もじもじトーク[87]欧文を考える(その2)
── 関口浩之 ──

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もじもじトークの関口浩之です。

先週の6月16日に、クリエイターイベントに出演のため、秋田を訪問しました。

イベント名は「CaT vol.3 Special!」。なんとも可愛らしい名前のセミナーでした。「CaT」といっても猫ではなくて、「Create and Think」の略です。

「つくる、そして、かんがえる」をテーマに、試行錯誤を行う中で最適な解と思えるものを発見しよう、という趣旨のイベントです。

では、イベントの様子を何枚かご紹介します。じゃーん!

http://bit.ly/2tpfdzw


今回の秋田行きで、すべての全国都道府県の訪問を達成しました。全国制覇です。パチパチパチーー

さて、今日のお題は、「欧文を考える(その2)」です。





●引用符

会話や他の文章を引用する際に、和文では、かぎ括弧「」を使います。また、その言葉を強調する場合にもよく使います。

では、欧文ではどうでしょうか? かぎ括弧にほぼ相当するものが、引用符(Quotation Marks)になります。

・ダブルクォーテーション(Double Quotation Marks)
・シングルクォーテーション(Single Quotation Marks)

以前に日本語版と間違って買ってしまった「Steve Jobs by Walter Isaacson」という欧文書籍と、いま僕が読んでいる「Just My Type: A Book About Fonts」の二冊の本の中で、引用符をどのように使っているか、みてみましょう。

http://bit.ly/2tpT2ZQ


おっ、米国出版社が発売した書籍の引用符はダブルクォーテーション、英国出版社が発売した書籍の引用符はシングルクォーテーションでした。

一般的に、アメリカ英語ではダブルクォーテーション、イギリス英語ではシングルクォーテーションが使われることが多いようです。みなさん、ご存知でしたか?

また、引用符で括られた中で、さらに他の人の会話を引用するときは、こんな利用方法になります。

http://bit.ly/2lmePhq


日本語では、かぎ括弧「」と二重かぎ括弧『』を使いますが、利用方法が似ていますね。

●マヌケ引用符

ダブルクォーテーションとシングルクォーテーションに似た、約物記号があります。半角引用符です。

代表的な欧文書体「Times New Roman」「Palatino」「Helvetica」「Univers」の英文引用符と、半角引用符を並べて掲載しているので、じっくり観察してみてください。

http://bit.ly/2MGZ4xW


引用符の始まりは、くるりんと伸びる方向が上を向いているか、斜め右上に細く伸び上がる形状をしています。(開き引用符)

そして、英文引用符の終わりは、くるりんと伸びる方向が下を向いているか、斜め左下に細く下がる形状をしています。(閉じ引用符)

引用符の使い方で、日本人が陥りやすい間違えは、半角引用符を使って、会話部分を括ってしまうパターンです。

http://bit.ly/2K3OSkK


「デザインの現場 小林章のタイプディレクターの眼」の「マヌケ引用符」の記事をご覧ください。なるほどなぁと思うでしょ!

https://blog.excite.co.jp/t-director/14994675/


英語圏では「マヌケ引用符(dumb quotes)」と呼ばれます。日本政府関係の印刷物で、これをやってしまうのは、残念なことです。

なぜ陥りやすいかというと、キーボード入力だと、半角引用符や、下向きにくるりんと延びている引用符(閉じ引用符)が、最初の候補に表示されてしまうからなのかもしれません。

海外に旅行した時に、「この日本語、なんかマヌケな使い方してるじゃん」と感じること、ありますよね。逆に、英語圏なネイティブな方が見ると、「えっ、この英語表記、すごくマヌケじゃん」と言われないようにしたいですね、

まずは、「引用符の使い方、基礎編」をご紹介しました。

●アポストロフィ

省略記号として「アポストロフィ(Apostrophe)」があります。

「アイアム」の略の「アイム(I'm)」、「ロックンロール」の略の「ロッケンロー(rock 'n' roll)が代表例ですね。

「アポストロフィ」と「シングルクォーテーション」は見た目は同じですが、省略記号と引用符の違いがあります。

もじもじトークは、2020年東京五輪に向けて、「誰でもわかる欧文講座の基礎」を連載したいと思います。今回は、引用符にフォーカスしてお話しました。

では、また二週間後にお会いしましょう。


【せきぐち・ひろゆき】sekiguchi115@gmail.com
Webフォント エバンジェリスト
http://fontplus.jp/


1960年生まれ。群馬県桐生市出身。電子機器メーカーにて日本語DTPシステムやプリンタ、プロッタの仕事に10年間従事した後、1995年にインターネット関連企業へ転じる。1996年、大手インターネット検索サービスの立ち上げプロジェクトのコンテンツプロデューサを担当。

その後、ECサイトのシステム構築やコンサルタント、インターネット決済事業の立ち上げプロジェクトなどに従事。現在は、日本語Webフォントサービス「FONTPLUS(フォントプラス)」の普及のため、日本全国を飛び回っている。