[4370] ウェブ制作現場におけるコミュニケーション術

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《なにせ来年は結成40周年だしね!》

■わが逃走[204]
 どんなものでも三つ並ぶとYMOに見えてしまう の巻
 齋藤 浩

■もじもじトーク[65]
 ウェブ制作現場におけるコミュニケーション術
 関口浩之




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■わが逃走[204]
どんなものでも三つ並ぶとYMOに見えてしまう の巻

齋藤 浩
https://bn.dgcr.com/archives/20170622110200.html

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どんなものでも三つ並ぶと、YMOに見えてしまう。

1983年、YMOが散開(解散の意)し、突然心の拠り所を失った少年は、偶像崇拝に走ったのかもしれない。

そんなとき撮った写真がこれ。

https://bn.dgcr.com/archives/2017/06/22/images/001

見た瞬間、YMOだ! と思った。

これが病気の始まりで、それ以降,三つ並んだものを見かけるとなんでもYMOに見えるようになってしまい、同時に脳内でYMOの楽曲が自動再生される体質になってしまった。

たとえばこれとか。

https://bn.dgcr.com/archives/2017/06/22/images/002

これとか。

https://bn.dgcr.com/archives/2017/06/22/images/003

コピーライターのサカモト氏(仮名)に話したところ、彼はパフュームに見えると言い、そんなことを聞いた日にゃあ、なにやら私はスターボーに見えてきてしまったりと、脳の見立て中枢(そんなものないが)がおかしな動きをするようになってきた。

そんな我々に、建築家のイトペン氏(仮名)が「これは?」と一枚の写真を差し出した。

https://bn.dgcr.com/archives/2017/06/22/images/004

目に入った瞬間、二人は「wild&moodyだーっ!!」「ユキヒロが三人おる!!」と、その場は興奮のるつぼに。

※参考
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000FJHF04/dgcrcom-22/


『wild&moody』は、1984年、YMO散会後に発表された高橋幸宏のソロアルバム。

「なよなよ路線」に入る直前の、骨太でキレのいいサウンドで構成された名盤で、ジャケットのイラストはまさにイトペン氏提供の写真そのものといえよう。

という具合に、三つ子の魂百まで、これからも三つ並んだものを見るたびにお三方を思い出すことになると思われるが、そろそろご本人達の三人並んだ姿を見せてほしいと思う昨今であります。

なにせ来年は結成40周年だしね!


【さいとう・ひろし】saito@tongpoographics.jp
http://tongpoographics.jp/


1969年生まれ。小学生のときYMOの音楽に衝撃をうけ、音楽で彼らを超えられないと悟り、デザイナーをめざす。1999年tong-poo graphics設立。グラフィックデザイナーとして、地道に仕事を続けています。


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■もじもじトーク[65]
ウェブ制作現場におけるコミュニケーション術

関口浩之
https://bn.dgcr.com/archives/20170622110100.html

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こんにちは。もじもじトークの関口浩之です。

昨日は、雨風がひどかったですね。日中外出していたので、会社に戻った時、ズボンと靴がびしょびしょになってました。

そして、Yahoo!トップニュースでは、「東海道新幹線の遅延の影響で車内で一夜明かす乗客たち」という見出しが目に入ってきました。新幹線の中に、何時間も閉じこめられた方々、本当にお疲れさまでした。

僕も出張が多いので、いままでに二回、悪天候で数時間、乗っていた新幹線が立ち往生した経験がありますが、五時間以上の遅れは大変だと思います。

グリーン車なら快適なので、気分を入れ替えて「よーし、メルマガ原稿、二本ぐらい書いちゃおう」って気持ちになれるかもしれません。いやっ、疲れて寝ちゃうだろうな……。

●57回目の誕生日は静岡県で迎えた

今年の6月9日は、下記セミナーの前夜祭に参加していたので、静岡市にて誕生日を迎えました。

CSS Nite in SHIZUOKA, Vol.6
http://cssnite-shizuoka.jp/vol06/


その時の様子をFacebookに掲載したので、勝手に紹介しちゃいます。
https://goo.gl/gSH9N2


昨年7月16日に開催された、コマンドシフトシズオカ主催「Webフォント最新事情+ワークショップ」でお会いしたメンバーだったので、アットホームな雰囲気で楽しい時間を過ごすことができました。

その前夜祭では、静岡ネタで盛り上がりました。その時のネタをいくつかご紹介します。

・静岡県の形は北海道の形に似ている?

