[4562] ゾンビで人間を描きたい◇腕時計のバネ棒◇VRゴーグルのOculus Goを使ってみた

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《韓国映画「らしい」ゾンビ》

■腕時計百科事典[58]
 腕時計のバネ棒
 吉田貴之

■クリエイター手抜きプロジェクト[543]VR編
 Oculus Goを買ってみた
 古籏一浩

■映画ザビエル[55]
 ゾンビで人間を描きたい
 カンクロー




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■腕時計百科事典[58]
腕時計のバネ棒

吉田貴之
https://bn.dgcr.com/archives/20180514110300.html

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腕時計の部品の中ではもっとも地味ながらも、ある意味もっとも重要かもしれない部品、それが「バネ棒」です。バネ棒は時計本体を革ベルトやブレスレットとつないでくれる、いわば時計を腕時計にしてくれる部品です。

○バネ棒の仕組み

バネ棒は他の部品同様に、外側から見ることのできない部品です。革ベルトにもブレスレットにも専用の穴が設けられており、そこにバネ棒を通す形で使用します。

バネ棒は棒状の部品ですが、その名の通り中に小さなバネが仕込まれています。取り付け時、あるいは取り外し時にバネを縮めることで長さを短くします。

取り付けると適切な長さに戻るため、革ベルトやブレスレットを固定できる、という至ってシンプルな仕組みです。

○バネ棒の構造と弱点

一般的なバネ棒はバネとケース、2本の棒で構成されています。ケースの端をかしめることで、外向きの力がかかる棒が飛び出さないようになっています。

棒部分を左右に揺らすような負荷をかけると、思ったよりも簡単に緩みが生じ、バネ棒が壊れてしまうことがあります。

腕時計を構成する部品の中では比較的大きいとは言え、小さな部品であることは間違いないので、無理な力をかけてはいけません。

○バネ棒のサイズ

腕時計のサイズに合わせて、バネ棒には沢山の種類が存在します。メンズサイズでは18mm、19mm、20mm、21mm、22mmが、ボーイズサイズでは16mm、17mmが、レディースサイズでは6mmから15mmが使われます。もちろん例外もあります。

サイズは時計本体のラグの幅に合わせます。1mmくらいであればなんとかなる場合もありますが、基本的には大きくても小さくてもダメです。

入るから、といってギリギリの長さのバネ棒を無理やり押し込んでしまうと、外すときに大変な思いをすることになるので気をつけましょう。

○バネ棒の太さ

サイズといえば、長さだけでなく直径の違いもあります。ダイバーズなど時計本体の重さが重いものは、太めのバネ棒が使用されます。

革ベルトではそうでもないですが、ブレスレットではバネ棒の径とそれを通すの穴の径とに差がありすぎると、時計本体が安定しません。選べるようであれば、ブレスレットの穴のサイズに近い径のバネ棒を選ぶようにしましょう。

○2種類のバネ棒

バネ棒は汎用性のある部品ですが、革ベルトの腕時計ではひとつの腕時計で仕様の異なるバネ棒が使われます。

ラグに取り付けるものと、尾錠につけるものとでは長さもあることながら、径が違ったり、両端の飛び出し具合が違うことがあります。これは、尾錠の穴にスマートに収めるためです。

○バネ棒の交換

バネ棒を長く使うと、中に水や汚れが混入し、サビの発生や固着の原因となります。バネ棒の不具合は、腕時計が腕から外れるなどの致命的なトラブルの原因になります。

バネ棒は、出来ればメンテナンスの都度、あるいはベルト交換の都度交換することをおすすめします。


【吉田貴之】info@nowebnolife.com

イディア:情報デザインと情報アーキテクチャ
https://www.idia.jp/

腕時計ポータルサイト:腕時計新聞
https://www.watchjournal.net/


兵庫県神戸市在住。Webサイトの企画や制作、運営を生業としながら、情報の整理や表現について研究しています。


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■クリエイター手抜きプロジェクト[543]VR編
Oculus Goを買ってみた

古籏一浩
https://bn.dgcr.com/archives/20180514110200.html

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今回は、VRゴーグルのOculus Goについて書きます。せっかく買ったので、何か書かないといけないかな、という程度のものです。というか、VR絡みは知識が浅いので、気楽に書けるデジクリで扱うしかないというだけですが……。

