もじもじトーク[52]2016年新書体、勝手にベスト3/関口浩之

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こんにちは。もじもじトークの関口浩之です。

めっきり寒くなりましたが、皆さん、風邪などひいてないですか? 僕は、前回の「もじもじトーク」投稿した翌日に、インフルエンザを発症してしまいました。流行の先取りをしてしまいました……。

じつはその前日から風邪っぽい感じがして、熱を測ったら37.5度だったんです。ここ数か月間、週末はセミナーイベントで出張続きだったし、平日も寝不足が続いていたし、疲れが出たのかなと思ってました。

翌日、関節がだるい感じがしたので「もしかして、インフルエンザ……? でも高熱でてないし、普通の風邪だよね……」と思いつつ、かかりつけの内科へ足を運びました。

念のためインフルエンザの検査をしてもらうと、やはりインフルエンザ(A型)でした。その病院でのインフルエンザ患者、2例目とのことでした。インフルエンザ発病直後の検査では陰性になるケースもあるそうですが、僕のケースは、陽性が出るちょうど良い検査タイミングだったようです! 

インフルエンザ治療薬を生まれて初めて服用しました。「タミフル」と「リレンザ」が有名ですが、僕が処方された治療薬は「イナビル」という薬でした。

2容器(子供は1容器)を初回に吸入するだけで、その後の継続吸入は必要ないという便利な薬でした。まだ高熱は出てなかったですが、説明書をしっかり読んで、2本吸入しました。

実は、通院した日の夜とその翌日は39度の熱にうなされ、久しぶりに寝たきり状態になりました。薬を飲んだら高熱が出ないというわけでなく、インフルエンザ治療薬をタイミング良く摂取することで、ひどい症状が短縮できるということのようです。

インフルエンザが本格流行する時期ですので、みなさん、油断せずにしっかり予防を心がけましょう。



◎今年リリースされた書体、勝手にベスト3

今年も残すところ、あと一か月……。そこで、各フォントメーカーから今年リリースされた書体の中から僕の好きなフォント「勝手にベスト3」をご紹介します。あくまでも個人的な意見であり、直感で選んだベスト3です。

日本語書体はフリーフォントを含めると、約4,000書体ぐらいあると言われています。そして、毎年、数十から数百の新しい書体が誕生しています。すべての新書体を観察しているわけではありませんが、パッと頭に浮かんだ気になる新書体を3つピックアップしました。

●ゴスペル

まずは、こちらをご覧ください。書体見本と活用事例(スープのパッケージデ
ザイン)です。ジャーン!
https://goo.gl/cJTSd9

「ゴスペル」という書体です。この書体、初めて見た時、何気に惹かれるものがありました。手書きでレタリングしたような骨太な書体に、クッキリとして「セリフ」が付いているのです。

「セリフ」とは、文字のストロークの端にある小さな飾りのことで、「うろこ」や「ひげ飾り」のことです。

なかなかインパクトのある書体ですよね。ゴスペルという書体名が示すようにスピリチュアルな感じがします。だけど、楽しさや優しさも感じられます。

「ラグランパンチ」や「くろかね」といった、骨格がしっかりとした個性のあるデザイン書体も好きだということもあり、この「ゴスペル」、今年のデザイン書体の中でイチオシです。

この書体、テレビのテロップでも見かけるようになりました。僕のiPhoneの中に入っている「街中で見つけた気になる書体」の写真フォルダの中にも一枚ありました。

スープのパッケージで使用されていますが、「鶏だししお味」「和風豆乳」「しじみわかめ」「チゲ」「チリトマト」の文字に、この書体、すごくマッチしていていますね。

タイプデザイナー桑原孝之さんの書体です。僕は、桑原さんのお話を聞いたことがなかったのですが、フォントワークスのサイトでインタビュー記事を見つけたのでご紹介します。

