[4472] 中国は人工知能研究で世界をリードしている

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《日本終了のお知らせ》

■Otaku ワールドへようこそ![269]
 中国は人工知能研究で世界をリードしている
 GrowHair




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■Otaku ワールドへようこそ![269]
中国は人工知能研究で世界をリードしている

GrowHair
http://bn.dgcr.com/archives/20171208110100.html
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今後の経済発展や軍事強化のために、最も重要な科学技術分野である人工知能(Artificial Intelligence; AI)の研究において、中国の台頭が著しく、一方、日本はおそろしくショボいことになっている。

2017年8月19日(土)〜25日(金)、オーストラリアのメルボルンで第26回国際人工知能会議(International Joint Conferences on Artificial Intelligence; IJCAI)が開催された。これは人工知能分野でトップの国際会議である。
https://ijcai-17.org/

本大会の論文は投稿数2,540本に対して採択数は660本(採択率約26%)。大会主催者発表によると(※)、採択論文本数においてトップは中国で475本(34%)。以下、2位は欧州連合で334本(24%)、3位は米国で255本(18%)、4位はオーストラリアで112本(8%)、5位はシンガポールで64本(5%)、6位は日本で37本(3%)。

※どういうわけか、合計本数がまるで合ってないけど。

日本は中国のわずか10分の1以下である。たいへんマズい感じだということに共感していただけるだろうか。

今回初めてこの国際会議に参加したという金井良太氏(株式会社アラヤ代表取締役)は8月22日(火)、Twitterで下記のようにつぶやいている。

◇人工知能研究における中国の勢いの凄さをいたるところで感じる(注:まず論文数について言及しているが、内容は前述のとおり)。

スポンサーも中国の企業がたくさん入っている。日本からもスポンサーになる企業がもっとあれば良いのではないか。日本からは「はこだて未来大学」だけみたいだ。

ブースも中国の会社のがたくさん出ていて、気になるから、どういう体制でどんなことをやっているのか聞くと、規模が数千人単位だったりして驚く。

研究でいつか中国が圧倒的になるだろうというのは、神経科学などでも予想はしているけれど、人工知能のような応用に近い分野で先にそれが起きているように見える。

メジャーな学会を中国でやって、全講演を同時通訳つきで中国語でも発表オッケーにしたら、そのうちサイエンスの言語が中国語になるということも想像できる。◇

前回、中国について書いたときは、スマホの急速な浸透による社会の変貌ぶりと、今後の経済発展の見通しの明るさが主なトピックだった。

『中国はやはり昇り龍の勢いだった』。
http://bn.dgcr.com/archives/20171124110100.html

今回は、中国における人工知能研究がどんなすごいことになっているか、見ていきたい。

日本が今後の生き残り作戦を考える上で、現状がどうなっているのかを正しく把握するのはものすごく大事なことと思う。中国が勝手に自滅してくれるのを今か今かと待ちわびているのでは、間違いなく沈没する。

(参考)
メルボルンの国際会議については、国立研究開発法人科学技術振興機構(Japan Science and Technology Agency; JST)がレポートしている。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/johokanri/60/9/60_673/_pdf

2ページ目に掲載されている順位表だけ画像で切り出してみた。
http://www.geocities.jp/layerphotos/FigDGCR171208/IJCAI17Papers.gif

●深センを見た日本の若者、街角で涙する

本題に入る前に、前回の話題の続きをちょこっと。

中国の勢いのすさまじさを実感するには、行って見てくるのが一番だと私が書くのをまるで見越していたかのごとく、11月に深セン([土] ヘンに [川])へ取材で送り込まれた26歳の若者が「現代ビジネス」に寄稿している。

■日本が中国に完敗した今、26歳の私が全てのオッサンに言いたいこと
 勝手に「終わり」とか言ってんじゃねえ
 2017年12月2日(土)
 現代ビジネス
 藤田祥平(文筆家)
 http://gendai.ismedia.jp/articles/-/53545

