[4594] 舞台女優・杉村誠子の話◇ポートフォリオアプリとDropbox

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《Dropbox スゲ〜!》

■エセー物語(エッセイ+超短編ストーリー)[23]
 舞台女優・杉村誠子の話
 タルタルソース
 海音寺ジョー

■グラフィック薄氷大魔王[570]
 ポートフォリオアプリとDropbox
 吉井 宏




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■エセー物語(エッセイ+超短編ストーリー)[23]
舞台女優・杉村誠子の話
タルタルソース

海音寺ジョー
http://bn.dgcr.com/archives/20180627110200.html
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◎舞台女優・杉村誠子の話

ぼくは元来けちな性格で、金のかかるコンサートや演劇は避けて生きてきたが、西暦2011年から2013年だけは、例外的に劇場に足を運んだ。

それは誠子がメールで「来いや」と言ってきたからである。誠子は任意の劇団に所属していないフリーの舞台女優だ。

フリーのくせに年がら年じゅう公演と舞台稽古で忙しいのは、その実力を見込まれているからだろう。眼力がないので、現代演劇界においてどれほどの演技レベルなのかは判別できないが、芝居超上手です。

「一番好きな役者は誰ですか?」ともし人に訊かれたら、マダム貞奴でも倍賞千恵子でもなく、迷いなく「杉村誠子」ですと答える。

演劇論のことは観劇がお好きな、超短編ナンバーズの松岡永子さんにおまかせし、ただただ好きな役者、杉村誠子の話を今回は書いてみようと思う。

誠子とは、東京のとある超優良外食企業で知り合った。ぼくがその超優良外食企業で社員登用され、血の小便を流して働いてた時、アルバイト登用されたのが誠子だった。

文京区大塚の駅前のラーメン屋だった。二つのバイトを掛け持ちし、舞台稽古をやり、大道具小道具を作りチケットを売り、さらに売れない小説家志望の男を囲っていた誠子は、より多量の血の小便を流していて、大塚というディープタウンを舞台とした、リアルプロレタリアドラマが展開していた。

誠子は大阪出身で、京都から上京したぼくとは関西弁どうしで、休憩室では早々に打ち解けていった。

「杉村さん、演劇やってるんやって?」

「へい」

「どんな感じの劇をしてんの?」

「寺山修司て知ってますか? アタシ学生の頃から寺山が好きで、その系統のお芝居専門で参加してるんです」と流暢な大阪弁で返され、自分も学生の頃友だちの影響で一時期読み耽っていたな、という話をした。

「何読まはったんですか?」

「うーん、河出から出てるエッセーの文庫とか、歌集とか詩集とか天井桟敷の脚本集とか、小説の『あゝ荒野』とかだけかな。映像だと、単館でリバイバル上映されてた『田園に死す』と『トマトケチャップ皇帝』、NHKの衛星放送で流れてた『ランナー』も観たけど、その程度やわ」

「めっちゃ観てますやん、ほとんど読んでますやん!」

と身を乗り出されて、誘いますから是非次の公演を観に来て下さいと言われて、初めて生で寺山演劇を観ることになった。


A・P・B-Tokyoという劇団の『盲人書簡』という公演だった。阿佐ヶ谷駅近くのザムザ阿佐ヶ谷という小劇場で、横の空き地にズラッと列が出来ていた。

ぼくは演劇には心底疎かったので、天井桟敷は寺山の死で自然消滅したもんだと勝手に思い込んでいたのだが、劇団に所属していた方々が後継者として今でも幾つかに分派し、連綿と当時のおどろおどろしいアングラ劇を伝え続けていたのである。

真っ暗な劇場内。壇上にて各々が手に持ったマッチが擦られ、バッと役者一人一人の姿が浮かび上がり、フッと吹き消され残像だけ揺れ、闇へと引き返してゆく演出は凄く脳裏に焼き付いている。

