[4660] 新しいカメラを手に入れたはいいが◇海津ヨシノリさんのセミナーに参加

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《ブランドに目がくらみ》

■わが逃走[226]
 新しいカメラを手に入れたはいいが。の巻
 齋藤 浩

■もじもじトーク[94]
 海津ヨシノリさんのセミナーに参加して
 関口浩之

■プレゼント&イベント情報
 発売2週間で重版決定!「著作権トラブル解決のバイブル! クリエイターの
 ための権利の本」
 ボーンデジタル



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■わが逃走[226]
新しいカメラを手に入れたはいいが。の巻

齋藤 浩
https://bn.dgcr.com/archives/20181018110300.html

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普段使い用、散歩用、記録用と称してコンパクトカメラを一台携行している。もともとデジタルのコンパクトカメラは、写真なのかCGなのかわからない絵が出てくるので、イマイチ好きになれなかった。

ところが6年ほど前、ソニーのRX-100を手にして、その印象が大きく変わったのだ。

1インチセンサーと28-100mm相当のカールツァイスレンズを搭載したそれは、画質的にとても納得のいくものだったし、(ソニーの一眼レフを使っていたこともあり)取説を読まずとも操作に勘がきく点もイイ。

RX-100は私にとって初めて、ストレスなく撮影できるコンデジだった。

必要にして充分。これにファインダーが搭載され、もう少し広角に寄った明るいレンズがつけば文句なし。なんて思ってたら、その二年後にRX-100M3が発売となり、迷わず買い換えた。

搭載レンズはより明るい24-70mmに変更され、ポップアップ式の電子ファインダーも搭載された。にもかかわらず、サイズの変更はほとんどナシ。文句のつけようがなかった。

RX-100シリーズは、以降も高感度耐性、連写やオートフォーカスの高性能化など年々進化し続けているが、私にとってそれ以上必要な機能がなかったため、その後四年間、RX-100M3を使い続けた。

で、最近、もう少し望遠の画角が欲しいなあ。なんて思い始めた。たとえば建築などの構造物を撮影する際、全体はよいのだが、部分を記録するときに望遠端70mmは少々短すぎる。

とはいえ、画質は維持したいし、70mmでも使えないことはないのだ。どうしても望遠が必要なら、一眼を持ち出せばいい。しかし一眼はデカくて重い。なんとかならないものか。

と思っていたら、先ごろRX100-M6が発売された。

ほぼ同じボディサイズで、レンズは24-200mmに変更。しかし値段が高すぎる。ライカのコンパクト、C-LUXとほぼ同じ価格帯だ。

C-LUXも1インチセンサーを搭載。ボディはRX100よりも一回り大きいサイズでf値は暗く、最小絞りも8というスペックだがズーム域は24-360mm相当。

望遠に強いってことは、絞りに頼らずともボケの調整ができるし、手ブレ補正と高感度性能により、レンズの暗さはフォローできそうだ。なによりもカメラに「ライカ」って書いてある。

これだけで良い写真が撮れる「ような気がする」!
よし、だったらライカだ!

俄然その気になってしまった私は、思い切って長年愛用していたRX-100M3と、出動回数のほとんどなくなったレンズらを下取りに出し、たまっていたショップのポイントを合わせ、差額三万円程度で手にすることができたのだった。

●「ような気がする」

新品のライカを買うなんざ、初めてのことだ。しかし、このカメラはパナソニックのOEMで、性能はほとんどLUMIX TX2と同じである。

だったらパナソニックを買えばいいじゃんと思う人も多いわけだが、TX2は見た目がダサイのだ。わざとダサい外装を採用して、ライカに気を使っているのだろうか、と本気で思ってしまうくらいダサイ。

逆に言えば、このダサイ外装を変えただけで(実際は独自のチューニングもされていると信じられているが)ライカは付加価値を上げているのだ。

パナソニックはそれで満足なのだろうか。まあ、ダサいものの方が売れるというマーケティング結果もあるけどね。

昔、マツダのユーノス500という素晴らしいデザインの車があったけど、あれは「美しすぎる、高そうに見える」という理由で売れなかった。そんなことも反映されて、現代の日本のシステムは動いているらしい。

私は「お客様の声」を聞くよりも、「お客様」の想像の斜め上をいくデザインを提示してほしいし、美しく使いやすいプロダクトとはこういうものだと、企業側から「お客様」に示してほしいと願っているのだが。

さて買ってから気づいたけどMade in China。まあそれはいい。

C-LUXは、質感も色も素晴らしい。持っているだけで楽しいし、イイ写真がとれる「ような気がする」。これはひとえにライカというブランドのなせる技か。

デジカメを買うのは四年ぶりだが、その間にものすごく基本性能が上がっていた=過保護になっていたことに驚く。

しかしオートフォーカスの異常な高性能ロックオン機能や、タッチスクリーンでの操作など、生理的にキモチワルイ機能は全部オフにした。人間がカメラの言いなりになる筋合いはないのだ。