深センは、中国のシリコンバレーと言われ、もともと人があんまり住んでいない漁村だったのが、とてつもない勢いで大都市化している。

天を突くような高層ビルがあちこちに建ち並び、人々が騒々しく喋りまくったり機嫌よく鼻歌なんか歌ったりしているのを見て、記者は日本の負けを実感している。「自分の常識を根底から揺るがされた」。

ちょっとぐらい詰めの甘い企画でも、とにかく製品を作って世に送り出しちゃう楽観性と決断の早さと動きの俊敏さを身につけた彼らが羨ましくて仕方なく、街角で何度か泣いてしまった、とのこと。

「人間がここまで希望を持って生きていいものだとは、想像だにしなかった」。

それそれ、その感じ。日本人がすごーくいじけた民族のように見えてきちゃうんだよねー。いやいや、1970年代はめっちゃ明るかったけどなー。

●入試突破ロボで日本の意気をくじく中国

人工知能研究において中国の存在感がすごいというのは、2015年にはすでに言われていた。私が気がついたのが、つい最近のことなだけである。

■中国の人工知能研究が日本を一気に抜き去った理由
 2015年10月20日 05時20分
 YOMIURI ONLINE 深読みチャンネル
 新井紀子(国立情報学研究所教授)
 http://www.yomiuri.co.jp/fukayomi/ichiran/20151016-OYT8T50057.html

国立情報学研究所(National Institute of Informatics; NII)の教授である新井紀子氏は、東京大学の入試問題をAIに解かせる「ロボットは東大に入れるか」(通称:東ロボ)プロジェクトを2011年に立ち上げている。

2016年度までに大学入試センター試験で高得点を取り、2021年度に東大入試を突破することを目標に掲げていた。

それの中国版である国家プロジェクト「高考機器人」が始まって間もない2015年7月、新井氏は合肥に呼ばれ、キックオフミーティングで基調講演を務めた。

中国が参入してくるのは正直、想定外だったと新井氏は言う。大学入試をターゲットとして選んだのは、アメリカ国民が紙の上での大学入試にさほど関心をもっていないからであり、日本らしい人工知能研究が進められるのではないかと思ったからである。中国の参入に、内心穏やかならざるものがあったと振り返る。

第2回電王戦が開催され、コンピューター将棋がトッププロ棋士を破ったのは2013年のことである。日本も人工知能で世界のトップを走っていると思うかもしれないが、実際はそうではない。アメリカだけでなく、中国も既に日本の前を走っていると新井氏は言う。

中国にはお金が潤沢にあり、人工知能研究にドカッと投資できるという優位性がある。このプロジェクトに3年間で30億円を投じるという。一方、日本の「東ロボ」プロジェクトは比較的手厚い支援を受けているとは言え、桁がいくつか違う規模という身の上なのだそうだ。

また、質の高いデータを集めやすいという点においても中国に優位性があるという。政府の権限が極めて強いため、受験者の回答データなどを有無を言わさず吸い上げられる。また、データの中にどうしても混ざるゴミを人海戦術で除去し、精度を上げたのだとか。

プロジェクト開始間もないのに、すでにこの題材で一級の国際会議に論文を通し始めていることに新井氏は驚かされる。

また、中国科学技術大学を訪問した際、深層学習がシンギュラリティをもたらすかどうかについて研究者たちに意見を求めてみたところ、深層学習にできることには限界があることが分かっており、その先を考えているという答えが返ってきたという。

「日本は一歩遅れではなく、周回遅れになってしまっているのではないか」と新井氏は不安を吐露する。

高考機器人は国家プロジェクトでありながら、新興IT企業であるiFLYTEK(アイフライテック:科大迅飛)と共同出資で進められた。研究成果が伝えられたのは2017年11月のことである。

■中国でAIロボットが医師試験に合格
 Posted date: 2017.11.15
 ROBOTEER
 Written by ロボティア編集部
 https://roboteer-tokyo.com/archives/10997

◇中国の人工知能ロボットが、国家医師資格試験に合格したとして話題となっている。

中国AIメーカー・iFlytekが開発したAIロボットは先日、医師資格取得に必要な筆記試験に見事通過した。試験点数は456点で、合格ラインより96点も高かったという。