最初、「なんのこっちゃ」と思ったのですが、静岡県の向きを変えて確度を変えると、かなり似ているのです。いずねこ探偵社(静岡県の地元ネタ情報)のWebページで、そのことが書かれていました。
https://goo.gl/7zZkKM


・「静岡県ってどんな印象があるのか」と聞かれたので「横に長い」と答えた

静岡県は、伊豆/駿河/遠江の三つの国からなった県なので、とにかく横に長いです。静岡県には、東海道新幹線の駅が熱海/三島/新富士/静岡/掛川/浜松と、なんと六つもあるんですよ!

でも、僕は、名古屋/大阪/博多の出張が多いので、のぞみ号に乗ることが多いのです。なので、「新横浜の次は名古屋」のパターンなので、静岡県は窓越しでしかお目にかかったことがありません。

それ以外で静岡県のイメージは? と聞かれたので、「富士山」と答えてしまいました。静岡のみなさん、ごめんなさい。

・静岡は、お魚料理だけでなく、おでんや味噌生姜も美味しかった

静岡おでん、有名らしいです。知らなかった……。牛すじで出汁をとり、醤油で調味した黒い煮汁のおでんです。はんぺんは白ではなくて黒かったです。

あと、生姜に味噌を付けて食べるおつまみが、とれも美味しかったです。葉生姜というらしいです。

茎が小指程度の大きさに成長した段階で収穫する、葉が付いたままの生姜のことです。氷水でしめた生姜を味噌でいただくという、シンプルだけど超逸品でした。実は、これが一番のお気に入りでした。

●Webディレクターという仕事

翌日の「CSS Nite in SHIZUOKA, Vol.6」セミナーは、四つのセッションと二つの地元枠ライトニングトークでした。

セミナー全体を通じたテーマは『Webコンテンツ制作』でしたが、

「いま、改めて考えたい、クリエイティブの本質とは何か?」
「ユーザへの理想的なアプローチをさぐるヒアリング術」
「書かなきゃいけない人のためのWebコピーライティング教室」
「コンセプトドリブンで進めるコンテンツの企画と実現」

の個別セッションにおいて、各分野のスペシャリストに熱く楽しく語っていただきました。

CSS Niteセミナーは、テクニックや技術の習得、最新情報のアップデート、ツールの活用方法などを身につけるという側面もありますが、「誰のために」「何を目的にして」「それを実現するための本質的な考え方」をみんなで共有することができる点が素敵なのです。

受講したすべてのセッションをご紹介したいのですが、今回は、Webディレクター田口真行さんのセッション「ユーザへの理想的なアプローチをさぐるヒアリング術」を聞いて、特に心に残ったポイントをご紹介します。

ちなみに、Webディレクターとは、Webサイトを制作する際、Webデザイナー/プログラマー/コーディング担当などのスタッフをまとめ、プロジェクト全体の進行管理や品質管理などをする人のことです。映画監督や舞台監督などをイメージするといいかもしれません。

●正しいヒアリングをしてますか? お医者さんに例えると……

クライアントとWebディレクターの関係を、患者さんとお医者さんに例える、置き換えるお話がすごく分かりやすかったので、ご紹介します。

信頼できるお医者さんなら、こんな問診はしないですよね?

・あなたの病名は何ですか?

優れたお医者さんは、「どうしましたか?」「どんな症状ですか?」「咳は出るの?」「吐き気はしないかな?」「何か気になることないですか?」というように症状の確認をしてくれて、対処方法をアドバイスしてくれると思います。

「あなたの病名は何ですか?」といきなり聞くお医者さんがいたら、おかしいですよね。

あなたがWebディレクターだとします。「どんなWebサイトを作りますか?」「どう改善したいですか?」とクライアントに質問していませんか?

クライアントは、悩み事の相談に乗ってくれて、解決策を一緒に考えてくれる人を求めているのです。クライアントが、自分の悩みの答えを明確に理解できているケースは少ないのです。

・どんなお薬を何粒必要ですか?

