[4431] 微妙で大事な加減をYouTube動画で会得

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《めっちゃ低反発!》

■装飾山イバラ道[209]
 微妙で大事な加減をYouTube動画で会得
 武田瑛夢

■Scenes Around Me[13]
 AKIRAさんとの事(2:1996年11月)
 のざらし画廊・捨て看板展
 関根正幸




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■装飾山イバラ道[209]
微妙で大事な加減をYouTube動画で会得

武田瑛夢
http://bn.dgcr.com/archives/20171010110200.html
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これまで私がYouTubeで見るのは、もっぱら猫動画だった。それが今は、いろんなジャンルの動画を作る人々がいるので、毎日楽しませてもらっている。

「困った時のYouTube動画」と言ってもいい。今は何かのやり方を知るのに、YouTube動画ほど便利なものはないかもしれない。

私はパソコンでつかういろいろなアプリケーションの、マニュアル本を作成する仕事をしてきた。動画は複雑な操作の説明にはあまり向かないし、本が持っている落ち着いて読める良さは変わらない。

しかし、数秒の連続した動きを流れで見せたいような場合には、やはり動画が一番てっとり早いと思う。

この点で「手芸」や「料理」は、動画との相性が素晴らしく良い。「手芸」は真珠のネックレスの糸通しの動画で、「料理」は秋刀魚を三枚におろす方法で、動画の便利さを実感した。

●真珠のオールノット

真珠のネックレスは真珠の粒の真ん中に空いた穴に、糸やワイヤーを通して作られている。しかし、この方法だと糸が古くなったり引っかかって切れた時に、すべての真珠の玉がバラバラと飛び散ってしまう、事故が起こる可能性がある。

真珠がもったいないだけでなく、切れる場所によっては周囲の人々が拾ってくれたりして、大変なことになりそうだ。

これを防ぐために、一粒ごとに糸を結んで玉を通していく「オールノット」という方法が昔からある。柔らかい糸で玉、結び目、玉、結び目と繰り返していくのだ。すべて結ぶからオールノットなのだ。

これだと一か所糸が切れたとしても、ネックレスは繋がったまま落ちるので、人に迷惑はかからない。このオールノットは手間がかかるそうで、数千円の加工料がかかる。

私が持っているネックレスもオールノットにしてもらったので、玉の間にきっちりと結び目がちょうど良いキツさで入っている。これを見て、どうやって結ぶのかに興味があったのだ。

YouTube動画で探してみると、その結び方をバッチリ解説している動画があった。真珠を糸で結んでいくなめらかな手つきを見ながら、長年の謎が解けたような気がした。

オールノットで真珠を結ぶのは、自分の頭で単純に考えていた方法とはだいぶ違っていた。

複数の方法があるようだけれど、私が見たのは玉に最初に一本の糸を通していて、その玉の穴に針がついた糸を再び通しながらきっちりと結んでいくというものだ。仕上がると玉には二本の糸が通っていることになる。

二本の糸でやるとはなるほどねぇ! という驚き。真珠は高いので、やはりプロに任せた方が安心だけれど、もっと安い天然石の玉だったら、自分でもトライできそうだ。

他に海外のオールノットの職人が結ぶ手際を見せる動画では、針は使わずに手で真珠を器用に移動させていた。とても早くて無駄のない動きは、見ていて飽きない。そして美しい。

●テンポが生む集中力

私は昔から人が編み物を編んでいるのは、見ているだけで面白いと思っていた。リズミカルな動きが好きなのかもしれない。母の編み物を編む手元は、かぎ針でも棒針でも見ているだけで楽しかった。

連続の作業というのは、ベテランになるとリズムが独特で、魅力的になるという不思議がある。リズミカルになるのは作業の効率のためだけでなく、本人が飽きないという効果もあるかもしれない。

私は自分でも帽子ぐらいは編むので、編み物にテンポがあるのはよくわかる。最初はぎこちないのが、ノってくると注意するポイントがわかり、無駄なく動けるのだ。

テンポを刻みながら編んでいくと、自分の意識が一瞬消えて、手が勝手に編み進めていくことがある。「無」になって編んでいたのか、脳が勝手に休むのかわからないけれど、何かしらの省エネモードなのは間違いない。

