こんにちは、若林です。10月28日の早朝、Appleから新しいMacBook Proの発表がありました。
先週の配信で「イベントタイトル hello again は、初代と呼ぶに相応しいものを発表するという暗示ではないか」ということを書きましたが、実際どうだったのか検証してみたいと思います。
●初代と言えるような変化はあったか?
今回発表されたMacBook Proの大きな変化といえば、Touch Barと4つのThunderbolt3/USB-Cだけになった外部インターフェースですね。名前もMacBook Proのままですし、初代というにはちょっと言い過ぎな感じがしました。
●最大の変化は何だったのか?
では、今回のMacBook Proにおける最大の変化は何だったのでしょう?
Touch BarやTouch IDの搭載も変化なのですが、私は今回の最大の変化は外部インターフェースが4つのThunderbolt3/USB-Cになったことだと思っています。
振り返ってみると、これまでノート型Macで使われてきた外部インターフェースには以下のものがあります。
【映像系インターフェース】
S-Video
mini-VGA
Display Port
Mini DisplayPort(★)
DVI
HDMI(★)
【データ系インターフェース】
SCSI
Firewire400
Firewire800
USB1.1(TypeA)
USB2.0(TypeA)
USB3.0(TypeA)(★)
映像/データ共通インターフェース
Thunderbolt
Thunderbolt2(★)
★がついているのは、新しいMacBook Pro以前のモデルで標準的に搭載されているもの、つまり今最もユーザーの多い外部インターフェースです。
Ethernetなどの通信系や、ExpressCard/34、SDカードなどのカード系、イヤフォンジャックのようなAV系を含めるともう少しあるのですが、ここでは省略しています。電源も何度か変更を経ていますが、これも省略しています。
こうやってみると、外部インターフェースは多くの変遷を経て現在に至っています。私の記憶の限りではDisplay Port(Miniではない方)を搭載していた時期はかなり短かったと思いますし、他にも短命で終わったインターフェースもあります。
これらが新しいMacBook Proでは "Thunderbolt3" だけになり、後継モデルも同じ構成になることが予想されます。
Thunderbolt3は、映像系、データ系の両方が扱えるだけでなくMac本体への電源供給も可能なインターフェースなので、モニターだからどこへつなぐとか、USBメモリを挿すならどことか考える必要が全くなく、とにかく空いているところへ挿せばいい。
電源も左側しか繋げないから本体の向きを変えて、といった煩わしいこともなく、繋ぎたい方に繋げばいいんです。
それってすごいことじゃないですか?
コンピュータの都合を人間が考えなくていい。
これこそ本来のコンピュータと人間の関係のあるべき姿だと思いますし、今回の発表の最大の変化だと思います。
●移行期の痛み
もちろん、手放しで喜べることばかりではありません。
いま自分が新しいMacBook Proを入手すれば、多くのケーブルやアダプタを買いなおす必要があります。
iPhoneをつなぐLightningケーブル、プロジェクタを接続するためのディスプレイアダプタ、SDカードスロットがなくなってしまったので、デジタルカメラのSDカードを読み込むためのカードリダーも買い直しが必要かもしれません。
こういった状況に怒りの声を上げる記事もありました。
新MacBook Proから他の端末とつなぐのに必要なポートのほとんどが消えた
http://tcrn.ch/2e3vf8n
でも、いつまでも現在のインターフェースを引きずるわけにもいきませんし、そもそも対応するPCがなければ、周辺機器を買いそろえる動機は生まれません。そういう変化を起こすことができるメーカーはAppleだけのような気がします。
●人間とコンピュータの関係を改善した初代のMacBook Pro...かもしれない
例えば今なら、
「昔は、電話を掛ける時には、電話帳を見ながら番号を回さないといけなかったんだよ」「えー、昔ってめんどくさかったんだね」
といったやり取りがされるように、10年後ぐらいには
「昔は、データを扱う時はUSB、モニターをつなぐ時はHDMIとか使い分けないとダメだったんだよ」「えー、昔ってめんどくさかったんだね」
というようなやり取りがされるようになると思います。
そう考えれば、これは新しいコンピュータの進歩ですし、そういう意味で初代と位置付けてもいいと思います。
かつてAppleが使っていたキャッチコピーに「The Computer for the Rest of Us」(普通の人々のためのコンピュータ)というものがあります。
Appleは、コンピュータにはまだまだ普通の人が使えるようにするための努力が必要だと考えているのでしょう。
20年来のApple信者としては、この進歩についていきたいと思います。
ただ、iPhone7でなくなったイヤフォンジャックが残っていることについては、不思議には感じますが。
【若林健一 / kwaka1208】
http://kwaka1208.net/aboutme/
CoderDojo奈良・生駒の開催予定
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奈良:次回は12月になる予定です。
生駒:11月5日(土)午後