はぐれDEATH[55]はぐれの歩き方矯正プロジェクト/藤原ヨウコウ

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昨年、姿勢矯正をした時一緒にしておけばよかったのだが、そのツケが今年になって回ってきた…… _| ̄|○;

猫背を矯正することにある程度成功したのはよかったのだが、歩行時の体重移動まで変化していたとは、正直予測していなかった。当たり前の話なのだが、なぜかこういう初歩的な見落としが常についてまわるのは、もう致し方ないのかもしれない。注意力散漫だからなぁ……。

最初異常に気がついたのは、寝てる時に向こう脛の筋肉がつる、という信じられないような事態が起きるようになってからだ。もちろん、ソッコー、ググりまくり。

いろいろ原因らしきことが出てきたのだが、ことごとく外れ。そうこうしているうちに足首にきて(左足首は元々捻挫癖がある)、あれよあれよという間に両膝関節まで痛くなってきた。

ここまで来ると、さすがに栄養不足とか、水分不足とか、ミネラル不足とかいうような分かりやすい原因ではなさそう。筋肉だけならまだしも、関節に来ているというのは、明らかに脚にかかる負荷のバランスがおかしくなっているとしか思えない。

となると、日常生活でこの負荷バランスが狂いやすいケースとして考えられるのは、当然のことながら「歩く」という運動以外には考えにくい。

結論から言ってしまうと、「踵着地」というヤツが原因のようだ。





これまたググって知ったのだが、踵着地というのは割と日本人に多く見られる歩き方らしく、これが顕著に表れるのがジョギングのような「走る」時らしい。

猫背で踵着地をしているぶんには、あまり問題がなかったようなのだ。猫背だと上体は前屈みになりやすく、歩く時どうしても膝が緩く曲がって、うまい具合に着地時のショックを、脚全体で緩和していたようなのだが(あくまでもボクの憶測だ)、まっすぐに近い姿勢になると、体重そのものが身体の真下にきてしまう。そこへ踵着地が加わると、膝関節を直撃するようなのだ。

ドラマ『陸王』で取り上げられていた故障の原因も、一応この辺を参考にしているようだ。筋肉にくるか関節にくるかはともかく、どうもあまりよろしくないらしい。

これまた『陸王』ネタで恐縮なのだが(実は情報源がこれしかないのだ)、外国人選手(特にアフリカ系の選手)は、いわゆる「ミッドフット着地」という足の落とし方をしているらしいのだ。

素足や草履で普通に一日歩きまわると、大抵の人は踵が痛くなると思うのだが、ホモ・サピエンスの足の構造だと、本来は足の半ばから先(アバウトだが土踏まずの前の縁あたりから先)で着地するように出来ているらしく、踵着地というのは「靴のクッションの高機能化が生んだ悪癖」という、ちょっとした宗教的(失礼)な考え方があるようなのだ。

ボクは師匠についてもらって居合いをやっていた時に、「摺り足」と「踵に体重を乗せるな」を散々言われ、矯正方法として草履で歩くことを教えてもらい、以来草履ばきの時は踵着地をまったくしなくなったのだが、靴を履くと踵着地の悪い癖が出ているようなのだ。

実を言うと、摺り足だってまだモノにしたワケではない。どことなくぎこちないのが自分でも分かる。ぎこちないから下半身が安定しない。下半身が安定しないから上半身がブレる。

居合いは非日常であり、摺り足もまた非日常という荒っぽい割り切り方をしていたのだ。が、姿勢そのものが変化しているのだ。もっと分かりやすく言うと、「摺り足をしやすい(そうなってしまう)姿勢になっているのに、この姿勢には不自然な踵着地をしていた」ということである。

▽△

ボクの身体がお猿さんに近いことは以前にも書いたが、お猿さんとホモサピエンスの立ち姿の違いを比較すると実に興味深い。

http://bn.dgcr.com/archives/2018/07/13/images/001.jpg

膝の曲がり方に注目していただきたい。徐々に膝の角度が浅くなっているのがよく分かる。ここから先はボクの憶測で、何の裏付けもないのでご注意いただきたい。

木の上で生活をしている時、枝や幹を「握る」というのは、手だけではなく足も使っていたはずだ。足の指の運動を妨げないような体運動が必然だろう。

そこで、自分の足で実験してみた。足で何かを掴もうとする時、踵はほとんど接地していないか軽く触れる程度で、実際は指の付け根から土踏まずの手前ぐらいまでの範囲に一番力が掛かったり、支えにしているのだ。