案外この時間って、集中できているような感じがして嫌いじゃないのだ。

YouTube動画には、延々と作業をするだけの動画が数多くある。お母さんの側で、毛糸が編まれて形になっていく様子をずーっと見ている子供の目線のような気持ちになってくる。

「すごいなぁ。上手だなぁ。zzz……」と、結局見ているだけだと眠くなってしまうけれど、身近な人にしか見せなかった手元の技術が、簡単に表舞台に出る時代なのだ。

●同時にできることの多さを競う

「ゲーム実況動画」というジャンルも、スプラトゥーン2をやって初めて興味を持って見た。今までやっていたゼルダのようなゲームの場合、できるだけ情報から離れてネタバレを避けてきた。ゲームを終了するまでは、動画を見るわけにはいかなかったのだ。

それが無事にガノン討伐を終え、YouTubeでゼルダ関連の動画を見て、その世界に驚いた。ゲーマーたちは独自に発見したものを動画にして、まったく異なる楽しみ方をしていたのだ。

トロッコとマグネキャッチで空を飛ぶアイデアなんて、私はゲームをしていて少しも思いつかなかった。これは開発者たちも驚いたアイデアのようだ。

スプラトゥーン2はシューティングで戦うので、「終わり」というものがないタイプのゲームだ。だからネタバレということも気にしなくていいので、動画による上手い人のテクニックや立ち回りがとても参考になる。

凄いと思うのは、ゲーム実況動画では喋りながらゲームをプレイしているのに、バンバン敵を倒していくことだ。四人対四人なので敵は四人いるのだけれど、どこに誰がいるのかの索敵が素早い。

ボムという爆弾を投げては相手を撃ち、高速で移動している。移動もイカになったりヒトになったりと常に変化しているのだ。

録画で後から声を当てている動画もあるけれど、説明しながら戦うことに特に苦を感じていないようだ。ライブ実況をしている人もいるので、同時にできることの多さというのが、ゲームの強さと言える気がしてくる。

照準を合わせるエイムの腕をあげるために、良いエイム練習の方法を紹介している動画も多い。私も動画を見て練習をして、もっとエイムの腕前を上げたい。

料理ジャンルでは秋刀魚の三枚おろしの動画は、この時期になると以前はほぼ必ず検索して見ていた。秋刀魚のお刺身がすごく好きなので、自分で作るためだけれど、ワンシーズンに二、三回ぐらい作って秋が終わってしまうので、動画を見ずに三枚おろしができるようになかなかならなかったのだ。

今はさすがに見なくてもできるけれど、料理では本当に動画のお世話になったと思う。クックパッドなどでも動画が増えていて、音楽と一緒に早いスピードで料理が出来上がっていくので、数秒で作り方の全貌がわかってしまう。

料理動画のおかげで、「少々」とか「適量」とか「火が通ったら」などの加減がわかる人が増えたのではないだろうか。

手芸でも料理でもゲームでも、作業上での「微妙だけれど大事な加減」を知ることに動画が役立つ。自分の周囲の人の教えだけに頼らなくてもいい。そういう時代が来ている有難さを感じるのだ。


【武田瑛夢/たけだえいむ】eimu@eimu.com
装飾アートの総本山WEBサイト"デコラティブマウンテン"
http://www.eimu.com/

YouTube動画で、流行りの「スクイーズ」を知った。小学生や中学生の少女たちが低反発素材でできた動物やパンのスクイーズを、ひたすら潰しては「めっちゃ低反発!」と喜んでいるものだ。

私もブルームのを一つ買ってみたら、すっかりハマってしまった。一昔前のゴム素材のものと違って、高品質のものは、驚くほど柔らかくてゆっくりと元の形に戻る。母もこれを握るのが楽しいみたいなので、年齢に関係なく「触感の癒し」というものはあると思う。


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■Scenes Around Me[13]
AKIRAさんとの事(2:1996年11月)
のざらし画廊・捨て看板展