Oculus Goは、手軽にVRを楽しむことができるアイテムです。価格も23,800円と、上位機種であるOculus Riftの半額以下になっています。

・Oculus Go
https://www.oculus.com/go/


・Oculus Rift
https://www.oculus.com/rift/


VRゴーグルは段ボールで作成するものなどもあります。

・ハコスコ
https://hacosco.com/vr-goggle/


スマートフォンを差し込んで使うVRゴーグルもありますが、Oculus Goは単体で利用できます。

ただし、使用する際にはOculusアプリ上で登録するか、Facebookに登録しておく必要があります。アプリをダウンロードしただけでは駄目みたいです。最初、Facebookでのログインを試みたのですがうまくいかず、仕方なくOculusに登録しました。

VRゴーグルは家に3つほどあります。Oculus Goを買うことにしたのは、今後VRゴーグルが必要になりそうと考えるのと、ゴールデンウィーク中にTwitterで、Oculus Go素晴らしい! みたいなツイートがたくさん流れてきたからです。

これまでのVRゴーグルは、簡易的なもの(雑誌付録やアプリに付属していたもの)、イベントで見た初期のOculus、マイクロソフトのHoloLens、自作したと思われる虫眼鏡を使ったものなどを体験しています。

これまでの経験からすると、Oculus Goもそんなにたいしたことないのではないか、と思っていました。で、実際にかぶってみたら、あらこれは全然違う……。コントローラーも3D空間で操作している感覚。これは今までのとは全然違う……。

実店舗に行かなくてもよさそうとか、会議で出かける必要ないみたいなツイートも見たのですが、実際にOculus Goを体験すると、その気持ちも分からなくはありません。

というか、Oculus Goをつけて会議をした方が、HangOutなどのリモート画面でやるより、よほどいい気がします。

さて、せっかくOculus Goを買ったので、用意されている画像や映像を見てみます。定番のジェットコースターの映像もあります。酔ってしまう人もいるようですが、私はまったく平気でした。

体験してわかったのが、Oculus Goの解像度の問題よりも、用意されている撮影された映像の解像度とフレームレート、そして3D(両眼視差の方の3D、つまり立体視)かどうかが、リアルな感覚を得られるための重要なポイントだと思いました。

重要度順に並べると

(1)解像度
(2)フレームレート
(3)3D立体視

といったところです。解像度が低いと目が疲れます。用意されている映像の多くは、けっこう解像度が低いため目が疲れます。

どのくらい違うかを確認するため、Oculus Goが来た日に山に行って撮影してみました。4K/30fpsで撮影した映像を以下に用意してあります。

・Oculus用YouTube映像(気休め/癒し/リラクゼーション用)
http://www.openspc2.org/VR/


実際にこの映像を見て確認するには、Oculus Goのメニューでブラウザを選択し、上記URLを入力します。あとはリンクをクリックします。すると、YouTubeの画面になります。モバイル用にするかどうかのメッセージがあれば、モバイル用に切り替えてください。

映像が出たら映像の右下にある歯車のアイコン(設定ボタン)をクリックし、「画質」から480pや2160pを選択します。コントローラーで再生ボタンをクリックして、映像の再生を開始します。

映像の再生が始まったら、フルスクリーンにします。その後、コントローラーをクリックして、180度のアイコンをクリックします。すると、映像が180度、視野に展開(拡大)されます。

画質を変更するには、フルスクリーンモードを解除して行ってください。再生中にも変更できます。

画質が480p、1080p(FullHD)、2160p(4K)によって、けっこう違ってくるのが分かるかと思います。360度映像でリアルなものを作成するなら、最低でも8K/60pが必要ということです。中国の製品では、360度撮影で8K/60p(12K/30p)撮影できるカメラもあります。

・Insta360 Pro
https://www.insta360.com/product/insta360-pro/

https://www.moguravr.com/insta360-pro-3/


フレームレートは60fpsで十分そうに思えるかも知れませんが、VR作成している知人によると、60fpsでは酔いの原因のひとつにもなるようで、90fpsなどより高速にしないと駄目みたいです。

