クリエイター手抜きプロジェクト[524]イベント編 2017年のIchigoJam講座
── 古籏一浩 ──

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一年に一回、IoT絡みの講習のお手伝いをしているのですが、今回はそのイベントについて、思った事などを適当に書きます。

塩尻市はIoT絡みの講習だけでなく、ラズベリーパイやRuby言語など、様々な講習を行っています。これらの講習は会社員向けだけでなく、小学校5〜6年生向けにも用意されています。

今年は、小学生向けにラズベリーパイとAIを使った講習もありました。塩尻市には大人もビックリの謎講習が結構あります。

私はIchigoJam講座の補助(お手伝い)、ということで参加しました。他にも補助で二人ほど参加しています。IchigoJam講座は全3回で、先週11月11日に最終日を迎えました。

昨年のIchigoJam講座では、ロボットを作って動かしました。しかし、今年はロボット製作はやめになりました。

他ではロボットをプログラムで動かす講座は結構あります。ロボット絡みの講座は、実際に制御でき動かせるので面白いのは確かです。特に今年はタミヤから低価格なロボットが出たので、昨年よりやりやすいと思われます。

・カムプログラムロボット工作セット
http://www.tamiya.com/japan/products/70227/index.html






今年ロボットを使った講座を行わなかったのは、以下のような理由のようです。

(1)お金がかかる
(2)発展性が低い
(3)役立つかどうかわからない

すべてのロボットの講座に、このような問題があるわけではありません。

(1)(2)の問題は、塩尻市の場合、受講料と人材にあります。受講料がIchigoJam製作費用だけで、ロボット部分の費用が出ないからです。

ロボット制作費部分の料金も取ればいいのでしょうけど、それだと高くなってしまいます。小学生向けなので、高額な受講料は避けたいというあたりではないかと思います。

(2)は人材の問題もあります。単純に言えば、ロボット制御に詳しい人がいないということです。継続してロボット講習を行う人がおらず、以後の発展性が見込めないからです。

しかも、子供がせっかく組み立てたロボットを、持ち帰ることができません。ですから、家で楽しむということができません。自宅で学習できないわけです。

(3)は(2)にも関連しますが、その場の講座で終わりなので、後々役立ちません。誰かのために役立つことも、自分の役に立つこともありません。

ということで、今年は塩尻市ならではのネタになったようです。

塩尻市はワインの産地なので、それと絡めることに。そこで、ワインの原料となるぶどうを生産している農家の役に立つような、センサーを取り付けることになったようです。

ぶどうの糖度などは気温などに依存するので、ブドウ畑にIchigoJamと温度センサーを取り付けて、定期的にデータをサーバーに転送することになりました。サーバーとデータ転送などのモジュールはsakura.ioを利用します。

・sakura.io
https://sakura.io/


IchigoJamと温度・湿度・気圧を定期的に計測して、sakura.ioのモジュール経由でデータを蓄積するということになります。これらのデータは、来年だけでなく将来役立つデータとなるはずです。今の小学生が高校生や大学生になった時に役立つ、ビッグデータとなれば成功と言えます。

今年のIchigoJamの講座は三回に分けて行われました。初回はIchigoJamの製作です。抵抗やボタンなどをハンダ付けします。

小学生がハンダ付けして動くコンピューターを組み立てる、というと難しそうに思えますし、小学生では無理じゃないと思う人も多いかもしれません。

でも、実際にやらせてみると、ちゃんとハンダ付けでき、IchigoJamができあがります。できないと思い込んでいるのは、大人の方だけかもしれません。

第一回目はハードウェア工作で、第二回目がソフトウェア講習です。ハードウェア工作は、みんなだいたい同じ時間で完成させることができます。昨年もそうでしたが、ハードウェア工作は安定した時間内に終わります。

実際、ハードウェア工作の回はあまりサポートすることがなかったりします。

問題は第二回目以降です。ハードウェアは完成までの時間にばらつきが少ないのですが、ソフトウェアは子供によって大きな差がでます。

プログラムを入力し、問題なく実行できるまでに、人によって数倍の差がでます。中にはお手上げしてしまう子供もいます(ここらへんは、プログラムが長いのと、モニタ画面が小さいからという理由もあります)。