関根正幸
http://bn.dgcr.com/archives/20171010110100.html
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のざらし画廊・捨て看板展の様子は、画像が小さいのですが、以下のリンク先に紹介されています。

http://www.akiramania.com/nozarasi/ng1/ng101.html

イベントの正確な日付は思い出せませんが、AKIRAさんのことだから、芸術に引っ掛けて文化の日(1996年11月3日)に開催したのだと思います。

当日の午後、私は自転車でA倉庫(AKIRAさんが管理人兼アトリエとして使っていた劇団の倉庫)に向かいました。

A倉庫は上井草駅〜井荻駅間の西武新宿線沿いにありましたが、取り壊されて現在はマンションになっています。

参加者は50名近くにのぼりました。皆、AKIRAさんが用意した捨て看板に、思い思いの絵を描いていました。

夕方になって看板を幌付きのトラックに積みこみ、銀座に向かいました。暗くなった頃に銀座に到着、トラックから看板を降ろし、街中の街路樹や電柱に各自の作品を設置しました。

その後、数寄屋橋近くの公園で集会を行い、解散しました。


この日、個人的に何枚か写真を撮影しました。この頃はまだ記録写真を撮るというスタンスではなく、公開するのには忍びないレベルの写真ですが、紹介します。

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参加者が捨て看板に絵を描いた後、画廊主のAKIRAさんが登場したところ。後の回で取り上げる予定の、潮干狩りギャラリーを主催した芳賀徹(納豆漁協120m集合)さんや、TOTOTOというミニコミを作っていた渡辺作郎さんが写っています。

https://farm5.staticflickr.com/4477/37470881872_4f42c20474_c.jpg

何もこのタイミングで撮らなくても、という写真ですが、看板とともにトラックの荷台に乗り込んだ有志たち。個人的に懐かしい面々が写っています。

https://farm5.staticflickr.com/4477/36791981854_9fb5591ab5_c.jpg

銀座に到着後、トラックから看板を降ろすAKIRAさん。柳が写っているのは、トラックを銀座の柳の近くに止めようとしたのかもしれません。

https://farm5.staticflickr.com/4411/37124805926_37e9194319_c.jpg

岡画郎からの参加者、ナナ君に頼まれて記念写真を撮りました。

https://farm5.staticflickr.com/4502/36791979714_5e1a1024c0_c.jpg

イベントの翌日、自分が設置した看板を撮影しました。失敗したり、不要になった写真を、ブドウの房の形に看板に貼り付けています。

https://farm5.staticflickr.com/4417/37124805076_cf83879cb4_c.jpg

捨て看板を設置後、数寄屋橋近くの公園で集会を行なった時の写真。撮影はしませんでしたが、この時、武盾一郎さんに講評してもらいました。

武さんは新宿西口通路の突起物に絵を描いて勾留された後だったらしく、いちばん尖っていた時期だと思います。

ただ、この時、新宿西口にあった段ボールハウス村のことは知らず、武さんのような人がいることは、この日初めて知りました。

後に、武さんに誘われて東京大学駒場寮に出入りするようになるとは、思いもよりませんでした。


【せきね・まさゆき】
sekinema@hotmail.com
http://www.geocities.jp/sekinemajp/photos

1965年生まれ。非常勤で数学を教えるかたわら、中山道、庚申塔の様な自転車で移動中に気になったものや、ライブ、美術展、パフォーマンスなどの写真を雑多に撮影しています。記録魔。


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編集後記(10/10)

●TBS ヴィンテージ クラシックス編「告白 三島由紀夫未公開インタビュー」を読んだ(2017/講談社)。聞き手はジョン・ベスター、英国人の翻訳家で三島の「太陽と鉄」ほか、日本人作家の作品多数の翻訳をてがけた。本書「告白」のインタビューのテープをTBSの倉庫で“発見”したのは、プロデューサー小島英人。発見から確認までのプロセスが、あとがきで詳しく語られている。

2017年1月12日、読売新聞朝刊が第一面で特報した。この記事は読んだ記憶がある。このインタビューは「太陽と鉄」の翻訳の最中に、ベスター側から確認のために求めたものであるが、話の内容はそれだけに留まらず、川端康成論、ダンディズム論、文明論、芸術論、認識論、小説の方法論、現代人への嘆き、未来の創作の種まで明かしている。三島の当時の思索を窺い知る内容である。