240fpsまで出れば十分だと思いますが、さすがにそこまで今は高速に表示/処理できないので将来に期待するしかありません。

3D立体視までできればバッチリです。iPhone 8/Xを横に2台接続して撮影すれば、きれいな立体視できる映像が手軽にできるでしょう。他にもHDR(ハイダイナミックレンジ)に対応した映像でないと、リアルさが減っていくという事情もあります。

それから、4K映像を再生するのは通信のデータ量が多いため、現時点ではスムーズに再生できないこともあります。データ量が少なく綺麗な映像……と言えばCG。それもデータ量が少ないヤツ……ありました。ヴァーチャルユーチューバーなら、背景が白い上に基本的に二次元だからデータ量が少ない。

・A.I. Channel キズナアイ
https://www.youtube.com/channel/UC4YaOt1yT-ZeyB0OmxHgolA


Oculus Goで見ると、スムーズできれいに再生されます。自然の映像だとデータ量が非常に多いので、現時点では辛いのですが、ヴァーチャルユーチューバーならよさそうです。180度スクリーンにすると、なおグッドです……グッドです……。

Oculus Goは、眼鏡をかけている人でも使えます。老眼の人でも大丈夫です。スクリーンは遠くに投影されます。また、寝転がって映像を見ることもできます。ただし、180度スクリーンにしてしまうと駄目な場合もあります(コンテンツ、YouTubeかどうかにもよる)。ホラー映像で天井方面だけ見てると、全然怖くないというオチもありますが。

あと、バッテリーは2時間ほど持ちます。結構減り方は速い感じもしますが、映画を見るには十分でしょう。

それと、もうひとつ注意点がありました。VRゴーグルをつけてVR空間に入ると、実時間が分かりません。もしくは、感覚的に実時間とずれちゃうので、VRを楽しむ場合は時間がたっぷりある時にした方がよいでしょう。


【古籏一浩】openspc@alpha.ocn.ne.jp
http://www.openspc2.org/


Oculus Goを注文する場合、日本語が英語に自動変換されてしまうことがあるので、住所氏名はローマ字で入力しましょう。そのうち直るかも知れませんが、現時点では駄目みたいです。ちなみに、郵便番号と番地が正しければ、ほとんどの場合届いているようです。

・みんなのIchigoLatte入門 JavaScriptで楽しむゲーム作りと電子工作
https://www.amazon.co.jp/dp/4865940936/

[正誤表]
http://www.openspc2.org/book/error/ichigoLatte/


・After Effects自動化サンプルプログラム 上巻、下巻
https://www.amazon.co.jp/dp/4844397591/

https://www.amazon.co.jp/dp/4844397605/


・IchigoLatteでIoT体験
https://www.amazon.co.jp/dp/B06X3X1CHP/

http://digiconcart.com/dccartstore/cart/info/2561/218591


・みんなのIchigoJam入門 BASICで楽しむゲーム作りと電子工作
http://www.amazon.co.jp/dp/4865940332/


・Photoshop自動化基本編
http://www.amazon.co.jp/dp/B00W952JQW/


・Illustrator自動化基本編
http://www.amazon.co.jp/dp/B00R5MZ1PA/


・4K/ハイビジョン映像素材集
http://www.openspc2.org/HDTV/


・クリエイター手抜きプロジェクト
http://www.openspc2.org/projectX/



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■映画ザビエル[55]
ゾンビで人間を描きたい

カンクロー
https://bn.dgcr.com/archives/20180514110100.html

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◎新幹線 ファイナル・エクスプレス

原題:Train to Busan/釜山行
製作年度:2016年
制作国・地域:韓国
上映時間:118分
監督:ヨン・サンホ
出演:コン・ユ、キム・スアン、チョン・ユミ、マ・ドンソク

●だいたいこんな話(作品概要)

証券会社に勤めるソグは、多忙なあまり幼い娘スアンの誕生日に、かつて贈ったことのあるオモチャと同じものをプレゼントしてしまう。普段から娘に構ってやれない罪悪感から、スアンたっての願いを聞き入れ、離婚協議中の妻の元へ連れて行くことにした。

妻が暮らす釜山へ向かうため、ソウル発の高速鉄道KTXへ乗り込むソグとスアン。ソウル駅までの道中でも、何台もの緊急車両を目撃していた二人だったが、KTXがソウル駅を発車する時、駅で発生した異常な事態を目撃することになる。

