[4454] 腕時計のブランド〈エルメス〉

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《犯人が殺したかった人物は全員死ぬ》

■腕時計百科事典[48]
 腕時計のブランド(エルメス)
 吉田貴之

■クリエイター手抜きプロジェクト[523]イベント編
 マッシュアップアワード2017
 古籏一浩

■映画ザビエル[45]
 せやかて、工藤
 カンクロー




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■腕時計百科事典[48]
腕時計のブランド(エルメス)

吉田貴之
https://bn.dgcr.com/archives/20171113110300.html

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ファッションブランドとしての知名度が高いエルメスですが、腕時計にも積極的に取り組んでいます。革製品のプロフェッショナルがつくる腕時計は、時計本体も革バンドも主役になれる、アイデアに溢れたデザインの名品が沢山あります。

●エルメスの歴史

エルメスがもともと馬具工房として設立されたことは有名です。これをエルメスの歴史に組み込むとすれば、1837年から続くブランドということになります。

馬具製作で成功していたものの、馬車に取って代わる「自動車」の発展と普及を目の当たりにした3代目、エミール=モーリス・エルメスが、鞄など皮革製
品の製造と販売に着手します。

ここからエルメスは、服飾品や装身具、香水や腕時計などを総合的に手がける、ファッションブランドへの変身を遂げていきます。

●エルメスの時計

1920年代に、エルメスは初めての腕時計をリリースしました。これ以前にも、自社の皮革加工技術を応用して、腕に懐中時計を巻き付けるタイプの時計を製作していたようです。

同時期に、腕時計用の革ベルトの製造販売もスタートしています。これは他の時計ブランドには見られない、エルメスならではの歴史と言えるでしょう。

●ラ・モントル・エルメス

エルメスと言えばケリーバッグ、といわれるほど有名なバッグがありますが、これをモチーフにした時計を1975年にリリースしています。その独創的なデザインは高い評価を受け、これに手応えを感じたエルメス社は、時計産業への本格参入を決めました。

そのわずか三年後、1978年に「ラ・モントル・エルメス」を設立します。フランスの企業であるエルメスが、時計専門の会社をわざわざスイスに設立したことからも、その本気度合いをうかがい知ることが出来ます。

当時はクラシカルなデザインで、嫌味のないエレガントな印象の腕時計を多く製作しました。

●ラインナップの強化

ラ・モントル・エルメスの設立以降は、名作を多数輩出しています。1981年に登場した「クリッパー」は、舷窓を想起させるデザインのベゼルが特徴的な腕時計です。

また、1997年にはブランドの頭文字である「H」をモチーフにした「Hウォッチ」をリリース。エルメスがファッションブランドとして確立しているからこそできる強気なデザインでしたが、それを指示するエルメスファンを中心に人気を集めました。

●マニュファクチュール

もともとマニュファクチュール指向の強かったエルメスですが、2006年にヴォシェ・マニュファクチュール・フルリエの25%にも及ぶ株式を取得すると、その6年後には共同開発のムーブメントである、キャリバーH1837とH1912を発表します。

これにより、外装だけではなく、ムーブメントにもブランドの意思を注入出来、エルメスの腕時計は時計マニアからも評価されるものとなりました。

●ラインナップの強化

以降もラインナップの拡大は続きます。「スリム・ドゥ・エルメス」は、腕時計の基本を追求したシンプルなモデルです。時代の要求を敏感に感じ取り、デザインとして、製品として落とし込む能力に長けたブランドと言えるでしょう。

並行して、時計技術の追求によるブランディングも積極的に行っており、アトモスクロックやクロノグラフの開発、エナメル文字盤や寄木細工文字盤の採用など、あらゆる角度から腕時計という文化に挑戦しようとするエルメスの姿勢は評価に値します。


【吉田貴之】info@nowebnolife.com

イディア:情報デザインと情報アーキテクチャ
http://www.idia.jp/


兵庫県神戸市在住。Webサイトの企画や制作、運営を生業としながら、情報の整理や表現について研究しています。


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■クリエイター手抜きプロジェクト[523]イベント編
マッシュアップアワード2017

古籏一浩
https://bn.dgcr.com/archives/20171113110200.html

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今回は、11月2日〜3日にわたって行われた「マッシュアップアワード2017」のイベントレポートです。

