グラフィック薄氷大魔王[503]「業界標準ソフトMAYAの誘惑」他、小ネタ集
── 吉井 宏 ──

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●WACOMタブレットMac用ドライバの件、その後

12月12日〜24日の6.3.19-6に続き、27日に6.3.19-10が出た。年明けすぐの1月4日にも6.3.20-4が出たけど、改善されてない模様 orz こんな頻度でアップデートされるのは従来なかったことで、WACOMも相当焦っているんだろう。

修飾キーのショートカット壊滅状態は脱したものの、計算機.appを連続クリックできないとか、MODOでストロークが2回に1回しか描けなかったり、不用意にクリックすると全選択されてしまうなど、Sierraに6.3.15-3を入れたのと同等。

10月以来、2回のアップデートで直らなかったらWindowsに移行を真剣に検討しなければとか書いてたけど、すでに3〜4回……。Windows版も突然筆圧が効かなくなるなどのトラブルがあると聞くし、どっちに転んでも苦労しそう。非常に困ってる。早く!




●カップヌードルの、まさかの「ブース」

卓上の段ボール箱をプライベートな個室に見立てて、仕事したりラーメン食べたりするもの。季節外れのエイプリルフールみたいな冗談かと思ったら、本当に売ってるんだww

ラマドワーカー「RAMAD WORKER」
https://store.nissin.com/jp/feature/ramadworker/


いや、これはなかなかイイと思う。「見える範囲=部屋」だから。後ろを振り向きさえしなければ、独立したプライベート空間で集中して仕事できそうな気がする。

これについて、塗装ブースに使うとか、簡易撮影スタジオに使えるとかコメント付いてるけど、みんな考えることは同じ。独立した部屋/空間として好きにデコレーションしたり壁紙貼ってもいいし。

欲を言えば、下から上半身を突っ込んで完全に部屋状態になるといいな。1m×1m×50cmくらいで、照明や脚もついてるの。

まあ、同じような意味で、「VRゴーグルを装着すれば、いつでもどこでもめちゃくちゃゴージャスでかっこいい仮想スタジオで仕事できる」のが夢だけど。

●連載内連載スタート

小ネタ集ばかり書いてて、ひとつのテーマで長文を書くのが面倒になってるけど、連載内連載扱いにして少しずつなら書ける気がする。書こうと思いつつ延び延びになっていた「MAYA」と「Cintiq 27 QHD」について、何回か、たぶん不定期に書いていきます。

■ MAYA連載 その1

○業界標準ソフトMAYAの誘惑

僕が使っている3DソフトはMODO。最初のバージョンから10年以上使ってる。2DイラストからZBrushの紙粘土風2.5Dイラストを経て、約10年前に3Dに移行したときからメインツール。
http://modogroup.jp/modo/modo10s


キャラクターモデリング的に関係なかったり、普段使ってない機能は心許ないし、基本的な使い方なのに知らなかったことがあって驚かされたりする。けど、さすがに10年以上使ってると、体の一部というか手の延長みたいに馴染んでるのは確か。スケッチだって無意識にMODOで作る前提で描くようになってる(本当はそういうのは良くない)。

ただ、3DCG的に「業界標準ソフト」といえば、MAYAや3ds Max。LightWave 3Dでさえかなりマイナー。実はLightWaveの次期バージョンとして開発されていたのに採用されず、飛び出して独立して開発したのがMODO。

モデリングソフトとしてはそこそこ定評あるものの、MAYAや3ds Maxの存在感にはほど遠い。いろんな人と話しても、LightWaveやZBrushは知られてるのにMODOはほとんど誰も知らないw

MAYA http://www.autodesk.co.jp/products/maya/overview

3ds Max http://www.autodesk.co.jp/products/3ds-max/overview

LIGHTWAVE 3D http://www.dstorm.co.jp/dsproducts/lw11/index.html


現状でMODOにそれほど不満がないとはいえ、キャラクターアニメーションを作るなど統合3Dソフトとしての実力で言えば、MAYAが地上で最強。

CGアニメ映画のメイキングなどで登場するMAYAの画面を見かけるたび、「世界最強のクリエイティブツールで仕事してみたい!」って衝動がw

余談。MAYAや3ds MaxがCG映像やゲーム制作など3DCGの業界標準であるとはいえ、そういったエンターテインメント系のCGは、建築やインテリア、プロダクトなどの視覚化として使われるCGから見れば、超マイナーな世界だったりするらしい。