KTXの車内では、駅だけなくあらゆる場所で起きている「暴動」についてのニュース映像が流れる。しかし、その暴動=異常事態の火種は、すでにKTX車内にも飛び火していた。ソグと娘のスアンは、無事に釜山まで辿り着けるのか。

●わたくし的見解/ゾンビでもエモいところが「らしい」のです

春は、ゾンビの季節と言っても過言ではありません。ほんの虚言です。

今回は、韓国映画・オブ・ザ・デッド。ゾンビ大国アメリカが、リメイク権をすでに購入している作品で、大変に「らしい」映画です。

本作では走るタイプの(しかも、かなり速く走れる)ゾンビなので、ゾンビ映画の第一人者である、ジョージ・A・ロメロのセオリーに当てはまりません。

しかし、ゾンビの存在するシチュエーションで、結局のところ人間の本質や本性をあぶり出す作りは、ロメロ哲学に通じています。これが、ゾンビ映画「らしい」ところ。

他には、ホラー映画「らしい」、そして韓国映画「らしい」があります。

ホラー映画、特にスプラッタ系の作品では、主要な登場人物が順々に死んでいくのが王道のパターンです。鑑賞者へのファンサービスなのか、分かりやすく嫌な奴は、必ず死にます。

また、宗教的な影響と思われますが、罪や過ちを犯した人も死にます。これは法律で裁かれるような罪でなくても然りで、軽く人を欺くとか。

それから、ホラー映画的には必要悪みたいなものですが、エッチなことをすると、この枠で目出たく(?)死ぬ人リストに入ってしまいます。

若い男女がイチャイチャするのは、絵面として映画に入れておきたい要素なので(華があるというか、あまりに色気がないと場が持たないんでしょうね)比較的ホラー映画の序盤にブチこまれるのが定番なのに、カップルはいずれ死ぬ要員でもある訳です。

本作では、アメリカ映画のように直接的なセクシー描写はまったくないものの、結婚前の男女が公衆の面前で、仲睦まじくしていたのがいけなかったのだと思われます。最終的に生き残った人を見て理由を考えた時に、ホラー映画「らしい」に帰結しました。

生き残った人、つまり罪のない人の選び方も含めて、何かしら韓国映画「らしい」と私は思ってしまいました。その人達を殺さない設定にするのは、とてもハリウッド映画的なのですが、その点も含めて韓国映画「らしい」のです。

韓国映画で特に今回のようなアクション要素のある作品に関しては、かねてよりハリウッド映画を彷彿とさせる作りで、この方向性においては日本映画は完全に負けています。

この世の映画のすべてが、ハリウッド映画を目指していく必要もなく、日本映画は別の方向性を目指せば良いと私は思っているのですが。

とにかく「ハリウッド的」であることについては、韓国映画はとても上手。そして、ハリウッド的であること自体が韓国映画「らしい」のです。同時に、ハリウッド的ではない韓国映画特有の特徴、極めてエモーショナルな作風が本作でも色濃く、その点でも実に韓国映画「らしい」。

このようなジャンル映画(ゾンビ、ホラー、サバイバル、パニックなど、シリアスな人間ドラマとは違う趣のもの)であるにもかかわらず、主要な登場人物をとてもエモーショナルでウェットに紹介するあたりが、本当に韓国映画「らしい」なと感じました。

ゾンビ映画ながらも、決定的にグロテスクな映像もないので、ゾンビもホラーも韓国映画にも興味のない方でも、面白く鑑賞できる作品です。

とても「らしい」のに、その「らしさ」を求めていない人でも楽しめるところが、この作品最大の功績と言えるでしょう。


【カンクロー】info@eigaxavier.com

映画ザビエル http://www.eigaxavier.com/


映画については好みが固定化されてきており、こういったコラムを書く者としては年間の鑑賞本数は少ないと思います。その分、だいぶ鼻が利くようになっていて、劇場まで足を運んでハズレにあたることは、まずありません。

時間とお金を費やした以上は、元を取るまで楽しまないと、というケチな思考からくる結果かも知れませんが。

私の文章と比べれば、必ず時間を費やす価値のある映画をご紹介します。読んで下さった方が「映画を楽しむ」時に、ほんの少しでもお役に立てれば嬉しく思います。


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編集後記(05/14)

