[4255] 去るサル年に昔を振り返る

投稿:  著者:  読了時間:21分(本文:約10,000文字)



《毎年恒例のコラム反省会》

■装飾山イバラ道[191]
 去るサル年に昔を振り返る
 武田瑛夢

■crossroads[39]
 答えを教えないためのたったひとつの法則
 若林健一

■アナログステージ[150]
 今年を振り返る[2016年版]
 べちおサマンサ




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■装飾山イバラ道[191]
去るサル年に昔を振り返る

武田瑛夢
http://bn.dgcr.com/archives/20161220140300.html
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今年はサル年で私は年女だ。今は12年前にはいなかった旦那さんがいて、干支の一回り分の時間がけっこうあることを実感する。その12年前だと24歳でちょうど人生の半分なわけだ。24×2の年齢になって今回は去ってしまうサル年の記念に昔のことを振り返ってみたい。

●ゴールデンウィーク恒例のアート展

その頃は、今後の道を迷いながらもなんとか就職をして奔走していた。ただこの頃から楽しい人生も始まっていたような気がする。憧れのMacを使う仕事について、デジタル編集をしていたからだ。

会社では若いからかコキ使われたけれど、強気でいくには頑張るしかなかった。そして20代も後半になると覚えたMacのグラフィック技術で公募展に出品して、少しづつグラフィック関係の出会いが広がっていった。

公募展の受賞記念の二人展を六本木のARTBOXギャラリーで行った。たったの一週間の開催期間だったけれど、大学時代のクラスメートや仕事仲間が来てくれた。表現手法がCGのプリントというのは、まだ珍しかったのかもしれない。

まったく知らない人というのは、なかなかギャラリーに来てもらうことは難しかった。しかし、展覧会が始まって数日が経った時、そこに現れたのは今のデジクリ編集長の柴田さんだった。

実は「ディジタル・イメージ」の展覧会を見に行った時に、柴田さんのビジュアルは拝見していたので、ギャラリーに入っていらした時に私は気がついた。CGの人の展覧会はできるだけ見るようにしているとのことで、私は感謝した。

小さなギャラリーの一週間開催の展覧会というのは、東京で無数にある展覧会の中での点一個のようなものだ。そこに柴田さんが現れた幸運は、今思い出してもすごいことだと思う。毎日会場にいて本当に良かった。

その後、CGのアーティスト団体のディジタル・イメージに入れて頂き、毎年ゴールデンウィーク時期には、銀座ワシントン靴店の上にあるワシントンギャラリーでの団体展示に加わった。

ディジタル・イメージのことについて、今まで詳しくは書いてこなかったけれど、私が加わったのが96年で、球体をテーマに展覧会を行った年だ。ディジタル・イメージはそれまでも東京と大阪等で展覧会を開催していて、写真やイラスト、絵画などでディジタルの手段を使う人たちが集っていた。

会社勤めの人も多かったので、展覧会の会場の受付役などの当番の分担も、個々ができるだけ参加しながら活動していた。私の20代後半から30代半ばのかなりの部分に、ディジタル・イメージの存在があると思う。

銀座で毎年団体の展覧会ができていたのは素晴らしい日々だ。営利団体ではないので自主的に展示方針を決め、会場作りを行い展覧会を作っていく。一人あたりの作品サイズや展示スペースについては、事前に決めておいてもその通りになることは少なかった。現場では代表の長田さんや柴田さんの采配のおかげで、何とか全作品が収まっていたように記憶している。

作家は基本的にわがままだ。若くて自由だし主張も強い。それぞれの良いところを認め合いながら話し合って進めていたのが懐かしい。

大阪での展示の時には、関西方面の作家さんの手際の良さに驚いた。ハツラツとしたマインドに学ぶところが多かったように思う。作業はサッサとやって、早いこと飲みに行くという美しい流れが出来上がっていた。

柴田さんもこの頃のことは「クラブ活動」と呼んでいるし、放課後に同じことが好きな人が集まる場所のような関係。日々の仕事とは違う、でも手を抜くことのできない、大事な活動の場になっていたと思う。

●東京都写真美術館で初の有料展覧会

銀座での毎年の展覧会が難しくなり、他の展示場所を探した結果として、より大きな展覧会を開催することになった。

2002年の東京都写真美術館で行った展覧会では、ディジタル・イメージ初の有料展覧会だった。恵比寿という場所で開催期間は約3週間という長さだ。あれだけの広さと天井高の場所で展示ができるのは夢みたいな話だ。

