ショート・ストーリーのKUNI[217]画期的なアンケート
── ヤマシタクニコ ──

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(最近、あの世だとか遺言だとか縁起でもない話ばかり書いているヤマシタですが、また懲りもせず書いてしまいました、すいません)


司会者「こんにちは! あの世テレビAYT、『今夜もワイドでGoGoGo!』の細川ジョージです。今日も元気に、アツくまいりましょう! さっそくですが、『こんワイ』では先日アンケート調査を行いました。

あの世──実際はわれわれがまさに今いるところ、『この世』なわけですが、わかりにくいので、あの世ということにさせていただきます──の実態を赤裸々に浮かび上がらせる、かもしれない画期的なアンケートと自負しております。さっそくその結果を見てまいりましょう」

じゃじゃん!と効果音が鳴り、フリップが映し出される。

司会者「質問一、『あなたは、あなた自身のお葬式に満足でしたか』というものです。この結果ですが

 満足している 7%
 どちらかといえば満足している 20%
 全然満足していない 56%
 どうでもいい 17%

これはきびしい結果が出ましたねー。どうでしょう、評論家だった早田門十朗さん」





早田「うー、これはまー、生きているうちはあまり考えないんですね、みなさん。死んで初めて葬式のことを考える。もっとかっこいい葬式があったんではないか、あー、反対にもっと目立たない葬式のほうがよかったんじゃないかと思うわけですが、手遅れなんですね、ひゃひゃひゃ」

作家だった緑村三恵子「本人は簡素にと思っていたのに遺族は派手にしたがったり、その反対のケースだったり。これは昔からでしょうが、こういうアンケートは初めてではないでしょうか」

早田「まさに画期的ですね」

司会者「はい。こればっかりは死んでみないとわかりませんからね。ちなみに『全然満足していない』人に、もう一度葬式をやりなおしたいかと質問したところ『やり直したい』が8割を占めました」

中小企業の社長だった堀場大介「これは興味深い結果だ。業界にとっては朗報と言えるんじゃないですか。一回といわず二回、三回と気の済むまで葬式をやるという人が増えるなら、葬祭業界は笑いがとまらんでしょう」

司会者「確かにそうですが、問題はどうやってやりなおすんだという点ですね」

一同うなずく。

司会者「次の質問です。『よく、この秘密は墓場まで持って行くなどと言いますが、あなたは、墓場まで持って行った秘密がありますか』。

 ある 54%
 ない 41%
 わからない 5%。

なんと、半数近くの方が墓場まで秘密を持って行ってるんですね。いかがです、国会議員だった広沼剛造さん」

広沼「これは驚きですね。皆さん、一体どんな秘密を持って行ったんでしょうか。秘密といったものと縁がなかった私としては、興味津々ですな」

緑村「え、そうなんですか」

広沼「秘密とか裏とかいったものとは無縁でしたからな。公明正大、常に心穏やかに分け隔てなく、がモットー。そうでないと政治家は務まりません」

タレントだったピコリン「ぼくの場合は、持って行くつもりはなかったのに持っていったんですよ、秘密! まあたいしたことない秘密でしたけどね。あ、それがどんな秘密だったのかは秘密です! ピコピコ!」

司会者「ところで、その墓場の状況ですが、いま中継がつながっております。沖田さん、沖田さん」

沖田道夫「はいはい、フリーライターだった沖田です。えー、いま私は墓場の上空に来ております。いやあこんなふうに上空から地上を見下ろすと、ちょっと感慨深いものがあります。といいますのも私、実は飛行機事故で命を落としたものですから、あ、そういうことはさておいて、えー、特殊カメラを通してみますと、ごらんください、墓場の上あちこちにもやもやとした雲のようなものが発生しているのがおわかりでしょうか」

ピコリン「あ、見えます、見えます!」

緑村「うわ、何これ」

ピコリン「きもい、きもい!」

司会者「ピンクや紫、色とりどりのもやもやですが、それがひょっとしてみなさんが墓場に持って行った秘密なんでしょうか?!」

沖田「はい、そうなんです。ごらんのように半数の方が秘密を持ち込んでおられますので、墓場は秘密だらけ。しかもご承知の通り、最近認知症の方が増えています。いつかは家族に打ち明けようと思っていたのにすっかり忘れて死んでしまい、意図せず墓場に秘密を持って行く方がどんどん増えているんですね。このままでいくと、なんらかの規正が必要になるかもしれません。今後の行方が注目されます」

