[4412] 『孫子』謀攻篇を一気に読破

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《パソコンなくても学習できる》

■まにまにころころ[124]
 ふんわり中国の古典(孫子・その4)
 謀攻篇を一気に読破
 川合和史@コロ。 Kawai Kazuhito

■クリエイター手抜きプロジェクト[516]IoT IchigoLatte編
 IchigoLatteを動かす
 古籏一浩




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■まにまにころころ[124]
ふんわり中国の古典(孫子・その4)
謀攻篇を一気に読破

川合和史@コロ。 Kawai Kazuhito
https://bn.dgcr.com/archives/20170911110200.html

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コロこと川合です。まにフェスが終わってはや一週間。まだ疲れが心身の奥に残っていることに、驚きと焦りと嘆きを感じる月曜日。

これが老いというやつか、と思わないでもないけど、よくよく考えれば過去の開催後だってひと月くらい抜け殻になってたような気も。

大丈夫、大丈夫、というわけで、元気に今回も孫子の話です。孫子に健康法とか回復法とか書いてないかなあ……

孫子は基本的に人を使う側の話なので、部下をどう活かして敵に勝つかということは書いてあっても、疲れた体にはこの漢方が効くよ、なんてことは書いてないんですよねえ。そんなこと書いてある兵法書、あったら逆に怖いけど。

行軍中、喉の渇いてきた部下に、この先に梅林があるよ、って言ったら、皆が梅干しを想像して唾液が出て渇きが癒えた、なんて故事は他でありますけどね。


◎──『孫子』作戦篇(四)

敵を倒す動機は怒り。敵の利を奪う動機は報償。だから、戦車戦で敵の戦車を十台以上も奪う働きがあれば、真っ先にその者を賞賛し褒美を与える。

そして、奪った戦車の旗を付け替えて自軍を乗り込ませ、捕虜は手厚く扱って取り込む。

これを「敵に勝って強さを増す」という。戦は勝つことを良しとし、長期戦を良しとしない。そのように戦のなんたるかを知る将軍は、国民の生命と国家の安危を司るのだ。


◎──『孫子』作戦篇(四)の解釈

ごめんなさい、作戦篇、四まででした。前回取り上げておけばよかった。内容も完全に前回の続きです。前回の部分は、長期戦は避けろ、物資は敵地で調達しろ、という話。今回、それに加えて、兵士のモチベーションの話と総括。

作戦の骨子にあたるのが、この篇ですね。

・戦争には国が傾くほどコストがかかるから、短期決戦が要。

・長期戦は勝ったところで疲弊してしまい、他国に狙われる。

・物資の調達は敵地で行うことで、輸送コストやリスクを大きく削減できる。

・敵を倒す動機付けは、敵に対する怒りをうえつけることによる。

・敵の持つものを奪う動機付けは、褒賞による。

・大きな戦果を挙げた者は、大いに賞賛し褒美を与える。

・敵から奪った軍需品や捕虜を自軍に編入し、勝つごとに軍を増強する。

こんな感じでしょうか。

コスト感覚、モチベーション管理、業績に応じた褒賞、設備や体制の増強、と。ほら、なんか経営者が好きそうな雰囲気でしょ。(笑)


◎──『孫子』謀攻篇(一 〜 四)

戦は敵国に損害を与えずに勝つのが上策で、打ち破るのは次善である。敵軍に損害を与えずに勝つのが上策で、打ち倒すのは次善。

大隊、中隊、小隊も同じく、打ち倒すのは次善にすぎない。百戦百勝が最上ではなくて、戦わずして相手を屈服させることが最上の策である。

したがって、最も望ましい戦というのは、敵のはかりごとを潰すことである。次いで、敵が頼みとする外交関係を潰すこと、さらに次いで、敵の軍隊を討つこと。

最悪なのは城攻めである。城攻めなど、他にどうしようもなくてやむを得ず行うものだ。攻城兵器の準備に三か月、土塁を築くにも三か月はかかる。

将軍が怒りを抑えられないがために、兵士をアリのように城壁にとりつかせて、兵士を三分の一も失ってなお城を落とせない、なんていうのは悲惨である。

つまり優れた将軍というものは、戦闘によらず敵兵を屈服させ、攻城戦をすることなく城を落とし、国を落とすのも長期戦に持ち込まない。相手に損害を与えることなく、何も損なうものが無い状態で天下を争う。

