[4578] Kindle Oasisを買った結果◇東京大学駒場寮のイベント記録写真◇黒野伸一「AIのある家族計画」

投稿:  著者:  読了時間:13分(本文:約6,000文字)



《本屋が手元に来てしまった》

■装飾山イバラ道[224]
 本と共に生きる──Kindle Oasisを買う
 武田瑛夢

■Scenes Around Me[28]
 東京大学駒場寮の事(7)鳴神[3]・ラムネ展
 関根正幸




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■装飾山イバラ道[224]
本と共に生きる──Kindle Oasisを買う

武田瑛夢
http://bn.dgcr.com/archives/20180605110200.html
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「Kindle Oasis」を買った。Amazonで本を購入しようとするとき、目に入ってくる「Kindle版」の文字についに負けてしまったのだ。紙の本も好きだけれど、場所を取らないKindle版の利点は大きい。

「Kindle Paperwhite マンガモデル」も魅力だったけれど、防水でお風呂で読めるというのが決め手になり、「Kindle Oasis」にした。カバーは純正が売り切れていたので、ATiCの赤。使用感も問題ない。いろいろ調べてWi-Fi、32GBでキャンペーン情報なしのモデルにした。

家に届いた「Kindle Oasis」は、私のAmazonアカウントがすでに登録されていて、名前が出たので気持ち悪かった。

Amazonで買ったのだからそういうものらしいけれど、あまりにクイックスタートすぎる印象。自分で買った物を誰かに、箱のままプレゼントしようと思う人はいないのだろうか。

・Kindle Oasis
http://eimu.com/dgcol/kin01.jpg

・待機画面もなかなか綺麗
http://eimu.com/dgcol/kin02.jpg

見た目は思ったよりも正方形に近い形で、持ちやすい。特に軽いとは思わなかった。ページ送りのボタン位置は、左右どちらにしてもすぐに回転して切り替わる。本体にジャイロが入っているのでスムースだ。

文字は読みやすく、目が疲れないのは本当だ。コントラスト弱めの画面は目に優しい。保護フィルムは何も貼っていない。何しろ、本を購入して読み始めるまでがすごく早かった。

私の場合は、カバーを開いて、キーボード用のアームレストに置きながら読むのが楽だ。このモデルは物理ボタンもついているけれど、画面をタッチしてページ送りする方が指が疲れない気がする。

文字表示の設定は少々手間取った。本によって読書設定が違うのかな。慣れるまでは文字のサイズや明るさを、いろいろ変えながら調整しよう。

読み放題の「Kindle Unlimited」にも、とりあえず最初は無料なので体験中だけれど、最新の本はあまり読み放題には入っていないようだ。

図書館感覚で、ちょっと前の本が自由に読める印象。購入した本ではないから、いつ読めなくなるのかわからない。契約をやめた途端に開けなくなるのかな。

紙の本よりKindle版の方が安くても、結局は本屋が手元に来てしまったのだから、本代はかさむ結果になりそうだ。

●かつて紙の本を持ち歩いた理由

夫の実家片付けで、大量の本をブックオフに売った。いろんなものをいろんなところに査定してもらったけれど、ほぼそのまま受け入れるしかない感じだった。高く売る意欲のなさを見透かされているのだ。

夫の昔の本棚の本は、彼の頭の中を作ってきたものの残骸のようだ。「私があと一回読んだら捨てよう」と残した本の箱もまだある。本当に読むのかな。

本がなければ生きていけない人もいる。本がなくても大丈夫な人もいる。まだスマホがなかった時代、何かしらの見るものが必要だったから、本を持ち歩いていたのかもしれない。

満員電車の中で、知らない人にぎっしりと囲まれている不自然さを忘れるためには、まったく関係のない情報を心に流す必要がある。それが本の人もいれば音楽の人もいたのだ。

「Kindle Unlimited」で読めるものには、マンガも多いのが嬉しい。買った本の整理はまだよくわからなくて、ホーム画面で見えてくるものを読んでいる感じ。増えてきたらまとめよう。

