Otaku ワールドへようこそ![245]選挙の帰趨は評論家よりも中国のサルに聞け
── GrowHair ──

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投票日の5日前の11月3日(木)、中国湖南省のサルが米国大統領選挙の帰趨を占い、トランプの勝ちを予言した。結果はみなさんご存知の通り、大方のマスメディアの予想を裏切り、サルの予言通りになった。さすが中国、ブレーンの優秀さには脱帽するしかない。

2016年11月04日 13:28 
AFP BB NEWS
サルの予言はトランプ氏勝利、米大統領選で占い 中国
http://www.afpbb.com/articles/-/3106806


投票開始の数時間前の時点で、ではあるが、私もいちおうトランプ勝ちを予見していた。中国のサル並みの知恵を誇っても許していただけるのではないだろうか。

結果を見てからズルして、後出しで言ってるのではないかと思われては困るので、facebookに証拠を残しておいた。11月8日(火)3:09pmに下記のように書き込んでいる。




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私はトランプ勝ちへ一票。

その時々の時点で、どっちが何ポイントリードしているかの各紙の調査結果が、2週間前まで、ばらんばらんで。誤差の範囲内とはとても言えなかった。えれー不自然。実は、徹頭徹尾、トランプ有利だったのではあるまいか、という疑いあり。

ヒラリーの私用メール問題でFBIの捜査が入ると、大きくリードしていたヒラリーが後退して、伯仲状態になったというのが大勢的な見方だけど、それも不自然。どんな悪事の疑惑がかかっていたのか公表されてもいないのに、それほど急激に票が動くかいな、と。

なので、私の読みは、トランプが堅実なリードを守って、逃げ切り勝利。

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もっとも、同様の予想をする人は少なくなかったようで、上記の書き込みにも、賛同書き込みがコメント欄に三つついている。

・近い見立てです。物言わぬ大衆が動くのではと。
・支持云々ではなく予測だと、トランプ勝つと私も思ってます。
・自分も僅差でトランプ氏行くのではないかと考えています。激戦州で大票田のフロリダが今日しっかり晴れてるので、富裕・白人層の高齢者が投票に行きやすい。

●州ごとに勝者が選挙人を総取りするルール

アメリカには50州、プラス、ワシントンD.C.があり、人口にほぼ比例する人数の選挙人が、それぞれに割り振られている。カリフォルニア州に55人、テキサス州に38人、ニューヨーク州とフロリダ州にそれぞれ29人……という具合で、合計すると538人になる。

この過半数、つまり、270人を獲得した候補が事実上勝ちとなる。州ごとに得票数のいちばん多かった候補がその州の選挙人全員を獲得する、勝者総取り方式。ひとつの州において、大差で勝っても僅差で勝っても、獲得する選挙人の数に違いはないのである。

得票総数で勝っているにもかかわらず、選挙人の獲得数で負けるということは、じゅうぶんにありうる。たとえば、カリフォルニア州で大差で勝ち、その他全部の州で僅差で負ければ、得票総数で勝っても、総合的には大敗である。

しかし、カリフォルニア州での得票の余裕分をちょっとずつ他の州へ回し、全州で僅差で勝てば、同じ総得票数でも、総合的には大勝する。無駄に余裕勝ちしようとせず、僅差僅差で勝っていくのが効率よい得票のしかたと言える。

ちなみに、最近40年(10世代)の大統領は、下記のようになっている。

第48代 │ 1976年〜 │ 民主党 │ ジミー・カーター
第49代 │ 1980年〜 │ 共和党 │ ロナルド・レーガン
第50代 │ 1984年〜 │ 共和党 │ ロナルド・レーガン
第51代 │ 1988年〜 │ 共和党 │ ジョージ・H・W・ブッシュ
第52代 │ 1992年〜 │ 民主党 │ ビル・クリントン
第53代 │ 1996年〜 │ 民主党 │ ビル・クリントン
第54代 │ 2000年〜 │ 共和党 │ ジョージ・W・ブッシュ
第55代 │ 2004年〜 │ 共和党 │ ジョージ・W・ブッシュ
第56代 │ 2008年〜 │ 民主党 │ バラク・オバマ
第57代 │ 2012年〜 │ 民主党 │ バラク・オバマ

●多くのメディアが世論調査からヒラリー優勢と予想

RealClear Politicsというウェブサイトに掲載されている事前予測を例にとると、ヒラリー優勢の州は17州あり、選挙人は合計203人である一方、トランプ優勢の州は22州、164人である。
http://www.realclearpolitics.com/epolls/2016/president/2016_elections_electoral_college_map.html