「ゴスペル-EB」のデザインと制作へのこだわり 桑原孝之氏へのインタビュー
https://goo.gl/X1avQa

●筑紫アンティークゴシック

次のイチオシ書体は、筑紫書体シリーズを手掛ける藤田重信さんの新書体「筑紫アンティークゴシック」です。
https://goo.gl/wp0v5S

初めてこの書体を見た時に、「えっ、この書体、ゴシック体ですか?」と声を上げてしまいました。でも、じっと観察しているうちに、「うん、確かに、筑紫ゴシックのアンティークだよね」と腑に落ちました。

そして、僕のiPhoneの「街中で見つけた気になる書体」写真の中に一枚ありました。10月に九州国立博物館に立ち寄った時、エスカレータ脇のポスターが素敵なゴシック体を使っているなぁと思って、すかさず撮影しておいたのですが(写真がきれいに撮れませんでした…)、この「筑紫アンティークゴシック」でした。

「大和朝廷」という文字に、筑紫ゴシックのアンティーク、すごくマッチしています。埴輪や縄文土器には、アンティークな明朝よりも、アンティークなゴシックが似合うような気がします。

筑紫アンティークLゴシックの解説ページ
https://goo.gl/nGcoLC

筑紫シリーズは、オールド、アンティークだけでなく、ビンティージという書体も開発しているらしく、来年の新書体も楽しみですね。

●秀英にじみ明朝

三つ目のイチオシ書体は、大日本印刷の「秀英にじみ明朝」です。Webフォントを使用して、「我輩は猫である」のサンプルを作成してみました。
https://goo.gl/ZIjXng

文字がにじんで見えますよね。iPhoneやスマートフォンで拡大してみると、普段見慣れた明朝体と、雰囲気が異なるのがよく分かると思います。

活版印刷の歴史を紐解くと、東京築地活版製造所(築地活版)と秀英舎(現:大日本印刷)の二つの会社名が出てきます。鋳造活字と言えば、秀英と築地が有名でした。

この書体は「秀英体」の書体メーカーである大日本印刷が開発した新書体です。活版印刷の表情を再現し、紙とインクの質感を思わせるような、やわらかな表情を持たせた書体で、日本の伝統や美、レトロ感を演出した書体です。

液晶ディスプレイの解像度が、紙の印刷解像度に近づきつつある昨今、高度なデジタル処理を活用し、アナログな活版印刷の「にじみ」風合いを、いかに再現できるかを、真剣に挑戦した開発姿勢に感動を覚えました。

この書体をリリースするにあたり、「にじみ」の太らせ量やゆらぎ量などの強弱を段階的にシミュレーションし、どのアルゴリズムが液晶画面に対して効果的であるか、時間をかけて開発したとお聞きました。

秀英にじみ明朝の解説ページ
https://goo.gl/7QpYEe

毎年、素敵な書体が誕生し、紙の世界だけでなく、Webの世界においても表現力の幅がどんどん広がっているのを感じた一年でした。

これからも、「もじもじトーク」を通じて、素敵な書体の仲間を紹介していきたいと思っております。


【せきぐち・ひろゆき】sekiguchi115@gmail.com
Webフォント エバンジェリスト
http://fontplus.jp/

1960年生まれ。群馬県桐生市出身。電子機器メーカーにて日本語DTPシステムやプリンタ、プロッタの仕事に10年間従事した後、1995年にインターネット関連企業へ転じる。1996年、大手インターネット検索サービスの立ち上げプロジェクトのコンテンツプロデューサを担当。

その後、ECサイトのシステム構築やコンサルタント、インターネット決済事業の立ち上げプロジェクトなどに従事。現在は、日本語Webフォントサービス「FONTPLUS(フォントプラス)」の普及のため、日本全国を飛び回っている。

小さい頃から電子機器やオーディオの組み立て(真空管やトランジスタの時代から)や天体観測などが大好き。パソコンは漢字トークやMS-DOS、パソコン通信の時代から勤しむ。家電オタク。テニスフリーク。