お風呂ではカバーを外してそのまま持って行った。何も問題なく読書ができる。快適だけれど、場所はやっぱり蛇腹の風呂蓋の上で読むことになる。iPadの時と同じだ。

お風呂用フレキシブルアームとかないのかな。と思ったら、もうやっている人いるな。吸盤アームか、なるほどぉと調査と妄想は広がる。

デジタルとアナログとハイテクとローテクが入り混じったような、とりあえずもっと便利になるまでの、場繋ぎ的な中途半端な時代。

本当のSFが日常になるまでは、バネや吸盤がまだまだ活躍しそうである。台風が来ると気圧の変化で、お風呂の吸盤が落ちて困るんだよなぁ。


【武田瑛夢/たけだえいむ】eimu@eimu.com
装飾アートの総本山WEBサイト"デコラティブマウンテン"
http://www.eimu.com/

スプラトゥーン2のサンリオフェス、私が選んだ方は負け続けている。最後はキティにしようかと思うけれど、どうかなぁ。フェスで使うブキは塗り性能でスパッタリーです。


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■Scenes Around Me[28]
東京大学駒場寮の事(7)鳴神[3]・ラムネ展

関根正幸
http://bn.dgcr.com/archives/20180605110100.html
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歌舞伎「鳴神」を下敷きにした中村しのぶさんの芝居ですが、最終日は会場のオブスキュアギャラリーで公演の写真を撮りました。

当時使っていたカメラ(Contax TVS)はシャッター音が静かだったので、かなりの枚数写真を撮ったのですが、会場内が薄暗かったのと、目測でピントを合わせてノーファインダーで撮影したため、まともに写ったものはそれほど多くありませんでした。

https://farm1.staticflickr.com/950/41110498935_eeaa04f06a_c.jpg

ジャングルに迷い込んだ美女が上人に会おうとするが、武盾一郎さんと陽さん演じる従者に怪しまれて、面会を拒否される場面。

https://farm1.staticflickr.com/968/41290557694_b4bedb8d32_c.jpg

鳴神上人の居所は、単管を組んだ上に布を巻いたとてもシンプルなものでした。

https://farm1.staticflickr.com/828/41110498535_06bfbe73af_c.jpg

上人が現れ、従者を人払いして美女と二人きりになります。

https://farm1.staticflickr.com/949/41110497735_f7029336a7_c.jpg

美女が乳房を触らせることで、上人が法力を失う場面。ここら辺のやり取りは、歌舞伎の鳴神と同じかも知れません。

芝居が終わった後、その場で打ち上げがありました。

芝居を見たお客さんに感想を聞くビデオを、長谷井宏紀(コーキ)くんが撮影して会場に流していました。

コーキくんはオブスキュアギャラリーを運営していましたが、コーキくんのことを知ったのは実はこの時が最初でした。

また、芝居の音を担当したサンカラゴンジャのメンバーに、武さんがボディペインティングを行い、メンバーが踊っている場面も撮影しています。

https://farm1.staticflickr.com/953/40093232160_ae38501730_c.jpg

・ラムネ展

前回書いたように、「鳴神」の芝居が終わった後、楽屋として使っていたオブスキュアギャラリーの真上の部屋(北寮2階)が、そのまま蟻天嶽の部屋になりました。

「鳴神」から程なくして、のざらし画廊の副委員長だったミッシェル(中山裕子)さんは女子美術大学の卒業展に向けて、蟻天嶽の隣にあったギャラリーでラムネ展を開催しました。

ミッシェルは、ベニヤ板で作った家の外面にラムネ菓子を貼り付けて、ラムネの家を作りました。

当時、ミッシェルが会場を設立中の写真や、展示風景の写真も撮影したのですが、ネガはポートフォリオを作るためミッシェルに預けたきり戻ってこないので、今回紹介できるのは展示期間中に行われたライブイベント(1997年12月25日頃)の写真になります。

https://farm1.staticflickr.com/908/42114012932_4eef436b4f_c.jpg

おそらく、イベント開始時にミッシェルが挨拶している時の写真で、左側に写っている四角い板は、石川雷太さんと昼間光城さんのユニットerehwonが演奏用に使った鉄板です。

また、ライブイベントの当日、またはその一日前だと思いますが、私が蟻天嶽にいると、のざらし画廊のスタッフだった蟲くんが「カメラを貸して欲しい」と部屋に駆け込んできました。

私がカメラを渡すと、蟲くんは大急ぎで外に飛び出した後、すぐに戻ってきました。

後日フィルムをプリントに出したところ、次に紹介する写真がありました。

https://farm1.staticflickr.com/969/41259695615_083f5e97c7_c.jpg

ミッシェルのラムネ展のオープニングパーティーで、駒場寮の廊下に置いてあった冷蔵庫に入り込んだ石倉麻里さん。(蟲くん撮影)


【せきね・まさゆき】
sekinema@hotmail.com
http://www.geocities.jp/sekinemajp/photos

1965年生まれ。非常勤で数学を教えるかたわら、中山道、庚申塔の様な自転車で移動中に気になったものや、ライブ、美術展、パフォーマンスなどの写真を雑多に撮影しています。記録魔