だから兵も損なわず、完全な状態で得るものを得るのだ。これを、敵のはかりごとを攻めることで、実現させる。これが「謀攻の法」というものである。

ここまでの話に従って戦の仕方を考えるならば、自軍の兵力が敵軍の十倍なら相手を包囲し、五倍なら攻めかけて、二倍なら相手の分断を図る。

互角ならば、頑張って戦う。劣っているならなんとか逃げ、勝てそうにないのならそもそも戦をしない。兵力が少ないのに頑なに挑んでも、強大な敵に虜にされてしまうだけである。


◎──『孫子』謀攻篇(一 〜 四)の解釈

要は、直接的な戦闘行為にいたる前に、相手を屈服させることこそ最上という話。そりゃそうだろうって話ですが、戦争ってのは殴り合いがすべてじゃないよと。

あいつとやり合ったらマズい、と思わせるのも戦争。兵器の開発競争だって、敵国を潰すためにするんじゃなくて、相手を屈服させるとか、譲歩を引き出すとか、そのためにするものですよね。孫子的には、理屈にはかなってる。

でも、大陸への進出を阻まれ、物資を絶たれ、外交的にも孤立させられ、結果、暴発を招いて大惨事に至った戦争もあったので、何事も理屈通りに事を運ぶというのは難しい。

こちらの理屈と相手の理屈が合致しない場合だって、多々ありますしね。教育レベルの問題もあれば、宗教や思想、信条が絡んでくる問題も。


◎──『孫子』謀攻篇(五 〜 六)

将軍というものは、国、すなわち君主の補佐役である。その将軍と君主が緊密であれば国は強く、隙があれば弱い。そのため、君主が軍に対して気をつけておくべきことが三つある。

一つ目は、進むべきではないことを知らずに進めと命じ、退くべきではないことを知らずに退けと命じること。これでは軍に枷をはめるというものだ。

二つ目は、軍のすべてを知らないのに、将軍と同じように軍について執務を執ろうとすること。これでは兵が困惑してしまう。

三つ目は、軍の部隊ごとの役割や指揮系統、現場での動き方を知りもしないのに、将軍と同じように命令すること。これでは兵は疑念を抱いてしまう。

軍が困惑し疑念を抱いていては、他国の諸侯に攻められるだろう。

君主が軍を統率する将軍をさしおいて余計な口出しをしては、軍は乱れ、利を逃すことになる。

つまり、勝利を得るためには五つのポイントがある。

一つ、戦うべきか否かを知るものは勝つ。

二つ、兵力に応じた戦い方を理解できるものは勝つ。

三つ、国のトップから末端の兵士まで目的を共有し一丸となれるものは勝つ。

四つ、十分な備えをして、相手の不備を待てるものは勝つ。

五つ、将軍が有能であり、君主がいたずらに干渉しないものは勝つ。そのため、相手を知り、己を知れば、百戦しても負けない。

相手を知らず、でも己を知っていれば、一勝一敗、勝つことも負けることもある。相手のことも己のことも知らなければ、戦うたびに負けるだろう。


◎──『孫子』謀攻篇(五 〜 六)の解釈

軍師や将軍の心の叫びというか。現場を知らないで余計な口出しをするな、と。

でもこれって、孫子のような優れた人間が将軍として部下にいてこその話で、信じて任せてしまうというのはなかなか難しいものなんですよね。

それでも、任せるべきことは任せ、目を配るべき要所のみを押さえて把握し、兵ではなく将軍に指針を示すのが、君主の仕事ということでしょう。

さて「彼を知り己を知れば、百戦あやうからず」というのは、孫子の中で最もよく知られているフレーズのひとつ。ここで出てきます。

これまた、そりゃそうだろうって話なので、相手の情報はどうやって入手するんだよと言いたくなるでしょうが、孫子の最後の篇にスパイを用いた情報戦の話が出てくるので、それまでお待ちください。

