装飾山イバラ道[210]他人の勧めに乗る勧め/武田瑛夢

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他人から何か勧められたらまずはやってみる、この効果はなかなか大きい。

今年の秋には夫の実母の三回忌があった。時間というのはあっという間に過ぎるものだ。過去の法事の反省事項をテキストにまとめてあったので、それを読んだりして失敗のないようにしたけれど、幾つかのミスは起こってしまう。周囲の人の助けによって補いながら、何とか終えることができた。

人にも頼っていいんだよと、お母さんに教えられているような気もした。そういう心のつながりのようなものを感じる。

うちのお寺の副住職さんは、若くてとても心強い。やはり若さというのは未来なのだと思う。よく通る声のお経は、伸びやかで心地よい。

お経というのは参列者も一緒に声を出して読んでよい部分があるので、副住職さんにはいつも声出しを勧められる。





ただ、大きい声を出すというのは恥ずかしさがあって、今までは小さい声でしか読めなかった。昨年私はそれを反省して、今年こそは声を出すと決めていたので、手渡されたお経の本を見ながら、しっかりと声を出してみた。

独特のリズムで進んでいくお経は、思ったよりも読みやすい。息継ぎのタイミングは副住職さんが叩いている木魚の音に合わせればいいのだが、なかなか難しかった。

そして、お香の煙がけっこう喉にくる。何度かむせてしまったけれど、途中から「鼻から吸って口で吐く」呼吸に気がついて、だいぶよくなった。

それにしてもこれだけ長いお経を、私よりお香の煙に近い席で淀みない声で続けていく副住職さんは、すごいものだ。いやそんなことを考えずに、もっと法事に集中せねばなるまい。

一通りお堂でのお経が終わると、副住職さんにも私の声が届いていたとようなことを言って頂けたので良かった。声を出す効果は、やってみていろいろわかった。

故人に言葉を届ける気持ちや、儀式を一緒に作っていく感覚、集まっている人たちが人任せにしない法事を行うために大切だと思った。

今回は雑念がだいぶあったけれど、私のコラムって私の雑念や妄想でできているところが大きいので、しょうがないかと諦める。

●食の勧め

人からあれ美味しいよと言われれば、試してみたくなるのが私だ。私の夫は真逆で、自分の好きな味や食べ方を大事にする。どんなにいろんな種類のケーキが並んでいても、いちごのショートケーキを選ぶ。

今川焼きはカスタードクリームなどの新しいタイプを無視して、夫は小豆しか食べない。冒険しても白あんまでだ。季節限定のかぼちゃあんがあったりしたら、私ならまずはそれを選ぶけどな。

ところが、一緒に暮らすのが長くなったせいか、鍋焼きうどんに卵を落とす美味しさを最近ようやく受け入れた。すごい進歩だ。冒険の扉が少しだけ重いのかもしれない。

逆に私の方が、「結局、ケーキってショートケーキが一番美味しいのかもしれない」と夫のような考えになってきた。お互いの極端さが中和されたからなのだろうか。

人間の健康を考えてみても、偏るよりは平均的な食べ方がよさそうなので、他人の意見に刺激を受けるのは良いことだと思う。嫌いなものや危ないと感じるものを食べないのも、人類の生存確率を上げるために必要なことだ。

「なんでー? 変なの」と思うような食の好みやこだわりにも、何かしらの価値ある訳が存在すると思うのだ。他人のこだわりを自分に取り入れるのも、たまには楽しい。

●ターニングポイントになる勧め

他人の勧めの効果は、より大きいものもある。人生のターニングポイントになるような大きな決断に、人の意見を取り入れる場合だ。私の場合は、後から思い返せばあの決断は大きかったと気がつくことが多い。

若かった私に「絶対Macを買った方がいい」と言ったバイト先の男の先輩、ハワイに行くなら「ハナウマベイに行った方がいい」と言った女の先輩、私からの手紙を読んで「文章を書いた方がいい」と言った若い頃の夫、思い返せば大小いろいろな人生のシーンに「他人の勧め」があった。

上記の勧めはすべて、やってみたらとても良い結果を生んだし、感謝している。

「文章は読んでくれる人がいる場所で書いた方がいい」というような言葉で、このコラム書きを勧めてくれた柴田さんにも感謝。そういえば柴田さんには「早くEメールのネット環境を持て」というような昔の頃から、あらゆる勧めを頂いてきたと思う。あの時ネット回線につないでいなかったら、どうなっていたんだろう(笑)。

これ以外にも色々な方々からの、やるべき勧めがたくさんストックされているので、本当はストックしないでやらなければならない。優先順位があるわけではないけれど、若くないとできないことや、無理してでもやった方がいいことなど、何かを変える可能性のある勧めは率先してやったかもしれない。

若い人に言いたいのは「初めてだけれどちょっと無理をすればできる」ようなこと、は絶対にやった方がいいということだ。

すっごく無理ならやめる選択もあるけれど、ちょっと頑張ればできそうならやる。「やったことないので」と断ってしまう人をたくさん見てきたので、そう思う。もちろん、選択はその人自身のものなので自由でいいけれど。

私もかなり自分勝手なので、勧められたものをそのまま受け入れてはいないし、気乗りがしなかったり、熟考しすぎたりしがちな方だ。「でもなー、だけどなー、やっぱりなー」というタイプの、重い腰体質が嫌になることもある。

しかし、なぜかポーンとできる時もあるので、その違いを自分でも気がついたらいいのだと思う。

そこに飛び込む前の自分には、その後に起こることはわからないのだが、飛び込んだら変わる自分を、信じるしかないのだと思う。心から言ってくれる人の想いを大切にしたい。


【武田瑛夢/たけだえいむ】eimu@eimu.com
装飾アートの総本山WEBサイト"デコラティブマウンテン"
http://www.eimu.com/

スプラトゥーン2はアップデートのたびにブキを変えてみたりしている。ボールドの限界を感じたので、N-ZAPをしばらく使っていたけれど、最近はプライムシューターに変えた。射程が長いのっていい! と気に入っている。

照準合わせのエイムはまだ自信がないので、ギアでエイムが素早く合う「オートエイム」があればいいのにと妄想。

私はアニメの「コブラ」が好きだったので、あの自動照準が欲しいのだ。そんなのあったら逆につまんないか。と思って検索してみたら、有名なチート(ズル)の手段として、既にこれで荒らされたゲームがあるんですね。

「オートエイム」とか「エイムアシスト」とか言うらしい。私も考えたことがあるのだが、ズルいなぁ。まぁ、きちんと自分のウデを上げようと思う。