[4457] ますます身近な存在になってきたWebフォント

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《しかしこれは危険な商品だ》

■わが逃走[207]
 チャーハンが好きだの巻
 齋藤 浩

■もじもじトーク[74]
 ますます身近な存在になってきたWebフォント
 関口浩之




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■わが逃走[207]
チャーハンが好きだの巻

齋藤 浩
http://bn.dgcr.com/archives/20171116110200.html
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ラーメンには執着しないが、ラーメン屋のチャーハンは好きである。

いつからかといえば、物心ついて以来、といえよう。

たしか幼稚園にあがる前だったか、母の友人一家が遊びに来た時に近所の中華屋から出前をとった。

4歳くらいの私は「こんなに旨いものがこの世にあったのか!」と驚愕したのだった。

器はたしか八角形で、中央には小さな梅の花が描かれてあったことまで覚えている。

その皿へ半球型に盛られたチャーハンには、刻まれたナルトが入っていたため、引き絵で見ると、赤が点在していて美しかった。

私は幼児ということで一人前食べさせてもらえず、実際食べ切る前に満腹になってしまった。

食べることがシアワセと感じたのは、もしかしたらこの時が初めてだったかもしれない。

今思えばたいして旨いチャーハンではなかったとも思うのだが、母の手料理とプロの作るものの違いを認識した最初の体験だったこともあり、以来、45年ほどチャーハン好きが続いている。

小学生のときは母に「何食べたい?」と聞かれると「チャーハン!」と答えていた。

しかし、そこで食卓にあがるものは、いわゆる残り物を切り刻んで、冷やごはんといっしょに炒めたもので、あの出前のチャーハンとは似て非なるものであった。

なぜここまで違うのか。

旨いチャーハンは、世の中的に家庭では絶対作れないとされている。

一般庶民の家には大きな中華鍋もなければ、それを振るスペースもない。そもそも火力が弱い、というのがその主な理由だ。

しかし、なんとかして旨いチャーハンを家庭で、という願望を抱く者は少なくないらしく、さまざまな「チャーハンの素」的商品が生まれている。そして消えていく。

数ある商品の中でも、印象深いものとして、私は桃屋の「チャント炒飯」を挙げたい。

“のり平アニメ”のCMソングはまだ覚えているぞ。ロック歌手風ののり平がステージで歌うヤツだ。

「若者の〜本物の〜うまい飯が ちゃんとできる (間奏) 桃屋の〜チャント炒飯!」

たしか小学3年生頃だったか。これさえあれば、旨いチャーハンが家で食べることができる! ついに夢が叶うんだ!!と思い、渋る母を説得して購入、作ってもらったが、これがぜんぜん旨くなかった。

桃屋なのに。メンマも花らっきょうもごはんですよも旨いのに、なぜ?

多くの人がそう思ったのであろう、「チャント炒飯」は一瞬で市場から消えたのだ。

冷凍食品のチャーハンの存在に気づいたのもこの頃だ。メーカーは覚えていないが、紙の箱に凍ったチャーハンが直接入っていて、それをフライパンにあけて炒めるヤツだ。

これもダメだった。姉妹品の「エビピラフ」はそれなりに旨かったのに。

それ以来、自分で稼げるようになったら、チャーハンはチャーハン屋で食べる! と心に決めたのだった。

いま思い出したが、初バイトで稼いだお金でチャーハン食べたっけ。

チャーハンが好きとはいえ、どこの店のなんというチャーハンが旨いとか、そういったことにはあまり興味がない。

たまたま入った商店街の中華屋で、つい条件反射的にチャーハンを注文しているが、たいてい旨いので満足している。

なので、山岡士郎のようにウンチクたれる必要がないのだ。

さて、最近大きな事件があった。

セブンイレブンで、いつもなら素通りする冷凍食品コーナーにあったチャーハンが目に止まり、何気なく買ったのだが。

結論から言おう。ものすごく旨い!!