私はそれ以前のディジタル・イメージの集まりの時に、大きな場所で展示をしたい人という問いに手を挙げたことがある。それを実現してくれたのだから、自分でも出来る限りのことをしようと思った。当時は会社も辞めていたので身動きが自由だったこともある。

有料展示なので、展覧会が始まった日の朝の時点から、展示のクオリティが完全でなければいけないというプレッシャーは大変なものだった。

公立の美術館ということもあり、使えるものと使ってはいけないものなどのルールも非常に厳しかった。この時は、多数の作家たちが苦労した経験だったと思う。

展示物には紙にプリントしたものを額装して壁にかける作品の他に、大型モニターにアニメーションを流す作品、壁に投影する作品、パソコンを使って観客に操作をしてもらう作品など多岐に渡った。

私は今までで最も大きい畳3畳分のサイズで、表裏とも見られる吊り展示の作品を作った。自分の作品は吊ってしまえば終わりなので、後は他の作家の映写系の作品などの展示を、毎日無事に動かし続けることのサポートをした。

私は確かマニュアル係だったので、紙のマニュアルのひな形を作って、それぞれの機器の起ち上げ方を作家にまとめてもらってファイル化した。

毎朝、準備時間に到着した当番の作家たちが、初めて触れるビデオやパソコン機器を起ち上げ、作品をスタートさせていく。マニュアルに書いてある通りに起ちあげようとしても、うまくいかない時もあり焦る。

テレビやビデオ機器はそれぞれの作家の持ちものだから、メーカーもセッティングもそれぞれだ。家電に詳しい人が毎日当番にいるわけでもなく、マニュアルに言葉の指示を残すことを徹底するより他に方法はなかった。

幸いデジタルの仕事をしている作家たちは皆協力的で、見やすく簡潔にまとめることに長けていたので、終わりに近づくにつれ問題も起こらなくなっていった。Macを覚えた頃の、マニュアル制作の仕事も役に立ったのかもしれない。

上記は記憶を頼りに書いたので間違いがあるかもしれないけれど、こんな感じで20代後半からはディジタル・イメージで出会った人たちとの関わりがとても大きかった。

紹介してもらった教える仕事、本を書く仕事も自分にとって大切なジャンルになっていった。この期間にギュッと詰まったものが、今の私を動かしているのかもしれない。

今年は結婚して10年の節目でもあり、新しく買ったMacで新鮮な気持ちで絵を描いている。特に締め切りもない作画作業は、幸せの波と苦しみの波が交互にやってくる。自分を納得させなきゃならないのは一番大変なのだ。

中年になると自分の事ばかりしていられなくなるものだと思うけれど、自分の時間を大事にした上で人も大事にしたい。また皆のために自分を使えるように、去るサル年の年女は頑張るのである。


【武田瑛夢/たけだえいむ】eimu@eimu.com
装飾アートの総本山WEBサイト"デコラティブマウンテン"
http://www.eimu.com/

ポケモンGOのサンタピカチュウ、たくさん捕まえたけれどみんな弱い(笑)。スマホゲームはマリオランもダウンロードが始まって、有料領域に行こうか踏みとどまろうか迷っている。グラフィックは綺麗だし可愛くて懐かしいけれど、これ結構むずかしい。


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■crossroads[39]
答えを教えないためのたったひとつの法則

若林健一
http://bn.dgcr.com/archives/20161220140200.html
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こんにちは、若林です。

よくCoderDojoで「教えることはしない」ということが言われていますが、具体的にそれってどういうことなの? ということについて、私なりのやり方を書いてみたいと思います。

●答えを教える代わりにやるべきことは?

結論をひとことで言うと「大きな目標を小さな目標に分解するお手伝いをすること」です。

忍者(CoderDojoでは参加する子どもたちを忍者と呼びます)たちがやりたいこと、実現したいことに対して、その目標をより小さな課題、小さな目標、具体的な行動に落とし込めるまで問いかけること。

例えばこんな感じです。

メンター:何作りたいん?
忍 者 :シューティングゲームがつくりたいねん。
メンター:それって、なにがでてくるの?
忍 者 :自分のキャラと敵キャラ。
メンター:自分のキャラはどんなふうに動くん?
忍 者 :キーを押したら右と左に動くねん。
メンター:何のキー?
忍 者 :AとD、Aを押したら左、Dを押したら右に動く。
メンター:じゃ、キーを押したらスプライトが動くスクリプトを作ってみよか。
忍 者 :はーい

(自分のキャラができた)

メンター:次どうする?
忍 者 :うーん、弾を撃てるようにしたい。
メンター:弾ってどんなふうに動くんかな?