残る15州(※)、171人は激戦州ということである。激戦州の選挙人を仮に半々に分けたとすると、288.5人対249.5人でヒラリーが勝つ。トランプが勝つためには、激戦州のほとんどで勝たなくてはならないということであり、たいへん厳しい戦いである。

※州の数の合計が54になるのは、メーン州とネブラスカ州の特殊な事情による。

ロイターは、いっそうヒラリー寄りの予想を発表している。

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7日公表されたロイター/イプソスの世論調査によると、8日の大統領選で民主党候補のヒラリー・クリントン氏が勝利する確率は約90%となった。

この調査は全米50州とワシントンDCに住む約1万5000人を対象に毎週行うもの。6日まで実施された回が、米大統領選前の最終となる。

予想では、大統領選でクリントン氏の選挙人獲得数は303人となり、当選に必要な270人を大きく上回る見通し。一方、ドナルド・トランプ氏の獲得数は235人と予想されている。

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アメリカ研究が専門の慶應義塾大学SFC教授・渡辺靖氏は、勝敗の鍵を握る州を挙げている。

トランプ側にとってキーとなる激戦州は、オハイオ州、ノースカロライナ州、フロリダ州の三州。「トランプ候補はこの三つのうちどれか一つでも敗れるとピンチ。当選にはひとつも落とせない。クリントン陣営はここで三つ落としても可能性は残る」。

逆にニューハンプシャー州は、クリントン候補が勝つと予想されているが、ここを落とすことになると、クリントン陣営は勝利に不安を感じることになるという。

結果を先取りして言っちゃうと、どちらの陣営も、大事な州はちゃんと獲得している。ただし、ニューハンプシャー州は、開票率100%で、(トランプ):(ヒラリー)= 47:22%:47.50% と、僅差である。

2016年11月08日 20:30
THE PAGE
米大統領選 トランプ氏が1つも落とせない「3つの激戦州」とは?
http://blogos.com/article/197106/


●過激な発言をぶっ放すトランプ

この選挙は何と何との対決なのだろう。金持ちvs.貧乏人? 知識人vs.無教養? 沿岸vs.内陸? 都会vs.田舎? ホワイトカラー&エスニック・マイノリティvs.白人ブルーカラー? 米国単独覇権維持派vs.米国孤立主義&世界多極化容認派? まっとうな政策vs.ポピュリズム? 軍産複合体vs.アンチ軍産? 信用のない人vs.品性のない人?

トランプは、不動産経営で財をなした実業家であって、政治家としての経験はまったくない。政治方面の手腕の未熟さは不安視されて当然だが、一方では、しがらみがないため、過去に捉われない大胆な政策を打ち出し、嘘を排し、遠慮気兼ねなく、思ったことがずけずけ言えるという優位性にもつながる。

過激な発言や実行できそうもない政策の提示が目立つ。

・不法に移民が流入しないよう、メキシコとの国境に壁を築く
・犯罪歴のある200万〜300万人の不法移民を、速やかに強制送還する
・イスラム教徒を全面入国禁止にする
・TPP はアメリカに不利益になるので反対
・日本がネブラスカ州の牛肉に38%の関税をかけ続けるのであれば、日本車の関税を2.5%から38%に引き上げる
・すべての中国製品に45%の関税をかける
・在日米軍駐留経費を日本が全額負担せよ。しなければ撤退する
・日本が核武装することを容認する
・地球温暖化対策の新たな枠組みである「パリ協定」から早期に脱退する
・イランとの核合意を破棄する
・オバマケアを廃止する
・ヒラリーは、大統領を目指す人物として史上最も腐敗している

こんなことを言っている候補が失墜することなく、人々からの支持を受け続けられているところが不気味だが、裏を返せば、現行政府への人々の不満がいかに根強いかを示しているとも言えそうである。

●トランプ陣営の精密な票読み

先ほど述べたように、米国大統領選挙は、州ごとに勝者が選挙人を総取りするルールになっている。ということは、もともと確実に勝てそうな州において、得票数でさらに差を拡大しようとする作戦には意味がない。辛勝も大勝も、結果として得るものには変わりがないのである。

同様に、確実に負けそうな州において、得票数で差を縮めようとする作戦にも意味がない。結局のところ、ほぼ確実に勝てそうな州や負けそうな州は放ったらかして、激戦州に全精力をつぎ込むのが正しい作戦と言える。

