もじもじトーク[75]タイポグラフィ雑誌って楽しいよ!/関口浩之

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こんにちは。もじもじトークの関口浩之です。

三週間のごぶさたです。仕事は相変わらず忙しかったりするのですが、週末も体を休めることなく、長崎や岡山へイベント出張したり、佐々木活字店100周年記念の展示会に参加したり、元岩田母型製造所社長だった高内さんの講演を聴きにいったり、充実の三週間でした。

そして、今週末は力仕事もあります。義理の母が、さいたま市の団地に住んでいるのですが、老朽化に伴い、来春、立替工事が始まるので、引越前の片付けで今週末もお休みありませんね。

そろそろ、体をちゃんと休めないといけないなぁと思っています。おっさんだし……。

今回のテーマは「タイポグラフィ雑誌って楽しいよ!」をお送りします。

前回は『いま知っておくべきWebと文字の話』のセミナーレポートとして、「ますます身近な存在になってきたWebフォント」をお送りしました。今回は続編(中編)になります。




●年二回発行している『Typography』という専門誌

11月15日にLIGが運営する「いいオフィス」というシェアオフィス&コワーキングスペースにて、『いま知っておくべきWebと文字の話。』というテーマのイベントが開催されました。

フォントは、雑誌や書籍など紙の世界で使われているだけでなく、Webの世界でも重要な役割を持ってるよね、という背景で開催されたイベントでした。

メインセッションの後半は、Typography編集部の編集長をしている宮後優子さんが担当しました。

冒頭、「年二回、発行しているTypographyという雑誌の編集長してます。でも編集部は一人です(笑) 一人編集部で一人編集長です。」という自己紹介に、感動してしまいました。

すごくクオリティの高い専門誌を、年二回発刊しており、先月発売された号が「Issue 12」なので、来年で7年目なのです。継続は力なりです。

先月発売された『Typography』12号の表紙と中身をチラ見せします。
じゃーん!
http://bit.ly/2BRbz4X

ぜひ、読んでくださいね〜〜 僕の大好きな、藤田重信さんと鳥海修さんの特集記事も掲載されてます。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4766130871/dgcrcom-22/

筑紫書体シリーズで有名な藤田さんは昨年、NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」に出演しました。藤田さんには、僕が主催している『FONTPLUS DAY セミナー』と『筑紫座談会』で5回、登壇していただきました。

この雑誌で掲載されている「筑紫書体全体図」はとても興味深かったです。

今年リリースされた筑紫Q明朝を初めて見たとき、ここまで振り切っていることに清々しさを感じました。こんな明朝体、見たことないってことです。その筑紫Q明朝の詳しい解説も掲載されてます。これからも、どんどん新書体がでてくるみたいです。

そして、Macに標準搭載されている、ヒラギノ書体を制作したことで有名な鳥海修さんは、スティーブ・ジョブズから「フォントの神様」と言われたという伝説をもっている書体設計士です。

この書籍で紹介されている「本文書体30の分析」は圧巻です。

やわらかさ、ふところ、線の抑揚等の観点で、さまざまなフォントが分析、解説されています。実は、この記事の元になった神楽坂でのセミナーを聴講しました。とても感銘した講義だったので、それが記事になってうれしいです。

タイポグラフィって聞くと、デザイナーやアートディレクターが学ぶべき学問って感じもしますが、実は、みなさんにとっても、とても役に立って、楽しい授業なのです。

明朝体とゴシック体の違いを観察することも楽しいし、フォントを変えると印象がガラッと変わることを、実感として学ぶことができます。

そして、文字の成り立ちや歴史、文字組みの基本なども学ぶと、ビジネス文書やプレゼンテーション資料の作成、年賀状等の作成のときに役に立ちますよ。

今、この記事を書いている横で、タイポグラフィの超初心者が、「筑紫明朝体って、一文字だけみると、なんか見慣れない変な書体に見えるけど、文章で組んでいるかたまりでみると美しいね」とか、「明朝体って濃いところと薄いところのメリハリがあって素敵だよね」とか楽しそうに言ってます。さりげなく、コタツの上に置いていたら、いつの間に読んでました(笑)

今回紹介した『Typography』12号の特集「和文の本文書体」は、フォントに少し興味があるけど、もう少しステップアップしたいという方に、超おすすめの書籍です。

そういえば、「本文」という言葉の読み方ですが、「ほんぶん」と読んだり、「ほんもん」と読んだりしますよね。

どちらも正しいのです。Web系の人は「ほんぶん」、出版系の人は「ほんもん」を使うという傾向はあるかもしれません。でも、「本文」が使われる文脈により、どちらの読み方なのか分かれるようです。

DTP Transitの記事が参考になります。

本文は「ほんもん」?「ほんぶん」? DTP Transit
http://www.dtp-transit.jp/misc/term/post_1055.html


●専門誌『Typography』とは長いお付き合い

そういえば、『Typography』1号が発刊された頃に、FONTPLUSというWebフォントサービスも産声をあげました。そして、3号ではFONTPLUSのことも記事にしていただきました。

その時のアーカイブを見つけました。この記事の執筆である担当者のブログです。インタビュー取材を受けたのが、最近のように感じますが、すでに5年前のことなんですね。

フォントブログ Fonts & Typography Blog ? since 1998.
http://blog.petitboys.com/archives/typography-03.html

このブログサイト、このところ、更新はお休みしていますが、タイポグラフィのブログサイトとしては超老舗なんです。内容も素晴らしいんです。

FONTPLUSの記事が書かれた5年前は、日本語Webフォントの表示がすごく遅い時代だったので、アーリーアダプターが楽しみながら実装している時代でした。

映画のキャンペーンサイトでシネマフォントを採用したり、フォントローディングのときに、遅さを感じさせないために動くアイコンを表示したりするケースもありました。

3年前にFONTPLUSの配信プラットフォームを全面的にチューニングした後は、「ローディング時間が遅いぞ」と怒られることはなくなりました……。

新しい技術やサービスが市場に受け入れられるようになるには、第三者の目で書かれた専門誌や書籍、Webメディアに支えられて今日があるんだなぁとあらためて感じました。ほんとうに感謝です。

そして、応援してくださるリアルな方々とのコミュニケーション、意見交換、ツッコミ、お叱りなどが、今の自分の原動力になってるのだと感じました。

次回は、セミナーレポート後編「フォントの成り立ちと文字組みのおさらい」をお送りします。


【せきぐち・ひろゆき】sekiguchi115@gmail.com
Webフォント エバンジェリスト
http://fontplus.jp/

1960年生まれ。群馬県桐生市出身。電子機器メーカーにて日本語DTPシステムやプリンタ、プロッタの仕事に10年間従事した後、1995年にインターネット関連企業へ転じる。1996年、大手インターネット検索サービスの立ち上げプロジェクトのコンテンツプロデューサを担当。

その後、ECサイトのシステム構築やコンサルタント、インターネット決済事業の立ち上げプロジェクトなどに従事。現在は、日本語Webフォントサービス「FONTPLUS(フォントプラス)」の普及のため、日本全国を飛び回っている。