(以下、繰り返し)

これはあくまでも例なので、問いかけの細かさや内容はその時の忍者の状況によって変わりますし、普通はここまで細かく聞かなくてもいいし、途中で手を動かし始める子もたくさんいます。

要は忍者たちがやりたいこと、作りたいもの、実現したいことを具体的なアクションに落としていくお手伝いをしていくのです。そして、最終的に作る行動のところになれば、一緒に調べたり考えたりしていく。CoderDojoのメンターってこんな感じだと思います。

●2年間のCoderDojo活動で得たこと

CoderDojoでは「答えを教えない」ということを、実践しているメンターさんが多い。でも、初めてメンターとして参加した方には、とまどうことも多いかなと思います。

「答えを教えずにメンターをするって、具体的にどうしたらええの?そこの答えを教えてーや」と思ってるメンターさんも多いかなと。 :)

自分も初めてメンターとして参加した時はとまどいました。どうしても「こうしたらいいよ」と言ってしまいそうになりながら、なんとか答えを言わずに忍者たちを導く方法はないものかと。どこまでを教えたら「答えを教えたことになる」のか、その境目はどこにあるのだろうかと。

そんなことを考えながらCoderDojoの活動を続けて得た答えが、「ひたすら問いかけて、忍者達の目標を手の届くところまでおろしてくること」でした。

●これからメンターをされる方へ

メンターを始める多くの方に「プログラミング経験が少ないけど出来ますか?」と聞かれます。プログラミング経験は少なくても大丈夫です。大抵のDojoにはエンジニアのメンターさんがいるので、技術的な面で困ったことがあれば相談すればいいんです。

それよりも、どうやって忍者たちとコミュニケーションを取って行くかが大切。プログラミングに限らず、より多くの引き出しを持っているメンターさんが、忍者たちによりよい問いかけができると思います。

あと、問いかけばかりだと中には嫌になる忍者もでてくると思うので、そのあたりのさじ加減も大切。

うーん、たったひとつのってタイトルにした割には、たくさん書いてる気がする。繰り返すと、大切なのは「大きな目標を小さな目標に分解するお手伝いをすること」なんです。

●プログラミングを通して得られる力

2020年のプログラミング教育必修化を契機に、「プログラミング教育」とか「プログラミング的思考」といった、「なんかよーわからん言葉」が飛び交うようになっていますが、「大きな目標を小さな目標に分解する」というのは、プログラミングしていく上でとても重要なことで、またこの考え方はプログラミング以外にも生活のあちこちで必要となる力です。

CoderDojoでは、忍者達にそんな力を身につけてもらえたらいいなと思います。

●2016年を通して

若林としては、今回が2016年最終となります。一年間おつきあいいただきありがとうございました。

今年は、CoderDojo生駒の発足、DojoCon Japanの初開催、そしてCoderDojo公式本の発売と、CoderDojo一色で駆け抜けた年でした。

そんな中で一番の出来事は、やはり本を出せたことです。本を出すというのは実現したいことのひとつだったので、それが実現できたことがまだ夢のようです。執筆の段階で何度も読んだ原稿も、本となって形になるとまた違った感動がありました。

来年もまた新しいことに挑戦できるよう、頑張っていきたいと思います。来年もどうぞよろしくお願いいたします。


【若林健一 / kwaka1208】
http://kwaka1208.net/aboutme/

CoderDojo奈良・生駒〜子どもためのコーディング道場〜
http://coderdojo-nara-ikoma.github.io/

12月22日発売!
CoderDojo Japan公式ブック
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■アナログステージ[150]
今年を振り返る[2016年版]

べちおサマンサ
http://bn.dgcr.com/archives/20161220140100.html
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コンニチハ。2016年最後のデジクリ当番です。今年は終始、書き殴りのようなコラムでした。すいません。前回の続きを予定していたのですが、毎年恒例のコラム反省会にいたします。

・[139]桜が咲くまえにコンニチハ
http://bn.dgcr.com/archives/20160311140100.html

ちょうど出張ラッシュで、日本中飛びまわっておりました。土井のしば漬けは、しば漬けだけではなく、ほかのお漬けものでも、美味しい。飽きがこない。

このコラム中で紹介した数か月後に、店舗に併設されているお食事処で、食事してきました。店舗で販売されているお漬物が、食べ放題なので、ご飯が進む。ご飯も釜焚きなので、なお美味しい。