まぁ、ボクの足の指が異常に動くから実験できたのだが、一般的にどうなのかはよく分からない。

もう少し範囲を広げてみる。

四足歩行の動物の多数は踵がおそろしく高い位置にあり、地面と接することはほとんどあり得ないという点である。これは鳥類にも見られる構造であり、むしろ哺乳類に限って言えば、お猿から進化した種以外では踵が接地するのはア・ケースだと言うことだ。

http://bn.dgcr.com/archives/2018/07/13/images/002.jpg

ちなみに図は猫の骨格である。色々正式な名称が付いているが、いわゆる「踵」にあたるのが、赤丸のところのようである。

「別に踵着地でもできるんとちゃうん?」とも思ったのだ、が少なくともボクの場合は、姿勢を真っ直ぐにしようとして身体が硬直化して、結果、各関節に無駄な負荷が掛かっているようなのだ。

もうちょっと詳しく説明すると、上半身が真っ直ぐになって上体から力が抜けても、下半身は姿勢を矯正する前と同じなので、無駄な力が入り柔らかな動きから程遠い状態になってしまっている。それが恐らく今のボクだろう。

踵が接地するというのは、どうも二足歩行(二足歩行への移行過程も含む)における、足の接地面積の広さがキーになっているようだ。

立ったり、歩いたり、走ったりする時(特に立っている時)は、身体を支えるものが二本も減っているのだから、踵の位置が高ければ素直に接地面積は半減する。

こうした状態を改善(?)するために、踵が接地するようになったとする説があるようだ。肉食系の恐竜の二足歩行とは、まったく異なる進化の仕方ということになる。

恐竜の(特に肉食系)進化に関しては、鳥類との近似性を指摘する説もあったような気がするのだが(映画『ジェラシック・パーク』以後の恐竜や初代ハリウッド版・ゴジラがこれに該当する)ボクは専門外なのでよく分からん。

http://bn.dgcr.com/archives/2018/07/13/images/003.jpg

この図はWikiから恣意的に(!)引っ張ってきた。上記した、鳥類との近似をモロに表した図だったからだ。

これを見ると、踵の位置づけは二足歩行ですら、接地という面ではそれほど重要ではない気がしてくる。もっとも、踵という概念がホモ・サピエンスから生まれ、単に逆行して無理矢理いまのような、他の内骨格系生物の解剖学的名称に「踵」という言葉が与えられている可能性は否めない。

こうなってくると、関節云々よりも脚全体の筋肉の方が内骨格系生物にとっては重要なのではないかとすら思えてくる。

さて、関節にしろ軟骨にしろ、摩耗はするが強化とか増加とかいうことはないそうである。むしろ、加齢に伴う摩耗は当たり前のことだ。

摩耗速度を遅くしようと考えるなら、摩擦係数を減らすのが一番手っ取り早い。骨と骨の間に挟まれた関節の摩耗係数を減らすには、素直に関節と骨の間に隙間を作るか(!)緩衝剤を増やすか(軟骨がそれに当たるのだが、これまた消耗品なので無理)である。

前者は骨を筋肉で引っ張ることで、ある程度は実現できるだろう。あくまでも「ある程度」だ。特に上肢は大きな筋肉の束があるので、比較的簡単に作れるはず。だからと言って、闇雲にヒンズー・スクワットをしてもあまり意味はない。思いっきり膝関節が曲がるので、むしろ危険である。

一番イイのは、日常的な歩行の中でミッドフット着地と、脚全体のバネを使うことを意識することだと思う。出来るようになれば、後は身体が勝手に憶えてくれる。もちろん姿勢も大事である。結局、脚全体の筋肉に帰結してしまうではないか。

