まにまにころころ[129]ふんわり中国の古典(孫子・その9)気を治める者、心を治める者、変を治める者/川合和史@コロ。 Kawai Kazuhito

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コロこと川合です。ついに12月。師走です。孫子も走ります。私も走ります。いや肉体的には運動不足が極まって、走るに走れない感じですが……。

気持ちは走ってる、というか、気忙しいというか。でも気持ちが焦るほどに、実際は逆にあれこれ滞ってしまったりして、平時よりパフォーマンスが低めになりがちな今日この頃です。

そんな時こそ、孫子の教えが役に立つんだろうと思いはするものの、そう上手くは行かないものです。

仕事も日常も「風林火山」といければいいんですけどね。実際は、風に煽られ林に火がついた山のような状態です。(笑)





◎──『孫子』軍争篇(五〜七)

古い兵法書に、「言っても聞こえないから、太鼓や鐘を使え。手では見えないから、旗や幟を使え」とある。これらの道具は兵士の耳目をひとつにするためのものである。

統率が取れていれば、勇んだ者も勝手に独断で進んだりせず、また臆病な者も独断で退却したりしない。これが、大軍を動かす方法である。

夜戦に火や太鼓を多く用い、昼に旗や幟を多く用いるのは、味方の耳目を統一すると共に敵の耳目を惑わすためである。

こうして敵軍の気力を奪い、敵将の心を奪う。人は、朝の気力は鋭く、昼には衰え、暮れには尽きるものだ。だから戦上手は、相手の気力が鋭い時は避けて、衰え尽きてから撃つ。これが、気を治める者、である。

整った状態で敵の乱れを待ち、静かに敵の動きを待つ。これが、心を治める者、である。

近くに布陣して遠くから来る敵を待ち受け、休息を取りながら疲れた相手を待ち、食事をとって空腹の敵を待つ。これが、力を治める者、である。

正々の旗、堂々の陣を正面から迎え撃つことはしない。これが、変を治める者、である。

また戦闘においては、

・高陵の敵に向かって攻めてはいけない

・丘を背にした敵を迎え撃ってはいけない

・偽りの退却に釣られてはいけない

・気勢の鋭い敵を攻めてはいけない

・おとりに釣られて食いついてはいけない

・帰国途上の敵を引き留めてはいけない

・包囲した敵には必ず逃げ道を開ける

・窮地に陥った敵を追い詰めない

これが、戦の原則である。


◎──『孫子』軍争篇(五〜七)について

前回の一〜四の流れから、そのままですね。上手いこと場を制す方法というか。

いつもベースにしているダイヤモンド社の「『全訳『武教七書』」では軍争篇はここまでなんですが、岩波文庫の『孫子』では、最後の七段目は、次の九変篇に入っています。項目もここに挙げた八つではなく九つで。経緯の説明込みで。他にもこの辺りは他篇との整理含めて諸説あるようです。


◎──『孫子』九変篇(一)

将軍が君主から命を受け、兵を集め軍を編成して戦地に赴くにあたって、

・行軍の困難な地に駐留してはいけない

・諸国の勢力が入り交じる地では外交に気をつける

・敵地深くに留まってはいけない

・囲まれたときは計略で抜け出せ

・絶体絶命の場面では戦うしかない

また、

・道には通ってはいけない道もある

・敵軍には攻撃してはいけない軍もある

・城には攻めてはいけない城もある

・土地には攻めてはいけない土地もある

・君命には従ってはいけない君命もある


◎──『孫子』九変篇(一)について

この部分、なんとなく、最後の君命のところをいちばん強く言いたいだけって気もします。(笑)

前に紹介した、王の愛妾を用いた調練で愛妾を斬った話のように、ひとたび命を受けた将軍は現場の全責任を負い、君命と異なれど自身による現場の判断を優先すべき場合があると。


◎──今回はここまで

少し短いですが、今回はここまでにします。ここからの九変篇は現代でも役に立ちそうな話が多く面白いところなので、次回にひっぱります。

まあだいたいどの部分の話も、解釈次第で現代に役立つ感じに仕立てられるのが、『孫子』なんですけどね。

ビジネスにおいても、戦略的思考がどうのこうのってよく言われるように、兵法書ってビジネスとそもそも相性が良いんですけど、あまりに具体的に執筆当時の状況を踏まえて書かれていると、現代の話に転用しにくいですよね。

その点『孫子』は、比較的そうでない部分が多く、また、具体的な個所でも現代風に読み替えやすいので、一番人気なんだと思います。

いつか『孫子』以外の兵法書も紹介したいです。「武教七書」全部を今の調子で紹介していては何年かかるか分からないので、もう少し端折りつつ。いや、『孫子』もこんなに長引かせるつもりじゃなかったんですけどね。

興が乗ってきて深みにはまって抜け出せなくなったというか……

あれ?『孫子』が役に立ってない?


【川合和史@コロ。】koro@cap-ut.co.jp
合同会社かぷっと代表
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