商品名はセブンプレミアム『極上炒飯』。電子レンジでチンするだけで、中華屋のオヤジが作るプロの味(に限りなく近い)が手に入るのだ。価格300円。

技術革新と営業努力の結晶なのであろう、本当に驚いた。予備知識なしで食べ
たものだから、腰抜かしてタイヘンだった。

しかしこれは危険な商品だ。

市場価格の半額〜1/3でここまでの味を楽しめるのだ。

外食はそれなりにお金がかかるので、多少なりとも自制心が働いていたが、この値段でプロとほぼ同クオリティのものを自宅で、となると毎日食べてしまいそうで心配である。

ほんと、ものすごく心配。

というわけで、チャーハン好きの人には注意と覚悟が必要です。


【さいとう・ひろし】saito@tongpoographics.jp
http://tongpoographics.jp/

1969年生まれ。小学生のときYMOの音楽に衝撃をうけ、音楽で彼らを超えられないと悟り、デザイナーをめざす。1999年tong-poo graphics設立。グラフィックデザイナーとして、地道に仕事を続けています。


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■もじもじトーク[74]
ますます身近な存在になってきたWebフォント

関口浩之
http://bn.dgcr.com/archives/20171116110100.html
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こんにちは。もじもじトークの関口浩之です。ジングルベルの音楽が、街中で流れる季節になりました。ほんと、一年経つのって早いですよね。

さて、みなさんが毎日接している身近な存在である「文字やフォント」。昨年ぐらいから、文字やフォントをテーマとしたテレビ番組や雑誌の特集が、目立つようになった気がします。

テレビ番組では「マツコの知らない世界 フォントの世界」が今年5月9日に放送され、話題になりました。3,000種類のフォントを見分けるという自称“絶対フォント感”の持ち主、数学教師の須藤雄生さんが登場しました。楽しかったですね。

そして、昨年6月13日には、僕が大好きな筑紫書体シリーズを制作している藤田重信さんがNHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」に出演しました。

書体デザイナーがNHKプロフェッショナルに出演することが、フォント業界の関わる人にとってはとてもうれしく、誇らしい気持ちになりました。

雑誌では、月刊「MdN」の2017年10月号で、「絶対フォント感を身につける。[明朝体編]」が特集されました。「絶対フォント感」は過去にも数回、特集がありました。

また、巷では「フォントかるた」なるものも流行しています。僕の大好きな文字グッズであり、Amazonでも売っています。

制作したのは「フォントかるた制作チーム」という女性四名のチームです。僕は「フォントかるた・エバンジェリスト」と言われています(笑)

・フォントかるた
https://www.fontkaruta.com/

書体に詳しいデザイナーや文字っ子だけでなく、一般の方々も、文字やフォントに興味を持つ人が増えてきたと肌で感じています。

●いま知っておくべきWebと文字の話。

昨晩は、株式会社LIGが運営する「いいオフィス」というシェアオフィス&コワーキングスペースにて、『いま知っておくべきWebと文字の話。』というテーマのイベントが開催されました。

・いま知っておくべきWebと文字の話。
https://lig.connpass.com/event/70507/

自分が主催する「文字とデザイン」がテーマの『FONTPLUS DAYセミナー』もそうなんですが、文字やタイポグラフィーに関するセミナーは、このところ、募集開始されるとすぐに定員に達してしまう傾向があります。

昨晩のセミナーも、募集開始日に100名以上の方が申し込みされました。活版印刷や写真植字(写植)を経験したことのない世代の人も、そしてDTPを経験したことのないノンデザイナーの人も、文字の歴史、文字組みの基本、Webフォントの話題などに興味をもたれているのは、素敵なことだと思います。

100名以上の参加者に対する「Webフォントを使ったことのある人?」の質問に、7〜8割の方が手をあげていました。今年、Webフォントはますます身近な存在になってきました。

●デジタルフォントの成り立ち

まずは、musubime(ムスビメ)主宰のグラフィックデザイナー、カワセタケヒロさんが、何百人もの人物のイメージにあったフォントを紹介しました。ガッキーや石原さとみさんの写真もでてきました(笑)

人物だけでなく、会社や製品のイメージにあった書体選びも大事ということなんです。海外では、その企業のブランドイメージにあったコーポレートフォント(制定書体:Corporate Type)を採用している企業がたくさんあります。日本企業はまだまだ少ないですけどね。

また、マイクロソフトOSに搭載されている、日本語フォントの変遷の紹介もありました。

ビットマップフォントってご存知ですか? たとえば、縦横24×24のマス目を使って、漢字や仮名の字形にあわせて、塗りつぶして表現したドットフォントです。

1990年代前半のWindows3.1の頃は、解像度の低いディスプレイ(640×480や800×600かな?)であったため、アウトラインフォントではなく、ビットマップフォントが使われていたのです。

そして、1995年に登場したWinodows 95で「MS Pゴシック」が搭載され、文字幅を文字毎に調整した、プロポーショナルフォントになりました。

2006年にリリースされたWindows Vistaから、「メイリオ(Meiryo)」が搭載されるようになり、すべての文字サイズがアウトラインフォントになったのです。「メイリオ」の語源は「明瞭(メイリョウ)」に由来しています。みなさん、知ってました…?