まぁ、「誘導である」といわれてもびびらないし、反論する気もない。実際、ボク自身は「筋肉ありき」でこの稿を書いているのだから、こうなるのが当然なのだ。

▽△▽

さて、上記したように実際にやってみると、これがなかなかに難しい。特に靴を履くと難易度が跳ね上がる。普通のスニーカーでも、ソールは結構な硬さと厚さがあるので、足の裏が上手い具合に曲がってくれないのだ。草履は鼻緒が指に引っ掛かっているだけなので、この辺は意外とハードルが低い。

靴のソールの硬さや脚の運動に関しては、『陸王』がネタの宝庫なので、ボクの偏った話よりもこちらを参考にする方が安全度は高いと思われる。更に「走る」という運動に関しては、実に多くの本があるので(読んでないけど)そっちを参考にした方が更にベターであろう。

「故障しにくい」を目指すわけだが、上記したように色んな説があり、どれが
正しいのか、合理的なのかはさっぱり分からん。ただ個人的な心情としては、
「素足に戻れ」が一番しっくりくる。

靴という道具に頼らず、本来持っている体運動に回帰しようという考え方で、これが『陸王』の根幹ネタでもあり、いわゆる「ベアフットシューズ」と呼ばれる一連のシューズ開発に直結している。

ちなみに、既にこの「ベアフットシューズ」は流行から消えつつあるようで、近所の大手シューズ・ショップや、スポーツ店に行っても店頭にはない。伏見だから、というのもあるかもしれない。田舎やからな。

知人から奨められたのは、『陸王』のモデルにもなったきねや足袋というメーカーの「ランニング足袋 KINEYA無敵」(!)というシューズ。

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B077CXZZQZ/dgcrcom-22/
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B071ZG3SNX/dgcrcom-22/
https://www.runningtabi.com/
http://kineyatabi.co.jp/kineya/?page_id=1896

これは奨めてくれた知人も愛用しているようで(彼はフルマラソンやウルトラマラソンにも出場するような猛者だ!)ミッドフット着地への移行には、比較的楽だったそうだ。お値段もリーズナブル♪

先日、東京出張に行った時、奇跡的に手に入れることが出来たのだが(ちゃんとフィッティングしてもらってベストなサイズのものが、たまたま訪問した三日前に入荷したばかりだったそうだ)、これについては後日。

で、ボク自身もちょろっとググってみたら、出るわ出るわ、マニアックなネタ。中でも異彩を放っているのが、Vibramというイタリアのメーカーのシューズ。

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B01B7BNY62/dgcrcom-22/
http://www.barefootinc.jp/

普通のジョギングやウォーキングから、トレイルラン(舗装していない所を走る)に至るまで、バリエーションの多さでは他の追随を許さない上に、五本指構造という足袋の更に上(?)をいく商品まである無茶ぶりである。

時々、この特徴的なシューズを履いている外国人観光客を見るのだが、やはりヨーロッパ系の人が多いように思う。いや、ただの見た目だけで、実際どこの国の方なのかは確認していないのでよく分からないのですが。

あと気になったのはテスラというメーカーのシューズ。こちらはなぜか公式サイトが見つからなかった。探し方が悪いのか?

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B06XSSYPVX/dgcrcom-22/

ベアフットシューズはその性質上、フィッティングが最も重要になるのは当然で、試し履きはマストになる。極端な話「分厚い靴下」みたいなもんなのだが、靴下のような伸縮性は当然ない。

いくらソールが柔らかいと言っても、ソールのサイズそのものが変化するわけではない。これがVibram Five Fingerシリーズとなると、更にフィッティングの重要性は増す。だから現物のサイズが揃っているところじゃないと、きちんとした買い物は出来ないのだ。

密林(Amazonのことです)でも取り扱っているようだが、ベアフットシューズに関しては、正直ここで買う気にはなれない。ところが、実店舗がほとんどないのが実情である。まぁそれだけマニアックなのでしょう。

