デジクリトーク/一年がかりの一分間アニメ 小川アリカ

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かねてから、私は作ってみたい動画がありました。それは、人形を作る工程を撮影し、アニメにしてみること。

過去には、チームを組んでストップモーションアニメを制作したことがあります。メンバーはCMの仕事で知り合い、私以外は映像畑の人間で構成され、私は人形を作るというアナログ担当係をしていました。

機材もソフトも他のメンバーに揃えていただき、スタジオは夏休みの期間中は使用されないデザイン事務所をお借りし、窓を黒布ですべて覆い真っ暗闇にして24時間態勢でのぞみます。





この時の人形の大きさは、だいたい20cmぐらいです。空手黒帯の監督は、手を震わせながら「僕の腹筋はこの時の為に鍛えてある!」と、長時間中腰の姿勢で、悲鳴をあげながら数ミリ単位で人形を動かし、撮影のド素人の私は、パシャッパシャッとシャッターを切り、その単調な音に、うとうとします……。

5秒間のアニメに8時間も費やする時もあり、明け方に撮影が終了したころには、皆ヘトヘトで、帰り際にカメラマンが「監督、そのデータの入ったハードディスク、帰りの途中でオヤジ狩りにあってボコられても、絶対にそれだけは守って下さいよ!」監督「よし! 分かった! 死守する!」

こうして、監督の命よりも大切にされたアニメが「私は悪魔」です。

この時に色々と勉強させていただいた経験を生かし「いざ!」動画作りに挑戦!あー! でもカメラもソフトも持っていません……もとより業界で「原始人」と呼ばれた私は、デジタルが苦手でして……説明を受けても理解不能(とは言い訳で、先立つものがない)。

というわけで、シャッターを押しただけで写る、小さな手持ちのカメラと、Photoshopで制作することにしました。

人形を設置するには、あらゆる方向から人形を支える仕掛けが必要で、最初はその仕掛けも一緒にして動画にしていましたが、人形が目立たないため、写真を一枚一枚Photoshopで加工して、仕掛けを消すことにしました。

それは、根気のいる作業ですが、ストップモーションにありがちな、1フレームごとにパカパカとバックの色が変わり「あ〜失敗した〜」とか、1フレームだけ人形がずれていて、最初からやり直すなんてことをしなくていいので、これはこれで便利かな? と自分を慰めながら作業に取り組みます。

以前CMの仕事で、エディターが「根性あるのみ!」と言いながら、徹夜で作業をしていたその姿が思い出され、私も「根性あるのみ」を呪文のごとく繰り返し、粛々と進めていきました。

バックの処理を終えた画像は連番で保存し、Photoshopのアニメーション機能で読み込み、動画で書き出してから、iMovieで編集。これが一番お手軽で作れるかしら?

編集方法は簡単なのですが、意外と苦戦したのが、人形を前のフレームと同じ位置や角度に合わせること。

何せこの人形は60cmの大きさにして、地面に接する部分が少なくてグラグラと倒れ、まともに立たない!

一枚撮影しては、前回撮った写真とのズレをPhotoshopで確認する。びみょ〜に振りが違うので何度も撮影し、修正を繰り返すはめに。

これに懲りて、いま現在制作中の作品は二本足で立つ人形にしました。

動画の音楽は、好きで度々聞いていた秋山裕和氏に、ご無理をいい協力していただきました。

実は私は編集作業が嫌いです。同じ物を何度も見返していくうちに、途中で飽きてくるのです。でも今回は好きな曲を選んだお陰で、飽きることなく作業が進みました。

さて! 制作と約500枚もの写真加工に一年をかけ、動画になった作品は、1分間! でした。オヨヨヨヨ〜ん。

こんなふうにしてできあがった作品ですが、ご覧いただければ幸いです。

「ドラゴンの作り方」


「私は悪魔」(ユニット名スプリングボード)



【小川アリカ】
3Dイラストレーター
arika@skyblue.ocn.ne.jp
http://www.arika7.com/