マッシュアップアワードは日本各地で行われており、私が参加したのは信州でのイベントになります。信州では「塩尻ハッカソン」という名称で、マッシュアップアワードのページに記載されています。会場はいつもと同じ塩尻インキュベーションプラザです。

・マッシュアップアワード2017
http://mashupaward.jp/


・塩尻ハッカソン
http://mashupaward.jp/tag/塩尻/


・塩尻インキュベーションプラザ(会場)
http://sip.shiojiri.com/


マッシュアップアワードは、様々なAPIを組み合わせて新たなサービスを作ったりするのが始まりでした。数年前までは制限がありましたが、今となっては実質制限なしの製作イベントみたいな感じです。

ちなみに、この連載で扱っているIchigoJamも、数年前のマッシュアップアワードに出展されていました。

・IchigoJam
http://ma10.mashupaward.jp/works/1460


さて、塩尻市で行われたマッシュアップアワードのイベントは、11月2日(木)の午後6時半から開始されました。終了は翌日の11月3日(金)午後5時頃までです。

二日間にわたるイベントですが、会場で徹夜で製作するわけではありません。夜の時間も製作できればいいのでしょうけど、今回は初日にアイデアを出して翌日製作という状態でした。製作は個人単位でもいいですし、グループでも構いません。

問題は「何を作るか?」です。

作るものが決まっていないので、最初にアイデアを出し合います。アイデアはテーマが書かれた紙に沿って考えます。で、なぜかマシュマロを作れないか? という話になって、すべてがマシュマロベースのネタに……。

調べるとマシュマロは簡単にできそうということで、却下となりました。次に出て来たのが流行りネタ(?)である、VRことヴァーチャルリアリティ。

しかし、出てきたネタが「巨大マシュマロが食えるVR」「海で溺れるVR」「VRヤク○」等々。どんどん危ないネタばかりになり、VR絡みも却下されました。

いろいろアイデアは出たものの「作りたいものを作りましょう」「一番作りたいものを作りましょう」という主催側の意見で、前々から自分が作りたかったものにしました。

作成するのは「合体・変形メカ」です。この合体・変形メカは、ダンボールとガムテープで製作することにしました。

他のグループは以前作成したネタの延長になっており、すでにある程度開発してあるようでした。しかし、こちらは何も用意してありません。

材料も何もないので、翌日ホームセンターが開いたら、すぐに必要なものを買ってこないといけません。おまけに翌日は、一時間近く仕事のため使えないという状態。実質、四時間くらいで作らないといけません。

時間がないのでかなり妥協しました。設計図がないので、どこかで見たようなシロモノ。全部はできないので、全体の1/3だけ作ることにしました。

また、1/3では合体は無理ということで、変形するだけに。どんどん妥協していったので、もう最低限のレベル。こんな感じで変形メカを作成してました。

・素材


最終的には全部合体して、ロボットになって起き上がれば完成なんですが、まあそこに行き着くまでには何年もかかりそうです。

3段階(Tank, Fighter, Robot parts)に変形する、どこかで見たようなAメカですが、時間がないのでウィングもないし、できていない部分が凄く多い状態でした。もう4時間ほどあれば完成できたかなとは思うのですが。

キャタピタの代わりに取り付けるキャスターも、たくさん買ってきたのですが、取り付ける時間がまったくありませんでした。

・合体・変形メカ


頭部はパソコンミニMZ-80Cにしました。ところが、最後の20分になって、この頭部が格納できないことが判明。頭部を斜めにするかどうにかしないと収まりません。

仕方なく頭部を収納する部分を盛り上げることに。何とか残り一分で形になりそうなものができあがりました。

プレゼン資料も何もないので、もう現物を見せてぶっつけ本番でやりました。完全アナログでしたが、一応「まなみん賞」をもらいました。

・まなみん賞


やはり何か作るには結構な時間が必要ですね……。

・集合写真



【古籏一浩】openspc@alpha.ocn.ne.jp
http://www.openspc2.org/


赤いロボットだと、まあアレだなと分かる人も多いかもしれません。無茶な変形でも、ダンボールならどうにかなるはずです。ちなみに手は軍手でちゃんと作ってあります。

全部作って完成させて〜と言われたけど、どうしたものかf(^^;

