[4583] 「ポスト・トゥルース」と「水からの伝言」に共通する何か◇作図に役立つ Adobe XD

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《「主観」こそが自分にとって「真実」》

■羽化の作法[63]
 ポスト・トゥルースと水からの伝言と私
 武 盾一郎

■LIFE is 日々一歩(76)[ウェブ]
 作図に役立つ Adobe XD(2)
 森 和恵



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■羽化の作法[63]
ポスト・トゥルースと水からの伝言と私

武 盾一郎
https://bn.dgcr.com/archives/20180612110200.html

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こんにちは武盾一郎です。編集長から、昔話より今の話をもっとしなさいとお達しがあったので、今回は現在編です。

●ちょっと不思議な話の続き

「羽化の作法61 退院後のちょっと不思議な話」で書いた話。
https://bn.dgcr.com/archives/20180515110200.html


ざっくりと説明すると、好酸球性副鼻腔炎と診断されて好酸球検査を受けた。白血球である好酸球が増え過ぎてしまう「指定難病」だ。それは「軍備を増やし過ぎて苦しくなってる国家」のようだと思い、検査日までのおよそ二週間「この世に敵は存在しない」と唱え続けてみたら、好酸球値が正常になった。という話です。

再検査をして、先日6月6日に結果を聞きに行ったら、またしても好酸球が正常値だったのでした。

〈二度目の検査でも好酸球が正常値でした。手術して好酸球性副鼻腔炎という難病と診断されたのですが、術後の検査によって難病指定は出来なくなった。つまり、「難病が治った」みたいな?(2018年6月6日)〉


嗅覚が無くなったのは2年前の2016年の春頃。花粉症が酷くて匂いもしないわぁ、程度に思っていてなんとく過ごしてたら、秋を知らせる金木犀の香りがしない。これはまずいと思って耳鼻科に通い、結局2018年3月に手術に至ったのでした。

二度目の好酸球正常値の結果に、「好酸球性副鼻腔炎は治ることもあるのですか?」と先生に聞いてみたら、「そういうこともあります。ひょっとしたら突発的にアレルギー反応で鼻茸ができただけで、それが続いてたのかも知れませんね」ということでした。

何しろ原因不明で、治す方法も確立されてない難病だから、よく分からない部分も多いようだ。「難病にかすった」感じだろうか。しかし、またアレルギーが酷くなれば再発する恐れもあるので、気をつけるに越したことはない。

様々な要因が重なり合って、好酸球性副鼻腔炎になり手術して好酸球が正常化した、という一連の話だが、自分の実感としては「この世に敵は存在しない」と唱えることが功を奏した、と認識したりしている。

この「自分の認識」、つまり「主観」こそが自分にとって「真実」になる。「事実」は複合的な偶然の結果だったとしても。

そんな感触を抱いた時にふと思った。このことと、今盛んに言われている「ポスト・トゥルースの時代」とは何か関係がありそうだ、と。

https://kotobank.jp/word/%E3%83%9D%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%88%E3%82%A5%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%82%B9-1748296


そしてまた「水からの伝言」とも関係ありそうだ、とも。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B4%E3%81%8B%E3%82%89%E3%81%AE%E4%BC%9D%E8%A8%80


●主観世界と客観世界の結び付き

ヒッグス粒子が発見されたり重力波が測定されたり、AIが登場してVRやARがどんどん出て来たり、科学と科学技術がこんなに進んで来てるのに、フェイクニュースで政治が動いたり、およそ科学とは呼べない言説がさも科学的真実のように売れたりしてる。

なんだか不思議だなあと思ったりもするけど、ずっと昔から人間社会ってそうだったのかも知れない。

ただ、なんとなくだけど、科学が取り扱う問題の変遷が社会の価値観を牽引している気もしてる。

古典力学と量子力学。

ざっくりとアインシュタインまでが古典力学になってるようだが、ここまでの科学は完璧に「客観的事実」だ。私が月を観測してもしなくても月は在り、その運行は法則から導き出せる。観測者の念で運行が変わることはないし、たとえ人類が滅びてもその法則は変化しない。