操作に慣れてきたところで、試し撮りをしてみた。

望遠側への寄りっぷりはとくにスゴい。「このへんまでかな?」と思ってもまだまだ寄っていく。たいしたものだ。手ぶれ補正の効きっぷりも秀逸。望遠端360mm相当で、手持ち1/30以下でもブレないのだ。どうかしている。

ファインダーも見やすく、ストレスは少ない。

撮って出しのjpgも充分美しく自然。とくに標準〜望遠域の描写がイイ。しかし、RAWデータの自由度が狭まっているような印象がある。

RX100のときは、どんどんイメージに近づけて調整していくことができたが、C-LUXのRAWは、いまひとつ言うことを聞いてくれないのだ。

RWL形式のものをLightroomCCで、またDNGに変換したものをLightroom5で現像してみたが、昔のソフトでjpgを再現像しているような、融通のきかなさを感じている。

もちろん使い方や慣れの問題もあると思うし、まだ使い始めて数週間なので、これから徐々にデータの癖や傾向をみつけつつ、納得のいく絵が得られるよう楽しくつきあっていこうと思う。

そんなわけで、いくつか撮影、現像したものをupします。

https://bn.dgcr.com/archives/2018/10/18/images/001

逆光。黒をツブさないよう調整した。これは比較的イメージに近く仕上げることができた。

https://bn.dgcr.com/archives/2018/10/18/images/002

ほとんど陽も暮れきって、雲にわずかな残照。手持ちでISO3200、f3.4、1/25秒。実際はこんなに明るくない。ほとんど夜。

この高感度性能は実にあっぱれ。ノイズも個人的にはまったく気にならないが、場合によっては現像時に粒子を加えると、自然な仕上がりになると思う。

https://bn.dgcr.com/archives/2018/10/18/images/003

道の駅から浅間山のてっぺんを最大望遠(360mm)で切り取る。手持ちでISO200、f8、1/800秒。コンパクトでここまで寄れるのはスゴい。粒子は現像時に加えている。

https://bn.dgcr.com/archives/2018/10/18/images/004

中山道の小田井宿にて。例によって、黒はツブさぬよう、白はトバさぬよう調整したつもりだが、慣れ親しんだRX-100に比べると作業はかなり手間取った。

https://bn.dgcr.com/archives/2018/10/18/images/005

瓦なんかも、もっとギラッと硬さと黒さを表現したかったのだが、なかなか思い通りに調整するのは難しい。それがこのカメラの特徴なのか、私が慣れてないだけなのか。

https://bn.dgcr.com/archives/2018/10/18/images/006

西を背にして自分の影を撮影。もう少し黒の中の黒の調子を出したい。

ブランドに目がくらみ、使いやすかったRX-100M3を売却してまで手に入れてしまったこのカメラ。正直なところ、後悔と諦めを意識しないよう、日々努力を重ねております。


【さいとう・ひろし】saito@tongpoographics.jp
http://tongpoographics.jp/


1969年生まれ。小学生のときYMOの音楽に衝撃をうけ、音楽で彼らを超えられないと悟り、デザイナーをめざす。1999年tong-poo graphics設立。グラフィックデザイナーとして、地道に仕事を続けています。


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■もじもじトーク[94]
海津ヨシノリさんのセミナーに参加して

関口浩之
https://bn.dgcr.com/archives/20181018110200.html

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こんにちは。もじもじトークの関口浩之です。

この一週間、自分が主催するイベントを水木金と三日連続で開催し、土曜は大阪のグラフィックデザインのイベントに参加しました。

皆さんから「毎週のようにフォントに関するイベントを開催したり、出演したりするのって、大変じゃない?」と、よく言われます。

たしかに、体力的には大変です。しかも、おっさんですし……。

仕事として活動ですが、「文字やフォントって日本の大切な文化であり、それをみんなで一緒に楽しく、そして正しく学びたい」という想いで飛び回っています。

また、おこがましいですが、それら歴史や先人の知恵を伝承したいと思ったからなんです。役職がエバンジェリストなので伝道師ということで……。

理由は何であれ、その分野の専門家や書体デザイナーから直接お話を聞くことで、新しい発見が生まれ、仕事に役立つヒントをたくさん学ぶことができますよね!

もうひとつの原動力は、イベントを開催したり、出演することで、なかなか会えない皆さんに定期的に再会できること、また、たくさんの新しい方々との出会いがあるからです。

イベントの準備をするのは、仕事が一段落した深夜にやることがほとんどなので、正直な話、大変です。だけど、イベントを通じて、日頃のストレスを発散することもできます。それが一番の理由かもしれません。

この記事を会社の人が読んでいないことを祈ってます……(笑)

さて、今日のもじもじトークのテーマは「海津ヨシノリさんのセミナーに参加して」です。

●大阪DTPの勉強部屋とは?

