装飾山イバラ道[223]スクイーズのテマヒマの話/武田瑛夢

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久しぶりにスクイーズについて書いてみました。

スクイーズは柔らかいスポンジでできていて、手で潰して遊ぶので、その触感が命。この記事は動画ではないので、触感をお伝えするのは難しいけれど、写真でわかる違いなら比較しやすいのでまとめてみよう。

スクイーズの触感に影響する要素は、大きく分けると材質、形状、塗装の三つがあると思う。スクイーズは水系やクレイ系などがあるが、今回は低反発スポンジタイプのスクイーズを見ていきたい。

スクイーズの触り心地は、私にとっても最も魅力を感じているところだ。特にカラー塗装の仕上げ部分は、スクイーズを触った時のしっとり感やペタペタ感、スポンジの空気の抜けに影響を与えるので触感の決め手にもなっている。

ここにいかに手間暇をかけるかの話。





●スクイーズの色付け方法いろいろ

まずは見た目の違いを見ていこう。写真の左は大好きなSilly Squishiesのブルーベリーマフィンのスクイーズで、最近届いたばかりのものだ。サイズは大きめのマフィンと同じくらいで手に乗るくらい。

・ブルーベリーマフィン(Silly Squishies Blueberry Muffin)、猫(Angie
Jolly Cats)
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Sillyのブルーベリーマフィンは、かなりデフォルメされたデザインだけれど、立体感といい焼き色の質感といい、相当良い出来だと思う。

右の三段積みの猫のスクイーズはBanggoodで購入。柔らかいことで有名だったので買っていたら、ついつい増えてしまった。

一体づつ見ると色づけは特に工夫なく、単色のスポンジに模様と顔の部分を貼っただけのような感じだ。猫に比べるとマフィンのカラーリングにどれだけの手間がかかっているか、わかりやすいと思って並べてみた。

まず、マフィンの生地には凸凹のテクスチャが入れられていて、下の溝が掘られたカップ部分との差がつけられている。

マフィンの美味しそうな焼き色は、エアブラシでふんわりと薄く入っている。ベースのベージュカラーもとても薄い皮膜の色だ。

ブルーベリー色のハート模様は、一つずつが立体的に盛り上げられており、それに合わせてブルーの濃い色がついて、プリっとツヤ良く見える。色だけで表現するか、原型作りから攻めるか、設計段階から考えられているのがわかる。

顔の目と口は転写シールのようなプリントだろうか。どの部分の色から塗って、どんな形状でマスキングするのかも、カラーリング工程では間違えられない。一色増やすだけで、作業はなにかと増えてしまうものなのだ。

上のような作業の積み重ねで、ブルーベリーマフィンは独特の色の深みを持った可愛さで完成している。

もちろんSillyなので香りも付いていて、美味しそうなブルーベリーにバターっぽさが加わったリアルなマフィンの香り。触り心地も、以前紹介したシナモンロールに近い、最高グレードの柔らかさだった。

猫のスクイーズ(Angie Jolly Cats)がダメだと言っているわけではない。ダメなら三つも買わない(笑)。

この猫はシンプルなのが可愛くて、シッポもない単純な形だからこそ、触り心地が最高なのだ。

特にピンク色は入荷するとすぐに売り切れてしまうので、慌てて買ってみたら、他の二匹よりも抜群にしっとりとして柔らかかった。なぜ皆、知っているのだろう。

猫のバリエーション製作では一番手間のかかる「型」は全部同じもので、あとは色を変えているだけだ。

そして、つみネコのような形状なので、ついついたくさん積み重ねたくなるよね。商売がとことん上手いのである。まんまと乗せられて、三つ買ってしまったので、よーくわかる。

価格はブルーベリーマフィンがUS$18.99で、猫がUS$8.89だ。手間に対して猫がちょっと高いような気もする。以下のサイトで購入することができる。

・Silly Squishies
https://www.sillysquishies.com/

・Banggood
https://www.banggood.com/ja/

●スクイーズデザイン

次の写真の左に置いたのは、本物のマフィンのような日本のCafe de Nのマフィンスクイーズだ。大きさは普通のマフィンぐらいで、下のカップも溝は彫られている。ふんわりした焼き色で、それぞれの部位で変化しているのでとてもリアルだ。