長年の工夫や、アレンジの堆積もあったのかもしれない。幻夢めいた異色の世界に、観客を吸い込んでゆく。マッチの硫黄のブスブスとした匂いも異化効果を高めていた。

誠子は中堅的な役どころで、群舞に完全に融け込んでいた。

超優良外食企業、略してラーメン屋での誠子は、笑顔がグンバツの、深夜時間帯の看板娘だった。バイト仲間からはお嬢と呼ばれてて、今でもそう呼ばれている。

ぼくが厨房での調理係で、誠子がホールでの接客係だったのだが、愛想の良さは破格だった。お客さん一人一人に対し微細に違う笑顔、苦笑、親密顔、破顔、流し目を組み入れた艶笑と、精密に柔軟に顔面筋肉が動くのだ。

どんな表情も自在なのだ。それ故に、どんな表情をされても、それが本気の感情なのか演技なのかがわからなかった。どおくまんの名作漫画『嗚呼!!花の応援団』に出てくる薬痴寺先輩のように「役者やのー」「ほんま役者やのうー」といつも感心してた。


仕事を辞めて関西に戻ってからも、不思議と縁が続いて年に一回ぐらいのペースで、ラーメン屋のバイト友達ともども、池袋とかで落ち合って近況報告などしている。

誠子は三年前結婚し、その時「芝居はなー、無期限休業するねん! うへへ」と宣言してて、その時は皆ガックリしたが、その宣言は何故かなかったことになってて、今もバリバリ続けている。海外公演にも行ってきたらしい。

昨年末に、田端の居酒屋で会った時に「演劇って、宗教みたいなものなん?」と、苦労みそ舐めまくり話をひとしきり聴き終わってから、誠子に尋ねてみた。

「うーん、宗教やね。まさしく宗教やわ! こんだけ身銭を切って、血も涙も魂も削りたくってるんやから、宗教以上やね」と眉毛をハの字にして、誠子は困ったような、心底嬉しいような、いつものグニャグニャっとした柔らかい笑顔を見せた。

それが演技の笑いなのか、本気の笑いなのか、ぼくはいまだにわからないのだけれど。


◎タルタルソース

タルタル島のタルタル人は世界中から愛されている。それは相槌を打つのが無双に上手だからだ。

「そうっすねー」

「そうっすかっ?」

「そうっすよねー!」

実に的確に絶妙のタイミングで実感込めて打ってくれる。ほんとにほんとに、自分の話を聴いてくれるのは嬉しいものだ。

相槌を打つ時の、たるっとした笑顔も魅力。


【海音寺ジョー】
kareido111@gmail.com

ツイッターアカウント
@kaionjijoe
@kareido1111

◎杉村誠子さんの次回出演予定は、7月25日、千葉県美浜文化ホールに於いて、虹艶(にじいろ)バニー絵本音楽LIVE「嘘喰いの家」です。
http://nijiirobunny7.blogspot.com/?m=1

詳細はこちらにアップされるとのこと、お近くの方は是非会場へ足をお運びください。


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■グラフィック薄氷大魔王[570]
ポートフォリオアプリとDropbox

吉井 宏
http://bn.dgcr.com/archives/20180627110100.html
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iPadで作品など見せるためのポートフォリオ用アプリを、App Storeで物色。便利そうなアプリはいろいろあるんだけど、2台のiPadを同じ状態にしておくにはiCloudで同期されるApple標準の「写真」アプリが、最も便利ってことになっちゃうんだよなあ。

しかし、「写真」アプリって管理が面倒。アルバムから削除してもライブラリには残ってたり、ライブラリの画像を集めてアルバムにしたりも大変。

Macの写真ライブラリフォルダがどんどん肥大していく。捨てていいのかわからない、巨大なキャッシュとかも。

Macではすでにフォルダ分けされてるんだから、そのまま見せられれば簡単なんだけどなあ。あ! iPadのDropboxアプリでいいじゃん! 見せるときネットに接続しておけば最強。

動画はVLC Mobileっていうアプリが、見せるのに便利なんだけど、同じくDropboxアプリで見せればいい。いや、こっちはダメだわ。ダウンロードに時間かかるしループ再生できない。

と思ったら、ダウンロードボタン(オフラインアクセスを許可ボタン)があるのね。主な動画はiPadにダウンロードしておけばいいのか。ループはあらかじめ何回か繰り返しの動画を作っておけばいいし。

オフラインアクセスできるんなら、ポートフォリオ用フォルダ丸ごとダウンロードしておけばいいじゃん! こりゃシンプルな解決方法。

iPad用に何か用意しておく必要が、いきなりゼロになった! Mac上で普通にフォルダを整備しておけばいいだけ。Dropboxスゲ〜!