先週土曜に参加した「大阪DTPの勉強部屋」のセミナーは、今回で30回目を迎えました。おめでとうございます。2009年3月から定期開催しているので、もうすぐ10年ですね。何事も10年継続するって、すごいことだと思います。

このコミュニティではDTPに関連する「隔週金曜勉強会」が開催され、それとは別に100名規模のセミナー形式の勉強会が年数回あります。

・大阪DTPの勉強部屋
http://www.osakadtp.com/


大阪DTPの勉強部屋は、宮地知さん(えむさん)が中心となって活動しているコミュニティです。宮地さんの10年前の取材記事を見つけたのでご紹介します。

勉強会&セミナー会場を提供している「メビック扇町」のウェブサイトの記事です。

・DTPオペレーターの地位を確立したい(公開日: 2008年8月26日)
https://www.mebic.com/creators-file/833.html


この記事が公開された翌年3月に、大阪DTPの勉強部屋/第1回が開催されたようです。

主催の宮地知さんをはじめ、大石十三夫さん、藤林朋実さん、林直樹さんほか、みなさんには、ずいぶん前からお世話になっています。

筑紫書体の藤田さんのセミナー開催では、いままでに三回ほど企画をご一緒してますし、Webフォントの認知度が低かった五年ぐらい前頃からWebフォントを紹介する機会を何度もいただいています。感謝いたします。

そして、このコミュニティ、とてもアットホームなので、肩の力を抜いてたくさん学んで、心地よく楽しめる場所なんです。

●海津ヨシノリさんってデジクリの?

今回のセミナーは、グラフィックデザイナーとして広く知られている海津ヨシノリさんの「画像処理テクニック講座」でした。

先月発売された「グラフィックデザイナーのためのコンテンツ作成術」の出版記念セミナーも兼ねてました。

海津ヨシノリさんは以前から存じあげてましたが、お会いするのは今回初めてだったんです。お会いできて、うれしかったです!

あれっ、もしかして、海津さんってデジクリの海津さんのような気がする……。

気になって、デジクリの筆者一覧をみてみました。やはり、そうでした! しかも1999年からメルマガ書かれていますね。

筆者一覧を久しぶりに眺めてみたら15人がお友達でした。世間って狭いですね。

●海津ヨシノリさんのセミナー

海津ヨシノリさんの『画像処理テクニック講座〜コンテンツ作成術祭〜』は大盛況でした。ツイッターまとめを読むと、楽しさとトークの奥深さが伝わってくるので、ぜひ、ご覧ください。

・ツイッターまとめ
https://togetter.com/li/1276498


海津さんのセミナーは、ツールの裏技を紹介するのではなくと、ツールとの付き合い方、コンテンツ制作におけるクライアントとの折り合いのつけ方、仕事の発想転換などが中心でした。

海津さんは「僕のセッションの半分は脱線話や裏話ですよ」って言ってましたが、本当にその通りでした(笑)

でも、それが実に楽しい。タメなった!

だって、ツールの習得やTipsとかは、本人がその気があれば、インターネットからいくらでも情報入手できます。だけど、その人の情熱や生きる姿勢とかは、リアルな会場でなければ感じることができません。

また、脱線話、裏話、失敗談、ばかばかしいお話とかは、直接、本人からでないと伝わってきませんよね。そういう言葉の中から、物事の本質が見えてくることが多いと僕は思ってます。

●メモをとるのは忘れるためにとっている?

セッションの中で、印象に残ったことのひとつを紹介します。

日頃、大事なことはメモを取りますよね。

「メモをとる目的は、脳に記憶させるためでなく忘れるため」だそうです。

えっ、そんなんだー。

メモをとることは、脳に記憶させるために書いているものだと思ってました。

一言一句間違いなくきれいに書いても、数日経つと書いたことを忘れること、ありませんか。きれいにメモを残せばいいということではないんです。

備忘録なのです。メモをみると、その時に聞いたことを思い出すことができますよね。つまり、人間の脳は、忘れるようにできているんです。

「ブログ書くのは自分の備忘録として書いてる」という海津さんのお話、同感です。

僕は参加したセミナーの登壇者の写真掲載したり(もちろん、許可もらいます)、気になったフレーズをブログやFacebookで書き残すようにしています。そして、懇親会の写真をFacebookに毎回アップしてます。