早く入力が終わってゲームを完成させた子供は、そのうち勝手に改造をはじめます。他にやることがないので、そういう流れになるのですが。

二回目の講習では二つのゲームを入力するのですが、一つめはリアルタイムゲームです。IchigoJamで定番の川下りゲームです。

・川下りゲーム
http://fukuno.jig.jp/1113


もう一つは思考型ゲームです(ゲーム名は忘れてしまいました)。どちらかというと、思考型ゲームよりリアルタイムゲームの方が子供にはウケはいいようです。

川下りゲームは改造しても、そのうち飽きてしまったりします。そこで、時間潰しに子供をだますために、流行のAIを搭載した! と謳って自動的に障害物を避けて行くように改造してみせたりしていました。

たまに障害物にあたるので「最近のAIは、こんなもんだよ」と言ってごまかすというオチ(実際AIでも何でもないのですが)。

第二回目の休憩時間には、私が持っていった様々なセンサーについて説明しました。親が勝手に日記を見たかどうかを調べる方法や、勉強中といいつつゲームで遊んでいる場合、親が近づいて来たらセンサーを使って知らせる方法などなど。

こういう身近なネタとセンサーを絡ませると、子供はセンサーの使い道を覚えてくれます。

第三回目で温度・湿度・気圧センサーを取り付けます。sakura.ioの通信モジュールがけっこう高いので、壊さないように慎重に取り付けてくださいとのこと(1万円以上するらしい)。

センサーとプログラムは講師とは別の人が製作しているので、その人が取り付け方などを説明します。

今回は異なる色の線が用意できず、一か所だけ同じ色になってしまったようです。取り付ける際には、線の色を別々にしておかないと、ちょっと危ないかなという感じはします。

センサーを取り付けたら、プログラムを入力して実行です。センサーからの値が正常に表示されない子も結構いて、そのサポートが大変でした。

センサーはI2C通信なのでプログラムが長くなってしまい、どこで入力ミスがあるのかわかりません。エラーが出ればいいのですが、そうでない場合は面倒です。

ここらへんはBASIC言語だから、という面もあります。IchigoJam単体の環境でなくパソコン上で入力すれば、それなりの開発環境が使えるのでいいのですが。

第三回目の休憩に「ハッキング方法を教えて」という子供がやってきました。最初は一人だけだったのですが、二人、三人と増えてしまいました。仕方がないので講座が終わってから、少し教えてあげました。

ハッキング方法を教えるのは、よくないのかもしれませんが、外部からやられることは多々あるわけなので、どのような方法で自分のパソコンやスマホがやられるのかは、知っておいて損はないかと思います。

さて、休憩時間も終わり、いよいよ計測したデーターをサーバーに送ります。が、ここでトラブルが発生して、データは送っているけどその値が表示できないという事態に。

結局、時間内に解決しなかったため、来月もう一回集まってトライすることになりました。せっかくなので、講師の先生がイチゴジャム(食べる方)を用意してくれるとのこと。

まあ、本当に無事にデータを計測してサーバーに永続的に転送できるかは、来月にならないと分かりませんが、いろいろ勉強になった講座ではありました。


【古籏一浩】openspc@alpha.ocn.ne.jp
http://www.openspc2.org/


ロボットよりセンサーモジュールの方が高かった、というナイスなオチになってしまった講座でしたが、また来年どうにかすればいいかなあ、と。それにしても他人に教えるのは大変ですねぇ……。

・InDesign CS6 JavaScript Reference
http://www.openspc2.org/reibun/InDesignCS6/ref/


・Photoshop CS6 JavaScript Reference
http://www.openspc2.org/reibun/PhotoshopCS6/ref/


・Illustrator CS6 JavaScript Reference
http://www.openspc2.org/reibun/IllustratorCS6/ref/


・みんなのIchigoLatte入門 JavaScriptで楽しむゲーム作りと電子工作
https://www.amazon.co.jp/dp/4865940936

[正誤表]
http://www.openspc2.org/book/error/ichigoLatte/


・After Effects自動化サンプルプログラム 上巻、下巻
https://www.amazon.co.jp/dp/4844397591

https://www.amazon.co.jp/dp/4844397605


・IchigoLatteでIoT体験
https://www.amazon.co.jp/dp/B06X3X1CHP

http://digiconcart.com/dccartstore/cart/info/2561/218591


・みんなのIchigoJam入門 BASICで楽しむゲーム作りと電子工作
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・Photoshop自動化基本編
http://www.amazon.co.jp/dp/B00W952JQW/


・Illustrator自動化基本編
http://www.amazon.co.jp/dp/B00R5MZ1PA/


・4K/ハイビジョン映像素材集
http://www.openspc2.org/HDTV/


・クリエイター手抜きプロジェクト
http://www.openspc2.org/projectX/