とすれば、オハイオ州、フロリダ州、ニューハン プシャー州、ノースカロライナ州、ペンシルベニア州あたりを重点的に回るのがよさそうである。

ところが、土壇場におけるトランプの動きは妙だった。10月末から11月頭にかけて、上記5州を放ったらかして、ミシガン州、ニューメキシコ州、ウィスコンシン州を回っている。

これらの州は、どちらかというと「青い州」、つまり民主党の縄張りである。的外れの戦い方のようにみる向きもあった。

ところが、結果を見ると、作戦が大当たりしていることが判明する。上記5州のうち、ニューハンプシャーを僅差で落としている以外は、勝っている。特に、オハイオ州とノースカロライナ州は、余裕勝ちしている。なるほど、回る必要などなかったのである。

土壇場で回った青い3州のほうは、ニューメキシコ州で大敗を喫した以外は勝っている。回った意味はあったのである。

マスメディアがヒラリー優勢と報じるのとは裏腹に、トランプ陣営は、こっちが終始一貫して優勢を保ち続けたのだと主張している。もし、負けるような結果になったとしたら、それはとりもなおさず票に不正操作が加わったことを意味する。負けは絶対に認めず、ヒラリーを訴え、牢屋にぶち込んでやる、と吠えていた。

この票読みは正しかったようだ。誰に投票するか決めるのは国民であって、マスメディアの役割は、判断材料となる情報を正しく提供することにある。どちらに肩入れすることもなく、中立な立場から、公平公正に報じることが求められる。

……ような気が私はするのだが。誰もそんなこと期待しちゃいないようである。大手メディアでは、ヒラリー支持が57社、トランプがたった2社である。トランプ側に不利な材料ばかりを選択的に報じるので、トランプは「訴える」と吠えているのである。どうやら軍産複合体は、マスメディアを配下に取り込んでいる模様である。

●9月訪米時にトランプに会談を申し入れていた安倍首相

安倍晋三首相は国連総会に出席するため9月に訪米した際、民主党候補のヒラリー・クリントン前国務長官と会談しているが、トランプをスルーしている。これはトランプとの間にわだかまりを残す、大失態だったのではあるまいかと私は危惧していた。

ところが、11月15日(火)に明らかになったところによると、安倍首相はトランプ側にも怠りなく会談を申し入れていたとのことである。結果的に本人は出てこなかったが、トランプのアドバイザーの一人で投資家のウィルバー・ロス「ジャパン・ソサエティー」会長と会談している。

「遊説でニューヨークにいなくて残念だ」とのトランプからのメッセージが伝えられたという。また、ロス氏からは、「トランプ氏は選挙向けに強い言い方をしているが、非常に現実的で論理的な思考ができる人だ」とも。

ああ、よかった。日本の首脳陣による票読みも、尻の赤い中国のブレーンに負けてなかったようで。

2016.11.11 07:04
産経ニュース
【米大統領にトランプ氏】
安倍晋三首相が対トランプ外交で速攻 トップダウン志向2人、ウマが合うか
http://www.sankei.com/politics/news/161111/plt1611110006-n1.html


2016/11/15 1:18
日本経済新聞
首相、トランプ陣営の有力者と接触 9月訪米時に
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS14H84_U6A111C1PP8000/


●マスコミがヒラリー優勢の誇張を土壇場で撤回した

結果を予想する上で私が参考にしたのは、サルの予言だけではない。ひとつは、田中宇(さかい)氏のメルマガ、もうひとつは、マスメディアの発表する予想数値を分析した記事である。

ところが、後者のは、どっか行っちゃって、ソースが分からなくなっている。各種メディアの発表する両候補への支持率を分析して、バラつきの大きさが、サンプリングのしかたによる誤差の範囲を超えている不自然さを指摘していた。意図的に、操作が加わったのではなかろうか、と疑わしい。

田中氏は、有料メルマガ「田中宇の国際ニュース解説 会員版(田中宇プラス)」の10月26日(水)配信号で、『不正が濃厚になる米大統領選挙』と題して、次のように述べている。

要約------------------------------------------------------------------

世論調査の多くは、10月前半の女性問題などによりトランプの劣勢が拡大し、ヒラリー優勢のまま趨勢が変わっておらず、ヒラリー勝利が確定しつつあるという結果を示している。

しかし、これは、サンプルを取る際に意図的に偏りをもたせることによって歪曲した結果であって、実勢は、8月以来一貫してトランプ優勢なのだとみられる。ヒラリーを勝たせようとするマスコミが、あたかも勢いがあるかのごとく粉飾している疑いが濃い。