全部合体させると2mくらいの高さになってしまうので、家に置き場所がなくなってしまいます。

・InDesign CS6 JavaScript Reference
http://www.openspc2.org/reibun/InDesignCS6/ref/


・Photoshop CS6 JavaScript Reference
http://www.openspc2.org/reibun/PhotoshopCS6/ref/


・Illustrator CS6 JavaScript Reference
http://www.openspc2.org/reibun/IllustratorCS6/ref/


・みんなのIchigoLatte入門 JavaScriptで楽しむゲーム作りと電子工作
https://www.amazon.co.jp/dp/4865940936

[正誤表]
http://www.openspc2.org/book/error/ichigoLatte/


・After Effects自動化サンプルプログラム 上巻、下巻
https://www.amazon.co.jp/dp/4844397591

https://www.amazon.co.jp/dp/4844397605


・IchigoLatteでIoT体験
https://www.amazon.co.jp/dp/B06X3X1CHP

http://digiconcart.com/dccartstore/cart/info/2561/218591


・みんなのIchigoJam入門 BASICで楽しむゲーム作りと電子工作
http://www.amazon.co.jp/dp/4865940332/


・Photoshop自動化基本編
http://www.amazon.co.jp/dp/B00W952JQW/


・Illustrator自動化基本編
http://www.amazon.co.jp/dp/B00R5MZ1PA/


・4K/ハイビジョン映像素材集
http://www.openspc2.org/HDTV/


・クリエイター手抜きプロジェクト
http://www.openspc2.org/projectX/



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■映画ザビエル[45]
せやかて、工藤

カンクロー
https://bn.dgcr.com/archives/20171113110100.html

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◎犬神家の一族(1976年)

公開年度:1976年
制作国・地域:日本
上映時間:146分
監督:市川崑
出演:石坂浩二、島田陽子、高峰三枝子、あおい輝彦

●だいたいこんな話(作品概要)

原作は、横溝正史による推理小説「金田一耕助シリーズ」のひとつ。「八つ墓村」に次いで、映像化の多い作品。市川崑監督&石坂浩二主演による金田一シリーズの第一作でもあり、2006年に監督・主演を同じくしてリメイクもされている。

裸一貫から莫大な財をなした犬神佐兵衛が、終戦後しばらくして亡くなる。一度も正式な妻をめとらなかった佐兵衛には、母親の違う三人の娘がおり、それぞれが男児をもうけていた。

彼の遺言を巡り、不穏な気配を感じた担当弁護士の一人が探偵・金田一耕助を呼び寄せる。金田一が到着するとすぐ、犬神家にゆかりのある珠代が湖で溺れかける。乗っていたボートには穴が開けられていた。

その騒動の間に、金田一の依頼人である弁護士も殺害されてしまう。この殺人はすべての皮切りに過ぎなかった。

●わたくし的見解

名探偵とは、一体いかなるものなのか。

探偵とつくものに(ポアロやミス・マープル、松田優作の工藤ちゃん、犬ホームズからヴェネディクト・カンバーバッチに至るまで)何かと飛びつきがちな自分であるが、しばしば「名探偵」なるものに疑いを抱いてきた。

とくに金田一シリーズのような長編映像作品は、多くが連続殺人事件で、だいたいにおいて犯人が殺したかった人物は全員死ぬ。

一人目が殺されるのは、晴天の霹靂として仕方ない。二人目も、まあ良しとしましょう。三人目が殺される前には、これは連続殺人だと名探偵はすでに認識しているが、殺人を未然に防げた試しはない。

犯人にとっての唯一の誤算は、名探偵がその場に居合わせたこと。なのだろうけど、どうしても殺したい人間を計画どおりに全員殺せたのだから、警察に捕まろうが本望と言えそう。

松田優作じゃない方の工藤ちゃん。見た目は子供、頭脳はバーロー「名探偵コナン」にいたっては、連れ合いの少年探偵団(ガチの小学生)と行動すれば、ほぼほぼ凶悪犯罪が起きる世界屈指の犯罪都市、米花町で日々を過ごし、時折エセ名探偵の毛利小五郎に便乗し、地方へ行けば人が死ぬ。

事件を解決した功績よりも、縁起の悪さが気になっちゃう感じ。行く先々で、人が死ぬ。それが名探偵の定義であるかのよう。これは、莫大なエピソード数を誇る作品ゆえの弊害に違いない。