同AIロボットは、患者情報を自動的に収集・分析し、初期診断を行うことができる。iFlytek側は、医師たちが治療の効率を高めていく上で有用になるだろうと説明。

同社会長のLiu Qingfeng氏は、「2018年3月にロボットを公式発表する予定だ」としながらも、「ただ医師の代わりを果たすことはできない。人間・機械間の協力を促し効率を高める方向に注力する」と説明した。

また、Liu氏は「中国の農村地域は慢性的な医師不足に苦しんでいる(中略)AIを活用して、より多くの人々が質の良い医療サービスを受けられるようにする」と展望を語っている。◇

一方、東ロボはどうなったか。中国が成功する一年前に、東大受験を断念している。

■「東ロボくん」が偏差値57で東大受験を諦めた理由
 2016.11.18
 DIAMOND online
 奥田由意
 http://diamond.jp/articles/-/108460

◇先のセンター試験模試では5教科で総合偏差値57.1となかなかの成績をマークしたのだが、このままでは東大受験突破は無理と判断、プロジェクトは一旦凍結されることとなった。◇

●ドカッと投資できる強み

中国政府には資金が潤沢にあり、圧倒的な強みになっている。高速道路を整備したり、新幹線を敷設したり、地下鉄を掘ったり、箱物を建てたりといった建設事業への投資にさほどブレーキをかけずとも、科学技術研究に巨額の投資ができちゃう懐具合のよさが驚異的だ。

2016年5月、中国政府は向こう3年間にわたって約1.6兆円を人工知能に投資すると発表した。

■中国、人工知能開発に3年間で1.6兆円を投入
 2016年05月30日10時55分
 中央日報日本語版
 http://japanese.joins.com/article/294/216294.html

◇中国英字メディアであるチャイナデイリーは「国家発展改革委員会、科学技術部、工業情報化部、インターネット情報弁公室の4部署が『インターネットプラスAI 3年実施方案』を取りまとめた」とし、「2018年までに人工知能の基礎固有技術を次世代成長動力に育てることにした」と28日伝えた。このため中国政府は3年間で1,000億人民元(約1.6兆円)を投資する。◇

これに追い打ちをかけるように、2017年7月、中国政府は2030年に自国の人工知能技術を世界のトップレベルに引き上げる計画を発表した。今後、いっそうの巨額資金を投入することになる模様だ。

■中国、AI開発に大量資金投入へ「30年には世界トップに」—米紙
 配信日時:2017年7月24日(月)20時00分
 Record China
 http://www.recordchina.co.jp/b185287-s0-c20.html

■中国政府「2030年までにAIの世界的リーダーに」次世代計画を発表
 2017年07月24日11時51分
 CNET Japan
 Cyrus Lee(Special to ZDNet.com)翻訳校正:編集部
 https://japan.cnet.com/article/35104647/

■中国、2030年までに世界一のAI大国目指すと発表
 2017.07.24
 MIT Technology Review
 by Will Knight
 https://www.technologyreview.jp/s/49201/china-plans-to-use-artificial-intelligence-to-gain-global-economic-dominance-by-2030/

上記三つの記事を混ぜ合わせて要約すると、だいだい次のようなことになる。

◇ここから要約:

中国の最高国家行政機関である中国国務院は、人工知能を経済成長の重要な推進力にすることを目指し、2030年までに中国をAI分野の世界的リーダーにすべく、巨額の新規投資をする計画を発表した。ゴールまでに三段階のステップを踏む。

2020年までの第一段階では、AI技術とアプリケーション開発において欧米と肩を並べる目標を掲げ、1,500億元(約2.5兆円)規模 AI基幹産業と、1兆元(約16.4兆円)規模のAI関連分野の実現を目指すという。

2025年までの第二段階では、「転換点となる大きな発展」を実現し、AIが中国経済を牽引する主要分野になることを目指す。

2030年までの第三段階では、AI理論、テクノロジ、およびアプリケーションで世界的なリーダーになり、AI技術革新の世界的な中心地になる計画だ。2030年までに、AIの基幹産業は1兆元(約16.4兆円)、AI関連業界は10兆元(約164兆円)の規模に達する見通しだという。◇