Dropboxアプリをポートフォリオ的に使う上での弱点は、自在な並べ替えができないことだけかな。ファイル名や更新日やサイズでの並べ替えのみ。

●ファイル消失事件

さっき、不思議なことが起きた。

最近マイブームのループアニメ12個を、PhotoshopでGIFアニメとして書き出し、フォルダに入れた。GIFアニメのうち一つが、GIF書き出し設定がよくなかったので再び書き出し、フォルダに入れた。

と思ったのだが、フォルダは空! ファイル名で検索しても無い。ゴミ箱にも無い。不可視ファイルを表示しても無い。12個のGIFファイルがこつぜんと消えた。こんなことってあるのか??

約15分間の出来事なので、ダメ元でTime Machineでちょっと前に戻ったら、書類フォルダに書き出し途中のGIFがあった。GIF書き出ししてたのが夢の中ではないと確認w

念のため、WebのDropboxの「削除したファイル」を探してみたら、あった! 「復元する」したらフォルダに現れた。やった! 作った瞬間にクラウドにコピーされるDropbox最強だなあ。

これ、タイミングの問題だったのかもしれない。フォルダ名を変えたりすると、一瞬そのフォルダが2つ見えるときあるじゃん? もしかすると一瞬現れた幻のフォルダに入れちゃったのかもしれない。

(昨年2月にもフォルダが空っぽになるトラブルがあった。こちらも、同期途中のファイル名をいじったタイミングが原因と思われる。名前を変更したフォルダにちゃんと入ってました)

●Dropboxあれこれ

・Dropboxは2008年秋のMKチャット対談で知ってさっそく試し、そのまま本格的に使い始めた。まだ10年もたってないのか。使い始めて以来、「データが消えたらどうしよう……」という恐怖はほとんどなくなった。

・複数台のパソコンを使うとき、ファイルが同期されているのは本当に助かる。おかげで、パソコンの使い方が変わった。どのマシンでも同様に作業できるんだもん。

・iPadのDropboxアプリは、通常の仕事で資料を表示しておくのにも使ってる。Mac側で資料をフォルダに集めておくだけ。または、大きな画像に資料をいっぱいコピペしておいて、タッチで拡大縮小やスクロールで見るのも便利。

・宅ファイル便的に、仕事ファイルの受け渡しにもDropboxの共有を時たま使ってる。ただ、共有してるファイルがいくつかあると、動かしづらかったり、遠慮しちゃうのであんまり心地よくない。渡し終わったら、外しちゃえばいいんだけど。

・唯一困るのが、パソコンを新調したり、リカバリーしたときなど、400GB弱もあるDropboxの全ファイルダウンロード同期に、丸二日くらいかかること。

Dropboxフォルダをコピーしておいても、インデックス作成に一日かかるんだもん。以前はMacが不調になると気軽にリカバリーしてたけど、無理。

・大きなトラブルに見舞われたことはないけど、Dropboxのサーバーの不具合などで全データが消失! ってのがいちばん怖い。Time Machineの他、外付けHDDなどにDropboxフォルダをバックアップしてる。

・「iCloud Drive」でDropbox的に全デバイスでファイル同期できるらしい。ってことは、DropboxじゃなくてもMacとiPadのポートフォリオデータを同期させておけるかも。
https://support.apple.com/ja-jp/HT204025


【吉井 宏/イラストレーター】
http://www.yoshii.com
http://yoshii-blog.blogspot.com/

アメリカで「ハン・ソロ」が大コケだそう。やっぱそうなるよなあ。つい数か月前まで「最後のジェダイ」を上映してたばかりなのに。二年に一本くらいのペースでないと特別感がなくなって、「普通」になっちゃうんだよ。

それで、予定されていたスピンオフの何本か(ボバ・フェットやオビワンが主役?)がキャンセルされたそう。

・スワロフスキー「招き猫」と「HOOT HAPPY BIRTHDAY」も出ました。
https://bit.ly/2qWbmZh

・rinkakインタビュー『キャラクターは、ギリギリの要素で見せたい』
https://www.rinkak.com/creatorsvoice/hiroshiyoshii