「シャーロック・ホームズ」などは殺人事件以外のエピソードも豊富なので、難事件があってこそ名探偵に依頼がくる、というのが本来の図式と思われる。

しかし、本題の金田一耕助。この人に与えられた名探偵の肩書きが、子供の頃から謎だった。この人はいつも、依頼人から「良からぬことが起きるから頼む」と仰せつかって現場にやってくる。

そもそも、何か起きちゃうから呼ばれてるのだから、最初の殺人も晴天の霹靂とは言い難い。その後も、連続殺人の法則のようなものには気付き、名探偵らしさを見せはする。

ところが、見立て殺人に使われる俳句が書かれた短冊に気付きながらも「字が達筆すぎて読めない」とか(「獄門島」)同じく見立てに使われている手毬唄を知る婆さんが、唄の続きが思い出せないとか(「悪魔の手毬唄」)。

とにかくいつも、金田一がモタモタしているうちに次々と人は死に、犯人はミッション・コンプリート。しかも金田一シリーズは大抵の場合、犯人が自ら命を絶ち、それさえも名探偵は防ぐことが出来ずに終わる。「しまった!!」じゃねぇし。

金田一シリーズは、ついつい映像のおどろおどろしさを期待し、そちらにばかり目がいってしまう。子供の頃から何度となく、怖いもの見たさでイベントごとのように観ていた「犬神家の一族」であったが、改めてじっくり向き合ってみると、映画作品として感銘を受ける部分が多々あった。

もはやアイコンとも言うべき、かの有名な湖畔から下半身が逆さまに飛び出している映像は、インパクトが強過ぎて「斧(よき)」の見立てであるという印象が、全くわたくしの中に残っていないことに驚く。

だいたい「犬神家」は、「斧、琴、菊」すべての見立てが、佐清(すけきよ)のゴム面ベリベリにかき消されていると言ってよい。

しかし、ゴム面ベリベリに飽きもせずヒャッと驚きながらも、今回の鑑賞でわたくしの心をグッと鷲掴みにしたのは、遺言の発表をするだ、しないだの中で繰り広げられる松子、竹子、梅子、三姉妹のやりとりである。

三姉妹と言っても、いずれも成人した男児のいるオバさんで、遺言が絡んだ時の欲のぶつかり合いや、身内どうしゆえの遠慮のなさの表現には目を見張るものがあった。

短いシーンながらも、そこにある会話のテンポの良さは完璧以上で、あの緊張感を意図的に作り出せているなんて。あれは、キング・オブ・コントの決勝にもいけるし、邦画史上屈指の名シーンと嘯きたい。

名探偵についてだが、実は本作のラストシーンで金田一自身が、どれかひとつでも殺人を未然に防げなった、不甲斐ない自分について語っている。

しかし依頼人は、警察の通り一遍の捜査では「何故このような不幸な事件が起きたのか」分からず仕舞いだったに違いない。と金田一を評価し感謝する。

警察の捜査がずさんなのは戦後すぐという古い時代設定のせいもあるが、確かに現代でさえ、何故こんな事が起きてしまったのか、までは辿り着けないことも多いに違いない。

そんな時、親身になって調査し、真相をつまびらかにしてくれる存在は、きっと事件で傷ついた人達のささやかな救いになるのだろう。名探偵とは、その役割を担うものなのだなと、やっと納得できた。

石坂浩二さんの魅力もさることながら、悲惨な事件が続くなかで箸休め的役割というか、オアシスのような存在の、若き日の坂口良子さんが、べらぼうに可愛い。

一大ブームを引き起こしたシリーズであることに納得づくし。他のシリーズ作品も真剣に再鑑賞してみたが、やはり一作目の「犬神家の一族」が抜きん出てキレッキレにエッジが効いていて、金字塔的作品に思えた。


【カンクロー】info@eigaxavier.com
映画ザビエル http://www.eigaxavier.com/


映画については好みが固定化されてきており、こういったコラムを書く者としては年間の鑑賞本数は少ないと思います。その分、だいぶ鼻が利くようになっていて、劇場まで足を運んでハズレにあたることは、まずありません。

