羽化の作法[63]ポスト・トゥルースと水からの伝言と私/武 盾一郎

投稿:  著者:  読了時間:9分(本文:約4,000文字)


こんにちは武盾一郎です。編集長から、昔話より今の話をもっとしなさいとお達しがあったので、今回は現在編です。

●ちょっと不思議な話の続き

「羽化の作法61 退院後のちょっと不思議な話」で書いた話。
http://bn.dgcr.com/archives/20180515110200.html

ざっくりと説明すると、好酸球性副鼻腔炎と診断されて好酸球検査を受けた。白血球である好酸球が増え過ぎてしまう「指定難病」だ。それは「軍備を増やし過ぎて苦しくなってる国家」のようだと思い、検査日までのおよそ二週間「この世に敵は存在しない」と唱え続けてみたら、好酸球値が正常になった。という話です。




再検査をして、先日6月6日に結果を聞きに行ったら、またしても好酸球が正常値だったのでした。

〈二度目の検査でも好酸球が正常値でした。手術して好酸球性副鼻腔炎という難病と診断されたのですが、術後の検査によって難病指定は出来なくなった。つまり、「難病が治った」みたいな?(2018年6月6日)〉


嗅覚が無くなったのは2年前の2016年の春頃。花粉症が酷くて匂いもしないわぁ、程度に思っていてなんとく過ごしてたら、秋を知らせる金木犀の香りがしない。これはまずいと思って耳鼻科に通い、結局2018年3月に手術に至ったのでした。

二度目の好酸球正常値の結果に、「好酸球性副鼻腔炎は治ることもあるのですか?」と先生に聞いてみたら、「そういうこともあります。ひょっとしたら突発的にアレルギー反応で鼻茸ができただけで、それが続いてたのかも知れませんね」ということでした。

何しろ原因不明で、治す方法も確立されてない難病だから、よく分からない部分も多いようだ。「難病にかすった」感じだろうか。しかし、またアレルギーが酷くなれば再発する恐れもあるので、気をつけるに越したことはない。

様々な要因が重なり合って、好酸球性副鼻腔炎になり手術して好酸球が正常化した、という一連の話だが、自分の実感としては「この世に敵は存在しない」と唱えることが功を奏した、と認識したりしている。

この「自分の認識」、つまり「主観」こそが自分にとって「真実」になる。「事実」は複合的な偶然の結果だったとしても。

そんな感触を抱いた時にふと思った。このことと、今盛んに言われている「ポスト・トゥルースの時代」とは何か関係がありそうだ、と。

https://kotobank.jp/word/%E3%83%9D%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%88%E3%82%A5%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%82%B9-1748296

そしてまた「水からの伝言」とも関係ありそうだ、とも。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%B4%E3%81%8B%E3%82%89%E3%81%AE%E4%BC%9D%E8%A8%80

●主観世界と客観世界の結び付き

ヒッグス粒子が発見されたり重力波が測定されたり、AIが登場してVRやARがどんどん出て来たり、科学と科学技術がこんなに進んで来てるのに、フェイクニュースで政治が動いたり、およそ科学とは呼べない言説がさも科学的真実のように売れたりしてる。

なんだか不思議だなあと思ったりもするけど、ずっと昔から人間社会ってそうだったのかも知れない。

ただ、なんとなくだけど、科学が取り扱う問題の変遷が社会の価値観を牽引している気もしてる。

古典力学と量子力学。

ざっくりとアインシュタインまでが古典力学になってるようだが、ここまでの科学は完璧に「客観的事実」だ。私が月を観測してもしなくても月は在り、その運行は法則から導き出せる。観測者の念で運行が変わることはないし、たとえ人類が滅びてもその法則は変化しない。

「月は私が見なくてもある」のだ。

これを乱暴に言い換えるならば「運命は決まっている」世界だ。

ところがおそよ100年前、量子力学の登場で変わる。原子にある電子の位置は「確率」でしか分からない。そして、放射性同位元素が崩壊する時刻は何時何分であるという具合に予言できない。

アインシュタインは「神はサイコロを振らない」と言ったようだけど、どうやら私という「個の運命」は決まってないようなのだ。

このようにして法則で決定されている「運命」の世界に、「確率」という「不確定性」が登場したのである。

また、量子力学から「観測」がとても問題になってくる。観測は基本「光」(の反射)を見る。量子力学くらいミクロになると、観測(の光)の影響で状態が変化してしまうのだ。

