Otakuワールドへようこそ![261]あっち行ったりこっち行ったりの週末が続く
── GrowHair ──

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7月21日(金)配信分で、意識の謎に関連する講演会のレポートを書いたのだが、筆の暴走が止まらなくなり、気づけば、プロフィール欄に書く時間もスペースもなくなっていた。
https://bn.dgcr.com/archives/20170721110100.html


しかし、ネタはあるのである。このところ、宿泊を伴ってどこかへ出かける週末が続いている。京都・大阪とか、金沢とか、中国の太原とか。

次の私の回は、夏休みを挟んで8月25日(金)の予定だが、それまで温めていてはネタが古くなるし、その間にもどんどん新しい出来事が起き、書ききれなくなりそうだ。

ここいらで人様の枠をお借りして、新鮮なうちにお届けしたい。





●京都で大人の修学旅行

前回レポートした『シンギュラリティサロン #23』は7月9日(日)に大阪で開催されたが、その前日は京都へ。

行きつけの京料理のお店で昼食会。あ、ちょっと見栄をを張りました。5月7日(日)に一度行っただけです。

そのときの写真:
https://goo.gl/photos/1JFVuRxKdhxGXfdr5


私が行ったことを後から知って、会えなかったことを惜しがる方々がいて、それならまた行きますよ、と言ったら設けていただけた一席。

一見、きゃぴきゃぴの現役女子高生集団に見えなくもないので、余計なことを言わなくてもいいのかもしれないけど、中には私よりも年上な方もおられる。

私に会う機会に自分たちもとがんばって、セーラー服姿になってくれて、こうなった。

青春時代を走り抜けてからのセーラー服というのは、男性よりも女性のほうがハードルが高い感じがする。悪ふざけで、という言い訳に納得が得られづらいし、思い募ってという真面目な動機でも怖い。

しかし、このノリノリ集団は、私からの「堂々とやってりゃ、たいていのことはまかり通る」のアドバイスに励まされ、清水寺へと続く小路を散歩し、「はろうきてぃ茶寮」へ。

「一皮むけた気がします」「明日から何だってできそうな気分」

京都には着付けもしてくれる貸衣装屋さんがいっぱいあって、浴衣姿やニセ舞妓さんになって観光する人によく遭遇する。ついでにセーラー服も置いておけば、案外需要があるんじゃないかな?

今回の写真:
https://photos.app.goo.gl/b3h82BnOY76RJgrF3


●愛$菩薩さん、その芸名とお別れの法事

その日は西大路三条の安いビジネスホテルに宿泊し、翌7月9日(日)は、路面を走る京福電鉄で嵐山へ。渡月橋を渡って阪急嵐山駅へ。阪急電車を桂駅で乗り継いで、梅田へ。

『シンギュラリティサロン #23』聴講後、阪急梅田駅へと急ぎ、16:40発の特急で河原町へ。立ち食いそばの「都そば四条店」で腹ごしらえして、ライブハウス「SILVER WINGS」へ。

愛$菩薩さんの法事という名のライブ。『菩薩 SONIC8 〜略してボサソニ〜 改名単独法事』。

京都、大阪、また京都のトンボ帰りのあわただしさもさることながら、神経科学者の講演を聴講した後、お坊さんの法話を聞くという、情報の過剰摂取感に頭がぐるんぐるんになった。

しかし、たいへんよいライブだった。会場はぎっちぎちの満杯になった。ゲストが多彩で、内容も演劇やら大喜利やら歴代衣装のファッションショーやら盛り沢山で、意欲と工夫に富んでいて、たいへん楽しめた。