・Cafe de N マフィン(左)
http://eimu.com/dgcol/muf2.jpg

触り心地もみっしりと詰まった感じの低反発で、本物のマフィンに近い。パンよりも密度があるマフィン特有の触り心地を再現していて、つい手が伸びるスクイーズだ。

Cafe de Nの得意とする質感が、マフィンにぴったりだったのかもしれない。香りはない。

右のSillyのマフィンとの差がよくわかる。Sillyの商品は顔をつけることで、キャラクター化して受ける印象がまったく変わる。Sillyのマフィンはフワァっと柔らかいので、触り心地をマフィンに近づけてはいない。

マフィンの生地部分の色の皮膜が薄いので、押した時にスポンジから空気が出やすくなっていて柔らかいのだと思う。それぞれが目指す目的で完成度を上げているので、どちらも素晴らしい。

●品質チェック

重要だと思うのが品質チェックだ。検品して最終的にOKを出す基準は、メーカーによって違う。品質はブランドがはっきりしていないスクイーズでも良いものもあるし、そもそも製造を依頼している工場は、同じようなところではないかと思う。

私のところに届くものは検品を通ってきているはずだけれど、時には正規品とは思えないものも含まれている。正規品の範囲内でも、それぞれに違いがあるので見てみたい。

・BLOOM コアラ、CreamiiCsandy original Yummiibear
http://eimu.com/dgcol/koa1.jpg

写真の左は国内でも高品質で有名なBLOOMのコアラ、右は海外スクイーズで人気のCreamiiCandyのオリジナルヤミーベアだ。自立するタイプでサイズも似ているし、どちらも可愛い。

触り心地は二つとも低反発と言えるけれど、コアラの方が三倍くらい戻りが遅くて柔らかい。そして最も違うのが製品のバリの仕上げだ。

型に素材を流し込む製法の場合、バリがつくのは当たり前だ。仕上げではこれをいかに取るかが肝心。型からはハミ出た部分を削る「バリ取り」は、製品の質の要とも言われているようだ。

・BLOOM コアラ、creamiicandy original Yummiibear
http://eimu.com/dgcol/koa2.jpg

上の写真を見ると、二つの違いが大きいことがわかる。BLOOMのコアラの耳では気にならないバリが、ヤミーベアではそれこそバリバリに残っている。

BLOOMのコアラの耳は肉厚な丸みの形状良いし、プニプニしていてすごく柔らかい。

ヤミーベアの耳のバリは色が白いこともあって目立つし、触り心地にも影響している。手で全体を包み込む時に、イガイガが触る感じがするのだ。

気になるなら自分でカットすればいいけれど、仕上げの丁寧さはとても大切な部分だ。

バリを削らず手間を削る。製作の工数はできるだけ省いた方が、利益は得られるかもしれない。しかし、バリが多くて嬉しいのはたい焼きぐらいなので、私は製品の仕上げでは丁寧な仕事をしてほしいと思う。

とはいっても、スクイーズメーカーは可愛いものをスピーディに作り続けているので、優先順位の低いところは削るしかないのかもしれない。

実際にCreamiiCandyは、新作のペースが他と比べても驚くほど早いのだ。サーっと作ってドンドン売る。それはそれでアリな時代かな。

選んでもらう理由が何かによって、うちはコレを大切にして物作りしています、というのが伝わればよいのかもしれない。それぞれの良いところを自分で選べばいいのだ。私は手間暇かけたものが好きだなぁ。


【武田瑛夢/たけだえいむ】eimu@eimu.com
装飾アートの総本山WEBサイト"デコラティブマウンテン"
http://www.eimu.com/

食べられる方の本物のマフィンも大好き! ここで書いたスクイーズの大きめマフィンぐらいのサイズがあるのは、北海道のアリス・ファームだ。

「北海道 アリス・ファーム マフィン」で画像検索すると、美味しそうでたまらなくなる。私も物産展でよく買う。特にブルーベリーチーズマフィンには大きなクリームチーズも入っていて最高。食べられるマフィンの方が、万人に喜ばれる情報なのかも。