有名な『2重スリットの実験』があるが、この動画では、“観測者の存在は量子の振る舞いを変えてしまうんだよ。”と言っている。


観測者と観測対象の「関係」が浮かび上がり、「観測者」という「主体」が何なのかを考慮しなくてはならない。科学に「主観要素」が入り込んでしまうのである。

そうするす「量子」と「意識」って関係してるのではないだろうか? とすぐに思ってしまう。そんな実験が本当にあったようだ。「サイエンスZERO」という番組の動画で紹介されている。

『量子は観察者の影響を受ける』


この動画でも2重スリット実験が行われるが、かなり変わっている。スリット実験装置の横に被験者を座らせて、“ふたつのスリットの片方だけを光子が多く通過するよう被験者に強く念じてもらう。”

“もしも人間の意識が量子に作用するなら、光子の動きが変化して縞模様も変わるのではないか? と考えました。”と、いうものなのだ。

そして実験結果はなんと、偶然と呼ばれる値の変化を超えていたという。

ここで重要なことは「本当に意識が量子に影響を与えたのかどうか」ではなくて、「二重スリット」や「シュレーディンガーの猫」といった「量子力学(思考)実験」が、「人間の意識」を強く連想させてしまう点にある。

量子力学の登場によって「人間の意識」すなわち「主観世界」と、科学の「客観世界」が結び付いた。そのおかげで主観世界で起こる現象を、科学っぽく言える土台が出来てしまったように思える。

例えば「引き寄せの法則」というのがある。これは科学ではない。しかし主観世界では「引き寄せの法則」はかなりリアルに当てはまる。STAP細胞よりも再現性が高い。

「気」とか「スピリチュアル」とか、そういった主観世界のものが、量子力学や脳科学といった先端科学と結び付けて語られたりしている。それは詐欺をしたい気功師が増えたのではなく、科学が進もうとしてる方向に「気」とか「スピリチュアル」が扱ってきた「主観世界」があるからなのだと思う。

「私はこの世界を変えることができない」という世界観から「私がそう思うと世界はそうなる」にシフトして来たのが、ここ数千年の人間の世界認識の変遷のように思えたのだった。

「重要なのは《神の真実》であって事実ではない」世界から、途中「事実」と「真実」が合致した時代を経て、「重要なのは《私の真実》であって事実ではない」世界への変遷だ。「事実」は「素材」でしかない。

以上が「この世に敵は存在しないと唱えたら難病を克服した」と思い込む自分が、「ポスト・トゥルース」と「水からの伝言」に共通する何かを感じた理由である。(つづく)


【武盾一郎(たけじゅんいちろう)/家ごと生まれ変わり中】

◎個展やります!
武盾一郎個展"0.03"@参宮橋ピカレスク
2018年6月30日(土)〜7月29日(日)11-18時(土日祝のみ営業)
https://take-junichiro.blogspot.jp/2018/05/003.html
https://twitter.com/picaresquejpn

◎代官山アートラッシュ『Tシャツ展』に出展します!
2018年7月4日(水)〜7月23日(月)
水・木・金・土 AM11:00〜PM7:00
月・日・祭日   AM11:00〜PM6:00
火曜日定休(入場無料)
https://twitter.com/artsrush

◎VALUやってます
https://valu.is/takejunichiro

◎TimeBankで時間売ってます
https://twitter.com/timebank_pr
リワード申請来ました!

Facebookページ https://www.Facebook.com/junichiro.take
Twitter https://twitter.com/Take_J
take.junichiro@gmail.co

ガブリエルガブリエラ
13月世大使館建設中。インスタ始めました!
Twitter https://twitter.com/G_G_jp
Instagram https://www.instagram.com/gabrielgabriela.jp/
ブログ http://gabrielgabriela-jp.blogspot.jp

目指せジャケ買い!『星野智幸コレクション・全四巻』(人文書院)

星野智幸コレクションI スクエア
http://www.jimbunshoin.co.jp/book/b226418.html

星野智幸コレクションII サークル
http://www.jimbunshoin.co.jp/book/b226413.html

星野智幸コレクションIII リンク
http://www.jimbunshoin.co.jp/book/b226414.html

星野智幸コレクションIV フロウ
http://www.jimbunshoin.co.jp/book/b278897.html