トランプ優勢の根拠として、映画監督マイケル・ムーアが7月と10月に行った講演で述べた、トランプの勝利を予測する分析を引いてきている。

ムーアは、トランプ支持者が多いミシガン州の出身で、「ラストベルト(すたれた元工業地帯)」において、メキシコなどに拠点を移してしまった自動車産業の元従業員たちが、中産階級から貧困層に転落した末に、自由貿易に強く反対するトランプを熱烈に支援する様子を、身近で体験しており、説得力があるとのこと。

このまま行くと、トランプが勝つことになる。その場合、マスコミなど米国の上層部(エスタブリッシュメント)は、世論調査による予測が外れたという不名誉を背負い込むことになる。マスコミがみずから信頼の落下を引き起こすとは考えづらい。

8月の時点の田中氏の予想としては、投票日まで2週間を切ったあたりから、世論調査結果が軌道修正されていき、現実と合致していくであろうと述べている。それは、6月、英国のEU離脱投票のときに起きたことである。

ところが、実際には、投票日まで2週間を切っても、世論調査結果におけるヒラリー優勢は揺るがない。だとしたら、票数までをも不正操作して、世論調査による予測の通りの結果を出すのではないか、という見方を示している。

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ところが、このメルマガが配信された2日後の10月28日(金)、米国の捜査当局FBIが、ヒラリー・クリントンの「メール問題」の捜査再開を発表した。

これを受け、11月3日(木)配信号では、『土壇場のクリントン潰し』と題して、田中氏は次のように述べている。

要約------------------------------------------------------------------

FBIの発表から数日たつと、世論調査におけるヒラリーの支持率が顕著に下落した。ABCワシントンポストの世論調査では、FBIの決定前には12ポイント優勢(50%対38%)だったのが、決定から4日後の11月1日(火)には、1ポイント劣勢(45%対46%)に転じた。この調査でトランプが優勢になったのは5月以来のことだ。

ヒラリーのメール問題は、以前から広く知られた話だ。捜査しても有罪になるとは限らない。捜査再開が、ヒラリーにとってどのぐらいの打撃になるか疑問だった。

ここにきて大手の世論調査が相次いでヒラリー優勢との誇張的な結果をしぼませたのは、FBIの捜査再開を格好の口実として使い、これまでの誇張をやめて実勢に近いかたちに軟着陸させた結果とも考えられる。6月の英国のEU離脱投票でも、投票前の2週間で、世論調査が「残留優勢」から「離脱優勢」に転換している。

ヒラリー優勢の消失は、票の大規模な不正操作によってヒラリーを勝利させるシナリオがなくなったことを示すように感じられる。

オバマは表向き同じ民主党のヒラリーを支持している。しかし、軍産複合体が嫌いで戦っているオバマと対照的に、ヒラリーはゴリゴリの軍産の傀儡だ。戦略的には、むしろ、トランプのほうがオバマに近い存在だ。

オバマの本心は、ヒラリーでなくトランプの勝利を希望していると勘ぐれる。オバマによる水面下の支援があって、選挙直前のFBI捜査につながったのではないか。

選挙戦終盤の今週、トランプは、ミシガンやウィスコンシンなどの諸州を遊説している。これらの州は、大手の世論調査でヒラリーの方がはるかに優勢とされてきた。トランプは、大手調査で接戦であるとされるフロリダやネバダ、ノースカロライナ、オハイオなどを回った方が効率的なのに、それをせず頓珍漢だという見方がある。

だが、大手調査がこれまでヒラリー優勢を誇張してきたことを差し引くと、フロリダやネバダなどでは実勢的にトランプが優勢なので、まだヒラリーが優勢なミシガンやウィスコンシンを回るのだとも考えられる。

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だとしたら、トランプが勝つね。8月に田中氏が予想したシナリオ通りの進行
である。この一連の流れは、たぶん、サルも見抜いていたのであろう。

●なかなか決しない勝敗に開票経過速報から目が離せず

日本時間の9日(水)8:00amから各地で開票が始まり、途中経過をライブ速報するウェブサイトがいくつか立ちあがった。

私が一番頼りにしていたのは、Yahoo! ニュースのもので、ソースはAP通信である。地図上で、50の州が5色に塗り分けられている。

(1)濃い青:民主党が取得確実
(2)薄い青:民主党が優勢
(3)濃い赤:共和党が取得確実
(4)薄い赤:共和党が優勢
(5)グレー:未開票

各州にポインタを載せると、選挙人の数、現在の開票率、各候補の得票率が数字で示される。

下記のサイトだったのだが、今は消滅している。
http://news.yahoo.co.jp/story/430


「ニューヨーク・デイリー・ニュース」のサイトに英語版が残っている。
http://interactive.nydailynews.com/2016/11/live-2016-election-results-map-electoral-vote-counts/