お腹いっぱいで、もう食べれないって分かっているのに、箸がとまらなく、ポリポリと最後まで漬物を堪能いたしました。

・[140]脳が痒くなったときの処方箋
http://bn.dgcr.com/archives/20160325140100.html

いまでは、すっかりラボ内で定着した「脳疲労」というキーワード。このコラム配信後の数日後に、昼休憩時間を60分から90分に正式導入。しかし、実際に試してみたものの、10日間も経たずに、幾多の障害が発生してしまい、定着はできませんでした。

原因は、13時からの電話対応に支障が出ないように、スタッフの休憩時間を各自でずらしてしまったため、「ランチを一緒に食べにいけないじゃないか!」とオネー様達に大不評だったためです。

スタッフの皆さんのためを想って進めたことが、思わぬクレームを招くとは。人って難しいと痛感いたしました(笑)

・[141]荒波にもまれないための処世術
http://bn.dgcr.com/archives/20160408140100.html

いま読み返して、当時の怒りというか、呆れっぷりがジワジワと甦ってきました。そこの会社はいまどうなっているのか知る由もありませんが、せっかく起業したので、潰れないでやっていてほしいです。

夏頃、その会社を紹介していただいた、元担当者と会う機会があったので、某事件のことなどは伏せておこうと、話しを出さなかったのですが、元担当者のほうから「あったまくるんですよねー!」と、切りだしてきた。

案の定、オイラと同じような内容で激怒したらしい。電話対応って、ホントに大切。

・[142]仕事で使っていい言葉、ダメな言葉
http://bn.dgcr.com/archives/20160422140100.html

巷に溢れかえっている、「よろしかったでしょうか?」とか「そうなんですね?」とか、もう、いまだに耳にした瞬間、ゾゾゾっとして馴染めないのですが、あまりにも定着しているようなので、標準語に近い感覚になっているような。

いやー、でもオイラは嫌だなー。

・[143]平成版『ビニ本』の手軽な面白さ
http://bn.dgcr.com/archives/20160603140100.html

コンビニの書店化を大々的にやり始めたセブンイレブン。オムニ7の一環であるものの、アマゾンを凌駕するような勢い。ナナコポイントまで貯まる購入システムは、セブン愛好者には好評のはず。

オイラが利用するコンビニは、セブンイレブン(近いってだけですが)が圧倒的に多いので、知らずのうちに貯まっていくポイントは、うれしいものがあります。
http://7net.omni7.jp/top

・[144]いい歳した大人の幽霊談話
http://bn.dgcr.com/archives/20160701140200.html

もみー(もみのこゆきと)さんとネタ合わせし、同じ配信日で別々のチャットをやってみよう! というデジクリ初の試み。デジクリでもチャット配信がなくなってしまったので、たまには新鮮で面白いですね。

どうでもいいような、熱い(?)内容がてんこ盛りです。読み返しても面白いですねー。いつかまた誰かと、チャットやって配信してみたいです。

・[145]大人ならではの上級な言い訳
http://bn.dgcr.com/archives/20160729140100.html

今でも、そこそこの課金はしているものの、上には届かないことが判明してしまい、すっかりライトユーザの仲間入り。やらなければ(課金しなければ)見えてこなかった事情というか、内容が把握できただけでも良しかな。

電車移動中だけゲームで遊ぶなどの、ライトな遊びかたであれば、少しの課金でも十分に楽しむことができますし、もちろん無課金でも十分に遊べるほど、いまのゲームはバランスが取れてきております。

・[146]花八層倍、薬九層倍、お寺の坊主は丸儲けは事実なのか
http://bn.dgcr.com/archives/20160902140100.html

今年に入ってから、お寺巡りがぜんぜんする時間がとれないので、すっかりご無沙汰してしまっておりましたが、11月の姫路出張後、少し休みがとれたので、天橋立や、その付近のお寺さんに行ってきました。

久々のお寺さん、やっぱりいいです。香の香りが本当に落ち着きます。

・[147]さよなら、楽しかったSNSたち
http://bn.dgcr.com/archives/20160930140200.html
・[148]続・さよなら、楽しかったSNSたち
http://bn.dgcr.com/archives/20161028140200.html

SNSを離れて、いらぬ心配(酔っ払ってアホな書き込みしたり)が減ったので、精神衛生は格段によくなりました(笑) 先日、インスタ(INSTAGRAM)に一年ぶりくらいに写真を投稿し、フォロワーさんから「おひさしぶりです」ってコメントをもらったりで、ゲームと同じく、ライトに嗜む程度なら、面白いのかな?