「月は私が見なくてもある」のだ。

これを乱暴に言い換えるならば「運命は決まっている」世界だ。

ところがおそよ100年前、量子力学の登場で変わる。原子にある電子の位置は「確率」でしか分からない。そして、放射性同位元素が崩壊する時刻は何時何分であるという具合に予言できない。

アインシュタインは「神はサイコロを振らない」と言ったようだけど、どうやら私という「個の運命」は決まってないようなのだ。

このようにして法則で決定されている「運命」の世界に、「確率」という「不確定性」が登場したのである。

また、量子力学から「観測」がとても問題になってくる。観測は基本「光」(の反射)を見る。量子力学くらいミクロになると、観測(の光)の影響で状態が変化してしまうのだ。

有名な『2重スリットの実験』があるが、この動画では、“観測者の存在は量子の振る舞いを変えてしまうんだよ。”と言っている。


観測者と観測対象の「関係」が浮かび上がり、「観測者」という「主体」が何なのかを考慮しなくてはならない。科学に「主観要素」が入り込んでしまうのである。

そうするす「量子」と「意識」って関係してるのではないだろうか? とすぐに思ってしまう。そんな実験が本当にあったようだ。「サイエンスZERO」という番組の動画で紹介されている。

『量子は観察者の影響を受ける』


この動画でも2重スリット実験が行われるが、かなり変わっている。スリット実験装置の横に被験者を座らせて、“ふたつのスリットの片方だけを光子が多く通過するよう被験者に強く念じてもらう。”

“もしも人間の意識が量子に作用するなら、光子の動きが変化して縞模様も変わるのではないか? と考えました。”と、いうものなのだ。

そして実験結果はなんと、偶然と呼ばれる値の変化を超えていたという。

ここで重要なことは「本当に意識が量子に影響を与えたのかどうか」ではなくて、「二重スリット」や「シュレーディンガーの猫」といった「量子力学(思考)実験」が、「人間の意識」を強く連想させてしまう点にある。

量子力学の登場によって「人間の意識」すなわち「主観世界」と、科学の「客観世界」が結び付いた。そのおかげで主観世界で起こる現象を、科学っぽく言える土台が出来てしまったように思える。

例えば「引き寄せの法則」というのがある。これは科学ではない。しかし主観世界では「引き寄せの法則」はかなりリアルに当てはまる。STAP細胞よりも再現性が高い。

「気」とか「スピリチュアル」とか、そういった主観世界のものが、量子力学や脳科学といった先端科学と結び付けて語られたりしている。それは詐欺をしたい気功師が増えたのではなく、科学が進もうとしてる方向に「気」とか「スピリチュアル」が扱ってきた「主観世界」があるからなのだと思う。

「私はこの世界を変えることができない」という世界観から「私がそう思うと世界はそうなる」にシフトして来たのが、ここ数千年の人間の世界認識の変遷のように思えたのだった。

「重要なのは《神の真実》であって事実ではない」世界から、途中「事実」と「真実」が合致した時代を経て、「重要なのは《私の真実》であって事実ではない」世界への変遷だ。「事実」は「素材」でしかない。

以上が「この世に敵は存在しないと唱えたら難病を克服した」と思い込む自分が、「ポスト・トゥルース」と「水からの伝言」に共通する何かを感じた理由である。(つづく)


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■LIFE is 日々一歩(76)[ウェブ]
作図に役立つ Adobe XD(2)

森 和恵
https://bn.dgcr.com/archives/20180612110100.html

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こんにちは! 森和恵です。今年も台風が来てしまいましたね。緊張します。さてさて。今回も引き続き、動画でAdobe XDについて勉強を進めましょう!