時差の関係で、開票は東海岸の州から西へ西へと進んでいく。西海岸の三州、ワシントン州(12人)、
オレゴン州(7人)、カリフォルニア州(55人)は、もともとヒラリーの牙城なので、途中経過でトランプが押しているようにみえたとしても、この分を差っ引いてみないといけない。

開票の経過については、コンサルタントの吉田繁治氏が自身のメルマガ『ビジネス知識源プレミアム』で、リアルタイムで記録したものを掲載している。米大統領選「報道」狂想曲を振り返る、と称して。

2016.11.10.
MAG2NEWS 国際
トランプ「当確」をなかなか出さない米メディアのジレンマ
http://www.mag2.com/p/news/227081


私の記録していた経過と撚り合せてみよう。以下、時刻は日本時間である。

【9:45am、ケバヤシ】

獲得確実となった選挙人の数は、(トランプ):(ヒラリー)=24〈人〉:3〈人〉だいたいの州で順当だけど。注目のフロリダ州でヒラリー優勢なのか。

【10:33am、吉田】

株式市場はクリントン当選を予測

【11:30am、ケバヤシ】

注目のフロリダ州、オハイオ州、ノースカロライナ州は、さっきまで三つともヒラリー優勢だったのに、今は三つともトランプ優勢に変わっとる。バージニア州は(トランプ):(ヒラリー)=47.83%:47.09% すげー僅差。選挙人13人はけっこう大きい。

【11:42am、ケバヤシ】

フロリダは間もなくトランプが取りそう。

【11:45am、ケバヤシ】

激戦と言われたミシガン州とジョージア州はトランプ圧倒的に有利。

【11:50am、ケバヤシ】

フロリダ州は開票率 93.55% で、(トランプ):(ヒラリー)=49.05%:47.84% ほぼトランプで決まりでは?

【11:55am、ケバヤシ】

ジョージア州も注目の州と言われているけど、開票率45:06%で、(トランプ):(ヒラリー)=58.06%:39.22%と、トランプ圧倒的にリードしてるではないか。

【0:05pm、ケバヤシ】

モンタナ州www 開票率 00.00%で、(トランプ):(ヒラリー)=00.00%:00.00%で、トランプ勝利決定ってwww

【0:15pm、ケバヤシ】

獲得確実となった選挙人の数でいうと、(トランプ):(ヒラリー)= 140〈人〉:104〈人〉と、一見、トランプ優勢のように見えるけど、カリフォルニア州(55人)、ワシントン州(12人)、オレゴン州(7人)がほぼ確実にヒラリーのものになるとみられているので、まだ全然分からない。激戦州が落とせないトランプ、相変わらず厳しい。

【0:25pm、ケバヤシ】

トランプがひとつでも落とすと圧倒的にヒラリー有利になると言われている激戦三州(フロリダ州、オハイオ州、ノースカロライナ州)は、順当にトランプが取りそう。結局、その他の激戦州をどっちが取るかをめぐる、僅差の戦いになりつつあるようだ。

【0:30pm、ケバヤシ】

方向性において、たとえ未知なる部分が多くても、好んで変化へと飛び込んで行こうとするアメリカ、さすがアメリカン・ドリーム健在で、心が若い! ともみえるけど、半ばヤケクソのようにもみえる。

【0:32pm、ケバヤシ】

もともとヒラリー有利と目されていたウィスコンシン州(選挙人:10人)が激戦になっとる。開票率43.45% で、(トランプ):(ヒラリー)=48.48%:46.32%と、トランプやや優勢。

【0:35pm、吉田】

トランプ優勢の動き

トランプが相当に優勢。勝ったかもしれません。大手メディアに「クリントン願望」の偏向がありました。投票の10%くらいを左右するかもしれないメディアのコントロールが今回は効いていません。世論調査で「鉛筆なめ」があったのでしょう。

【0:40pm、ケバヤシ】

オハイオ州はトランプが取得で決定。

【0:42pm、吉田】

オハイオでトランプ勝利

株式、金融市場は、トランプ・ショックで、大変なことになってきました。ロスチャイルド右派メディアの働きと予想が大きくはずれています。

【0:47pm、ケバヤシ】

ほぼ出揃って、すごい僅差だけど、トランプに傾いてないかい?

