グラフィック薄氷大魔王[562]速読は可能か?/吉井 宏

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「速読は科学的に不可能」らしい。え〜! そうなんだ……ガッカリ。

https://www.lifehacker.jp/2016/02/160219speed_reading.html
https://hbol.jp/135636

実は、80年代末に名古屋の速読教室に通ってたことがある。速読っていうと、当時から眉唾なイメージはあった。でも、もしかして可能だったらいいなって。

日本SF大会に関わるなどで、とんでもない読書量の人を知り、自分の読書量の少なさにガッカリしたのがきっかけだった。超能力みたいな速読をマスターして、何万冊でも頭にぶち込もう! って期待したのだ。

教室にはいつも数十人くらいいたから繁盛してたんだろう。丹田呼吸法で集中力を上げ、文字を凝視し続けると大きく見えてくる(らしい)とか、教材(文字の代わりに四角の列が印刷された疑似本など)で目の動きを速く滑らかにしたりなどの練習をした。

本のページ内の漢字やカタカナのかたまりをイメージとして捉えて記憶し、後で何が書いてあったか思い出して、単語を書き出すのが本番の訓練。書き出せる単語を増やしていき、最終的にはほとんどの内容を思い出せるようになるとのことだった。

まあ、ちっとも上達する気配がなく飽きてしまったため、教室へは数か月ほどで行かなくなった。




ただ、目の動かし方は身についたようで、ページ全体に素早く目を通したり、ぶれずに凝視したりは、今も習慣になってる。しかし、本が速く読めるようになったかといえば、まったくそうならなかった。大量の単語が目に飛び込んでくるものの、脳に届かず片端から忘れちゃうのでは意味がないのだ。

やはり速読は不可能なのか? といえば、可能な場合もある。と、今では次のように解釈している。

写真のように見たままを記憶する、いわゆる直感像記憶(映像記憶)。ごく少数の人が持ってる能力だそう。

子供の頃、「テストなんて教科書丸ごと頭に写しちゃえば楽勝」とか言ってるオジサンがいた。他にも似たようなこと言う人が複数いた。僕はまったくできなかったけど、その人たちにとっては当たり前だったらしい。

僕の説。速読術とは、直感像記憶がある人がたまたま速読を習って、「おお! できた」ってものなんじゃないかと。もともと直感像記憶の素質がある人が、訓練によって目覚めることもあるかもしれない。

素質を持った少数の人が速読できるようになるが、素質がない人はいくら訓練してもダメ。だからといって、速読教室はムダなのではなく、素質がある人の能力を開花させるには役に立つ。だって素質あるかどうかわからないじゃん。

余談1:教室の助手の女性が訓練中にクスクス笑ったので、なにかと聞いたら「見ている文字が視界いっぱいまで大きくなってしまって可笑しい」だそう。そういうふうに見える人が実際にいると確信。それでがんばって凝視してみたけどダメだった。

余談2:直感像記憶能力はマジほしかった。資料をチラチラと見ながら描いてたけど、丸ごと記憶できるなら便利。買わなくても本屋や図書館で記憶しちゃえるし。シリアル番号とか打ち込むのラクそうw

余談3:丹田呼吸法は気分を落ち着かせるのに役に立ってる。「1分で寝られる」とかの記事に出てくるのも、たいてい丹田呼吸法に近いものだったりする。即席の瞑想みたいなものらしい。

余談4。手塚治虫の伝説、「本屋でペラペラと何冊か数分立ち読みしただけで全部頭に入ってる」の目撃談。直感像記憶できたのかもしれないし、斜め読みの天才だったのかもしれない。ちょっと確認したいことがあった本をめくっただけかもしれない。

「ブラックジャック創作秘話」など、氏の暗黒面からすると「オレは天才アピール演出」だったんじゃないかという気さえするw


【吉井 宏/イラストレーター】
HP  http://www.yoshii.com
Blog http://yoshii-blog.blogspot.com/

「半分青い」って「ブラックジャック」だ! って思いついたんだけど、既出?

3Dプリンタ情報サイト3DCreatorsに「3Dプリンタの明日を妄想する」のリレーコラムを書きました。妄想部分は少ないですが。
http://3dcreators.jp/column/ms_04.shtml

・スワロフスキー「招き猫」と「HOOT HAPPY BIRTHDAY」が出ました。
http://bit.ly/2ni8HaD
http://bit.ly/2orkDIs

・スワロフスキー干支モチーフの「ZODIAC」
https://www.fashion-press.net/news/33277

・スワロフスキーのLovlotsシリーズ「Hoot the Owl」
http://bit.ly/2ruVM9x

・パリの老舗百貨店Printemps 150周年記念マスコット「ROSEちゃん」
http://departmentstoreparis.printemps.com/news/w/150ans-41500

・rinkakインタビュー記事
『キャラクターは、ギリギリの要素で見せたい』吉井宏さん
https://www.rinkak.com/creatorsvoice/hiroshiyoshii