3Dプリンター奮闘記[95]工房内の3Dプリンターを一新!
── 織田隆治 ──

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そろそろゴールデンウィーク。

僕もそろそろお休みしたいところですが、ここのところかなり忙しくなってきています。ここは頑張って、他の日程でお休みするぞ! なんて思っています。どうなることやら……。

さて、今日はFDM3Dプリンターの導入について、ちょっと書いてみます。

ここのところ、大きな制作物のご依頼が続いており、量も増えてきているので、新しい3Dプリンターを導入することになりました。

そこで、色々なサイズのプリンターを比較検討していました。

大きなサイズの物を制作する場合、一般的に言うと、やはり大きいサイズの造形範囲を持った3Dプリンターがあればいいというのは、普通当たり前に考えつくことですね。





いま僕の工房で最大の出力範囲を持っているのは、武藤工業さんの「MF2200D」です。造形範囲は縦、横、高さが30cm。

造形範囲が20cm四方のシステムクリエイト製の「Belullo ベルロ」、造形範囲が20cm四方の久宝金属製作所製の「Qholia クホリア」それぞれ一台ずつ。

他は、サイズは小さいですが、細かい制作物用の光造形3Dプリンター「ProJet1200」。

「Belullo ベルロ」に関しては、3年前に発売された初号機で、過酷な使用頻度により、かなりあちこちつらい感じになってきています。

そこで、まず、工房内のプリンターの一新もしないと行けない状況になってきました。

これまで使い慣れた「Belullo ベルロ」は、まず最新のものに買い替え。これは必須ですので、早速営業担当さんに連絡して一台確保。やはり手に馴染んだものは安心感があります。

他に、MF2200Dと同等、またはよりも大きい造形範囲を持ったプリンターを入れた方がいいかなぁ……と色々と詮索してみました。

造形範囲が30cmを超えるFDMプリンターは、実はあまり選択肢が少ないんですよね。

大きい造形範囲があればやっぱり制作も楽になるかなぁ。という発想からなのですが、色々と考えないといけないことがありました。

まずは、当たり前のことですが、「プリンターがデカイ」これなんですよね。30〜40cmクラスのプリンターは、個体の大きさが50〜60cm以上の設置場所が必要です。

現在、そのクラスは「MF2200D」なんですが、こちらで設置には60cm四方の敷地(笑)が必要です。そんな敷地を数か所確保することも難しい現状。

「さて、どうしたものか……」

まず、現状の3Dプリンターでの造形は、「絶対に100%成功する」ということは難しいです。造形物が大きいと、当たり前のことですが造形時間もかかります。失敗したことを考えるとリスクもあります。

僕が大きいサイズの物を制作する場合、3DCADやソフトウェア側で、3Dデータをうまく分割して出力し、後で接着しています。そうすることで、造形時間やリスクの分散が可能になります。

僕の場合、一台の大きいサイズのプリンターを使って、一発で出力するよりも、ある程度の大きさの3Dプリンターを平行して使用するほうが、メリットが大きいので、

「20cmクラスのFDM3Dプリンターを複数台導入する方がいい」という結果になりました。

一台に占める設置面積の問題ですが、30cm四方以上のプリンターは、メンテナンスのことを考えると60〜70cm四方の場所が必要。

横方向のこのサイズの確保はいいとして、奥行きが70cmを超えると、狭い工房ではきつい。20cmクラスのプリンターの奥行きは、だいたい奥行きが45cmくらいあるとなんとか設置可能。

幅は一台40〜50cmくらいあればなんとかなるので、二台で余裕を見ても1メートルちょっとあれば二台置けることになります。

次に導入コスト。20cmクラスのFDM3Dプリンターと、それ以上のサイズになると、何故かドド〜ンっと価格が上がります。

40cm四方のプリンターになると、20cm四方のプリンターの2.5〜3倍くらい……。それなら、20cm四方のプリンターを2〜3台入れた方が効率がいいですよね。

そして、故障時のリスク軽減。大きいサイズのプリンターだと、工房内では一台入れるのがやっと。導入コストの問題もありますね。

もし、業務で使用する場合、その一台は故障すると致命的になります。そのリスクだけは避けたいところです。

以上の結果になり、造形範囲が20cm四方の3Dプリンターを複数設置することにしました。

その場合、「Belullo200」の複数設置が一番望ましいところです。同じプリンターが複数ある方が、メンテナンスや部品、スライサーソフトの共有等、大きいメリットがあります。

問い合わせしてみたところ、すぐに複数台の納入は難しいとのこと。そこで候補に上がったのは、京都の3Dプリンターメーカーのエスラボさんのプリンター「S3DP222」。

スライサーソフトもSimplify3Dを使っていて、「Belullo200」と同じ。仕様もほぼ「Belullo200」と同じ。まあ、開発が同じなので、当たり前のことなんですけど。

「Belullo200」との違いは、ヘッド数。
「Belullo200」は基本的に2ヘッド。「S3DP222」はヘッドが一つ。

僕の場合、まず2ヘッドを使用する出力はやりません。2ヘッドあるメリットはあまりないのです。

2ヘッドのプリンターでよくあるんですが、造形物に隣のヘッドが衝突して、出力が失敗することがあります。そこで、「Belullo200」を使う際、片方のヘッドは外してあります。

じゃあ、「2ヘッドはいらない?」ってわけでもなく、仕事で出力が押している場合、ヘッド詰まり等を起こして使えない場合、隣のヘッドを使用することが可能になります。

つまり、換えのヘッドですね。これはこれで、かなりメリットはあります。まあ、1ヘッドでも換えのヘッドをストックすればいいだけのことですが。

早速、エスラボさんに問い合わせしてみましたら、なんと2台即納可能!迷わず選択、発注しました。

急ぎでなければ「Belullo200」でもよかったのですが、いい意味で選択肢が広がりました。

僕の場合は、こういった導入になりましたが、事業所や設置面積、使用頻度によって、色々な3Dプリンターの導入には思案することが沢山あります。

目的に合ったプリンター選択が必須になる訳ですね。みなさんも、導入の場合は、色々と検討して、ご自分にニーズに合ったプリンター選びをしましょう!

ということで本日、納入されます〜。早めに出て、事務所整理しなきゃ!


【___FULL_DIMENSIONS_STUDIO_____ 織田隆治】
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