装飾山イバラ道[221]いつもの倍褒めるキャンペーン/武田瑛夢

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最近あまり書いていなかった、高齢の母のこと。快活にあちこち出かけていた母も、最近は外に出るのが億劫になったり、グチを言うこともたまにある。

物忘れもあるけれど、病院に行って調べてもらったら、あまり深刻ではないとわかってホっとしている毎日だ。私もサポートはしているけれど、自分でできることは自分でしている状態だ。

ただ80を超えてしばらく経つと、どんどんお仲間がいなくなるらしく、寂しさを感じるそうだ。他界してしまった場合だけでなく、母のように外に出なくなるので、見かけなくなるという意味での「いない」もある。





●フレーズの真意

病院に行って血圧を測ってもらうと良好のようだ。「お陰様で体はどこも痛いところはないし、有難いと思ってます」のフレーズを、かかりつけの先生に言う。絶好調だからと安心させたいみたいだ。

しかし、先日、毎日飲んでいるはずの薬が、引き出しの中にたくさん溜まっているのを発見してしまった。飲んでいないのに、私には飲んだと言っていたようだ。

これもよくあると聞く話なので、そう深刻には考えないけれど、体のことを考えると、どうにかならないものかと思う。薬を飲むのが面倒くさいとしても、別の引き出しに溜め込むのも面倒なことではないのかな。

母の気持ちを考えていた時に、かかりつけ医に言う「お陰様で体はどこも痛いところはないし、有難いと思ってます」のフレーズが頭に浮かんだ。

そうだ、実は本人は体に不具合がないと思っているから、薬はいらないと考えているのだ。本心はそうなのかもしれない。

しかし、血圧だったり血の巡り系の薬はすぐに効いたと実感するわけではないし、薬の作用は素人には見えにくい。予防が目的の薬もある。

不調が出ないなら飲まなくていいというわけではないことを、本人が理解する伝え方はあるのだろうか。心の芯に届かないと、自分からはしてくれない頑固なところがあるので、大変だ。

今は曜日ごとに分かれたケースを用意しているけれど、カレンダータイプとか新しい方法を考えてもいいかもしれない。まぁ、ほどほどに信用して任せながらゆるりと行こう。

●お風呂の時間

あまり食べたい物もないし、会える人が少なくなったと嘆く母だけれど、母にとって今一番幸せを感じるのは、お風呂の時間のようだ。

私がまず先に入り、続いて母が入って頭を自分で洗ったら背中だけは流してあげている。母は昔から長風呂なので、今も長くなりがちだし、温度も高めにしたいようだ。

お風呂から出たら、髪をドライヤーで乾かしてあげて終了。すぐ乾くから必要ないと言っていたのに、一度ドライヤーで乾かしてあげたら気持ちが良かったようで恒例になった。

お風呂上がりは「あ〜気持ち良かった〜」と何度も言う。

こういう日々はお互いに年を取って、丸くなったからこそ獲得できたものだ。10数年前までは、日常の些細なことでケンカばかりだった。

「ここ10年以上、ケンカらしいケンカしてないよね」と聞いてみたら「そうだね、もうどんな気持ちでケンカしてたかも思い出せないね」と言っていた。

ケンカは、しなければしないで過ごせるものだ。あの頃にはわからなかった気持ちだ。

前出の薬を飲まなかったことなども、昔ならケンカになっていたかもしれない。私が小さかった頃ならこちらがやっていたようなことが、逆転しているのだ。まだまだ細かな問題は多いけれど、気持ちの持ち方さえ気をつけていれば大したことはないことばかりだ。

最も大事だと思うのは、母がこの歳で頑張って毎日を暮らしていることを褒めるシーンを作ること。褒めるというと上からのようで言葉が悪いかもしれないけれど、すごいとかよくやってるという発見を、しっかり伝えていくのはどんどんやっていこう。

褒めるのってタダなのに、家族同士が一番やり忘れることではないだろうか。以前は学生を倍褒めようと思っていたけれど、今は家族を倍褒めるキャンペーンを実施しようと思う。


【武田瑛夢/たけだえいむ】eimu@eimu.com
装飾アートの総本山WEBサイト"デコラティブマウンテン"
http://www.eimu.com/

クレーンゲーム、昔は好きだったけれど、確率機なるものが増えたり、掴みとる技ではない仕組みが多くて、すっかり苦手になってしまった。一度大負けしてから、もう二度とやらないと気をつけている。

とか言いつつも、お酒が入っていたり、複数人だったら、楽しいのでいいかな。獲得賞品がなくても笑えたらいいかもね。いいカモだけど(笑)。