、トップクラスの作家や個性が売りの作家でもない限り、その影響からは逃れられない。

メカデザインではそうしたことには縁がないと思っていたが、それはとんだ間違いだった。

それにしても最近の兵器は、開発に大変なお金がかかることもあって、戦闘機一つ作るにしても開発に10年以上かかるのは普通だし、逆にB-52爆撃機のように1952年に作られてから半世紀以上も使われ続けているものもある。

そのため、兵器の外観なんてそうすぐには変わらないだろうと思っていたのだが、ここ10年足らずのステルス化の影響が、どれほど大きかったかよくわかる。

どうやら架空のメカデザインの分野であっても、流行り廃りや現実の進歩の影響からは逃れられない以上、日々アンテナを張ってキャッチアップし続ける必要がありそうだ。

余談だが、このようにちょっとしたテクスチャ一つをとっても、まだ見たこともない未来を描くというのは途方もなく大変なことなのに、全編こうしたシーンで構成されているリアルなSFもので未来を描くのが、いかに大変なことなのかは言うまでもないだろう。

かくして、当時最新の技術を使って想像力の限りを尽くした映像作品の大半が、今見返してみると妙に古めかしいものになってしまうのは止む終えないのかも知れない。

そうした中で、いまでさえ色褪せることのない未来を見せてくれたキューブリックの「2001年宇宙の旅」が、いかに狂気じみた作品なのが良くわかる。

ちなみに「2001年宇宙の旅」の撮影がいかに苛酷な常識外れだったかは、ぜひこのリンク先の記事を参考にしてほしい。

・映画『2001年宇宙の旅』はなぜ凄いのか?その舞台裏とスタンリー・キューブリック監督のこだわりを徹底解説!
http://d.hatena.ne.jp/type-r/20130626/p1


【福間晴耕/デザイナー】

フリーランスのCG及びテクニカルライター/フォトグラファー/Webデザイナー
http://fukuma.way-nifty.com/

HOBBY:Computerによるアニメーションと絵描き、写真(主にモノクローム)を撮ることと見ること(あと暗室作業も好きです)。おいしい酒(主に日本酒)を飲みおいしい食事をすること。もう仕事ではなくなったので、インテリアを見たりするのも好きかもしれない。