お医者さんが、「どの薬を何粒、欲しいですか?」と聞いてくることは、まず、ないと思います。

クライアントへ「今後、リニューアルするWebサイトでは何ページ作りますか?」「どんなデザインをお望みですか?」と、ヒアリングシートに沿って聞きたくなりますよね。確かに、見積を作成するためには、その答えが欲しいです。

だけど、クライアントとの最初の打ち合わせで、「今回のリニューアル企画の目的は?」「誰をターゲットにするか?」「強みや弱みは何か?」などを双方向のコミュニケーションを通じて、ビジョンや企画のコンセプトを明確化するほうが大事なのです。

そのことが、やり直しや手戻りのリスクを最小限にできるのです。そのプロセスをやっておかないと、リリース直前になって、「本当はあれをやりたかったんだよね」とか「こんなはずじゃなかった」という本音が出てくることが多いのです。

・手術は、いつまでしたいですか?

この質問をするお医者さんは、まず、いないですよね? 打ち合わせの現場では、「Webサイトのリニューアル、いつにしますか?」と当たり前のようにヒアリングしていることが多いのです。

もちろん、その質問が悪いわけではありません。でも、クライアントが何に困っていて、それを解決するための手段は何があるのかを共有せずに、納期とページ数が先行する場合が多いのです。

●本当のヒアリングとは?

ヒアリングという言葉を聞くと、「クライアントから要件を聞き出す」というイメージが一般的だと思います。これだと、受身になってしまいます。

クライアントにとって、頼んだことを、何でも文句を言わずにやってくれる制作会社を好む場合もありますが……。

その関係だと、一緒にビジネスを考えてくれる頼れるパートナーとは思ってくれないでしょう。「あの人に仕事の相談したら、目的が達成できた」と感謝されるのがWebディレクターの醍醐味なのです。

そのためには、Webの最新動向や技術やツールの知識もあったほうがいいでしょう。それ以上に、コミュニケーションを通じて、クライアントの悩み事を引き出して、改善策を一緒に考える先導役になることが重要ですよね。

初めて打ち合わせしたとき、例えば、自信なさげな声で「過去にこんなことがあってお客様から喜ばれた。でも社長が、それはダメだっていってたんだよね」との発言がヒントになったりします。

情報過多な時代、消費行動や消費者心理が大きく変化している中で、明確な答えが最初から出ている案件って、最近は少ないのです。

クライアントから出てくる様々な点を、線で結んでいくことで、企画のゴールが明確に見えてきます。

そして、それを実現するためのアウトプットとしてのデザインや、成果物のコーディング実装へ進んでいくことになります。そのプロセス全体がヒアリングのアウトプットということになりそうですね。

そして、リリースした後の運用のことも、最初の段階で共有することも忘れてはいけません。

そう考えると、Webディレクターって最強だし、面白い仕事だなと思います。

田口さんのトークセッションを聴講した感想は、僕がインターネット関連ビジネスをここ25年間携わってきて感じてきたこと、そのままズバリだったのです。

それなので、当日とったメモを見ながらトーク内容を思い出しながら、自分なりに咀嚼して書いてみたのですが、自分のための備忘録になってしましました。

田口さんとの出会いは、三年ぐらい前、大阪のとあるセミナーでした。不思議かつ素敵な出会いが、交流のきっかけだったのですが、彼のこと、大好きなんです。とにかく、なにもかもすごい。ストイックなナイスガイなのです(笑)

田口真行で検索すると、動画によるWebディレクション講座がたくさん出てきますよ。

読者の皆さんの中で、Webディレクションを仕事にしている人は、多くないかもしれません。でも、この話は、Web制作の仕事に限ったものではありません。

ヒアリング・コミュニケーション術って、家庭の中でも、知人との関係において、そして、すべてのビジネスシーンにおいて重要ですよね。

今回は、通常の「もじもじトーク」とは、ちょっと趣の異なるネタでお送りしました。何かの参考になればうれしいです。


【せきぐち・ひろゆき】sekiguchi115@gmail.com
Webフォント エバンジェリスト
http://fontplus.jp/


1960年生まれ。群馬県桐生市出身。電子機器メーカーにて日本語DTPシステムやプリンタ、プロッタの仕事に10年間従事した後、1995年にインターネット関連企業へ転じる。1996年、大手インターネット検索サービスの立ち上げプロジェクトのコンテンツプロデューサを担当。

その後、ECサイトのシステム構築やコンサルタント、インターネット決済事業の立ち上げプロジェクトなどに従事。現在は、日本語Webフォントサービス「FONTPLUS(フォントプラス)」の普及のため、日本全国を飛び回っている。


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編集後記(06/22)