最後の勝つためのまとめが、分かりやすいですね。

・戦うべきかそうでないかの判断ができるか

・兵力に応じた戦い方ができるか

・上から下まで意思統一ができるか

・準備を整え、相手の不備につけこめるか

・信任できる将がいて、余計な口出しせずにいられるか

ほら、これまたなんか経営者が好きそうな雰囲気でしょ。(笑)

古代中国の兵法も、現代の会社経営も、根っこは似通ってるのが面白いところ。二千五百年前から必勝法が言われているのに、百戦百勝の国も会社もないのもまた面白いところ。

結局、これを知ってることに意味はあるのかという疑問も出てくると思いますが、ほら、『はじめの一歩』で鴨川会長が「努力した者がすべて報われるとは限らん。しかし、成功した者は皆すべからく努力しておる」と言ってるのと同じで、知っていることが勝利の必要条件ってことで。


◎──今回はここまで

今回、謀攻篇を一気に片付けました。ふんわりざっくり書いてるつもりでも、なかなか読むの面倒くさい感じだと思いますが、ちょいちょい面白くもあると思うので、どうぞお付き合いください。

最後に、孫子関係ないけど、まにフェス関係でプレゼントのお知らせ。

まにフェスにプレゼント提供していただいた、株式会社ティウェブさんの画像衆というサービス、会場でのプレゼントに加えて9/9までに無料会員登録された方に抽選でブランケットをプレゼント、というものがあったんですが、まにころ読者限定で、明日9/12(火)19時まで締め切りを延ばしていただけるとのこと。よければ応募してください。



まにころ読者かどうかの判定は、まあ、今日明日に登録した人、ってことで。

ちなみに画像衆というのは、イラストや画像素材のダウンロード販売サービスです。デザイナーさんはぜひ。プレゼントのブランケットに使われていますが、「模様」が特に豊富です。

・画像衆
http://www.t-web.co.jp/gazousyu/html/



【川合和史@コロ。】koro@cap-ut.co.jp
合同会社かぷっと代表
https://www.facebook.com/korowan

https://www.facebook.com/caputllc

http://manikabe.net/


○イベントのお知らせ

以前デジクリにも寄稿されていた深川正英さんが、毎年主催していた大阪でのクリエイター新年会「味園で新年交流会」が、次の第10回で最終回とのこと。最終回、なんと長髪の深川さんが断髪式も行われるそうです。

・最後の味園で新年交流会&断髪式
http://last-misono.peatix.com/


過去9回中半分くらいは参加しています。普通に楽しい新年会ですので、ぜひ。


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■クリエイター手抜きプロジェクト[516]IoT IchigoLatte編
IchigoLatteを動かす

古籏一浩
https://bn.dgcr.com/archives/20170911110100.html

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今回は、IchigoLatteを動かすために必要なものについて説明します。

IchigoLatteは一枚の基板だけで、モニタもなければキーボードもありません。実際にプログラミングを行うには、モニタやキーボードが必要です。

まずモニタですが、IchigoLatteでは普通のテレビに接続します。DVDやビデオデッキを接続する時に差し込む、ビデオ端子(Video端子)です。このため、IchigoLatteとテレビを接続するビデオケーブルが必要になります。DVDを持っている人であれば、そのケーブルを流用してもよいでしょう。