まずは告知から。ご紹介を続けている7月7日のイベントですが、残席少なくなってきたようです。

【CSS Nite in Osaka, vol.45「All About XD」 w/YATのblog】
http://cssnite.jp/osaka/vol45/


全部で7つのセッションがありますが、これからXDを使い始める方向けの基本操作のセッションや、実務のワークフローで実際に使ってみてどうだったかの体験談を踏まえたセッションまで、幅広くXDのことが学べる一日になりそうで楽しみです。

先週から、担当するセッションにつなげるための動画の配信を始めました。限られたセッションの時間ではお伝えしきれない細かい事柄を中心に、当日まで週1回ライブ配信の予定です。

【Bootstrapありきで考えるXDでのページレイアウト】


●動画でウェブ学ぼう!「作図に役立つ、Adobe XD(2)」

XDのテキスト操作を解説した動画をYoutubeにアップしました。


今回の操作のポイントは、下記の通りです。
※()ツールの()は、ショートカットキーです。

・テキスト(T)ツールの操作
・エリアテキストとポイントテキスト
・テキストのプロパティで、文字属性を指定
・文字属性をコピーするアピアランスペースト
・Illustratorから、テキストをペーストすると……
・アセットの文字スタイル
・文字をアウトライン化するパスに変換
・ブール演算(パスファインダー)を使った裏技っぽいこと

1枚もののレイアウトが得意なXDは、基本操作がIllustratorと似ているのですが、テキスト周りの操作に関しては少しクセがあって違う部分も多いので、そこをポイントにまとめてみました。

●Adobe XDのユーザーボイス

前回URLをご紹介した、XDのユーザーボイスページについて、少し触れておき
ます。

【Adobe XD Feedback : Feature Requests & Bugs】
https://adobexd.uservoice.com/


このサイトでは、バグ情報だけでなく「こんな機能をつけて欲しい」という要望を含め、XDユーザーからの意見を募っています。

興味深いのがユーザーの要望に投票(Vote)ができることです。

【Adobe XD:Feature Requests】
https://adobexd.uservoice.com/forums/353007-adobe-xd-feature-requests


この「Top ideas」を見てみると、ユーザーがつけて欲しい機能のランキングが出てきます。

いま、5489票を獲得しているのが「Fixed elements in scrolling artboards」という機能です。

これはアートボードの一部を固定する機能のことで、使うとヘッダーやナビゲーションバーをページの上や下に固定した、ウェブページの表現ができます。

わたしも最初にXDでウェブページのカンプを作ったときに、この機能があればいいなと思ったものです。

この機能ですが、現在XDに搭載するべく機能を開発中とのこと。ユーザーの声が多い機能から優先してバージョンアップに加えていくなんて、素敵なことだなと思います。

みなさんも、欲しい機能があればこちらに投稿してみたり(英語というハードルを越えなくてはなりませんが)、いいなという機能を見かけたら投票(Vote)してみてくださいね。


……というわけで、今回はここまで。
次回がラスト。XDを使った作図について応用編をお届けする予定です。

今週の金曜日(6月15日夜10時半)から、Youtubeライブ配信をします。
「Bootstrapありきで考える、XDページレイアウト(2)」


また、チャンネル登録もお待ちしております。
https://www.youtube.com/r360studio


ではまた、次回お目にかかりましょう!
(^^)


【 森和恵 r360studio ウェブ系インストラクター 】
mail: r360studio@gmail.com
サイト: http://r360studio.com



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編集後記(06/12)

●田中潤・松本健太郎「誤解だらけの人工知能 ディープラーニングの限界と可能性」を読んだ(光文社新書/2018)。人工知能が社会に浸透するにつけて、人間はどのような変化に対応しなければならないのか。人工知能が高度に発達した10〜20年後の世界はどうなっているのか。わたし自身はどうなってもいいと思っているが、そもそも生きているかどうか分からない。子供(中年だが)や孫のことが心配だ。

「20世紀は資本主義の時代で、株主として働かずとも所得を得る人が一定数いました。21世紀は一人一人が自分の持っている価値を担保に、誰もが資本家になれる時代なのです」と太字で罫まで引かれているから、きっと重要な意見なのだろう。何言ってるか分からんが。21世紀の仕事を大分類すると、人工知能を作る仕事と、自分自身を売り込む仕事、この二つに収斂される、んだとか。

田中が強調するのは、人工知能が仕事を奪うのではなくて、人工知能によって労働から解放されるという発想である。労働は人工知能という「奴隷」に全部やらせればいい。しかし、人が労働から解放されたら、対価としてのお金が得られない。貨幣による経済体系が回らなくなる。そこで、労働の対価としてお金をもらうという仕組み自体を壊し、ベーシックインカムの導入が図られる。

