はぐれDEATH[57]真夏のはぐれのデジタル事情
── 藤原ヨウコウ ──

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●Macの健康のためのエアコン

前にも触れたかもしれないが、ボクはAdobe Photoshop、Illustrator CS4以降のアップデートを頑なに拒んでいる。アホな上納金をAdobeに払う気に到底なれないことも白状したはずだが、念のためにもう一度書いておく。

無駄な機能で無駄に処理が遅くなるようなアップデートは、ボクにとっては無用であるどころか迷惑でしかない。

ちなみに、CS4以降のバージョンを使ったことがないワケではないのだ。CCは副業先で一年ほど散々触ったが、最後までイライラするだけでなんの恩恵もなかった。何しろショート・カットが変更されているのだ。これだけで十分迷惑である。

まぁ、アプリはともかくOSに関しては、ここまで頑なになる気にはなれない。すべてのアップデートがそうだとは言わないが、必ず何かしらの脆弱性やバグの修正だったり、イマイチ効果的なのかどうか疑問だがハッキング対策も含まれるとなると、それなりに考えざるを得ない。

だから、MacOSの最新版High SierraにParallels Desktopをインストールして、仮想デスクトップでMavericksを走らせCS4を運用するという荒業を使っている。ネット絡みは全部High Sierraで処理をして、お仕事関係はMavericksで、という割と分かりやすく貧乏な方法である。

ただ、この作戦にはハード上のハードルがそれなりにある。メモリ量とOSを走らせる記録媒体(保存量も含む)である。ここは現段階ではコストが掛かりすぎるので我慢している。お金ないしなぁ(切実)。今ならこっちにお金を使うよりも、おねえちゃんにお金を回す方が優先順位は圧倒的に高いので、しゃぁなしである。

まぁ本体が2010 midのiMacなので、この時点で既に無理がある。ネイティブでMavericksが走るマシン、というだけの理由で導入したのだが、仮想デスクトップという環境を作るには正直貧弱過ぎる上に、そもそもカスタマイズが簡単にできない。

おまけにメモリの上限は16GBだし。外部接続のスロットはとっくの昔に全部埋まってる(HDD×1、SSD×1、タブレット、スキャナー)。

この外部接続機器にHDDとSSDが入っているのが、ある意味致命的なのだ。特にSSDは内蔵にしたいのだが、とにかくiMacは開けるのも手間なら閉じるのも手間で、おまけに狭い空間にむりやり色んなモノを詰め込んでいるので、特に配線系はリスクが高い。一度開きかけて途中でやめたのは、正にこの一点にすぎない。

おまけに放熱機能が貧弱過ぎて、夏場は危険極まりないのだ。もっとも、最大の危険はエアコンぎらいのボクが、冷房をなかなか入れようとしない、というアホな理由なのだが、ボクに限って言えば「貧乏人は冷房を使う贅沢など許されない」という、アホな信念の持ち主なので手に負えない。

あ、皆様は熱中症予防のためにエアコンは活用して下さい。熱中症で死亡するケースの半分近くは屋内、というデータもあるので「外出さえ控えれば問題なし」と短絡なさらないように。扇風機だって暑くなった室内の空気を撹拌する程度でしかないぐらい、今年は暑さがすごすぎる。

今年に限って言えば、「貧乏人は冷房を使う贅沢など許されない」信念の持ち主であるボクですら、エアコンを動かさざるを得ない異常事態なので(もっともボクの健康のためというよりも、Macの健康〈?〉のためなんですが)十分ご注意願いたい。

もっともボクの部屋の、エアコンの冷房設定温度は31℃だ。これでも、もう十分すぎるぐらいボクには涼しすぎるのだが、これ以上設定温度を上げられないので仕方ない。

iMacの冷却機構に関してくどくど書く気はさらさらないので飛ばすが、少なくとも設置環境温度が30℃以上などという、馬鹿げた仕様でないことだけは確かだろう。はっきり言えば、エアコンがでふぉの環境に設置すべき機械なのである。この点に関しては100%ボクに非がある。





●ボクにとって必要かつ理想的なハードウェアの構成

冷却に関して言えば、筐体内部の熱をいかにして外部に放出し、涼しい空気を入れるかに尽きる。設置環境温度が高ければ、いくら冷却効率がよくても高い温度しか筐体内には入らないのは自明である。

それでも筐体内の熱の保温をある程度防ごうと思えば、各パーツ(特に放熱量が多いCPU、HDD)の間に十分なスペースがあることが望ましい。で、iMacはこの本来必要な物理スペースを、極限まで削っているので質が悪いのだ。

「接地空間の省スペース化」が目的なのだろうが(それ以外に何が考えられる?)、ボクはお仕事で使っているのでこのような気遣いは無用であり、むしろ無駄なぐらいスカスカなスペースが躯体内にある方が望ましい。

そういう点では、現行のMacProですらスペースがなさすぎるのだ。iMacよりもカスタマイズはしやすそうだけど。

ちなみに、既にボクのiMac並にロートルになってしまった、MacProの筐体が個人的には一番好ましい。

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それでも十分過ぎるほどのギッチリ感だけど。

正直、この程度の大きさを、ボクは特に苦痛に感じない。まぁ昔から使っているから、というのももちろんある。ただ「業務用」と考えれば、このサイズは高がしれている。

デジタル業界に特化して考えても、何台繋いでるのかさっぱり分からん本棚大の筐体が羅列している業務用サーバやら、スーパーコンピューターやらに比べればカワイイもんではないか。

「比較対象がおかしすぎる」という批判は受けよう。自分でも正直どうかと思うのだが、それでもボクにとっての業務用コンピュータの原風景が、アラン・チューリングが関わったとされるエニグマ解読機Bombeなのでもうどうしようもない。

