わが逃走[215]円盤はロマンの巻/齋藤 浩

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子供の頃はみんな、木曜スペシャルUFO特集を見て、空飛ぶ円盤の真相について熱く語り合っていたものだが、大人になったらそんなヤツは周囲からひとりもいなくなったのは何故か。

それは、大人のくせにUFOとか言ってるヤツは、モテないからである。

その情熱を(昔でいうなら車の免許を取るとかギターの練習をする等)モテるための努力へと変換することこそ正しいとされてきた。少なくともそれが大多数の意見だったと言えよう。

しかし。もし福山雅治がUFOの話をしたとしてもモテるはずだ。これはズルい。くやしい。だが福山の話は例外中の例外なので、この際考えないこととする。





つまり、真顔で空飛ぶ円盤がどうとか言ってる大人はアブナイ奴、とみられることが多く、実際、某書店のスピリチュアル&超常現象コーナーの雑誌をブツブツ言いながら立ち読みしているアノ人は、「目をあわせちゃダメよ」という気にさせてくれるに充分な資質を備えていると言えよう。

したがって世間体を考える常識人は、たとえ興味があったとしてもおおっぴらにしない。

それが大人の節度というヤツである。

一般的に「未確認な飛行物体は宇宙人の乗り物」。だからオカルト! ということになっているわけだが、今回はその根本のところを切り離して考えたいと思う。

実際、米空軍が撮影した動画(CNNが報じたヤツ)や日航貨物機が遭遇したアノ事件など、未確認の飛行物体は確かに存在しているわけだが、そもそもそれが何なのかが判明しないから、未確認飛行物体なのである。

この際、宇宙人とか陰謀論とかは置いといて、純粋に「なんだかわからんモノが飛んでることを面白がる」というのをやってみようかと思う。

重たいものが、空に浮かんでたら楽しいよね。

誰でも思い浮かべる「アベコベの発想」こそクリエイティブの原点なのだ。

考えてみればマグリットの『ピレネーの城』なんかも、「岩に乗っかった城が空を飛んでいる」と確認されるまでは未確認飛行物体だ。そもそもゲージュツだったら、どこに何が浮かんでようが構わないのである。

それなら、みんなで好きなものを浮かべてみよう、なんて思うのだ。

そうしたとき、やはり浮かべたくなるのは円盤なのである。

シンプルな形状であればあるほど魅力を感じる→不思議な印象が強くなるのは何故か。

また円錐や円柱でもよさそうなものだが、王道な感じがしないというか、どうも二番手な感は否めない。

『空飛ぶ円盤』という言葉自体も、人を振り向かせるに絶妙なフレーズであるように思う。

ところで、小学生のときに読んだ本によれば、いちばんポピュラーなタイプはアダムスキー型円盤で、それらの母船が葉巻型円盤だそうだ。

でもよくよく考えてみれば、葉巻は円盤ではなく円柱だよね。

というわけで、いつもほうじ茶をいれるときに使っている急須の蓋を浮かべてみた。


世田谷上空の急須の蓋
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お花見に現れた急須の蓋
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東京タワー上空の急須の蓋
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けっこうタノシイ。


【さいとう・ひろし】saito@tongpoographics.jp
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1969年生まれ。小学生のときYMOの音楽に衝撃をうけ、音楽で彼らを超えられないと悟り、デザイナーをめざす。1999年tong-poo graphics設立。グラフィックデザイナーとして、地道に仕事を続けています。