司会者「沖田さん、ありがとうございました。ということで、墓場への秘密持ち込みは今後できなくなるかもしれないんですね」

広沼「時代ですなあ」

堀場「一律規正というのでなく、持ち込みサイズによって考慮すべきじゃないでしょうかね」

サラリーマンだった大山真之「あのう、お墓をつくらないひとも増えていますので、そういう人はどうすればいいんでしょう」

緑村「そこらにポイ捨てされても困りますしねえ」

司会者「えー、次の質問です。あなたは、『死んだら化けて出てやる』と言ったことがありますか。

 ある 83%
 ない 10%
 覚えていない 7%

そして、『ある』と答えた方にさらに質問しました。死後、実際に化けて出ましたか。

 カッとなって言った。今は後悔しているので化けてない 38%
 化けてみたいが化け方がわからない 59%
 化けた 3%」

スタジオがざわついた。

ピコリン「化けて出たひと、いるんだ!」

広沼「えー、その、どうやって化けたかまではわからないんですか」

司会者「そこまではわからないですねえ」

緑村「広沼さん、興味あるんだ」

早田「ほほー! 広沼さん、化けて出てやりたいひとがいるわけですね、いやこれはおもしろい」

広沼「いや、そうとは言ってません」

緑村「公明正大、常に心穏やかに分け隔てなくの広沼さんが、ねー!」

広沼「ちょっと好奇心で聞いただけじゃないですか! みなさんだってあるでしょ、化け方を知りたいでしょ!」

大山「はい、化けてびっくりさせたいです」

堀場「私も、まあ、興味はあります」

ますますざわつく。

司会者「みなさん、お静かにお静かに。時間がないから急げと指示が出ておりますので、次にまいります。えー、最後の質問です。『あの世の問題点はなんだと思いますか』はい、最も多かった答えは

 高齢化 71%
 若者が少ない 22%
 コンビニが少ない 3%
 その他 4%」

緑村「いや、『高齢化』と『若者が少ない』は同じじゃないですか」

司会者「そうなんです。つまり合計93%が、高齢化が問題だと言ってるんです」

早田「いやあ、これは当然の結果でしょう。地上では急速に高齢化が進んでますから、こちらに来るときにはもう、みなさんすごく高齢になってるわけですもんね」

緑村「確かに」

広沼「当然の結果とはいえ、そのために問題が起きているわけですな」

司会者「はい。実際、イベントの担い手がいないからという理由で、伝統的なイベントが中止になるケースが相次いでいるんですねー」

大山「ぼくは37歳でこちらに来たんですが、そこらを歩いていても同世代に会うことは滅多にないですね」

ピコリン「ぼくは実はもう48歳なんですが、それでもこちらでは若い若いと言われますね、ピコ!」

広沼「ふむ。ここはひとつ、いかがでしょう、大山さんにピコリンさん。あなたがたおふたりにお願いしたいんですが、職場とか卒業した学校とかのお友達に、なるべく早くこちらに来てもらえるよう、お声がけしていただくわけには」

大山「お声がけ、って」

ピコリン「えっ!」

緑沼「いや、そりゃやばいでしょ」

堀場「何を言ってるんですか、広沼さん! 若者の命を何だと思っておる! あんたみたいな人がいるからだめなんだ」

広沼「何ですと。私は、高齢化でみんなが困っているという、現実の上に立って意見を言ってるんだ。高齢化は待ったなしの現実。この、現実をしっかり見つめようとしない平和ぼけ、あなたのような人をガンと言うんだ」

堀場「なんだと!」

広沼「なんだととはなんだ!」

堀場「問題発言だ! 撤回しろ!」

早田「まあまあまあ」

緑村「やめなさいよ、いい年をして」

司会者「いかがでしたでしょうか、今日の『こんワイ』、盛り上がってきたところで、残念ながら時間です。来週もよろしく! シーユー! 細川ジョージでした!」


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ポケモンgoでのジムバトルが変わりましたね。私みたいなへなちょこトレーナーにとってはやりやすくなったと言えますが、もっとハイレベルな強者は不満な様子。私も、あまりにも簡単にジムやぶりできてしまうとちょっと拍子抜けかも。

それにしても、ジムの覇者がめまぐるしく変わるのにはびっくりですが、うちの近所のような住宅地では、きょろきょろ見回してもそれらしい人を見つけられません。みんな知らーん顔してやってるんですね……。