・[149]晴れのち休み、ときどきアレ?〈前編〉
http://bn.dgcr.com/archives/20161125140200.html

姫路出張中で、実験がまったく上手く進まない状況で書いたコラムでした。後編は今回の予定でしたが、また来年にでも。

やらなきゃいけないタスクが、ぜーんぜん減らないので、単に自分の効率が悪いだけなのかと、能力の限界説を自分のなかで説きはじめたり。


【べちおサマンサ】pipelinehot@yokohama.email.ne.jp

NDA拘束員であり、本当の横浜を探しているヒト。ぶら撮り散歩師。愛機はD90とGRD4。最近はiPhone6で写真撮影多し。全国寺社巡りで、過去の懺悔道中をしております。→ついに西国を打ち始めました。結願まで何年かかるのやら。

皆さま、よいお年をどうぞ! 来年も元気にお会いしましょう(^^


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編集後記(12/20)

●今野敏「仁侠学園」を読んだ(中公文庫、2015)。仁侠シリーズの二作目だ。語り手の日村誠司が代貸をつとめる阿岐本組は、阿岐本雄蔵組長のもと総勢六人の小世帯だが、カタギに迷惑をかけない仁侠と義理を重んじる、昔気質の正統派ヤクザである。一作目の「仁侠書房」も前に読んだ。阿岐本がつぶれかかった出版社に代表取締役として乗り込んで、みごとに立ち直らせる話だ。出版社はぐれ社員だったわたしにはよく分かる世界で、あるある感が懐かしい。そして今度は、教育の二極化と少子化のあおりをうけて、経営が傾いた私立高校の再建を引き受けた。学校法人の理事全員がヤクザ、とんでもない着想だ。

日村が愚痴るように、オヤジ(組長)は人間国宝クラスの仁侠で、金には頓着しないが、こと文化的な事柄には必ず首を突っ込みたがる性癖がある。話を持ち込んだのは兄弟分の組長で、面倒くさいし儲けにもならない事案を厄介払いしたものだ。三鷹市にある井の頭学院高等学校、前理事は巨額の負債の責任をとって辞任した。その後釜がヤクザである。学校の経営などヤクザのやることではない。日村だってそれくらいの常識はわきまえている。しかしオヤジは、教育ってのは大切なんだ、それが今おかしくなっちまってる、などとのたまいやる気満々だ。どう見てもヤクザが学校を乗っ取る、という構図である。

堅気には絶対迷惑はかけないという正統派ヤクザが、荒廃した学校の現場で四苦八苦する姿はユーモラスだ。理事長であるオヤジは悠長に構えていて、日村らの困惑にも平然としている。お約束通りのバカ教育ママ、学園の女番長と取り巻き、彼らに目の敵にされる芸能美少女とその追っかけ、カリキュラムだけを教えて部活もやらずさっさと学校を後にする教師、ことなかれ主義の校長、誰も掃除しない荒れ果てた校舎内。三人の生徒が夜中に学校に忍び込んで窓ガラスを割ったことから、ようやく日村らは仁侠らしい動きを見せ始める。しかしヤクザである。いったいどうやって学校を改革していくのか予想できない。

仁侠ヤクザの落としどころは、やはり暴力団ヤクザとの抗争に勝つことだ。学校に多額の寄附をしているのが女番長の父親で、ヤクザのフロント企業の経営者だ。バックに暴力団がいるから、学校にも有形無形の影響力がある。しかし、人徳のあるオヤジはヤクザ業界での人脈が豊かで、業界の上部からの圧力でこんな邪魔者も排除してしまう。だが学校の運営はともかく、教育の現場はヤクザの出る幕ではない。どうするんだ。もう残りページが少ないぞ。結果はお約束の幕引きで、ああ面白かったの痛快一気読みだった。三作目は病院の再建話である。同じパターンだろうが楽しみ。その次はどこの業界かな。 (柴田)

今野敏「仁侠学園」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4122055849/dgcrcom-22/


●武田さんのを読んで、ルージュラを探し、無事ゲットできたときの喜びはサンタピカチュウをゲットしたときより嬉しかった〜。相棒はカビゴンだけど。大きくてゆったりしていて、なんだか落ち着く〜。

/若林さん、2年間もなさっているのですね。たくさんの忍者たちに会ってこられたんだろうな〜。

/べちおさん、150回おめでとうございます! ありがとうございます!

/連載してくださっている関口さんのご厚意で、デジクリサイトにwebフォントのFONTPLUS導入。吉田印刷所の笹川さんが作業してくださいました。ありがとうございます! (hammer.mule)