●ヒッチコックの「めまい」を見た(1958/アメリカ)。前半はブロンドのキム・ノヴァク、後半はブルネットのキム・ノヴァク、むりやり別人の設定かと思ったらそうじゃなかった。後半、じつは同一人物だということを本人の回想でばらしてしまう。ブロンドは死んだはずだが、じつはトリックだったと。

ミステリーを途中でバラす。それでも話が持つんだからたいしたものだ。回想は映画を見ている者は理解するが、その相手(主人公スコティ:ジェームス・スチュアート)はまだ知らない。異様な話をうんざりしながら見ていたのだが、最後にブロンド(ブルネットから染め変えた)が死ぬ。本当にいやな話である。

スコティは高所恐怖症である。屋根からぶら下がって、宙吊り状態で下を見る。普通はそんなよけいな動作はしないと思うが、これは映画だから。落下の恐怖のビジュアルが挿入される。キャメラを引きながら急激なズームアップ、これは吸い込まれるようで怖い。このめまいカットは二回あり、とても効果的だ。

スコティは友人ギャビンの依頼で、彼の妻マデリン(ブロンドのキム・ノヴァク)を尾行し、不可解な行動を見張る。意味ありげなオカルト的展開。海に投身した彼女を救うものの、その後同行した教会の鐘楼へ続く階段をマデリンが駆け上がり、スコティが高所恐怖症で動けなくなった隙に鐘楼から投身自殺。

スコティは苦悩し精神病院に入院する。数年後、スコティはマデリン似のジュデイ(ブルネットのキム・ノヴァク)に遭遇し、住んでいるホテルの部屋まで押しかけ、デートに誘う。懇願に負け一緒にいる時間が増えるが、スコティは異常な要求を重ねる。ジュデイの徹底したマデリン化である。まず服装から。

ついには髪をブロンドに染めよという。スコティは幻の女マデリンを愛している。完全な変態である。ジュデイは現実の男スコティを愛している。しかし、回想で明らかなように、マデリンの投身自殺はギャビンと組んだジュデイの偽装で、本物のマデリンの死体をギャビンが投げ捨てた完全犯罪であった。

マデリンと同じネックレスをジュディがしていたことで、二人は同一人物だとようやく気がついたスコティ。ハッピーエンドかと思ったがヒッチコックはそうはさせない。二人はあの教会の鐘楼に上っていく。今度は高所恐怖症は起こらない。スコティはジュデイでありマデリンである彼女を問い詰める……。

キム・ノヴァクの他に、もう一人女性が出てくる。スコティのことが大好きで、女房気取り。生活の面倒をみたり、リハビリを手伝ったり、かいがいしいメガネちゃんだが、スコティはまったく恋愛の対象にしない。この扱いは残酷であり、ないほうがいい。お約束のヒッチコック登場シーンはすぐわかった。工場かなにかの前を、楽器のケースを持って画面の左から右へ歩いていた。(柴田)

「めまい」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B008MIU08E/dgcrcom-22/



●三つ並んだものを見かけて連想されるのって、なんだかすごい。/BABYMETALは三人だから齋藤さんの写真を見て当てはめようとしたが、あそこは横並びじゃなくて、三角形のイメージだなぁと思い、なるほどなぁ、と。/田口さんのセミナー好きだ〜!!!

/ダイエット続き。Apple Watch(AW)。座りっぱなしは良くない、一時間に一分は立つほうが健康に良い、じゃないと寿命が縮むという説を、数年前からよく耳にするようになった。

iPhoneに「Standland」というアプリがあって、iPhoneの加速度センサーを使ったヘルスケアアプリの歩数情報を毎時間呼び出し、キャラクターが応援してくれる。回数や連続記録のご褒美で、キャラや部屋のデータを集められる。

この歩数は、当たり前だがiPhoneを持っていない時や、充電中、電源オフだと記録されない。家事中は置きっ放しだし、映画館や劇場でのオフ中のものはカウントされず、記録が途切れて悔しい思いをしていた。終演後しばらく電源入れるの忘れてた〜とか、ずっと歩いてたのに〜とか。続く。 (hammer.mule)

Standland - 座りすぎ解消!スタンドランド
https://itunes.apple.com/jp/app/id1033409631?mt=8


世界で利用されるFitPortの開発チーム最新作、座りすぎ解消アプリ
http://jp.techcrunch.com/2016/02/24/flask-fitness-app-standland/


FitPort
http://flaskapp.com/ja/

他にも使いたいのがある。譲渡されたという「PopWeight」使ってる〜