ちなみに、日本の自動車産業が約50兆円規模である。

1.6兆円よりもさらに巨額の新規投資計画って、いったいいくらつぎ込むつもりなのか、その情報が出てきていなかった。11月になって、学校の先生を“AI化”する部分だけでも5兆円という数字が出てきた。

■中国、次は“AI教師”に5兆円投入
 2017.11.6 06:30
 産経 WEST
 岡田敏一
 http://www.sankei.com/west/news/171106/wst1711060005-n1.html

■China wants to bring artificial intelligence to its classrooms
 PUBLISHED:Saturday, 14 October, 2017, 12:30pm
 UPDATED:Saturday, 14 October, 2017, 1:49pm
 South China Morning Post(SCMP)
 Meng Jing
 http://www.scmp.com/tech/science-research/article/2115271/china-wants-bring-artificial-intelligence-its-classrooms-boost

◇ここから要約:

中国国務院が7月に掲げた、2030年までに中国をAI開発の分野における世界の中心地に育てるというAI活用計画の一環として、AIを使った教育を国家戦略に位置づけると発表した。

政府の教育部は、農村部の子供たちにも最新のAI教育が受けられるように、地方レベルも含む全行政組織に対し、年間の教育関係予算の8%以上を教育のデジタル化に費やすよう要求しているといい、こうした動きを後押しすべく、中国政府は既に昨年、3000億元(約5兆円)をこの分野に投資したという。◇

こういうのを読み回っていると、太刀打ちの余地がまったく残されていないように思えてくる。巨象に踏みつぶされていく気分だ。

●政府も認識してはいる

中国の動きに対して、日本政府はいったい何をしているのか。週刊誌や売れ筋書籍に書いてあることを鵜呑みにして、中国が自滅してくれるのを今か今かと待ちわびているのだとしたら、日本に明日はない。いくらなんでもそこまでバカではない。

厳しい現状をちゃんと認識してはいるのだ。対抗策の検討だって、割と前向きにがんばってはいる。ただ、ない袖が振れないってだけのことで。

Yahoo! Japanの安宅和人が2017年2月13日(月)、経産省に提示したプレゼン資料がちょっとおもしろい。数字の裏付けをちゃんと示しつつ、比喩を用いて厳しい現実を説明していて、分かりやすい。

■“シン・日本” AI×データ時代における日本の再生と人材育成
 2017年2月13日(月)
 経済産業省 産業構造審議会 新産業構造部会
 安宅和人(Yahoo! Japan)
 http://www.meti.go.jp/committee/sankoushin/shin_sangyoukouzou/pdf/013_06_00.pdf

真ん中らへんのp.31で、ふつうのボクシング用グラブをもって、スパイクつきのに対抗しようとする比喩的な図を掲げ、「勝負になっていない」と言い切っている。

人工知能研究分野における中国の脅威を認識している政府は、どんな対抗策を打ち出そうとしているのか。

中国のメディアは、2017年10月、次のように伝えている。「AI開発で中国から後れをとっている日本の業界を支援すべく、日本政府が“バズーカ”を放った」と。

「中国がAI分野の研究開発において地域をリードするなか、この分野に自国経済の未来を見出そうとしている日本政府が中国との差を縮めようと動き出した」とし、経済産業省が8月に発表した2018年度の概算要求において、次世代半導体などAIの発展にかかわる重要技術の開発資金を新たに盛り込んだとした。

ほほぅ。で? どんなバズーカかな?

■平成30年度 経済産業政策の重点
 平成29年8月
 経済産業省
 http://www.meti.go.jp/main/yosangaisan/fy2018/pdf/01_2.pdf

5本の柱のうち、第一の柱として掲げられているのが「Connected Industries等を通じたSociety 5.0の実現」という項目で、その中が、26の事業に分かれている。

「次世代人工知能・ロボット中核技術開発」というのが、人工知能そのものに関するものだ。あと、関連のある事業として、AIチップに関するものがふたつある。

■次世代人工知能・ロボット中核技術開発
 http://www.meti.go.jp/main/yosangaisan/fy2018/pr/ip/sangi_08.pdf

概算要求額は、73.5億円である。ええと、桁が違いませんか? 関連事業と合わせても、やっと200億円ぐらい。中国との差を縮めようと動き出して、これですかぃ? 差はますます開いていきませんか?

