羽化の作法[35]拘留生活・その3 勾留理由開示裁判/武 盾一郎

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●1996年9月4日(水)拘留されてから16日目の日記より抜粋

ところでさっき「点検」があった。午後の3時だ。ボールペンを借りて一時間になる。あと小一時間で文章書きは中断だ。

「点検」とは、当番のお巡りが5〜6人で全留置室の点呼を行うことだ。こういう感じ。

「第三室!
 二番! (ハイ:返事)
 五番! (ハイ:返事)
 七番! (ハイ:返事)
 押送二名、現在三名!」

この時、檻の中では一列にあぐら又は正座で待機し、自分の番号を呼ばれたら大きな声で「ハイッ!」と返事をしなければいけない。





●押送・新検・勾留質問・勾留理由開示裁判………

ここに「押送」という言葉が出てくる。受刑者・刑事被告人・被疑者を、ある場所から他の場所へ移すことであるが、この場合、東京中の警察署からいったん東京地検に集められることを指す。

各々が検事の取り調べを受けるのだ。だいたい毎日120〜200人超の逮捕者が、ここに集められてるようだった。

逮捕された翌日か翌々日に、必ず一回検事調べがある。これを「新検」と呼ぶ。ここで大方の逮捕者は10日間の勾留を請求される。

そして次の日、「勾留質問」なるものがある。検事による10日間の勾留請求が妥当かどうかを裁判官が決めるものだ。

逮捕された者は、いったん全員が地検に集められる。調べの人は地検に、勾留質問と裁判の人はそこからさらにバスで東京地裁に行く。

ほとんどの逮捕者は10日間の勾留となる。でなければ、警察官が逮捕した意味がない。裁判官が勾留を却下することもまずないので、なんとなくシステム上の形式的な流れのようでもあった。

そして、さらに10日間勾留を延長するかどうかを決める「中間調べ」というのが、10日勾留の満期直前に行われる。場所は同じく東京地検。

僕の場合、ここで更に10日間の勾留が決まる。

そこで「勾留理由開示裁判」を行うことになった。

これは裁判所に対して、なぜ被疑者を勾留したのか理由を明らかにするよう要求する手続きで、この裁判は傍聴できる。いわゆるドラマや映画で観たことある裁判所シーンだ。

映画と違うところは、自分は鑑賞者ではなくて被疑者だったところだ。

実際のところ、当時、自分はなぜこんなに長く勾留されてるのか、そしてなぜ勾留理由開示裁判なるものが行われてるのか、理解できてなかった。

勾留理由開示裁判では、最後の方に被疑者の意見陳述がある。

その時に何を言ったのか、自分ではもう思い出せないが、僕が述べてたことを記録して媒体に載せてた人がいた。それが稲葉剛さんである。


稲葉剛公式サイト いのち・すまい・けんり─貧困の現場から社会を変える
http://inabatsuyoshi.net/

◎ピースネットニュース1996年9月10日発行第102号
〈連載〉TOKYO路上日記 〈5〉ダンボールアート・セッションより

〈勾留理由開示裁判におけるJさんの意見陳述〉

道はもっと自由であるべきだと僕は考えます。

路上にピエロがいたっていいし、物売りがいたっていい。寝ころぶ人がいてもいいし、絵があってもいい。

A地点からB地点まで運輸するためだけに存在するのではなく、そこには本来ならば、もっとワクワクするようなハプニングだとかが存在していいと思います。

いつもあるものは引き締めと締め出し。

そこから出てくるのは反発。

反発はあまりいいものは生み出さない。

僕はすべてが合理に埋め尽くされていくのに寒気を感じます。

今ある形とかルールとか、そこから一歩でもはみ出せば、即座に叩きのめされて、なきものにされ、破棄される。

それは道だけじゃない。

そういう風潮に寒気を感じます。

道はもっと自由であっていい。その許容が(あまり好きな言い方じゃないけど)、芸術だとか文化であるとか、そういうものを支えるいちばん下の土壌であると思います。

外国の話を出すのはきらいだけど、ニューヨークだとかドイツだとか、ストリートがおもしろい。ストリートに対する寛容さ、アバウトさがある。

そこを歩く警察官や検事や裁判官も、ストリートのパフォーマンスや絵を楽しんでいます。

道はもっと自由なものでなくちゃいけないと僕は思います。

(つづく)


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