●佐藤雅彦・菅俊一・高橋秀明「行動経済まんが ヘンテコノミクス」を読んだ(2017/マガジンハウス)。ものすごく下手くそな漫画である。ものすごく古いセンスである。とうてい商業漫画とは呼べない出来である。身悶えしたくなるくらい陳腐なビジュアルである。我慢して読んだら、……面白かった。

佐藤(64:推定年齢、以下同)は「ピタゴラスイッチ」の人、高橋(54)は電通のアドマン、何10年か前に有名だった。菅(38)は慶應SFCの佐藤の教え子らしい。行動経済学って難しそうだが、日常生活にあふれている漫画でやれば、うまく入り込めるだろうという狙いだ。「BRUTUS」連載改稿を中心に全23話。

はじめは「サザエさん」でやりたかったが(確かに絶妙である)、伝手がない。佐藤の閃きで「ぼくらがサザエさんをやればいいんだ!」ということになり、漫画など描いたこともない高橋に依頼し快諾を得る(無謀な人たちだ)。漫画制作初心者の3人を引っ張ったのが、「ブルータス」編集部の矢作(初心者)。

全員がアマチュアだったのだ。いま最も注目されている学問(って本当なんですか)「行動経済学」の理論がサザエさん並みに、楽しく学べる唯一無二の一冊(誰もこんなこと考えないし)。たとえば「フレーミング効果」とは、同じ情報でも枠組みを変える、提示の仕方を変えると、価値が変わるということ。

医師に告げられた「死亡率20%の手術」を「成功率80%」と言い換えることで、ネガティブ情報をポジティブに父親に伝えられた、という話。今から30年前、ホームベーカリーが発売され、マーケティングは好調だったが全然売れない。パンを自宅で作るという全く新しいカテゴリーに、市民権がなかったからだ。

そこで、自分で競争相手を作った。上位機種を発売し、一種類だった商品を群にすることで、人々に「世の中で一定の評価を得ているカテゴリーである」と思わせることができた。買うか買わないか→どちらを買おうか、へ変化したためみごと大ヒット。これが「おとり効果」だ。当時、ものすごく高かったけど。

ついつい真ん中を選んでしまう「極端回避性」、顕著な特徴だけで物事を見極める「ハロー効果」、目先の損を嫌う心理「損失回避の法則」、「タダ」が判断を狂わせる「選好の逆転」など、ワカルワカルのお話が次々に。確かにそうだな、面白いなと思わせるが、だからどうした? という気がしないでもない。

簡単なクイズが出題されている。(問)ある教授のお父さんのひとり息子が、その教授の息子のお父さんと話をしていますが、その教授はこの会話には加わっていません。そんなことは可能でしょうか。 答えは、編集後記の一番下に。この内容で、この漫画で(そこそこ面白かったけど)わざわざハードカバーで、1620円とは高過ぎる。この値付けを「行動経済学」的に何とする? (柴田)

佐藤雅彦・菅俊一・高橋秀明「行動経済まんが ヘンテコノミクス」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4838729723/dgcrcom-22/



●先週末の続き。大きく書いたが、直近で言えば、クーポンやポイントに流される自分がいる〜(笑)。選択肢の多い「投資」はリスクもあって頭がフリーズするけれど、クーポンやポイントは受け身だし、わかりやすいので流される。

期限やら種類やらを覚えておくのは面倒くさいが、店を選ぶ時にそれらが後押ししてくる。一番好きなのは現金値引きだけど(笑)。

「面倒くさい」は、たとえば冷蔵庫や日用品の在庫管理。アマゾンのダッシュボタンが自動的に押されるようなもの。ボタン押せばいいじゃないかと男性なら言うかも。しかしあのボタンには価格が表示されないのだ。価格はしょっちゅう変動しているのだ。

定期便も罠で、容量の違うものが特売で出てたりするのだ。店頭なら(ある程度年齢の高い店員なら)、今はこっちの方がお得ですよ〜と言ってくれるのに、定期便ではその仕組みはないのだ。続く。 (hammer.mule)


クイズの答え:可能。教授は女性だった。わたしは煩悶、妻は一瞬で正解……