・ビデオケーブル(Videoケーブル)
https://www.amazon.co.jp/dp/B000FHHW5E/

https://ja.wikipedia.org/wiki/AV端子


次にキーボードです。IchigoLatteにはUSB端子がありますが、単純にUSBキーボードを接続しただけでは、うまくいかないことがあります。

これはIchigoLatteのキーボードが、PS/2ベースになっているからです。このため、接続するキーボードは「USBまたはPS/2」で使用できるものでないと使えません。また、USB-PS/2変換アダプタを使う方法もあります。

・USB-PS/2変換アダプタ
https://www.amazon.co.jp/dp/B01AHH3M9Q/


最後に電源です。IchigoLatteやラズベリーパイが小型化できたのも、この電源のおかげだと思います。スマートフォンが出る前は電源が大きかったのです。Mac miniを買い足すたびに電源が小さくなっていき、今ではあの小さな筐体に内包されてしまうまでになりました。

・Mac mini
http://www.apple.com/jp/mac-mini/


IchigoLatteの電源は、Androidスマートフォンで使われるmicro USB電源ケー
ブルを使います。

これで準備完了です。あとはIchigoLatteの電源を入れるだけです。IchigoLatteの電源を入れると、テレビには以下のように表示されます。なお、■はカーソルを示しています。

IchigoLatte 1.0.0 by na-s.jp
lash>■

IchigoLatteにはUNIXのようなシェルが用意されています。シェルのコマンドは多くありませんが、UNIXのシェル(bash等)を踏襲しています。すでにUNIXを使っている人はすぐに覚えられるでしょう。IchigoLatteのシェルには名前があって「lash」(ラッシュ)と言います。

IchigoLatteは開発環境を用意する必要はありません。エディタも最初から入っているので、あとはプログラムを入力して実行するだけです。エディタは以下のようにviと入力しリターンキーを押します。

IchigoLatte 1.0.0 by na-s.jp
lash>vi■

するとエディタが起動します。エディタが起動したら、あとはプログラムを入力するだけです。エディタを終了してシェルに戻るにはescキーを押します。

ということで、実際にプログラムを動かすのは次回説明します。


【古籏一浩】openspc@alpha.ocn.ne.jp
http://www.openspc2.org/


IchigoJam/IchigoLatteの意外なメリットとしては、「パソコンが不要」という点です。イギリスのMicrobitやembedなど、多くのIoT機器/教育用機器がパソコンを所有していることが前提になっていたりします。

IchigoJam/IchigoLatte以外に、パソコンがなくても動かせるのはラズベリーパイがあります。

今時はパソコンを持ってない人も多いので、IchigoJam/IchigoLatte、ラズベリーパイのように、パソコン不要で学習できる機器の方がよいのかもしれません。

・InDesign CS6 JavaScript Reference
http://www.openspc2.org/reibun/InDesignCS6/ref/


・Photoshop CS6 JavaScript Reference
http://www.openspc2.org/reibun/PhotoshopCS6/ref/


・Illustrator CS6 JavaScript Reference
http://www.openspc2.org/reibun/IllustratorCS6/ref/


・みんなのIchigoLatte入門 JavaScriptで楽しむゲーム作りと電子工作
https://www.amazon.co.jp/dp/4865940936

[正誤表]
http://www.openspc2.org/book/error/ichigoLatte/


・After Effects自動化サンプルプログラム 上巻、下巻
https://www.amazon.co.jp/dp/4844397591

https://www.amazon.co.jp/dp/4844397605


・IchigoLatteでIoT体験
https://www.amazon.co.jp/dp/B06X3X1CHP

http://digiconcart.com/dccartstore/cart/info/2561/218591


・みんなのIchigoJam入門 BASICで楽しむゲーム作りと電子工作
http://www.amazon.co.jp/dp/4865940332/


・Photoshop自動化基本編
http://www.amazon.co.jp/dp/B00W952JQW/


・Illustrator自動化基本編
http://www.amazon.co.jp/dp/B00R5MZ1PA/


・4K/ハイビジョン映像素材集
http://www.openspc2.org/HDTV/


・クリエイター手抜きプロジェクト
http://www.openspc2.org/projectX/



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編集後記(09/11)