もともとどっちかが優勢とされていた州は、それぞれが順当に獲得してるけど、ウィスコンシン州が例外で、ヒラリー優勢と目されていたのが、トランプ優勢になっとる。開票率54.34%で、(トランプ):(ヒラリー)=49.14%:45.67%と、トランプやや優勢。

【0:57pm、ケバヤシ】

現在、不確定の州で、優勢なほうがそのまま取ると仮定すると、ヒラリーの選挙人獲得数は245人となり、当選ラインの270人に届かない。カリフォルニア州(55人)、ワシントン州(12人)、オレゴン州(7人)は、投票前からヒラリーが獲得するのが確実視されており、そこは順当に行くと仮定してよさそう。

もともと激戦とされていた州で、トランプがかなり善戦してるもんで、大勢はトランプに傾いたかと。うっは、もう始まってるトランプショーーーック!!!

【1:12pm、吉田】

クリントンの追い上げ

フロリダの29人をトランプがとりました。これでほとんど決まった。トランプの獲得が242人、クリントンは209人、逆転は無理でしょう。

【1:17pm、ケバヤシ】

あれ? ワシントン州www トランプ有利って……トドメ刺したな、こりゃ。あの州って、軍産複合体の支配下ってわけでもないのか……。

【1:20pm、ケバヤシ】

もともとヒラリー優勢と言われていたワシントン州(12人)、開票率10.6%で、(トランプ):(ヒラリー)=50.53%:43.20%と、けっこうな差がついている。開票が進むとひっくり返って順当な結果に戻るのかもしれないけど。

【1:35pm、ケバヤシ】

開票速報の数字もメディアによって違うのねん。

APによると、獲得選挙人の数で、(トランプ):(ヒラリー)=232〈人〉:209〈人〉

【1:40pm、ケバヤシ】

なーんだ、ワシントン州、結局、順当にヒラリーが取っとる。

【1:42pm、ケバヤシ】

この期に及んでCNNはまだヒラリー有利みたいな見方を表明しておる。メディアによってはまだ僅差にみえてたりするけど、大勢は決した模様。

【2:49pm、吉田】

開票がなぜかストップ

16年前のフロリダ州のように、最後の操作を加えるのか。ここまでの大きな差があっては、とても無理だと思いますが……米国人の開票現場の良心を信じます。不在者投票の開票だそうですけれど。

あれ、終わったはずの、ペンシルベニア州の開票結果(選挙人20人:トランプ勝利)が、戻っています。トランプが20人減った。変です。98%だった開票が85%に戻った。不在者投票の袋が見つかったという。変なことですが、これもアメリカ。

【3:10pm、ケバヤシ】

嵐の前の静けさ、みたいな?

【3:45pm、ケバヤシ】

ペンシルベニア州(20人)をトランプが獲得。開票率99.2%で、(トランプ):(ヒラリー)=48.88%:47.56%と、僅差だった。

獲得選挙人の数で、(トランプ):(ヒラリー)=264〈人〉:215〈人〉 トランプ、当確ラインの270人まで、あと6人。

【3:55pm、ケバヤシ】

決まりそうで、なかなか決まらず、動きが停滞気味。僅差の激戦州は、ほぼ100%近く開票しないと結論が出ないから、時間かかるのは分かるけど。割とじれてる私。

【4:05pm、ケバヤシ】

なんで、一人ずつ増えてくのよ?

獲得選挙人の数で、(トランプ):(ヒラリー)=266〈人〉:218〈人〉 トランプ、当確ラインの270人まで、あと4人。265になったのも見たけど、今は266。あと4人。

【4:32pm、吉田】

米メディアがトランプ「当確」を報道

【4:35pm、ケバヤシ】

ウィスコンシン州が確定して、トランプ276。当選ラインを超えとるではないか。

【4:50pm、吉田】

トランプが勝利宣言

●今後どうなる?

前置きが長くなった。肝心なのは、トランプ当選を受けて、世界情勢が今後どうなるか、である。今回は、それを予想して書こうと思う。思うのだが、すでに書きすぎちゃって、スペースがなくなってきた。

かといって、次回に回したのでは、2週間の間に間違いなく情勢は変化する。安倍首相も訪米してることだし。今のことは、今、書いておかなくてはならないのだ。

しかたがないので、世界情勢と米国国内の今後に絞って、できるだけ手短に述べておこうと思う。

●案外まとまるかもしれないアジア

アメリカの大統領は、すなわち世界のリーダーを意味する、と言われていた時代もあった。ソ連が崩壊して、アメリカが単独で世界の覇権を握ったとみられていたころのことである。アメリカは世界の警察、とも。