“バズーカ”は皮肉だったんですかね? 飛んでくるミサイルに、軟式野球ボールを発射するあれで対抗するぞ、みたいな感じかな? 那須りんどう湖の遊園地にそういうのがあったような...。行ったの30年前だけど。

なーんか、事業を細分化しすぎなんでないかい? 重点的なところへもっとどーんと配分できないもんかね? って、5本の柱ぜーんぶひっくるめても3,400億円程度か。えーっと、こういうときに使える慣用句ってなんかなかったっけ? 焼け石に水、でいいのかな?

●一条の光は斜め上から?

パンドラの箱を開けちゃうと、いろいろマズいものが飛び出してくるけど、最後に残ったのは「希望」だとされる。

なんかこう、明日への希望につながる種はないのか?

先ほどの金井氏は、次のようにもつぶやいている。

◇今月AGI学会とオーストラリアで開催されたIJCAIで汎用人工知能(Artificial General Intelligence:AGI)に関わるセッションに出ていたけれど、研究のレベルは海外に分があって日本の存在感は薄いけれど、日本での議論は結構深いところに到達している。うまくコミュニティが作れれば、大発展すると思う。◇

そこで、なんか芽が出てくるといいなぁ。

2017年9月6日(水)〜8日(金)、日本科学未来館にて「シンギュラリティ大学ジャパンサミット」というイベントが開催され、二日目に先ほどのYahoo! Japanの安宅氏が講演している。安宅氏は、いまの日本人の心象風景は『黒船来航』時と同じだという。

■「破壊的テクノロジーの波」と「シン・ニホン」
 Sep 10, 2017
 ホウドウキョク
 https://www.houdoukyoku.jp/posts/17898
 by Suzuki Makoto

◇データはない、使う場所はない、技術はない、人はいないで、この新しいデータ・AI時代において、いま日本は『黒船』がやってきた時代、164年前に限りなく近い状況にあります。見たこともない技術を持ったプレーヤーに呆気にとられ、立ちすくんでいる状況にあるのです。

日本は20世紀までの産業革命の最終フェーズには勝ったが、情報産業革命の到来を予知して頑張っていたのはアメリカと中国だけで、日本は認識できなかった。日本はすでに一回戦は敗退したのだ。では、日本に希望はないのか?◇

産業革命と同じく、第二の波、第三の波は必ず来るので、そこで勝負に出ればよいという。

◇大事なのは妄想ですが、日本は妄想量ではまけない。『ドラえもん』『攻殻機動隊』……日本は子供の頃からなかば英才教育をやっています。これを、やってしまいましょうよと。

映画『シン・ゴジラ』に「この国はスクラップアンドビルドでのし上がってきた。こんども立ち上がれる」というセリフがあります。たしかにこの新しいゲームでは何もかもスクラッチに近い状態ですが、気持ちよく、もう一回やり直しましょうよ。◇

同じイベントで同じ日に孫泰蔵氏(Mistletoe 社長)も講演している。奇しくも安宅氏と似たようなところに活路の可能性を見出している。

■孫泰蔵氏に学ぶ、AI時代を生き抜く「斜め上の思考法」
 2017/9/21 16:00
 日刊工業新聞
 藤元正
 https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00443877

◇これからの10年、社会の風景が劇的に変わる。そこで邪魔をするのがマインドセット(固定された物の考え方)やコモンセンス(常識)。常識を上回る形で現実ががらがら変わる時代にはアウト・オブ・ボックス・シンキング、つまり“斜め上の思考法”が大事になります。◇

