装飾山イバラ道[214]食器の残兵
── 武田瑛夢 ──

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コラムとしては今年最後の出番です。一年の長さが短く感じるのは、自分の年齢分の一だからでしょうか。楽しかったから過ぎるのが早かったんだ、と思うのが良いかもしれません。いつも通り本文は「である調」でまいります。

思ったことの何割かが実現し、何割かが進行中だ。この先オリンピックイヤーに近づくので、自分の仕事以外にも影響されることは多くなっていくと思う。あちこちで工事が始まっているし、オリンピックの前にしておいた方がよさそうなことは多い。

家のリフォームなども、人手が足りなくなって大変になるのかもしれない。待てるなら少し待って、大工さんに余裕がある時に依頼するなどがいいのか、どう判断するかは難しい。

うちの前のアパートも取り壊して、何か大きな掘削機のような縦型ドリルで、毎日ゴンゴン土を掘っている。ヒラヒラのビニールシートで少しだけ目隠ししているけれど、大きすぎるドリルははみ出しまくっていてよく見えるのですごく怖い。その前を通る時は、必ず足早に通り過ぎることにしている。




大掃除や粗大ごみ処理は、今年も頑張っている。母の家の古い物を捨てるのを手伝ったりして、「使わないものは、もう捨てようよ」などと言うことで、私自身の反省にもなっている。

「私もなんだけどね」と素直に言うけれど、似たもの同士で指摘しあうことで良くなれれば、それでいいのだ。

豪華な食器やナイフフォークなどのカトラリーセットで、大ナイフ一本とティースプーン何本かになっているようなものも見つかる。昭和を感じるアイテムだ。

はっ、新しい年号になると私たちは三つをまたいでしまうのか。

ナイフは持ち手がゴージャスな作りで重たくて、きっと良いものだったのだろうけれど、肉なんかは全然切れない(笑)。

今はもっと切れ味の良い(ヘンケルスとか)合理的なブランドのものの方が気持ちよく使えるし、かっこいい時代なのかも。そういえば、布張りケースは邪魔で遠い昔に捨てた。

そもそも数が揃っていないのだから、良いお席を設けたとしても使えない。そう場所を取るわけでもないものだから、ついついキッチンの片隅で生き抜いてきたのだと思う。イチゴスプーンやカニフォークなんかも、今は使わなくなったな。

母がいろいろな専用食器を持っているのを見て、私自身の集めた一つのことでしか使えない器具に気がつく。やはり似たもの同士だなと思う。

自分の中で流行っていたので、エスカルゴフォークも持っている。小さくカーブしていないと殻の中から取り出せないので必要だと思ったけれど、年に何回使うだろうか。

残った食器は残兵のようだ。家の片隅に貰い物の歴史や、興味の変遷が落ちている。自分だけでなく、家族の何らかの関わりが、少しづつ溜まっているのだ。

小さな片付け、大きな片付けそれぞれをこなしながら、新しい年を迎える。隙間ができると新しい物が入ってくるとよく聞くけれど、新しい良いものがたくさん収納できるように、まずはどんどん捨てなければ。

昔ほど買わなくなったと思っていたけれど、夫に言わせるとまだ全然買っているみたいだ。


【武田瑛夢/たけだえいむ】eimu@eimu.com
装飾アートの総本山WEBサイト"デコラティブマウンテン"
http://www.eimu.com/


絵を描く時のスケッチブックが、ここ数年はずっとノートだ。中性紙の無地のタイプで昔からありそうなもの。少しアイボリー色の紙なのは、たまたまなので真っ白でも爽やかで良いかもしれない。

鉛筆ではなく、黒いペン「PILOT G-3 GEL 0.7」で太めの線のものだ。ゲルインキボールペンというジャンルだろうと思う。とても滑らかで気に入っている。

美文字を目指すペン字練習帳もこれで書いている。この手の練習帳って素晴らしくて、一つの講座分くらいの価値はあると思う。

他にも黒ペンを使うけれど、ゲルタイプのインクが一番すぐになくなるような気がする。まとめ買いしたので思う存分使えるけれど、また補充しなければ。