その後の湾岸戦争の失敗やテロとの戦いの泥沼化で、アメリカの覇権は弱まり、多極化がすでに始まっている。アメリカの正義をもはや誰も信じちゃいない。

世界の国々が、アメリカにとって嬉しくない動きをするようになってきているが、アメリカはもはや制止しきれなくなってきている。

中国がAIIBを立ち上げた際、多くの国がアメリカを裏切って、加盟した。日本は踏みとどまったけど。

シリアにおけるIS退治をめぐって、アメリカとロシアは険悪なムードであるが、アメリカの同盟国たる日本の安倍とロシアのプーチンがキャッキャウフフしているのを横目で見つつ、何も言ってこない。

トランプの方針は、ますます内向きになり、孤立主義傾向を強めるとみられている。世界をコントロールしたいけどできなくなってきている、というのではなくて、その地位を目指さないという、いっそう積極的な消極姿勢である。

「世界よ、勝手にしろ。アメリカはアメリカで、勝手にやる」。

アメリカが世界の動きを放置すると、協力/敵対関係はどのように再編されていくだろうか。

世界のブロック(※)化が進むんじゃないかな。
※「区画」の "block" ではなく、「圏」の "bloc"。

ヨーロッパはEUでまとまろうとして、結局あんまりうまくいってなくて、ごたごたモメてるけど、アジアはもっとすんなりいくんじゃないかな。

アメリカにとって中国が最大の脅威なので、周辺国とは仲直りして、中国を孤立化させたがっていた。なので、日本が勝手に中国や周辺国と仲良くしようとすると、アメリカが怒った。

中国、韓国、北朝鮮などは「悪い国」であるかのごときイメージを日本に植えつけようとしてきて、実際、乗せられて信じちゃっているアホな日本人も多くいる。

しかし、アメリカが口出ししなくなれば、案外スルッとまとまっちゃったりしないだろうか。中国、ロシア、日本が束になったら、最強。大東亜共栄圏。

「ならず者国家」呼ばわりされている北朝鮮も、うまくすれば取り込めるかもしれない。あの国はトップが分裂しているっぽくて、どう出るか読めないんだけど。出方次第では、融和歓迎である。

田中均さんよ、そんなとこにコラム書いてないで、北朝鮮との橋渡しをもう一回やってくんないかな?

中国の南シナ海の南沙諸島の埋め立てが、揉め事を引き起こしているけど、うまく沈静化できれば、東南アジア諸国も取り込めるかもしれない。

さらにうまくすれば、中東のイスラム諸国も。アメリカはイスラムを敵視している。アメリカの同盟国たる日本はいちおう同調するフリをしているが、実際のところ、日本はイスラム圏とそんなに険悪な仲ではない。

太平洋戦争に負けた都合上、アメリカのポチを演じ続けなくてはならない日本の事情は、イスラム諸国からも理解されているようである。

それが証拠に、日本ではイスラムがらみのテロがぜんぜん起きてないし、起きそうな気配すらない。手荷物チェックなしに電車に乗ったりデパートに入ったりできる、数少ない国のひとつである。まあ、こっちから行ったやつが、やられちゃったけど。

アメリカは中東から石油を買っていた。産油諸国にとっては、地中からお金が湧いてくるのと一緒で、どんどんリッチになっていく。アメリカは、武器を買わせることで、取り返していた。

継続的に買わせるためには、消費してもらわないと困るので、戦争を絶やさないように仕向けてきた。

イスラエルに牛耳られていたということもある。目の上のたんこぶである、シリアのアサドによる独裁政権を倒したい。で、反アサド勢力を支援してたら、そいつらがISに育っちゃった。どっちもイスラムであることに変わりはない。

テロ集団たるISは、アメリカが育てたものである。フランスあたりにまで迷惑をかけるようになり、やっぱり撲滅せねばなるまい、となったときも、手ぬるくしかできなかった。

それをロシアがバシッとやっちゃったもんだから、アメリカは面目を失い、ロシアに対して感情的になっている。

けど、アメリカ国内で、シェールオイルの鉱脈が発見されたおかげで、もはや中東から石油を買う必要がなくなれば、放置してよくなる。そうすると、無理やり作っていた火種がどんどん消えていく。世界が、案外、平和になっていくのではなかろうか。

