エセー物語(エッセイ+超短編ストーリー)[22]北京は折りたたみ式 月が許してくれている間に/柴田友美

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◎北京は折りたたみ式

ケン・リュウ編 中原尚哉・他訳 現代中国SFアンソロジー『折りたたみ北京』早川書房刊を読みました。ケン・リュウという人が選んで英語に翻訳した7人の作家(陳楸帆、夏笳、馬伯庸、○〈赤におおざと〉景芳、糖匪、程○〈女に青の下が円〉波、劉慈欣)の短編を、今度は日本語にした本のようです。

内容はSFなのですが、出てくる人の名前や地名が中国なので面白かったです。内容も妖怪が出てくるようなのから、変にハイテクになった未来まで色々で楽しめました。





今回は自分の作品は出さずに(ケン・リュウは自分でも作品を書くみたいです)作品を選んで英訳したケン・リュウの前書きがあって、「あんまり作品を中国への批判ととったりとか、中国的な特徴を探すとか、そんなことはせんといてね。」と書いてありましたが、いやこれめっちゃ中国のこと書いてあるんちゃうの、と心の中でつっこみながら読んでました。

この本のタイトルにもなっている、○〈赤におおざと〉景芳の「折りたたみ北京」という作品は、未来の北京は折りたたみ式になっていて、その別々の世界に分断された所を行き来するおっちゃんの話でした。この話と、夏笳の「童童(トントン)の夏」は読んで泣きました。

この中にも作品がある劉慈欣の、『三体』という小説が英訳されて、それがきっかけでアメリカでも中国でも「中国SF」のブームになり、書き手もたくさん出てきた、ということのようです。

検索すると、夏笳と○〈赤におおざと〉景芳は。すぐにテレビのインタビュー動画が出てきました。可愛い女性でした。なんかほんまにブームなんやな、と思いました。

中国SFは、中国人に、「テクノロジーばかりが進化して、人類はどうなるんだ」という文章を書かせたら、美しい詩になってしまった、という感じです。本の装丁もかなりかっこいいので、是非買って読んでみて下さい。

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◎月が許してくれている間に

ある日、僕の頭から馬がたくさん出ていった。最後の一頭に乗ってついて行くと、中央大通りを通って、トンネルを越えて大阪港に来た。

馬たちはそのまま船に乗ってどこかへ行った。僕は電車に乗って家に帰った。このままタイに行って、象の目になろうと思った。



【柴田友美(しばたともみ)】

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