●中央図書館に行ったときフト思いついて、中学校の歴史の教科書を見せてもらった(貸出は不可)。東京書籍の「新版 新しい社会 歴史」平成27年検定済みのわりと大判な本。よりによって偏向で知られる東京書籍の歴史教科書かい。

日本神話は一切載ってない。きれいさっぱり無視している。卑弥呼が魏に朝貢したと断定している。聖徳太子(厩戸皇子)が蘇我馬子と協力しながら、中国や朝鮮に学んで、大王(天皇)を中心とする政治制度を整えたと書く。日本神話を無視し、なにがなんでも中韓を上位に置くから、無理な記述になるのだ。

「三・一独立運動」の項で、こう書かれていた。「日本軍は、1937年末に首都の南京を占領し、その過程で、女性や子どもなど一般の人々や捕虜をふくむ多数の中国人を殺害しました(南京事件)」。欄外に「この事件は『南京大虐殺』とも呼ばれます。被害者の数については、さまざまな調査や研究が行われていますがいまだ確定していません」……って、大嘘を事実だと断定している。

「日本は植民地や占領地でも、厳しい動員を行いました。多数の朝鮮人や中国人が、意思に反して日本に連れてこられ、鉱山や工場などで劣悪な条件下で労働を強いられました。こうした動員は女性にもおよび、戦地で働かされた人もいました」って、いい加減なこと書くからトンデモ徴用工問題が出てくるんだ。心配していたが、さすがに慰安婦関係は一切載っていない。領土問題もきちんと記述している。

日露戦争後の日本を「国民の中には、帝国主義の一員になったという大国意識が生まれ、アジア諸国に対する優越感が固まりました」と決めつけ、石油やゴムなどの資源を獲得しようと南進したと書く。日本が負けたからアジアが独立したと書くが、日本がアジア諸国を独立させたという事実を一切書かない。

沖縄戦については、「日本軍によって集団自決に追い込まれた住民もいました」と、とんでもない断定をする。さらに「沖縄島では面積の18%がアメリカ軍事施設であり、事故、公害、犯罪などが起こっています」って、これまたヤバ過ぎる記述ではないか。目を疑ったが、ハッキリと教科書に書かれている。

日本人を醜く滑稽に描くビゴーの風刺画を、わざわざ五点も掲載する悪意がある。そして、「あたらしい憲法のはなし」という、戦後に短期間使用された、中学校一年生用社会科の教科書の一部を大きく掲載する。戦争放棄をノーテンキに謳いあげるおバカな文体だ。いまも某政党の団体が活用しているらしい。中学校の教科書に載せるのはまずいと思うが、東京書籍だから……。(柴田)

「あたらしい憲法のはなし」は青空文庫にあった。よいこはこれで憲法のお勉強をいたしませうw
http://www.aozora.gr.jp/cards/001128/files/43037_15804.html



●「画像衆」サービス。シームレスの「模様」いいっ。ハロウィンやパンダ模様もあったよ〜。/深川さんの断髪式!/まにフェスで、プログラミング教室ではIchigoJamを使われていると聞いた。

/水曜日からの続き。ポケモンGO。上席らが「いやあかん。この人数では負ける」と説得にかかったので「行けます。いま7人になりました」と抗う。なぜ抗えたのかが不思議だ。実はそのポケモンと戦うのは初めてだったのに、勝てるヴィジョンしか見えなかった。

「7人では……」
「あ、また一人増えました。8人!」(ボリューム高め)
「さっき9人で負けてん」
「レベルの低い人が多かったんですか?」
「私は一応3xだけど……あかんて」
「あ、9人になりました!」(ボリューム高め)
「……」
「10人!」(ボリューム高め)
「10人なら勝てるわ、やろう」

声を出したのは、入るかどうか迷っている人たちのためでもある。続く。 (hammer.mule)