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どうよ、この大きさ。

もちろんPersonal Computerではありませんが(ここは結構重要)、Bombeとボクの持っているiPhone7 PLUSを比較すれば、iPhoneの方が演算能力は圧倒的に高い。まぁ、使い方にもよるかもしれませんが、順当にいけばiPhoneに旗が揚がるのは自明の理である。

iOS用のエニグマ暗号解読アプリがあれば、スピード計算の比較は出来るんだろうけど、さすがにそこまで検証する気にならないのでさっさと飛ばす。てか、BOMBEが入手できないし。

今もあるのかどうかは知らないのだが、一昔前は自作PCのパーツとして水冷式の内部冷却器があったような気がする。と思ってちょろっとググったら、まだありましたよ。画像見ただけでもうお腹一杯になったので、スペックは知らん。

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なんか無駄にカッコイイ♪

どうもゲーム専用機用に作られているらしいのだが、ゲーム専用機でもう一つ思い出すのが、グラフィック・ボードである。

iMacにするまでは、ボクもグラフィック・ボードを本体のとは別に挿して利用していたのだが、最近はCPUの代わりとしてGPUに注目が集まっているようで、スーパーコンピューターの分野でも盛んに使われているらしい。

らしい、というのはあくまでもニュースやら伝聞やらのレベルでしか知らないし、実物を見たこともなければ実働しているところに至ってはイマイチ想像しづらいからだ。多分、めちゃめちゃ早いんでしょうな。

今はWeb上で走るPhotoshopやIllustratorによく似た(ほとんどパクリではないかと、目を疑うようなものも含む)アプリというかサービスが、無料であるようだが、古い人間としてはいつでもオフライン状態で作業できる環境が一番イイ。

また極端すぎる例なのだが、絵の具で絵を描く、というのはその典型である。あくまでも個人的な価値観です。こんなアホなコトを他に押しつけるような馬鹿なことは、間違ってもしないのでご安心を。

だから、どうしてもまずそれなりの大きさの筐体を持つブツが必要なのだ。Macである必要はないのだが(Parallels DesktopならLINUXをベースにしてもMavericksは走るだろう)、Apple製品しか使ったことがないのでやはり安心感はある。キーボードの配列も慣れてるし。

ちなみにボクのキーボードはUSキーボードなので、日常的に見られるWin用の日本語キーボードは、使いづらくて仕方ない。配列もなんか違うような気がするし。

もちろん、Appleの日本語キーボードもボクはほとんど使ったことがないので、Win用のキーボードとの比較は出来ない。PowerBookProですら、わざわざUSキーボードの中古を探してきたぐらいなのだ。

とりあえず、ボクにとって必要かつ理想的なハードウェアの構成を、シミュレートしてみよう。Parallels Desktopを利用して、Mavericksを走らせることが前提である。Apple製品であるという前提も、括弧付きで諦め自作PCの世界に突入である。

ちなみに現段階では動作保証や互換性は無視する(!)。

・ケース:サーマルテイク(Thermaltake)Core X9 CA-1D8-00F1WN-00
とりあえず、拡張性の高さと冷却効果を最優先してみる。

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色が気にくわないのだが(できればアルミ素材むき出しの色がいい)仕方あるまい。

上記したMacProのケースだけを転用するという手もありだと、ひそかに思っているのは内緒だ。

・マザーボード:アスロック(ASRock)X299 OC FORMULA
めちゃめちゃ重要。

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オーバークロック前提、というめちゃぶりが気に入った。

・グラフィックボード:MSI GeForce GTX 1080 GAMING X 8G「Twin Frozr VI/OCモデル』グラフィックスボード VD6060
とにかく、描画速度は意外と重要だったりする。速度が早いだけで、実際の演
算速度よりも体感では早く感じられるのがキモである。

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結局、ゲーミング・グラボになったのはある意味仕方あるまい。とにかく速度に特化するだけなら、ゲーミング・グラボにならざるを得ない。グラボ本体に二つもファンが付いている上に、これまたオーバークロック機能搭載という強者である。

・クーラー:サイズ オリジナルCPUクーラー 虎徹 Mark II
基本、エアコンはきらいなので、可能な限り筐体内で最大の冷却効果が欲しい。水冷も検討したのですが高いわ、メンテ面倒くさそうだわ、寿命が短そうだわという理由で却下。

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取り敢えず評判がいいのはこの子だった、というだけの理由。

・電源:Thermaltake TOUGHPOWER DPS G DIGTAL 1250W iRGB PLUS FAN -TITANIUM
正直何をどう選べばさっぱり分からなかったのだが、冷却ファンが付いているというだけの理由でこの子にした。

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ちなみに、これらの合計値段は怖くて計算していない。もちろんボクのためにわざわざ試算しなくていいです。落ち込むだけだから。

今回はCPU、メモリ、内部記憶ディスクは敢えて外している。調べるのが面倒くさいというのもあるのだが、この辺の部品はとにかくアップグレードの速度と価格変動が激しすぎてどないもならん。ちなみに、無茶は百も承知だが、キーボードだけはApple USキーボードを死守したい。

「猛暑は今年だけ」という考えはさっさと捨てて、今後最低でも5年は続くと考えると(ボクの勘です)、ここまで冷却効果にこだわらざるを得ない。

ところで、このシミュレーションで構成したとして、底冷えの京都で冬は保つのだろうか、という素朴な疑問がふっと頭をよぎった。京都の冬は半端じゃないからなぁ……。


【フジワラヨウコウ/森山由海/藤原ヨウコウ】
YowKow Fujiwara/yoShimi moriyama
http://yowkow-yoshimi.tumblr.com