孫さんのアウト・オブ・ボックス・シンキングの根っこにあるのは、「全然関係ない面白いものを見て回り、多様な人たちとアイデアを交わしまくる」ことだという。

これは金井氏の「うまくコミュニティが作れれば、大発展すると思う」にも通じるものがある。みんな、同じあたりに希望の光が見えているようだ。

●日本終了のお知らせ

この稿を書き始めた時点では、日本の未来に一縷の希望を残して締めるつもりでいた。ところが、とんでもない事態が発生してしまった。

■「スパコン」ベンチャー社長逮捕 助成金詐取容疑 東京地検
 2017/12/5 11:09(2017/12/5 12:50更新)
 日本経済新聞
 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO24265320V01C17A2CC0000/

◇スーパーコンピューターの開発を手掛けるベンチャー企業「PEZY Computing」(ペジーコンピューティング、東京都千代田区)の幹部らが国立研究開発法人から助成金約4億3千万円をだまし取った疑いがあるとして、東京地検特捜部は5日、同社社長の齊藤元章容疑者(49)ら2人を詐欺容疑で逮捕した。

逮捕容疑は、メモリーデバイスの開発に絡み、経済産業省が所管する新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から技術開発を支援する助成金を受け取る際、事業費を水増しした虚偽の実績報告書を提出。2014年3月、助成金約4億3千万円を同社名義の預金口座に振り込ませ、だまし取った疑い。◇

齊藤氏はシリコンバレーで自由に研究させてもらえることについて日本に恩義を感じていたところ、震災があり、日本のためになにか恩返しせねばとの思いから帰国し、スーパーコンピュータの開発を手掛けている。

それまでの常識では考えられないくらいの短期間、低コストで、消費電力あたりの計算パワー世界一のスパコン開発を達成している。

齊藤氏がどのような人物であるかについては、かつてインタビューした記者が振り返っている。内容については、サイトをご覧ください。

■「詐欺容疑」IT業界に衝撃、スパコン開発会社PEZY齊藤元章社長の素顔
 2017年12月6日(水)
 Business Insider Japan
 伊藤有and小島寛明
 https://www.businessinsider.jp/post-108157

そんな人物が、なぜこのような仕打ちを受けなくてはならないのか、わけが分からない。何か裏があって、罠に嵌められたのではなかろうか。

天文学者、宇宙物理学者で神戸大学名誉教授である松田卓也氏は、著書『人類を超えるAIは日本から生まれる』において、第7章全体を齊藤氏との対談に充てている。

松田氏は、この事態の意味するところについて、Facebookで解説している。書き込みは12月7日(木)9:19amになされている。

◇今回の件は齊藤さんを潰す目的の、特捜得意の国策捜査ですね。その意図と目的は不明ですが、結果は皆さんが思っているより重大で、日本終了のゴングだと思います。この事件の歴史的意義、日本に及ぼす致命的影響について解説します。

スーパーコンピュータは国力の象徴です。80年代は日本が1位で、米国は猛烈な圧力をかけてきました。2000年代になり米国が1位を回復しましたが、ここ数年、中国がダントツの1位を獲得しました。

中国の指導層はハイテクが国力の源泉である事を熟知して、スパコン、宇宙技術、天文学、人工知能、戦闘機、空母と猛烈な開発をしています。数兆円の膨大な予算を投じています。日本は完全に圧倒されています。

ところがここに来て、齊藤さんがスパコンで絶対性能で4位に食い込み、省エネ性能で1〜3位独占を果たしました。順調にいけば来年は1位になるはずだったのです。

さらにエクサスケールコンピュータ(京コンピュータの100倍)を2019年に達成する計画でした。中国も3台のエクサスケーラーを計画しています。でも難航しています。米国も死力を尽くして巻き返しを図っています。日米中三つ巴の競争が展開されていたのです。でも今回の件で、日本が返り咲く可能性は潰えました。自分で芽を摘んだのです。

齊藤さんの達成した、あるいはしつつある世界初の画期的技術は
1)PEZYと呼ばれるMIMDチップ、
2)液浸冷却、
3)慶応の黒田教授の3次元積層磁界結合メモリの実用化、
です。これらはコンピュータの世界を変える日本発の画期的技術です。

ただ3は難航していて、歩留まりが悪くて成功していません。検察はここを問題にして、成功していないのに助成金を受け取ったとしています。でも頑張れば来年にはできたと思います。これらの日本発の画期的技術の芽を、今回の件は自ら摘んだのです。