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編集後記(06/05)

●黒野伸一「AIのある家族計画」を読んだ(2018/早川書房)。AIにはアイとかながふってある。家族計画とは、結婚した夫婦が最も適当な数の子供を、最も適当な時期に産み育てる計画のことをいう。それとAIとどんな関係があるんだ。近未来はAIが家族計画に干渉してくるようになる、とかの話かと思ったら。

手塚治虫のソックリさん・田中圭一のカバー絵から、主人公はAIであることが予想できる。主人公の恵(20歳)は“拾ってくれた(これ重要)”健司(プーさん)の家でヘルパーとして働いている。プーさんの家族は、おばあちゃん、おじいちゃん、お姉ちゃんの瑠璃と、弟の浩の5人で、恵もほとんど家族同様。

21世紀に入ると進化しすぎた自動化テクノロジーは、労働者そのものにとって代わる。資産家にとって完全無欠な労働力だ。AIに職場を奪われた人々は都市を追われ、田舎で自給自足生活をしている。都市部ではロボット狩りが頻発している。ロボットにはアシモフの三原則がある。人には反撃できない。傷害事件ではなく器物破損だ。廃ロボにするには金がかかるから、野良ロボも増えた。

健司が所属していた損保会社横浜営業所は、日本一の売上げを誇るJロボテクスの販売子会社ビッグロボットと社名を変えて、中古ロボットのレンタル販売に転じた。ロボット工学の専門家は一人もいない。そこへドローンが飛来した。それが新所長の山下だった。人工知能を搭載したロボットだ。まさか自分の上司がドローンとは夢にも思わなかった。読者だってそんなアホなことに呆然。

一週間前にできあがったばかりだという。経験がまったくないのに、所長が務まるのか。「営業や経営管理に関する豊富なデータをアップロードしたから、務まるに決まっているじゃないか」と言う。社内の空気は一変、厳格なノルマの設定、詳細な業務報告の義務化、上司の命令には絶対服従、私語の禁止、仕事以外の私用電話の禁止……。AIが人の上に立つことを禁止する法律はない。

アシモフの三原則もそこまで網羅していない。そのうち、所長室に39機のウーパールーパが低空飛行している。全部が所長である。各従業員に一機のドローンがつく。経理や総務にも監視がつく。文字どおり人間を見下している。会社の成績はアップするが人間達は窮屈でたまらない。どうなるんだ、この会社。

既にシンギュラリティが到来した後の世界らしい。人は知らず識らずにAIの奴隷と化している。安心、安全と引き替えに、失うものは知性ということにみな気づいていない。ついにAI史上初の殺人事件が起きた。犯人、いや犯AIは恵と同じバージョンで既に生産を停止している。警察は恵を犯人と断定する。

この物語では、どう読んでも恵は最初からAIである。しかし恵は人間の記憶を持ち、自分は人間だと思い込んでいる存在だ。違和感は件の殺人事件から予想外の展開で、健司もからんだ恵の出自が明かされる。もちろん、恵は事件とは無関係であった。人類とAIの関わりは今後ますます複雑さを増す。AIは人を愛することを学んだという話だが、鬱陶しいからそんなのはご免だ。 (柴田)

黒野伸一「AIのある家族計画」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4152097558/dgcrcom-22/


●「まだスマホがなかった時代」のくだりに共感。

/昨日のサンスター文具のアイデアコンテスト。安次富隆賞の「CheckPac」も気になった。文具王高畑正幸さんの記事に、書類の上部(本でいうところの天)に蛍光ペンでマークする方法があったからだ。

書類に変更があった場合、古いものは破棄するが、経緯を残しておきたいものがある。最終版は、上部に蛍光グリーンで端から端まで一本線をひいておけば判別しやすい。その線を引くのに「CheckPac」は便利だなぁと。

婚姻届がピンクの一本線で、離婚届が緑の一本線みたいな……いやあれは用紙そのものも色刷りなんだけど、重ねてあっても少しずらしたら判別できるし〜な。速達の赤い線とか……。

記事では、最終版が最終版じゃなくなった時はどうするかまで書かれてあったよ。実務で培ったノウハウなんだね。 (hammer.mule)

第23回「文房具アイデアコンテスト」
http://www.sun-star-st.jp/news/61/23th_prize.html

グリーンの蛍光ペンで最終バージョンチェック
http://www.itmedia.co.jp/bizid/articles/0801/31/news024.html
読んだのは別のサイトだったような気がする

記事一覧
http://www.itmedia.co.jp/bizid/bungkingindex.html
こんなにいろいろあったんだ。読んでみようっと