時間とお金を費やした以上は、元を取るまで楽しまないと、というケチな思考からくる結果かも知れませんが。

私の文章と比べれば、必ず時間を費やす価値のある映画をご紹介します。読んで下さった方が「映画を楽しむ」時に、ほんの少しでもお役に立てれば嬉しく思います。


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編集後記(11/13)

●英語を使うビジネスの第一線で、長い間活躍してきた前田正晶さんのコラムを何度か紹介してきた。和製英語(=造語)と妙なカタカナ語を容赦なく糾弾する小気味いい論調で、なるほど、ほんとにそうですねーといつも同調してきた。なんと、わたしが生まれた頃に旧制中学に入学したというご高齢だった。

「子供頃から英語に馴染ませれば、よく出来るようになるという錯覚を起こしている連中が、我が国の教育行政の中枢にいる事実を何とするか」「日本語が未だ満足に出来ていない子供に、英語を教えて何の為になるのか。今まで何の効果も出なかった世界最低水準の外国語の教育手法を、小学三年までに降ろせば効果が出るというのか。愚かな教育は直ちに撤回せよ!」と激怒している。

前田さんの英語勉強法は「音読・暗記、暗唱方式で、単語帳など作らない」というものだ。そのやり方で培った英語力が、偶然にアメリカの会社に転身したときに活かせたのだ。わたしも彼の言う「中学校英語の勉強法」を、早くも来年から中学生になる孫男子に伝えたい。その勉強法とは以下のようなものだ。

単語をバラバラに覚えるのではなく、例文を繰り返し音読し暗記することが肝腎である。流れの中でその単語の使い方を覚えるのだ。中学校一〜二年程度の教科書を何度も何度も何度も音読し続け、結果として完全に暗記できて、繰り返し音読している間に、自然にその文章の意味が解ってくるようになる。

どこからでもスラスラと暗唱できるようにすることが、前田式英語勉強法なのである。前田さんは特に勉強せずに、これだけで対応してきたのだ。分らない単語に出会ったら、その度毎に辞書を引けばよい。そして絶対に教科書などに書き込みはしない。同じ単語でも、前後の流れでまったく意味や使い方が変わってくる。故に、単語帳や単語カードなどを作るのはおやめなさいという。

前田さんはこのやり方で、中一から大学二年まで英語の試験で90点を切ったのは二回だけだったという。上智大学の同期だった秀才K君の英語力は同期全員を驚嘆させたが、勉強法を聞いてみると前田さんとほぼ同じ「音読、暗記・暗唱の繰り返しだけ」で、英文解釈など一切することなく、その文章がどこで切れるか、どこが強調されているか等々が解るまで音読し続けた結果だという。

これに意を強くした前田さんは、中学校一年の男子に英語だけを教える家庭教師のアルバイトを見つけ、親御さんの了解を取って前田式学習法で約二年間教えたのだった。中学生は、二年生になった頃には、日常的な意思表示を英語でできるようになった。高校三年間を通し、英語の成績は学年最優秀だった。

日本の学校教育では、Englishではなく「科学としての英語」を算数のように教えてきた。読解力は得られたかもしれないが、どれだけ英語で話せるかはまったく効果をあげていない。藤原正彦も「英語を使う職業に就く希望を持つ者だけが中学校から全力で始めればよい」と言う。実に正論である。中学のときの英語は専門教師がおらず、わたしの大嫌いな体育教師が代理で務めたというブロークンなスタートだった。その結果が、今日のわたしの英語だ。(柴田)


●エルメス!/変形メカ!/犬神家の一族は見たことないっ。/「繰り返し」「暗記」苦手だ……。

/方向音痴続き。15km走るつもりだった。今月26日にフルマラソンなので、今の時期に10kmだと間に合わない。本当は20km走りたかったのだが、普段6km程度のコースしか走っていないのに(それすら最近走っていなかった)、20kmはきつい。なので12km、もう一声で15km。

同じコースだと飽きてしまう。今回はこちらに行ってみよう、あそこまで行ってみようと考えるのが楽しい。行き帰りを違うコースにもする。やっと来ました、はい、方向音痴なのにアレンジしたがるんです、初めての土地に行く時でも。料理下手と同じです、ええ。

いや、それでも初めて走るコースは、広い歩道のある大きな道路にするよ。空気は悪いし、うるさいけど迷っては元も子もないから。 (hammer.mule)