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編集後記(06/27)

●足立康史「永田町アホばか列伝」を読んだ(2017/悟空出版)。「懲罰代議士が実名でブッタ斬る!」「暴れん坊議員が左から右までフルボッコ!」と威勢がいい。「ABC(アホ、バカ、カス)足立」「国会の暴言王」とも呼ばれ、2017年に4回も懲罰動議をくらった、日本維新の会所属の衆議院議員である。

政策論争をやりたくない、さぼりたいだけ、政府の足をひっぱりたいだけの、当時の民進党を強烈に叩く。学歴抜群、経済産業省の出身で頭がいい。反対のための反対に終始し、審議拒否も暴力も何でもありの万年野党と、法案を通してもらうためにひたすら我慢する万年与党の姿に、業を煮やした悪口が気持ちいい。

筆者も属している衆議院憲法審査会は、昨年7月に欧州各国に調査に行った。英国議会を訪れ、昼食会で意見交換をしたとき、大平喜信が共産党からやって来たと自己紹介すると、「すごい! 歩いている共産党員を初めて見た!」と珍獣を見る反応が。共産党は前世紀の遺物だ。大平が護憲を語り始めると、また英国側から失笑が洩れ「なんだ、だったら保守党じゃないか(笑)」。

自民党の総理候補についても辛辣である。小泉進次郎──「こども保険」は財務省に乗せられているんでしょ/社会保障政策への理解に欠け、レベルが低い。「こども保険」の原資を社会保険料でまかなうというが、社会保険は保険であって、加入者がリスクに備えるための「大数の原則」によって保険料が決められる。「こども保険」の根拠となるリスクは算出できない。∴保険たりえない。

小泉の「こども保険」は事実上の増税を「保険」とすることで印象操作し、しかも現役世代にだけ負担させて、高齢者に阿る姿勢が見え隠れする。さらに悪質なのは、政策論争ではなく、批判する人を「子ども=宝」と考えない人たちだと決めつけ、感情に訴える構造になっていることだ。旧民主党の手口である。

石破茂──この人が次期総理最有力? ただの軍事オタクですやん!/防衛と農政については非常に専門的で広範な知識を持っている。だからといって総理には向いていない。憲法改正についても単に安倍首相の足を引っ張りたいだけのように思える。どうすれば日本が成長できるかのアイデアがあるようにはみえない。財務省にとっては御しやすい相手だから、石破首相は大歓迎だろう。

岸田文雄──前例をはみ出せない管理タイプ。地味やわ、地味!/石破以上に総裁に不向き。「政治家として、未知、未体験、未確定な、それでいて国家国民の根底を揺るがす問題について、常に前例の枠内でしか発想できず、誰かの書いた筋書きでしか考えられないのだとしたら」官僚的な人間がリードできる時代ではない。それにしても、見るからに小者で、とても総理の器ではない。

結局、国会は与党と野党の馴れ合いの場である。政策も対案も出さず(出す能力がなく)、とるにたらない揚げ足取り(&目立ちたい)で、審議を遅らせるだけが目的の野党と、ひたすら我慢の与党。どちらも愚かである。筆者の新刊「足立無双の逆襲 永田町アホばか列伝II」も読んでみようかね。 (柴田)

足立康史「永田町アホばか列伝」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4908117403/dgcrcom-22/


●ポケモンGOのEXレイドバトルの続き。チームメリットと勝利のため、常連さんの一人が色違いのバインダーを持ってきて、青の人はこちらに〜と色分けし始めた。どころか、チームマークの印刷された布の旗まで作られた。凄すぎる。

こちらは言われた通りに色旗のところに集まり、人数分けしてもらい、成立する人数で戦い、ボールをたくさんもらって、ミュウツーゲットして御礼を言って離れる。人数分けされた人の中に、スマホが落ちてしまった人がいたら、参加できるまで皆で待ってみたり。

そういうのが苦手な人は個別参加し、通常通りに他の色の人たちと混じって、あぶれずにやっているみたい。続く。 (hammer.mule)