ローマでMANGA[103]一か月でプロになり編集者にもなった/midori

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ローマ在、マンガ学校で講師をしているMidoriです。私の周辺のマンガ事情を通して、特にmangaとの融合、イタリア人のmangaとの関わりなどを柱におしゃべりして行きます。

前回の記事の後記に「manga家としての役割がある」と書いた。今回はそのことを書いてみたい。




●一か月でプロになった

テンプレートとして、記事の後記にマンガボックスのリンクをつけている。私の幼い頃の記憶を元に、読み切りのショートで昭和の生活を描いている。

四年前に着想を得て描き始め、ノロノロと進めていた。お仕事としての義務がないものだから、自分に締め切りを課すこともなく、制作のスピードがどんどん落ちて行った。

こういう態度だから、何事もプロになれなかったのだけど。まぁ、それでも、これは私の生涯の作業と決めてノロノロでも進めてやっとこ16話までたどり着いていた。

この作品を描こうと思った理由がふたつある。

ひとつは、mangaの講師をしていながら、mangaを制作した経験が少なすぎる。理屈をこねまわしていても、実際に作るときの困難を私も味あわなければ、と思ったこと。

もうひとつは、お友達のイタリア人の日本熱。

現実でもFaceBookでも、イタリア人の友達に日本ファンが多い。日本に旅行に行く人も増えている。

歴史的なことも現在のことも、知る手立ては色々あるけれど、かつての普通の暮らしというのはなかなかお目にかからない。文化も科学も歴史も大事だけれど、旅行してみて面白いのは普通の暮らしだったりする。

それと私が幼少を過ごした1950年代、60年代というのは、どの国でも生活が一変する前夜で、伝統を残した最後の時期に当たると思う。まぁ、いわゆる昭和30年代というやつですが。

私が振り返るのが好き、ということもあるけれど、結構しっかり覚えているあの時期の自分の暮らしを丁寧に、しかもイタリア語で描いて、勝手にFaceBookにあげて、日本好きのイタリア人のみなさんに見てもらおうと思ったのが発端。

そうこうしているうちに、manga的なスタイルでオリジナルを発表して10年になるという30代の男の子と知り合い、年は違うけどお友達付き合いをするようになった。

私のセミナーに勝手に居すわっていて、絵が上手いので、アシスタント的にペンの使い方やトーンの使い方の実演をしてもらったりした。また、学校で仕事をしている、やはり30代の女の子達とも一緒にアニメを見に行ったりするようになった。

彼、パオロはせっせと作品をウエブで発表して、ウエブでmanga家狩りをする小さな出版社に発掘されて紙の本で刊行している。もちろんコミックスフェアなどで売り込みに行くのも忘れない。

・パオロのページ
https://www.facebook.com/paolozeccardomanga/

そうして見つけてきたのがUpperComics
http://uppercomics.com/

一年前に会社組織として立ち上がったばかりのシチリアは、メッシーナの若い出版社だ。運営している人間も若い。代表者が26歳のガエターノ。ガエターノと一緒に、編集、グラフィック、宣伝を担当するのが20歳のルカ。

ルカはユーチュバーとしても活躍して、それだけで暮らせるほど稼いでいる。

・ルカのチャンネル
https://www.youtube.com/user/Mangaka1996

9月にメッシーナであった小さなコミックスフェアに合わせて、UpperComicsに書き下ろしたパオロのオリジナルmanga、「Almost Dead」を発表した。
http://uppercomics.com/prodotto/almost-dead-vol-1/

10月末のルッカコミックスにも、ブースを持って参加することを決めたアッパーコミックス。でもパオロの作品だけではさびしいので、パオロに誰か既に原稿を持ってる人を知らないかと聞き、パオロはFaceBookで見ていた私のmangaを思い出した、というわけだった。

その時点で、私の手元にあるのは16話、4ページの64ページしかない。アッパーコミックスは単行本は120ページと決めているそうで、扉など外しても少なすぎる。

電話で話しつつ「一か月であと二話用意する! これで72ページ。残りは各エピソードについて説明の文と、写真かイラストを用意できる!」と提案して、私の本が出ることがきまった。

つまり、アマチュアとして勝手に描いていたのが、話が出てから一か月でページを増やして出版の運びになった。小さな小さな出版社だから発行部数は多分、何百という単位だと思う。

それでも、幼いころから漠然とマンガ家になりたいと思っていた。30代の時に講談社のモーニングで発表の機会を得ながら、ものに出来なかったという、喉に引っかかった魚の小骨のような思いをずっと持っていた。

それが叶ったということで、父のお墓に報告したい出来事が起きた2016年、というわけだ。
http://uppercomics.com/prodotto/un-posto-dove-vivere/

●ついでに編集者にもなった。

アッパーコミックスの代表者も、協力者のルカも、アッパーから出そうと制作
中のマンガ家たちはイタリア中に散らばって生活している。今は便利ですねー。
FaceBookでグループを作ってやりとりしている。

みんなが素人さん。パオロが「こんなので出版するつもりだなんて!」と怒っているくらい。私は、質が低い底辺であっても、広がるのはいいことだと思っている。

ところが! ガエターノから、「僕達の作品にサジェスチョンをもらうことはできるだろうか」という申し出があり、これはやりたかったことなので、ボランティアを引き受けることにした。

なんと、13タイトルが進行中で、私は四つの作品を受け持つことになった。三作品はとてもとても素人さん。一作品は17歳という若さながら、かなり描ける男の子。

それでも、見開きのノド部分にフキダシを置いたりという、素人らしいエラーがあちこちにあり、どの作品にも共通するのはフキダシにびっしりとセリフがあること。言葉で説明してしまうのですね。

さ、忙しくなる。


【Midori/マンガ家/MANGA構築法講師】midorigo@mac.com

今回のルッカコミックスでは、日本人ゲストの送迎と一回の通訳、そして主にアッパーコミックスのブースで人集めのためのお絵かきと、本を買ってくれた人への署名とお絵かきに終始する楽しい日々を過ごした。

編集者、ユーチュバーのルカがこの機会を生かしてインタビューをした。

“mangaka96”のインタビュービデオ


ルカ(mangaka96)をフォローする人は多く、インタビュー場所へ移動中でもずいぶん呼び止められたいた。

今回の私の本は、日本語ではMangaBoxに投稿しているのでこちらへ。

MangaBox 縦スクロールマンガ 「私の小さな家」
https://www-indies.mangabox.me/episode/58232/

主に料理の写真を載せたブログを書いてます。
http://midoroma.blog87.fc2.com/