グラフィック薄氷大魔王[572]「映画のストーリーを止めてまで?」他、小ネタ集
── 吉井 宏 ──

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●映画のストーリーを止めてまで?

大塚康生「作画汗まみれ」を読んでたら、やはりそういうことなのか! って部分があった。ストーリーよりエンターテインメント優先の場合もあるってこと。そうだろうと思ってはいたけど、はっきり書いてある文章は初めて読んだかも。引用する。

『(アニメでも実写でも)日本の一般の観客は「枝葉」の笑いや「遊び」の要素(いわゆるエンターテインメント性)を楽しむよりは、むしろ本筋の劇的展開や主人公の運命に一喜一憂することを喜ぶ(それをある種のエンターテインメントとする)という傾向が強かった(註3)。

(註3)当時、エンターテインメントの代表格であったアメリカのミュージカル映画も、日本の多くの観客の好みには合わなかったことを思い起こすべきである。お話の流れを止めてのんびり歌など歌ったり踊ったりしていることに、物心両面で豊かとは言えなかった当時の平均的日本人は「それで話はどうなるんだ!」といらだった。』

これだ! 映画やドラマとか見てて、ずっと不思議だった。物語が佳境に入ってて、次の展開を固唾を飲んで待ってるのに、なぜ、のんきにギャグやラブシーン入れたり歌ったりうんざりするほど延々ドンパチやったりするのかと。





カーチェイスや格闘シーンなんかも、同じく長すぎるとイライラしてくる。じらしてるのかと。頭来る! って思ってた。

細かいギャグが延々続いて本筋がなかなか進まないとか、クライマックスの盛り上がりを余計なエピソード入れてブチブチに切り刻むやつとか。朝ドラとかで、特に重要でない枝葉や小ネタを長い時間引き延ばすのも耐えられない。

テレビ番組で、モザイクや「?」で隠されたモノの種明かしを、延々続くCMに邪魔されてる感じに近い。

こっちは時間割いて観てるんだから早く進めてくれ!とw

そこは楽しまなくちゃいけないところだったのね?w わかってたけどさ。なんちゅうか、せっかちなのは自覚してるけど、精神的に余裕のない昔の日本人代表だわ……。

あと、ストーリーは決着してるのに、ほのぼのエピソードを付け足すとかも苦手。ミュージカルのストーリーは、「歌と踊りの入れ物」だろうから仕方ないけど。

もちろんエンターテインメントを否定してるんじゃなくって、僕的にストーリーとエンターテインメントのバランスがおかしく感じるのが苦手なんだと思う。

大塚康生といえば、宮崎駿より前に認識してたアニメーター。ルパン三世とかその他いろいろのタイトルバックで名前を見たし、アニメージュかなんかでジープやトラックの絵が紹介されてたな。

大塚康生「作画汗まみれ 改訂最新版」
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●iTunes映画で倍速再生

外付けディスプレイで見るAmazonビデオは、HD画質不可が仕様。春頃からNetflixの代わりに使ってるU-NEXTも、ストリームの回線の状態によるのか、SD画質でしか再生できないことがある。

iTunes映画ならダウンロードしてから見れるので、画質は最高にきれい。ただ、Video Speed Controlなどのビデオコントロールアドオンがないので、2倍速再生とかできない。と思ったら!

今、iTunes映画を観てたら、下のコントロールの早送りをクリックしたままにすると、音声や字幕が出たまま二倍速再生(早戻しも)できるのを発見!

「command+option+左右矢印押しっぱなし」でも同じことができる。こんな機能あったっけ? 以前、散々試してできなかったのだが。(代わりに、ヘルプにも書いてあって以前はできたはずの「command+option+左右矢印で5秒飛ばし」ができなくなってる気がする)

高画質で見れるならiTunes映画がいちばんいい。字幕と吹き替えを途中で切り替えられない弱点は残ってるけど、両対応の映画も増えてきた模様。

●SketchBook無料化

ちょっと古い話題ですが。フルバージョンがサブスクリプション制になっていたAutodesk SketchBookが、無償になった!
https://sketchbook.com/


SketchBookはタブレットPCの頃からiPad3まで愛用してた。iPad ProでApple Pencilが使えるようになるとProcreateばかり使うようになってしまった。最初の頃のページめくり式は好きだったな。

復活してみた。Macとのやり取りを確認してみると、「PSDをエクスポート」で書き出し、「イメージから新規作成→ブラウズ」でレイヤーが生きたままPSD読み込み可能。それさえできれば僕的には及第点。

指消しゴムはないものの、画面隅ダブルタップで直前のブラシと交互に切り替えでき、スケッチ作業に使う上ではProcreateに劣ったところはない。ブラシの書き味もいい。

無償になったのはiPadだけでなく、パソコン版も同様。つまり、両方で同じアプリを使ってスケッチできるのだ。しばらく試してみよう。


【吉井 宏/イラストレーター】
HP  http://www.yoshii.com

Blog http://yoshii-blog.blogspot.com/


最近Facebook等でよくシェアされてた「What The Fluff Challenge」(犬に仕掛けるイタズラ。シーツを掲げてサッと隠れる。飼い主を見失った犬がオロオロする動画)。オウムのバージョンもあった。大好きなお兄さんが消えてしまって絶叫。

ペットっていうか動物や鳥は、ただ本能に動かされてるだけでなく、人間と同じように意識や感情がある。それがこの動画シリーズで確信できた気がする。言葉による複雑なコミュニケーションができないことが多いだけで。

・スワロフスキー「招き猫」と「HOOT HAPPY BIRTHDAY」も出ました。
https://bit.ly/2qWbmZh


・rinkakインタビュー『キャラクターは、ギリギリの要素で見せたい』
https://www.rinkak.com/creatorsvoice/hiroshiyoshii