▽△▽△

で、歩行矯正に戻る。ぎこちないのだが、ぎこちないなりに、何となく感覚を掴みかけている。基本は摺り足の動作にすべてあった。

摺り足をマスターしていないのは白状した通りだが、ちょっと気をつけてミッドフットを試そうとすると、摺り足にヒントが沢山あることに最近やっと気がついた。

別に歩く時にモロ摺り足をする必要はないのだが、体重の移動や負荷を気をつけてかける場所が尽くミッドフットに応用できる。いや、応用じゃないな。素直に素足で歩く体運動を洗練化・合目的化させたのが摺り足、そう解釈した方が自然なのだろう。

間をジャンジャン飛ばしてしまうが、腰を前に進めるような気分で太腿から脚を上げ、気持ち小指の付け根から足の半ばぐらいまでの足の前外側から着地して、つま先で蹴ると比較的スムースに歩ける。

足は「内から外へ」という気分(あくまでも気分である。本当に内から外に回す必要はない)で動かすと、黙ってても外側で着地できる。気持ち腰を落として、ほんの少し膝が曲がると更にスムースになる。

ここまで書いたこととほぼ一緒のことが、「ランニング足袋 KINEYA無敵」の取説(?)に書いてあったので、大間違いではないようだ。

こうして歩くと、踵は着地する時、地面に触れる程度にしかならない。だからといって、踵が地面と触れてはいけないということはまったくない。実際、ボクはこの歩き方で、少し踵をこすっている。体重は乗ってないけど。

摺り足を習っていた時に気がつくべきだったのだが、当時のボクは親指の付け根でモロに着地していて(実際ここの皮が何度もめくれた)摺り足を断念したのだった。

よく考えれば、親指に体重を載せるというのは、足のベクトルが内に内にといってしまい、安定度がどんどん低下していくわけで、荷重を外側(小指側)に移せば足のベクトルは外へ向かい安定度が増す、という初歩的なことに気がついていなかっただけの話。

足の裏の接地面を見れば一目瞭然なのだが。内側には土踏まずがあるが、外側はほぼ真っ平ら。これだけ接地面が違えば、広い方が安定するに決まっている。日頃、観察だの工夫だのを口にしている割には、間抜けすぎるにも程がある見落とし…これってどうよ…

まぁ、言い訳はするまい。間抜けなのはボクなのだから。

あくまでも矯正中だし、まだぎこちないのだがそれなりの効果は大腿部内側広筋の筋肉痛という形であらわれている。太腿の内側の筋肉である。

どうも普段あんまり使っていなかった筋肉のようだ。筋肉痛の症状としては、比較的安全な方である。筋肉の付け根だと結構気を使わないといけないのだが、盛り上がっている部分というのは、どちらかというと安心して筋肉を作っても問題ない場所で、これはどこの部位の筋肉にも共通している。私見であるが。

膨らんだり縮んだりが、目に見えて分かりやすい場所というのは、筋繊維の密度が粗く、筋繊維そのものが太い上に柔軟性が高い部分でもある(と思う)。筋肉の付け根はこうした筋繊維が密集してかたまっている上に、骨にへばりついていたりするので、ここを痛めるとケアに時間が掛かるのだ。

「歩くだけで筋肉痛」というのも、正直情けない話なのだが、関節痛に比べれば屁みたいなもんである。実際、関節痛は徐々に薄らいできている。

関節や軟骨と異なり、筋肉は比較的増量したり強化したりするのが楽だし、安全なのがミソである。ただ、ボクはアスリートではないので、筋トレなるものをする気はさらさらない。歩くために必要な筋肉を補填したり維持できれば、それで十分なのだ。

太腿部の筋肉に痛みが出ているというのは、太腿を上げて歩いている、という証左であり、一応進むべき方向へ矯正は進んでいるようだ。

まぁ、運動に関してはからっきしダメな人なので、身につくまで相当時間が掛かると思うが、歩行に関しては再三書いているように、極めて重要視している(それがこの結果かい……)。死ぬまで自力で動きたいという、ただそれだけの理由なのだが。

だからまだ比較的矯正が楽な今の内に治してしまいたいのだ。関節痛で歩けなくなるというのもゴメンだし。


【フジワラヨウコウ/森山由海/藤原ヨウコウ】
YowKow Fujiwara/yoShimi moriyama
http://yowkow-yoshimi.tumblr.com