世界の平和を乱してきた諸悪の根源はアメリカなので、アメリカがおとなしくなれば、平和が進むって構図である。

ただ、アメリカ以外の国々は中東から石油を買うので、中東諸国はやっぱりリッチになっていく。そこまで取り込んだ大東亜共栄圏は、強大なパワーになっていく。

北米圏なんてショボショボ。メキシコをすっ飛ばして、ブラジルやチリやアルゼンチンあたりを取り込むのかもしれないけど。それでもアジア圏にはかなわない。

今回のトランプ当選で、いちばん青ざめているのは、イスラエルなんじゃないかという気がしてならないが、反応がぜんぜん聞こえてこないなぁ。

●アメリカ国内は、格差の是正、富の再分配をどうするかが課題

一方、アメリカ国内に目を向けると、全体の経済成長と配分のバランスをどうするかが課題である。

アダム・スミスの「神の見えざる手」の概念(の拡大解釈)を頼みに、経済活動を自由競争に任せて、上からあんまり手出ししないでおくと、勝ち負けがはっきりついちゃって、貧富の格差が拡大していくのはたぶん必然の流れ。

そこをどうしていくのかは、アメリカに限らず、資本主義につきまとう一般的な課題なはずなんだけど。

トランプも、キャンペーンで言ってたようなことをそのまま実行したら、アメリカにとっても破滅的だし、世界秩序にとっても破壊的だし、まあ、無理でしょ。たぶん、方針のちょっとした軌道修正、ぐらいの穏健なところに落ち着くんじゃないかな。

けど、経済格差拡大のあおりを受けて、中産階級から貧民層への転落を余儀なくされて、強い不満を抱える大量のアメリカ人を代表して大統領になったのも確かなことで、格差をこれ以上拡大しないように策を打たなきゃならない。

さて、どうするのか? ベーシック・インカムなど導入するような話が出てきたらおもしろい。アメリカがやったら、たぶん日本も真似するだろうし。

けど、それってトランプがさんざん批判してたオバマケアよりもなおひどい。自由競争が阻害されて、怠け者天国になる、みたいに解釈されちゃうと、猛烈な批判を浴びそうだし。

ふつうにやるなら、累進課税の累進性を強め、富める人から多く取って、公共事業を民間に発注して職を増やし、再配分するってあたりに落ち着くのかな。

トランプは育ちが政治家ではなくビジネスマンだから、経済方面には手腕を発揮してくれるかな?

そのあたりが今後の見どころなんじゃないかと。

◎参考資料

2016年11月12日(土)
NewsPicks編集部
【冨山和彦】「Gの時代」が終わり、「Lの時代」がやってきた
https://newspicks.com/news/1888670/


2016年11月12日(土)posted at 14:41 JST
CNN
トランプ氏、習主席との電話会談「なし」 中国「あった」
http://www.cnn.co.jp/world/35092066.html


2016年11月13日(日)
HIROKIM BLOG / 望月優大の日記
ドナルド・トランプの勝利と「新しい世界」について
望月優大(もちづきひろき)
http://hirokimochizuki.hatenablog.com/entry/trump.and.us


2016年11月14日(月)13:34 JST
ロイター World
中国国家主席がトランプ氏と電話会談 「協力が唯一の選択肢」
http://jp.reuters.com/article/xi-trump-idJPKBN1390DQ


2016年11月15日(火)
MAG2NEWS
さよなら米国。トランプの「米国ファースト」がもたらす世界の終わり
高野孟
http://www.mag2.com/p/news/227639?l=ywb0980e2b


2016年11月16日(水)
東洋経済 ONLINE
トランプ大統領を生んだ米国民の怒りとは?
資本主義が「富める者」だけのものになった
ロバート・ライシュ: カリフォルニア大学バークレー校教授
http://toyokeizai.net/articles/-/145115


2016年11月16日(水)
ダイヤモンド・オンライン編集部
「良いトランプ」への変貌は期待しないほうがいい
藤原帰一・東京大学法学政治研究科教授インタビュー
http://diamond.jp/articles/-/108104


2016年11月16日(水)
DIAMOND ONLINE 田中均の「世界を見る眼」
日本がトランプの米国と徹底協議すべき4つの課題
田中均(日本総合研究所国際戦略研究所理事長)
http://diamond.jp/articles/-/108031


2016年11月16日(水)
日経ビジネス ONLINE
「トランプ氏はスシを食べず酒も飲まない」
次期大統領の素顔知るヒロ・ニシダ氏の証言
大竹 剛
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/111500486/



【GrowHair】GrowHair@yahoo.co.jp
セーラー服仙人カメコ。アイデンティティ拡散。
http://www.growhair-jk.com/


すいません、長さの都合で、ここは割愛します。