この回で「愛$菩薩」の芸名を返上し、戒名である「光誉祐華」に改名する。ライブの前半は旧名で、後半は新名で。

自分にあてはめて考えると、勤め先から「セーラー服着て出歩くのやめろ。続けたらクビだからな」と宣告されたようなもんか。よく分からんけど。

悩むだろうなぁ。泣いて受け容れるか、撤回してくれるよう話し合いを試みるか、世論を後ろ盾に戦うか、悪態ついて机を蹴っ飛ばして辞めるか、ビキニを着て歩くか。

悩みに悩んだ末にみずから苦しみを引き受けることで、万事を丸く収めてしまうあたり、さすがは僧侶だ。改名を発表してからの、人々のリアクションもいろいろあったようだし、愛$菩薩として十年続けてきたことへの万感の思いもあるだろうし。あー、やっぱ泣いちゃいますわな。

しかし、改名は、最近よく湧いてくるタイプの、大して深い関心があるわけでもないのに、他人の活動を表面的に解釈して文句をつけたいだけの、外野連中に対する中和剤みたいなもんで、近い位置にいてちゃーんと分かっているわれわれにとっては、どっちでもいいことだ。

若い人にも仏教に触れる機会をこちらから作りに行き、仏教のありがたい教えを伝えたいという、辻説法の精神にも通じる、まじめな動機からの地道な活動、理解してるし、心から応援してまっせ。

仲間内で、近くの居酒屋「や台ずし 祇園花見小路町」へ。すご〜く深い議論で盛り上がり、まだまだこれからというときに帰りの夜行バスの時間が迫ってきて、後ろ髪を引かれる思いでタクシーに乗り、京都駅へ向かう。

0:00 京都駅発、6:00 新宿駅着。月曜は何食わぬ顔で出勤した。

写真:
https://photos.app.goo.gl/KyMVZ1mQhjMYMSr42


●はしゃぎすぎたか、少し変な後味の残った金沢

翌週末、7月16日(日)は金沢へ。

3月に秋田県の大館に行ったときは、東京駅から上越新幹線に乗り、まず新潟に向かった。

今回、金沢に行くのに、東京駅から東海道新幹線に乗り、まず京都に向かった。

こういう風習は平安時代からあり、専門用語で「方違え(かたたがえ)」といいます。

米原駅で北陸本線に乗り換えるのは、北陸新幹線ができる前の標準的な行きかただったので、そんなに奇抜ではない。わざわざ京都まで行くのは、若干、ひねくれている。

先週末、京都駅に特急サンダーバードが停車しているのを見て、そう言えば、湖西線にまだ乗ったことがなかったなと思い、乗りたくなっちゃったのである。

8:20 東京 - 10:38 京都、東海道新幹線のぞみ209号新大阪行 11:10 京都 - 13:18 金沢、湖西線・北陸本線特急サンダーバード17号金沢行

湖西線は、湖畔すれすれを走る箇所があり、琵琶湖の景色が上々であった。

北陸新幹線を利用するなら、10:52に東京駅を出れば、だいたい同じような時刻に金沢駅に到着する。

10:52 東京 - 13:23 金沢、北陸新幹線かがやき527号金沢行。

便利だね。しかも、グリーン車に小泉元首相が乗ってたんだとか。

『カナザワ映画祭』には去年も行っている。「本宮映画劇場」の館主である田村修司氏のトークステージがあり、手作業でフィルムを切った貼ったして編集した作品の上映もあった。娘さんのU子さんも行っていた。

今年は、『よろずや探偵談』の上映がある。応募作品89本の中から選抜されて上映される22作品の中の一本として。
http://www.eiganokai.com/event/filmfes2017/enfd/


私は怪しい宗教団体の教祖様を演じており、田村U子さんは教団員の一人として出演している。この映画はなにかとミラクルを呼び込んだが、これもそのひとつと感じられる。

ひょっとすると、金沢で賞を獲得したりしないだろうかと期待した。

他の作品では、監督さん一人しか金沢入りしていないのがいくつもある中、この作品の関係者は大挙して行っている。

しかし、結果は、どの賞にもひっかからなかった。ちとはしゃぎすぎた反動で、ちょいとばかり気まずい空気が流れた。

Our travel in Kanazawa ended up in a fuckup.