CG全体でエンターテインメント系は1%くらい? って話も。あと、視覚化という意味でのCG全体より、桁違いに巨大と思われる3DCADっていうシビアな設計関連の3D世界もあるし。

○3ds Max

ところで、MODOと同じ頃から使い始め、いくつかのアニメーションやキャラクターの仕事にも使っていた3ds Maxはどうなってるんだ? といえば、一昨年に永久ライセンスを保持したままサブスクリプションの継続をやめたのでした。

なぜかというと、それまで3ds Maxでやっていたような単純なキャラクターアニメーション程度なら、MODOでもできるようになったのが理由の一つ。

あと、ずっと3ds Maxファイルで渡すことが慣習となっていたクライアントの仕事を、互換性の高いFBXファイルで渡す了承を得たこと。3ds Maxを使わなくてよければ、Windows環境をそのために用意しなくてよくなるのは、Macユーザー的には魅力的なのだった。MAYAにはMac版がある! (つづく)

■ Cintiq 27 QHD連載 その1

○苦手な液タブを克服したい!

液タブはもう懲り懲りとか言ってたくせに、昨年9月にCintiq 27 QHDを購入。大きすぎるとか、ツルツルで描きにくいとか言ってる場合ではない。MAYAと同じ衝動が沸き上がる。

Pixarもディズニーアニメーションスタジオも使ってる、史上最強のクリエイティブツールが僕にとっても最強でないはずがない。使いこなせるようになるぞ!

と思ったら、16インチのWACOM MobileStudio Pro(と同じく16インチのCintiq Pro)が発表された。おまけにマイクロソフトの本気、27インチのSurface Studioも発表。ガ〜〜ン!
https://bn.dgcr.com/archives/20161012140100.html


その後、なんとかメインツールとして使えるようになるまでの話です。

○スタンドと机はどうする?

Cintiq 27本体下部には、引き起こせる棒状のスタンドがついている。傾斜角度は固定されているけど、普通に液タブとして使う分にはOK。

ただ、もっと引き起こして使いたかったり(首が痛くならない代わり、腕が重力の影響を大きく受ける)、完全に立てて27インチディスプレイとして使うには、オプションのスタンドが必要。

スマホネックで首が痛くなるのが液タブを使いたくない大きな理由な僕的には、もちろんスタンドも購入。ただ、Cintiq 27だけでも大きいのにスタンド付きだとさらに巨大。本体とスタンドを合わせると32kgもあるので、ヤワな机では危険。どうやって置こう?? (つづく)


【吉井 宏/イラストレーター】
HP  http://www.yoshii.com

Blog http://yoshii-blog.blogspot.com/


2017年は穏やかにスタートできるかと思ったんだけどなあ。いろんな用事に翻弄されつつ、待機中のいくつかの仕事がいっぺんにスタートしないかヒヤヒヤする毎日w あれ? 結局やっぱ「ローグ・ワン」二回目すら見に行けてないし〜。

ところで、WACOMドライバ問題の「Windowsに移行を真剣に考えなきゃ」の件。本当に移行するとなると、上に書いた「3ds MaxのためにWindows環境を用意していたがやめてMacに統一」や「MAYAにはMac版がある!」が全部ひっくり返るんだよなあ〜。じゃあWindowsで普通に何でも使えばいいじゃんって話に。

・ショップジャパンのキャラクター「WOWくん」
https://shopjapan.com/wow_kun/


・パリの老舗百貨店Printemps 150周年記念マスコット「ROSEちゃん」
http://departmentstoreparis.printemps.com/news/w/150ans-41500


・rinkakインタビュー記事
『キャラクターは、ギリギリの要素で見せたい』吉井宏さん
https://www.rinkak.com/creatorsvoice/hiroshiyoshii


・rinkakの3Dプリント作品ショップ
https://www.rinkak.com/jp/shop/hiroshiyoshii