スパコンが重要か? それはハイテク技術の象徴です。液浸冷却に関してはすでに中国がコピーを始めて接触して来たそうです。米国も接触してきました。

今回の件で、齊藤さんがたとえ無罪になったとしても、メディアと世論のリンチで信用を失い、投資が集められず、会社は潰れます。中国や米国は齊藤さんの会社を買うか、技術者を雇って日本の技術を奪います。

つまり今回の件で一番利益を得るのは中国で、次に米国です。外国は暗殺や外交圧力を加える事なく、日本を潰したのです。日本はいわば自殺したのです。

この効果は今すぐではなく今後10〜15年で出ます。つまり日本では革新技術は育たず、出れば潰します。そのため世界の競争から遅れてジリ貧になります。その結果、経済的にもジリ貧になり、皆さんの生活に影響するのです。

スパコン以上にもっと重要な問題があります。人工知能です。これは今後10〜30年で世界を、いや人類を変えます。汎用人工知能を開発すると、世界覇権を握れます。これに関しても齊藤さんの開発予定の1000億コア、100兆インターコネクトの想像を絶する脳型コンピュータができれば、世界をリードできたのです。

人工知能では米国がダントツの一位で、中国は総力を挙げて急速に追い上げています。日本は人工知能では周回遅れでほとんど見込みがありません。しかし齊藤さんがいれば、巻き返しが図れたのです。その夢も潰えました。

日本は少子高齢化で長期的衰退の道を歩んでいます。日本人は茹でガエルと同じで、心地よく緩慢な死に向かっています。これを巻き返すのは人工知能とロボットによる省力化と生産性の抜本的向上です。齊藤さんの技術は日本の衰退を救う、ほとんど唯一の希望の星と私は思っていました。しかしその夢も潰えました。

駒沢大の井上先生は、今後世界は第二の大分岐に突入するといいます。汎用人工知能を完成させた先進国と、遅れを取った後進国です。第一の産業革命に欧米と日本は乗り先進国になり、中国とインドは乗り遅れて先進国に収奪されました。

今回の件で日本は後進国入りが確定しました。2030年にはその結果が目に見えるでしょう。その時点になり真の識者なら、2017年が日本転落の転換点であった事を悟るでしょう。愚者は何もわからず、不平不満を述べるでしょう。

日本も私も皆さんも後はジリ貧になり、いわば座して死を待つのみです。◇

そのゴングの音は私にも聞こえたような気がする。しかし、まだ希望が残されてはいないだろうか。齊藤氏の信用が失墜して投資家が逃げていく事態を食い止め、PEZY Computingを解体の危機から救い出す手立てはまだあるのではなかろうか。


【GrowHair】GrowHair@yahoo.co.jp
セーラー服仙人カメコ。アイデンティティ拡散。
http://www.growhair-jk.com/

ネタはあったのですが、本文が長くなったので、次回に送ります。

あ、先行して写真だけ。沖縄行ってきました。撮影:岩切等
https://photos.app.goo.gl/Xmi0UYYpx8zGzpII3


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編集後記(12/07)

●すごい本である。体裁が(笑)。真っ赤なカバーに「痛くない死に方」の黒文字。医師・長尾和宏が書いている。4年前にも「『平穏死』10の条件」というベストセラーがある。在宅看取り、平穏死という言葉を知る人は増えたが、医療者(医療業務に従事する者)の空気はあまり変わっていないと感じているという。

筆者による定義。◇日本語の尊厳死=自然死=平穏死(不治かつ末期の状態において、本人が望んだ場合、不要な延命治療をせずに、自然な最期を迎えること) ◇日本語の尊厳死=欧米では当たり前のことなので該当する言葉はない ◇日本語の安楽死=英語の「尊厳ある」死 ◇欧米の安楽死=日本では殺人罪

筆者は欧米の安楽死には賛同しない。尊厳死・平穏死と比べて自然な死とは言い難いからだ。日本においては必要性を感じていない。なぜなら、日本は緩和ケアの技術に優れ、在宅医療制度も整備された世界で唯一の国だからである。上手に緩和ケアの恩恵に浴せれば、寿命を全うして、痛みなく逝けるのだ。