このテープには研究者や近しかった人たちが驚く口調と内容があった。小島は三島家に二度手紙を書き、公開の許可を求めたという。「こんなにのびやかで平明で、仮面、意識、鎧、演技、仕掛け、力瘤といったもろもろからみごとに無重力なやわらかな三島由紀夫さんのおはなしぶりがあの昭和45年に存在したのだという驚きがわたしのまずもっての感想でした」。本当にそう感じられる。

ベスターは、三島の文章は案外そのまま直訳してもけっこう英語になる、変な言い方ですけど、わかるでしょう、と問う。言葉の使い方とかなんとかが西洋的なんですね、と三島は肯定する。三島が日本について考えるようになったのは、西洋的な思想構造を少し勉強してから後で、日本というものが分かり出したような気がする。それまでは日本というものがよく分からなかった、と笑う。

「僕は、自分のやっていることを人にわかってくれと言うのはとても嫌いなんです。女の言うことだ。(略)『私はこんなに愛しているのよ。わかってください』と言うのは嫌いなんです」。現代の日本の社会で、特にお嫌いなところは、という問いに「偽善ですね。ヒポクリシー」。そういう日本人の偽善はとくにどういう面でか、と問いに「平和憲法です。あれが偽善のもとです」

三島は憲法九条が全部いけないとは言っていない。第二項がいけない。アメリカの念押しの規定を、変な学者が逆解釈して、うわべをとりつくろってきた。「僕はそういうことは大嫌いなんです。人間がごまかしてそうやって生きていくというのに耐えられない。本当に嫌いですね、それだけのことです」

現在の日本語は、思想を表現する手段として、よくできているか、という問いに「よくできていませんねえ。例えば僕が現代日本語に一番絶望したのは1960年の安保闘争のときですよね。『民主主義を守れ』というプラカードがいっぱいありました。その一人一人が言っている『民主主義』という意味がみんな違うんですもの。言葉がこんなに多義的に使われたら、文学なんて成り立たないですよ。言葉というものは、一語が一つの意味しかもたないということで文学が成り立っている。(略)それが文学者の最後の確信でしょう」

三島は自らをシェパードだという。「ストレイシープが柵の外にいっぱいいるんです。それは言葉ですね。それを柵の中に連れてくるのが僕の仕事です。僕はその仕事に一生を捧げているんだからシェパードですね」。なるほどねー。三島の本名は平岡公威である。外国人の読者にこう自己紹介したらどうかと笑う。「プレーンヒル・パブリックディグニティ。ハッハハハ」。うーん……。

ほんの一部を引っ張ってきたが、本文全体はわりと平易で、気楽にすいすい読める。この本では「太陽と鉄」も掲載されている。こっちは正直、わたしには手に余る。わたしの書棚には、一番最初に出版された三島由紀夫全集(新潮社)全36巻が並んでいる。堂々たる一群である。本当に読んだのはそのうち数巻しかない。生きているうちに全巻読破できるだろうか。自信はない。 (柴田)

TBS ヴィンテージ クラシックス編「告白 三島由紀夫未公開インタビュー」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062206544/dgcrcom-22/

自決9か月前、三島由紀夫の肉声テープ見つかる YOMIURI ONLINE
http://www.yomiuri.co.jp/stream/?id=05685


●真珠のネックレスの糸通し動画を見たことあります!/ゲーム実況動画で、何日もかかるゲームを1時間もかからずクリアするのを見て驚いたことがある。/同じく料理動画も!

/洗濯機修理の続き。約1時間で終了。洗濯機はすっかり元の姿に戻っていた。決済時に明細を見た。部品代5,000円、出張費2,500円(2回)、技術料7,500円。最初に修理代を聞いたときには高いと思ったのだが、これだけやって技術料7,500円は安すぎるんじゃなかろうか。

聞くと、もう一段階ばらすパターンがあって、それだと技術料で2万はかかるらしい。私はその前段階だったので安い、と。ラッキー!

作業場所が広かったので助かりましたとも言われた。使えるのは1畳ぐらいなのだが、もっと狭いところでの作業をすることもあるらしい。あまりやったことのない機種だったとも。

一人で来て、診断して見積して部品注文して、バラして交換して元通りに組み立てて、稼働・水漏れテストにカード決済に報告まで。プロや〜! (hammer.mule)