晴耕雨読[38]一工夫付け加えたがる人々/福間晴耕

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以前、週刊誌にも取り上げられて話題になった話だが、「料理が苦手な人ほどカレーを指示通り作らず、チョコなど入れる」と言う。

レシピというのは専門家が美味しく作るために書いたものなので、書かれた通りに作るのが、美味しく作るための一番の早道だと言うわけだ。

だが、初心者はもとよりある程度料理を作り慣れた人でも、自分なりのアレンジを付け加えたがることが多い。





もちろん、自分は濃い味が好きだからとか、食事制限でカロリーを減らしたいとか、ちゃんとした事情のある人もいるだろう。そこで結構多いのが、自分なりの「オリジナルティー」を出したいと思ってアレンジをする人だ。

しかし、考えて見れば分かるが、単純に何かを足したりしたくらいで劇的に美味しくなるなら、既にレシピに入ってる筈だ。

また、本当に美味しくしたいなら、当然元のレシピは理解してないとどこをいじっていいか分らないし、少なくとも料理の基本を知っている必要がある。

だが、実際にはカレーにチョコレートを足すように、単なる思いつきレベルのアレンジを加えた「工夫」ばかりを耳にする。

では何故、人々は普通に作ればいいところを、こうした思いつきレベルの「工夫」をするのだろう。

思うにこれは、レシピ通りに作るだけでは自分の料理ではなく、他人の作ったものに乗っかっているだけだという思いがあるのではないだろうか。

とはいえ、本当に自分のレシピを作るなら上に書いたように、まずはレシピや料理の理解が不可欠だ。

それが大変なのは皆が分かっているので、オリジナルレシピに一工夫付け加えることで、自分のものにしたいのだろう。

料理なら微笑ましい話で済ませられるが、困るのは仕事でこれと同じことをしたがる人が、後を絶たないことである。

普通に進めれば無事に済むところを、この手の人たちは自分なりの工夫を付け加えたがるのだ。その結果、無駄な作業や時間を費やし、最悪その「工夫」によって、プロジェクトに障害をもたらすのである。

しかし、何とかそれらを克服して無事にプロジェクトが終わったとたん、この人たちは「俺の工夫でプロジェクトは良くなった」と言ってはばからず、場合によっては「○○というプロジェクトは最初は全然ダメな内容だったのを、俺の工夫で成功に導いた」と言いかねない。

こうした人々が、プロジェクトの上部にいないことを祈るばかりである。(身近な事例を書いてるわけではないので、念のため)


【福間晴耕/デザイナー】

フリーランスのCG及びテクニカルライター/フォトグラファー/Webデザイナー
http://fukuma.way-nifty.com/

HOBBY:Computerによるアニメーションと絵描き、写真(主にモノクローム)を撮ることと見ること(あと暗室作業も好きです)。おいしい酒(主に日本酒)を飲みおいしい食事をすること。もう仕事ではなくなったので、インテリアを見たりするのも好きかもしれない。