枯れて死ぬ=平穏死、これがいちばん痛くない死に方である。「あらゆる治療には延命と縮命の分水嶺がある。だから『やめどき』を見極めよ、と申し上げたいのです」。◇平穏死=枯れて死ぬこと ◇延命死=溺れて死ぬこと ◇平穏死=自然死≒尊厳死 溺れて死ぬとは、自然な死に方の正反対である。

人生の最後の10日間に過剰な点滴など延命治療をした人は、痰や咳で苦しみ、ベッド上で溺死する。これが日本人の大半の死に方だという。わたしの両親と妻の両親は病院で、わたしの祖父母は自宅で、長めに病床についた人もいたが、いずれも苦しまずに静かに逝った。現在では、そう簡単に逝かせてもらえまい。

終末期以降に過剰な輸液の延命治療を続ければ、心臓や肺に過剰な負担がかかり、心不全と肺気腫でもがき苦しむという恐ろしい事態に陥る。自宅で平穏死した人の遺体は枯れているから軽いが、大学病院で亡くなった人の遺体はずっしり重い。10kg以上違うと葬儀業者の証言。わたしは突然死か枯れ死を望む。

延命治療がいったん始まってしまうと、患者の意思や家族の想いと違ってきても、中止するのは困難である。もし中止すると、医師が罪に問われる可能性があるらしい。多くは管につながり、苦痛がセットになっている。延命治療は受けず、しかし「緩和治療」はしっかり受けられれば、平穏な最期を迎えられる。

「救急車を呼ぶ」ということは、「蘇生処置も延命治療もフルコースでして下さい」という意思表示となる。自宅で平穏死したいと切望していた人も、救急車を呼ばれたら暗転である。筆者の言いたいのは、「往診してくれる『かかりつけ医』を持て」ということだが、筆者のような理想的な「かかりつけ医」を持てる幸運な人は多くないだろう。もっと年をとったら捜してみる。(柴田)

長尾和宏「痛くない死に方」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4893088734/dgcrcom-22/


●ヨウコウさんのを読んでの続き。を載せようとしたがやめることにした。誰得な内容になったからだ。気が向いたら載せることにする。

GrowHairさん、私が着たことのないビキニを……。/額が為替レートの変動で違ったとか、そういうのが検索でひっかかったわ。本当かどうかわからないけれど。

/中国で怖いのは、記事の中にもあったけど、動かせる金額が大きいことよね。トップダウンで決定・実行早いし。技術なかったら技術ある会社買っちゃお♪ できる人雇っちゃお♪ なんだもん。スゴツヨ♪ トップの考え方ひとつで先が変わるのは怖いけど、今のままならスゴツヨだわ。

ものづくりの技術だってどんどんあがってきてて、中国製だから品質が悪いとは言えなくなってきていて、管理する人、チェックする人さえしっかりしていたら、ちゃんとしたものに仕上げてくる。

あとは人が育つかどうか、ボトムアップできるかどうかで、それはまだ先だろうけど、それができないと不満はたまりますわね。貧富の差が激しすぎる。

日本は何か別の分野に行けませんかね……。(hammer.mule)

※スゴツヨとは、宝塚歌劇の「王家に捧ぐ歌」(アイーダ)の中の一曲。エジプトって凄くて強いという超ストレートな歌詞なのだが、初演は破壊力が凄くて、再演は女子力が高く物足りなさまで感じる(笑)。シリアスで暗い舞台には、この手のお目覚めソングは必要! あと前後を引き立たせるためにも。

初演スゴツヨ
http://www.nicovideo.jp/watch/sm14105934

再演スゴツヨ
http://www.nicovideo.jp/watch/sm27114883

ファラオの娘だから
http://www.nicovideo.jp/watch/sm23904257
スゴツヨの後はこの曲になる。檀れい

アイーダの信念
http://www.nicovideo.jp/watch/sm7053269
そうなの、シリアス悲劇なの。安蘭けい。男役