日本酒のワンカップの銘柄 "FUKUCUP" が "FUCKUP" に見えて仕方がなかった。

7月16日(日)の写真:
https://photos.app.goo.gl/qV4pM5Dm22kPNFIC2


7月17日(月・祝)の写真:
https://photos.app.goo.gl/PTuzp62dZqiOnYv13


●再びチャンスをくれた太原

金沢の翌週末、7月23日(日) には中国の太原でイベント出演の予定があり、前日が移動日。

去年、太原までたどり着けず、イベントにでっかい穴を空けてしまった。
https://bn.dgcr.com/archives/20160527140100.html


あれは、パキスタン航空が北京ではなく天津に降り、5時間も動かなかったのがいけない。

懲りることなく、同じイベントに、今年も呼んでもらえた。今度こそ、ぜーったいにたどり着くぞ。パキスタン航空は避ける。北京も避ける。

14:30 羽田(HND) - 16:40 上海虹橋(SHA)、中国東方航空 MU538
20:25 上海虹橋(SHA) - 23:00 太原武宿(TYN)、中国東方航空 MU2407

乗り継ぎにたっぷり3時間40分取ってある。この前みたいな不測の事態に陥らない限り、難しいところなんてどこにもない、ごくごく普通の行程だ。

虹橋空港の表示の足りなさと、インフォの対応の不親切さにあきれつつも、ターミナル1からターミナル2へ移動する手段のひとつとして、地下鉄があることを発見し、空港からそうとう歩いて駅を見つけ出し、なんとか行けた。

保安検査場では、金属探知機の感度が非常に高く設定してあり、ブラのホックでもスカートのファスナーでもピッピピッピよく鳴ること。スクールバッグの底に散らばったコインを除去しろと言われた。ぼろぼろの財布から横モレしたものだ。

それでも余裕をもって搭乗口に着くことができた。ところが「遅れ」の表示が出ていて、そろそろ開きそうという気配すら感じられない。ゲート前に人が集まって待っている。

よくよく見れば、ゲートの先に飛行機がいない。だいぶ経ってから到着して、人を降ろした。掃除したら乗れるのかと思いきや、どこかへ去っていった。

天候不順かなにかで、太原から上海に向かう便が大幅に遅れているらしい。またしてもすんなりいかないこの事態。太原から、来るな来るなと、変な斥力かなんかがはたらいてる?

カウンター上にはお詫びの水とクラッカーが並べられた。

うとうとしている間に飛行機が到着していて、0:00amごろ搭乗開始の見込みと表示が出て、0:30amごろ、ようやく出発。太原には3:00amごろ到着した。通訳の羊羹氏が待っててくれた。

羊羹氏には何回か担当してもらっており、日本語が堪能で、政治や経済の話なども普通にできちゃうので、非常に頼りになる。

YouTubeの「踊ってみた」で一躍有名になった「いとくとら」ちゃんがゲストで呼ばれていて、前日の同じ便で太原入りしたが、やはり同じくらい遅れて到着したという。

両日とも天候は良好だったという。中国はインドとモメてるらしいけど、それと関係あんのかな? とにかく、たどり着けてよかったー。日曜のイベント出演は午後からなので、昼まで寝ていられる。

太原なんて都市名、日本人では聞いたことないって人がほとんどなのではないかと思う。私もその一人だったが。行ってみれば、歴史ある地区で、道幅が非常に広く、きちんと碁盤の目に区画整理されている。