2013年にリリースされたWindows 8.1では、「游明朝」が搭載されました。ヒラギノ書体を設計した鳥海修さん(字游工房)が書体開発しました。品位のある日本語書体ですね。

Windowsに「游明朝」が搭載されたことが画期的なのは、Mac OSにも「游明朝」搭載されているので、WindowsとMacで共通のフォントが誕生したということなのです。

Webに関わる人にとっては、20年間、置き去りにされていたシステムフォント環境において、とても明るい兆しが見えてきたということなんです。

また、Webフォントという「新しい絵の具」が昨年ぐらいから本格的に普及してきたので、Web制作現場においては、さまざまな書体がブラウザの中で、自由に表現できる時代になってきました。

「新しい絵の具」と表現したのは、いままでは、画像でしか表現できなかった書体が、新しい絵の具のWebフォントを利用すると、HTMLとCSSという筆を使って、豊かに表現ができるのです。

こちらをご覧ください。いろんな猫を、いろんなフォントで表現してみました。じゃーん!
https://goo.gl/ya5W6A

昨晩、カワセさんが「いろんな表情をした人間がいるように、その人にあったフォントがある」ということを解説していました。まさに「いろんな猫がいるように、いろんな書体をWebフォントで表現しました」というのと同じですね。

後半では、専門誌『Typography』編集長の宮後優子さんが、書体の成り立ちから文字組みの基本までをおさらいし、印刷とWebの違いと共通点を解説いただきました。その内容もすごく良かったので、次回のもじもじトークでご紹介しますね。

●たてよこWebアワード

今回のイベントに協力いただいた『たてよこWebアワード』のコンテストの、応募受付が開始されています。W3C/総務省が後援しているので、受賞したら、「W3Cや総務省のお墨付きのコンテンツで受賞したよ〜」と誇れます。ぜひ、応募をご検討ください。

・たてよこWebアワード2018
https://tategaki.github.io/awards/

●日本タイポグラフィ年鑑2018

昨日はうれしいことがありました。砧書体制作所(旧カタオカデザインワークス)の片岡朗さんの新書体「砧明朝体」が、日本タイポグラフィ年鑑2018のグランプリを受賞しました。

片岡朗さん、木龍歩美さん、おめでとうございます! 来春リリースが楽しみです。

2000年に発表された「丸明オールド」から17年。片岡さんが数年前に「新しい明朝体に挑戦している」と、成城学園前前の鰻屋さんで熱く語ってましたが、それがこれなのです。

片岡さんらしい、優しくて熟成された明朝体だなと感じました。今回も、書体構想から何年も掛けてじっくり制作したんだと思います。

・新書体「砧明朝体」 日本タイポグラフィ年鑑2018 グランプリ受賞
http://www.moji-sekkei.jp/news.html

そして、砧書体制作所の木龍歩美さんのきりこの「会津」が、ロゴタイプ・シンボルマークベストワークを受賞しました。タブル受賞です。木龍さんは二年連続ベストワーク受賞、砧書体制作所としては三年連続受賞です。

お二人は丹精こめて書体制作をしており、ときどき、三人で「うなぎを食べる会」をしているので、自分事のようにうれしくなりました。

・きりこ 会津バージョン
http://www.moji-sekkei.jp/kiriko.html


【せきぐち・ひろゆき】sekiguchi115@gmail.com
Webフォント エバンジェリスト
http://fontplus.jp/

1960年生まれ。群馬県桐生市出身。電子機器メーカーにて日本語DTPシステムやプリンタ、プロッタの仕事に10年間従事した後、1995年にインターネット関連企業へ転じる。1996年、大手インターネット検索サービスの立ち上げプロジェクトのコンテンツプロデューサを担当。

その後、ECサイトのシステム構築やコンサルタント、インターネット決済事業の立ち上げプロジェクトなどに従事。現在は、日本語Webフォントサービス「FONTPLUS(フォントプラス)」の普及のため、日本全国を飛び回っている。


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編集後記(11/16)

●橋本治「いとも優雅な意地悪の教本」を読んだ(集英社新書/2017)。わたしは自分で認める意地悪だから、教本など不要なのだが、わたしが思う現在最高の知性である橋本治が書いているのだから、拝読しなければならない。彼にとって意地悪は日常的で当たり前だから「何書きゃいいんだ、しょうがねェなァ、めんどうくせェなぁと思いながら書きます」って導入が意地悪ですてき。