政府がすべての国民に対して、最低限の生活を送るのに必要とされている現金を定期的に支給する制度だ。毎回全てを使い切る。貯めると経済が回らないので、貯めてはいけない。お金を使う行為自体が「労働」である。という考え方なのだ。人工知能は人間の仕事を奪う脅威ではなく、労働からの解放をもたらす。働かざる者食うべからず、は消去かい。いまひとつ納得できないけれど。

これから21世紀を生きる子供たちは数学をやろう。最低限でも数学IIBはできるようになり、数学IIICもできてほしい。コツコツ勉強しろ。サクッとは無理。理系なら数学と統計とプログラムの基礎を一からやるしかない。なぜなら、知識は反復練習でしか定着しないからだ。知っているのと、知っていて実際に活用できるのとでは大きな差がある。嗚呼、いま子供でなくてよかったと思う。

インターネットから匿名という概念はなくなる。ネット上を実名で生きられる人が、これから起こる人工知能時代を満喫できる。SNS上の評価が自身の信用の評価と見なされるようになる。信用格差が生まれる基盤がリアルからネットに移行する。FacebookやTwitterは使わないと言ってる人が、社会から「信用できない」というレッテルを貼られてしまう可能性がある。そんなアホな。

2017年、中国ではアリペイが提供する芝麻信用という、ユーザーの信用度を数字で算出するサービスが爆発的に普及している。このアプリは、身分の公開、つながり、返済能力、クレジットヒストリー、行動履歴の5つの要素がそれぞれ数値化されており、個人の信用度のプラットフォームになったという。芝麻信用のおかげで、来日する中国人がじつにお行儀よくなった、らしい。

ほんまかいな、と思うところもあるが、相当にショッキングな近未来が語られていてじつに刺激的な本である。松本は「明日から何にとりかかればいいのでしょうか」と問う。「ちゃんとディープラーニングを理解してほしいし、そのためにはサワリだけでも良いのでプログラミングに挑戦してほしいですね」と田中。この二人、サワリの意味を誤解している気配が濃厚である。(柴田)

田中潤・松本健太郎「誤解だらけの人工知能 ディープラーニングの限界と可能性」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B079SY7D8S/dgcrcom-22/



●歴史的な日になって欲しい。どういう条件なのだろう。

/快復されたのであれば良かったです〜!!/森さんが登壇される7/7のセミナー、残席わずか!

/ネタがない。いや、あるといえばあるが、ここに書ける内容ではない。うーんうーん。

何かないかとGoogleニュースを見る。神田さんの「新製品発表のない『お通夜のような』#WWDC2018」を見たり、ロケットニュースの「【100均検証】ほぼ整形レベル!! 若返りたくてダイソーの『リフトアップテープ』を使ってみた結果…」を見たり。

ダイソーのは、関連記事の「【継続は力なり】1日10分『美顔ローラー』を2週間続けた結果」まで見てしまったわ。

「科学&テクノロジー」カテゴリまで来て、「V6長野博&白石美帆が結婚発表『明るく朗らかな家庭を』」で、デジャヴか? とニュースを見たら、2016年11月29日の記事。よくよく見ると、「科学&テクノロジー」カテゴリ内に載っている。リロードしたら消えた。Google的にこれは私向け記事で2年前のであっても見せたかったのか? (hammer.mule)

新製品発表のない「お通夜のような」 #WWDC2018
https://news.yahoo.co.jp/byline/kandatoshiaki/20180605-00086080/


【100均検証】ほぼ整形レベル!! 若返りたくてダイソーの「リフトアップテー
プ」を使ってみた結果…
https://rocketnews24.com/2018/06/12/1074592/


Googleニュースのキャプチャ
https://bn.dgcr.com/archives/2018/06/12/images/001

三度目のリロードで復活……
https://bn.dgcr.com/archives/2018/06/12/images/002

V6長野博&白石美帆が結婚発表「明るく朗らかな家庭を」
https://www.oricon.co.jp/news/2082200/full/