知名度は低くても、ちょっとした国の首都ぐらいの規模がある。しかも、真新しくて、どこもかしこもピッカピカにみえる。

30階建てくらいの高層マンションがにょきにょき生えている。ひとつ設計したら、複数建てるのが効率いいようで、そっくり同じ建物が二〜三棟から十数棟ずつ群生している。

イベント会場の建物も立派であった。やたらと広くて天井が高いドーム状。イベント自体はさほど規模が大きくなく、ごく一部しか使っていない。

着いたらすぐにステージ。事前打合せが何もなく、いきなり「今からだからよろしく」と言われてステージに上がるのは、予想の範囲内。持ち時間が20分なのは聞いている。

目の前に300人ほど集まっている。去年、太原にたどり着けなかったけど、見捨てられずに今年も呼んでもらえてうれしいというようなことを語った。

羊羹氏が訳す前にどっと笑いが起きたり、一斉に拍手が起きたり。私のしゃべる日本語が理解できてる人が多かった。

その後も物販でも、その場でサインして渡すポスターの売れ行きが好調で、もともと取ってあった一時間では待機列が刷けず、延長した。

イベントの前後、羊羹氏と話す時間がたっぷりあり、聞きたかったことをいろいろ聞いた。政治や宗教など、センシティブな話題を振っても、殴り合いの喧嘩になったり、冷え込んで疎遠になったりしないという信頼関係の基盤があってこそである。

どうも中国で教育を受けた生徒は日本に対して、嫌な国だとの印象を持ち、嫌いになるらしい。けれど、漫画やアニメを通じて日本を知ると、たいへん好印象をもち、好きになるらしい。

国と国との政治的な関係と、人々の生活レベルの文化とは別物だとのアンビバレントな感情を抱くものらしい。

いったい中国では、日本のことをどんなふうに教えておるのだ? お国のために戦った先人たちの勇敢さを褒め称えるために、周辺国を悪者に仕立て上げてるんじゃないかい?

日本は中国や韓国や東南アジアの国々を侵略しておきながら、いまだに、あれは悪かったと認めて謝っていない。仲直りしたくても、日本の側がそんな強硬な姿勢を貫いているのでは、とうていできない、と羊羹氏。

その前に欧米列強が東南アジアの国々を次から次へと植民地支配している。当時はあれが正当化されていたのだから、日本の行為だって同じことだ。

それに、放っておくと、日本も餌食になりそうだとの危機意識から、アジア全体で手を組んで対抗しようという大東亜共栄圏の構想を敷き、団結しようとしてのことだ。周辺国に対して、インフラ整備などいいこともしているし、と私。

欧米は、後になって、植民地支配は悪いことだったと認めて、謝罪して、ちゃんと補償している。日本はいまだにそれをしていない。

いくらいいことをしたと言ったって、よその国を侵略して、自分の領土だと言い張ってインフラ整備したのでは、いいこととは言えない。それをもって許すわけにはいかない。

非を認めないどころか、首相が靖国神社を参拝して、戦犯者たちを持ち上げているではないか、と羊羹氏。

お国のために戦って死んだ戦没者に首相が感謝と追悼の意を表するのはおかしなことではない。その中に戦犯者たちもごっちゃに混じっているだけで、その人たちを特に肯定しているわけではない。

ただ、靖国参拝に対して中国や韓国がどう反応するか分かった上での挑発行為という側面があるのは認める。日本は戦争に負けて以来ずっと、アメリカの犬なのだ。

アメリカにとって、中国は最大の脅威。それがさらに、アジア諸国とがっちり手を組んで一枚岩になってはいっそう困る。火種を残しておきたいのだ。ポチとしては、飼い主様には逆らえないのだ。そこは理解してほしい、と私。

しかし、高校時代、社会科全般にわたって万年赤点だった私だ。教科書を作った中国政府の言い分にどの程度正当性があるのか、よく分からん。いちおう精一杯の言い訳を試みたわけだが、自分の言ってることが合ってるかどうかもよく分からん。

オレだったらもっとまともな議論ができるぞ、って人、次回の中国行きに同行してくれないだろうか。また羊羹氏が通訳してくれるって言ってるし。

写真:
https://photos.app.goo.gl/o161INPFne6uHFPq2



【GrowHair】GrowHair@yahoo.co.jp
セーラー服仙人カメコ。アイデンティティ拡散。
http://www.growhair-jk.com/


次回の中国行きだが、太原の翌週末、7月30日(日)に甘粛だ。8月には雲南省に行く話も来ている。スケジュールが割と立て込み気味。ううむ。乗り切れるのか?!