3Dプリンター奮闘記[103]家庭に一台3Dプリンター、って難しいよね/織田隆治

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あけましておめでとうございます。
ということで、とうとう年があけてしまいました。

僕はというと、年末に10年ぶりくらいに風邪をひきまして、年末年始はさんざんでした。風邪が治った後も、頭痛とダルさがなかなか治まらず、結局何もできない感じでした…。

もう年かなぁ…。
半世紀過ぎちゃったしなぁ…。

みなさん、健康には気をつけましょう!

さて、ここのところ、仕事が少し落ち着いてきていたのですが、また1月後半からバタバタしそうな感じになってきました。

僕が3Dプリンターを導入して、早5年の歳月が流れて行きました。

世の中ではITやらAIやら、色々と進化していて、結構それがテレビでも取り上げられています。





3Dプリンターも、3〜4年前までは、毎日のようにテレビで取り上げられていました。ですが、最近ではほどんど取り上げられなくなり、一般の方から見ると、一次の過ぎ去ったブームのように思えるかもしれませんね。

知らない、興味のない方から見ると、もう世の中に存在しないような雰囲気かも?(笑)

最近では、3Dプリンターも本当に凄い進化をしていて、どんどん新しい機能を持ったプリンターが出て来ています。僕が導入した頃に比べると、価格もグッと下がり、品質もかなり向上しています。

3Dプリンターと、AI、IT。この取り上げられ方の違いって何でしょうか?

ITもAIも、最近では家電にも組み込まれ、グっと身近に感じることができるようになって来ています。

一方、3Dプリンターは、いくら安価で高品質なコンシューマー機が出て来たとしても、ごくごく一般の人から言うと、3Dデータありき、の3Dプリンターはかなり敷居が高く、そんなに家電のように一般の人に売れるものでもない、ってのが一番の理由でしょうね。

マスコミは基本的に一般向けが主流です。見てもらってなんぼ、の世界ですので、一般の人の興味を引けない「話題」は、取り上げても「商売」にならないんでしょう(笑)

まあ、3Dプリンターもある意味、IT産業に関わって来るものではありますが、それでも一般的とは言えない状況ですね。

一時期、家電量販店でも3Dプリンターのコーナーが出来たりしたことがありましたが、そのまま縮小して消えて行きそうな感じですね〜。

しかし、工業、産業としての現場レベルでは、かなり導入が進んでいることは確実です。

今後、どんどん進化を続け、こういったモノ作りの現場では、当たり前に使われるようになってくる事でしょう。

現在でも、試作レベルの現場では、以前のモック制作を外注することは少なくなり、社内に3Dプリンターを設置して、そこで試作を繰り返すが多くなっています。

実は、表に出て来ないだけで。結構一般の方には身近なんですよね。

アクセサリーの制作にも、3Dモデリング→3Dプリンター→鋳造といった工程で作られることも増えています。

工業製品やおもちゃ、フィギュア等も、3Dモデリング→3Dプリンター→原型、または試作で使われています。

医療では、僕もお手伝いしている、CTスキャンしたデータを加工、3Dプリンターで出力し、手術のシミュレーションに使用することも増えています。

最近では、臓器等そのものを3Dプリンターで製作するような技術も出て来ています。

歯科技工士の間でも、3Dスキャン→モデリング→3Dプリンター→鋳造、なんて
のも増えています。

スニーカー等も、最近では一部3Dプリンターで制作しているものも出てきています。

そういう意味では、かなり身近で3Dプリンターが活躍しているんですね。でも、やはりそこは「工作機械」という立場で、目立たない存在です。

例えば、一般の人が「フライス盤」とか、「CNC」とか聞いても知らないように、「3Dプリンター」も陰の力持ち、という感じなんですね。

そもそも、3Dプリンターを「一般向け」に……と考えるのが難しいんだと思っています。何と言おうが「工作機械」ですから。

最近では、ルーブルはじめ多くの美術館・博物館が、展示品を3Dスキャンした3Dデータを配布するようになり、例えば「ヴィーナス」や「ニケ」といった有名な石像を、自由なサイズで出力できるようになってきました。

その他、色々なものを3Dスキャンして、3Dデータが無料で配布されるようになってきました。歴史遺産や珍しいものを、自分の手に出来る、といった方向ですね。

一般の人が3Dプリンターを初めて購入し、そういったデータを出力することは、始めのうちがとても楽しく、何週間はそれで満足するんですが、多分飽きて、一か月後くらいには放置されると思います(笑)

やはり、それは「既存のデータを出力できる」というだけで、自分で何かを創造するには、3Dモデリングが必須になります。

ここが最大の「一般向けでない」理由だと思います。

3Dモデリングなんて、おいそれと簡単に出来るものではないですね。今のところは、やはり「敷居が高い」んだな〜と実感します。

例えば、最近「FabLab」のような「モノ作るができる場所」がいろいろありますが、はたして効率的に利益が出ている所って本当にあるのかな? なんて思います。

やはり、一部の「コアな人」に支えられているように思います。

アメリカで有名だった某大手FAB施設も、資金繰りの問題等ですべて閉館になったようで、東京にあるのは資本が別と言うこともあり、現存はしていますが…。

東京では、まだ人が多い、ということで、集まるFAB人口もそれに比例して多いと思われるので、まだ良いとして、地方でのFAB施設って現状はどうなんでしょうね?

東京も、地方も、そもそも少ない「モノ作り大好きなFAB人」を奪い合う感じで、色々と試行錯誤しているんだろうと思います。

まだ、レーザーやミシン等、一般でも使い易い工作機械に特化している所は、裾野は広いと思いますが、3Dプリンターってどこもそんなに動いていないような印象です(笑)

僕的には、3Dプリンター自体は「一般家庭」には、今のところはそんなに普及する風景が見えてません。

今後、もっと気軽に、簡単に3Dデータが作れるようなソフトが出現する可能性もあるわけで、3Dスキャンの技術もどんどん上がって来ていることも可能性の一つとは言えますね。

そういった地盤が固められる時期に、どっと一般家庭に普及する可能性はあると思います。

IT絡みで言えば、昔デジクリにも書いたことがありますが、家電商品の部品が破損した場合、メーカーからデータが送られて来て、それを出力すれば世界どこにいても修理可能になる。

また、モノをデータで販売し、家庭の3Dプリンター、もしくは近くの代理店やコンビニで3Dプリント出来る、という事業がまずは発展するんでしょうね。

データさえ送信、受信出来れば、わずかな通信費で送ることが可能な訳ですから、今後の物流にもかなり関わって来るかとは思います。

あとは、3Dプリンターを正しく使える人材の育成ですね。そこらへんに、ビジネスチャンスが見え隠れしています。

ということで、今後の3Dプリンターの活躍に期待しながら、今年最初の記事は真面目に書いてみました。(普段も真面目ですけどね)


【織田隆治】
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