装飾山イバラ道[195]タラレバ娘と完璧男
── 武田瑛夢 ──

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毎年この時期にはいつも「アメリカン・アイドル」のことを書いていたので、今とても困っている。「アメリカン・アイドル」が昨年で終わってしまったので見られないし、海外ドラマも最近はハマるものがないのだ。huluに入っているので、いつでも見られる状態なのがそうさせているのかも。

そんな中で最近見ているドラマが「東京タラレバ娘」。いい年をしてアラサー女子の恋愛モノを夜中に見ているのだ。

夜10時からの日テレというのが、私にとっては見やすい条件なのだと思う。アラサーなんて私には今となっては遠い昔だけれど、確かに一番忙しくて落ち着けない時だったかもしれない。

※以下はドラマのネタバレを含みます。

東京タラレバ娘|日本テレビ
http://www.ntv.co.jp/tarareba/






●夜中に見るのに丁度良い

ドラマは居酒屋の娘とネイリスト、脚本家の三人の女性が女子会を繰り返しながら恋愛に悩む。お互いの恋の進み具合を共有している感じは、私にはできないことなので興味が湧く。

私は以前はプライベートを話すのが苦手だった。今では記事のネタとして触れないでは済まない時もあるので書いているけれど、自分以外のことの方が文章にも書きやすい。

ドラマのこの三人を見ていると、自分の身に起こったことを何でも話すんだなと驚く。きっと、異性という謎の生き物を分析するためには、友達数人のリアルな実体験のデータ収集は助けになるのかもしれない。

今時の世の中の平均的な意見というものも背後に感じながら、目の前の知っている人の経験から何かを得たいと思うのだ。

女性三人の相手となる男性は年齢も条件も違うし、個々の性格も誠実度も違う。本当に良い人が誰なのかが、なかなかわからない仕組みになっているので、ついつい見てしまう。

5話から出てきた速水もこみちのバーテンダーの役は、何もかも完璧すぎる理想の男性として、吉高由里子演じる倫子の前に現れる。イケメンで料理もうまくて優しい。

絶対にどこかに「ものすごい欠点」があると巷で噂になったけれど、結局そんなに悪いところはなく、倫子にとって「合わない」だけだった。6話で何らかの欠点が明らかになると期待して見た人が多くて、視聴率も上がったみたいだ。

実はこの「完璧男の欠点」というテーマは、海外ドラマ「SEX and the CITY」にも何話目かで出てくる。ここで見たような欠点があるのかもと、想像した人も多いかもしれない。

脚本家の倫子は、「SEX and the CITY」に影響されて脚本家になると決めたという。しかし、映画好きでフランス映画が特に好きだというもこみちのバーテンダー役が、「SEX and the CITY」を否定する。

これが倫子にとっては、彼の最大の欠点だったというのが面白い。友達二人もこの話を聞いて、恋の終わりに納得する。

好きなものの完全否定はつらいけれど、素直に心からそう思っている人に悪気はないし、変える必要もない。お互い自然に好きなものや、過ごし方が合うのが一番というのは、本当にそう思う。性格や趣味は違っていても、相手の価値観を尊重出来れば問題ない。

●〇〇会

ドラマではほぼ毎日女子会を開いて、ご飯を一緒に食べている三人。女性同士はやわらかい同調性があるので、話しやすくて楽なのだ。

うちでは、夫は私のいうことに何かと反論をかましてくるので大変だ。これは夫に限らないので、男性らしさなのかもしれない。私も結構いろいろと間違っているので(笑)反論されたら、それが正しい時もあるし。

逆に、最近の母はすぐに私に同調する。そう何でも同意なのも困ったりするけれど、年をとって変わってきたのかもしれない。最近は母の家にカレーを作って持って行ったり、お茶しているので、これを女子会と呼ぼうかな。

母と一緒にいると自分の老化にも気がつく。夫と一緒だと、自分がおじさんっぽくなってきたかと思う。夫には私のようなおばさん力があると思う。こうしてだんだんと、お互いが近づいてくるのはしょうがないことなのだろうか。

私はおじさんっぽいから、今度からお酒を飲む時はオジ会と呼ぶことにする? と言ったら、それは嫌だそうだ。

女子は女子会が好きなのに、オジサンはオジ会と呼ぶのが嫌い。ただ飲んでるだけのことに、いちいち「会」をつけるなと言われそう。

私はドラマと同じようなアラサーの頃の自分を、「保留中の電話」のようだと思っていた。早く電話を取って何か話を進めないといけないし、でもその前に考えをまとめないといけない。

日常の電話では保留中は短い時間だけれど、人生の中だとなんと長く感じるものだろうか。

過ぎてみてわかるのは、結局はその時その時に答えを出し続けなければならないのは、いつでも同じだったということ。

本当は私も若くて綺麗な時はー、と書きたかったけれど、さて若い時はあっても綺麗な時は? と言われそうなのでこのへんで。


【武田瑛夢/たけだえいむ】eimu@eimu.com
装飾アートの総本山WEBサイト"デコラティブマウンテン"
http://www.eimu.com/


ポケモンGOの金銀実装で、またちょっと新鮮な気分で遊んでいる。なんとなく可愛いっぽい雰囲気のポケモンが多いような。まだレアなのは捕まえられていないけれど、欲しいのはアンノーンかな。