もうけっこう長い間、映画には「すごい悪役」が不在であった。「スター・ウォーズ」第一作でダース・ベーダーが登場したとき、「これが普通の人間の顔をしていたら『スター・ウォーズ』はちんけなものになっちゃうなあ」と思い「そうか、もうこういう『巨大な悪』を人間が表現できないない時代になってたんだな」と理解する人は理解したわけです。」【それは私ですが】

ほぼ文末にある【  】内は橋本の「ここが意地悪ですよ、という註記である。クリストファー・リーヴの「スーパーマン」は、もはや地球には拮抗できるだけの悪人がいなくなって、四作目で「己の内なる悪」と戦う。「スパイダーマン」も同じような葛藤に陥る。正義のヒーローによけいなことを考えさせる。

わたしは新旧「バットマン」シリーズが嫌いだが、一応見ている。文学的矛盾を孕んだヒーローというのが魅力らしいが、うじうじしてじつに面倒くさい。「スーパーマン」シリーズでは、彼が邪魔者扱いされたあげく、バットマンに倒され、あげくは死んじゃうという後味の悪いのがあったが、「そんなことするんだったら、スーパーマンの映画なんて作らなきゃいいと思うけどね」。

「悪というのは日常的なものだけれど、それだけだとつまらないので、ストレス解消のため『悪役』という極端なものを便宜的に設定してこれを倒す、勧善かどうかは分からないが懲悪であることは確かな、エンターテインメント作品ができあがった」って説明がわかりやすい。平和な時代のストレス発散である。

007シリーズでも、かつては悪の組織スペクターという魅力的な悪役がいたが、今や正義のヒーローを大活躍させる悪役の居場所がない。“悪役の設定のしようがない”問題は深刻である。だから、正義のヒーローの敵は「職場の上司」が決まり相場のようになった。最近そういう仕組みのB級映画をよく見る。

マット・デイモンの「ジェイソン・ボーン」三部作はいい出来だったが、彼を殺人兵器に仕立てたCIAの上層部が敵だった。トム・クルーズの「ミッション・インポッシブル」は悪い上司の犯罪だった。アメコミ系のめんどうくさい自問自答のうじうじ感よりはましだが、もっと巨悪を出してもらわんと欲求不満だ。

「『意地悪な課長』というのが事の本質の鍵を握っているのでしょうね。築地市場の豊洲移転問題の訳の分からなさも、そういうものかもしれない」という結びはどうかと思うが、橋本治は超鋭いからなー。もしかしたら……。なお、彼は「表情を変えない残忍な悪役」には向いていると自負している。(柴田)

橋本治「いとも優雅な意地悪の教本」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4087208990/dgcrcom-22/

・クオリティーがすごい! 「こどもCGコンテスト」「パソコン甲子園」に未来のクリエイター集まる(ねとらぼ)………柴田も審査委員です
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1711/07/news088.html


●先日の洗濯機故障に続き、ビルトインの食器洗い乾燥機が故障。ランプが点滅したまま、電源ボタンや一時停止ボタンがきかなくなった。引っ越しを機にいろいろ揃えたので、修理のタイミングも同じなのか……。

説明書PDFによると、水漏れアラートなのだそうだ。検索すると、同じ機種・類似機種の事例がどんどん出てくる。それらによるとホースの破損が主な原因らしい。

メーカーサイトから修理の目安金額が見られる。31,000〜16,000円。ぎゃー! 先に書いた事例サイトでは、自ら修理をされていて、金属製のホースに変えている人もいた。

もし別の場所が原因だったらどうするんだ、水回りの修理はトラブルを引き起こす可能性があるからと、自分でやってみたい気持ちを抑え、サイトから申し込む。続く。(hammer.mule)

水漏れエラーで故障した食洗機の修理は、ガチでヤバかった。
http://atn.hateblo.jp/entry/2017/08/11/231529

パナソニック食洗機 NP-P45V2PK 修理
https://blogs.yahoo.co.jp/sb6r_spl/40369973.html

松下製ビルトイン型食洗機の修理
http://blog.livedoor.jp/koyanagi_hajime/archives/55283168.html

ビルトイン食洗機 機内水漏れ不良その2
http://varietywriting.blogspot.jp/2013/02/blog-post_9.html

Panasonic食洗機の水漏れ故障と修理および予防策
http://piyajk.com/status/2531

Panasonicビルトイン食洗機、2度目の水漏れ故障と修理依頼
http://piyajk.com/status/2840