なぜなら、ホテルに帰ると、その日に聞いたセミナーの内容、結構、忘れちゃったりします。そして、その日にはじめて逢った人の顔と名前をほとんど忘れています。

でも、写真やコメントを見返すと、どんなセミナーだったか、誰とどんな話をしたかを思い出す可能性が格段に高まります。

備忘録として活用してるのです。それでも同じ人と三回ぐらい名刺交換しちゃうことあります(笑)

●秋のフォント祭り3DAYSセミナー

秋は学園祭シーズンということもあり、100人規模のセミナーを三日連続で開催しました。三つのセミナーの様子は、もじもじトークで、後日、とりあげる予定です。

・FONTPLUS DAYセミナー [秋のフォント祭り 3DAYS]
https://webfont.fontplus.jp/info/4399


最終日の「フォントかるた学園祭」フォントかるた大会の一コマを動画でご紹介させてください。じゃーん!

http://fontplus.sakura.ne.jp/20181018/fontkaruta.m4v


すごいでしょ。楽しいでしょ。変態でしょ(笑)

では、二週間後に、またお会いしましょう。


【せきぐち・ひろゆき】sekiguchi115@gmail.com

フォントおじさん
https://event.fontplus.jp/about/hiroyuki_sekiguchi.html


1960年生まれ。群馬県桐生市出身。1980年代に日本語DTPシステムやプリンタの製品企画に従事した後、1995年にソフトバンク技研(現 ソフトバンク・テクノロジー)へ入社。Yahoo! JAPANの立ち上げなど、この20年間、数々の新規事業プロジェクトに従事。

現在、フォントメーカー13社と業務提携したWebフォントサービス「FONTPLUS」のエバンジェリストとして日本全国を飛び回っている。

日刊デジタルクリエイターズ、マイナビ IT Search+、オトナンサー等のWebメディアにて、文字に関する記事を連載中。CSS Niteベスト・セッション2017にて「ベスト10セッション」「ベスト・キャラ」を受賞。フォントとデザインをテーマとした「FONTPLUS DAYセミナー」を主宰。

フォントおじさんが誕生するまで
https://html5experts.jp/shumpei-shiraishi/24207/



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■プレゼント&イベント情報
発売2週間で重版決定!「著作権トラブル解決のバイブル! クリエイターのための権利の本」
ボーンデジタル

https://bn.dgcr.com/archives/20181018110100.html

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〈主催者情報〉

「著作権トラブル解決のバイブル! クリエイターのための権利の本」
著者:大串肇、北村崇、染谷昌利、木村剛大、古賀海人、齋木弘樹、角田綾佳
発行:ボーンデジタル

https://www.borndigital.co.jp/book/6761.html

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4862464149/dgcrcom-22/


●法律の解釈よりも「実際にどうしたらいいのか」を解説します!

ネットの普及により著作権が侵害されたり、逆に知らぬ間に侵害してしまったりというケースが増えています。この書籍は、プロ・アマを問わずクリエイターやコンテンツ制作に従事する方が知っておかなければならない権利や法律について、具体的に「やっていいこととやってはいけないこと」「トラブルになってしまった時の対処方法」を紹介するものです。

これまでの著作権関連の書籍よりもより実務ベースで、よくあるケースごとにOKなのかNGなのかを「それぞれの部門のプロフェッショナル」が答えるものとします。

イラストレータ、Web制作者、グラフィックデザイナーのみならず、映像制作者、ブロガー、ライター、趣味の二次創作者、発注者など企業担当者の方など、「モノづくりに関わる方」に幅広く大きな反響とご指示をいただいた本書籍ですが、発売後2週間で重版が決定いたしました。

●著者&監修者によるイベントを緊急開催!

ボーンデジタルでは、この書籍の発売と重版決定を記念して、現役クリエイターである著者や法律監修をお願いした弁護士の先生をお招きして、セミナーイベント「クリエイターのための権利の話」を10月28日に開催いたします。

さまざまな事情から本書に入れられなかったお蔵入りネタや制作時の裏話をこっそりお話をします。著者陣からの豪華なプレゼントもご用意しております! ぜひご参加ください。

日時:2018年10月28日(日)14:00〜17:30
場所:LIFULLセミナールーム(東京都千代田区麹町1-4-4)
参加費:事前決済1,500円、事前決済(書籍購入者)1,000円、当日2,000円
詳細・申込:https://kenribon.connpass.com/event/104516/


●書籍プレゼント

この書籍を、日刊デジクリの読者2名さまにプレゼントいたします。

〈応募方法〉ご希望の方は、日刊デジクリのTwitterアカウント「@dgcr」を含めて「著作権トラブル解決のバイブル! クリエイターのための権利の本に応募」とツイートしてください。ひと言メッセージが添えてあると、当選確率がアップするかも!

〈応募期間〉2018年10月29日(月)23:59まで

〈当選発表〉当選者の方にTwitterのダイレクトメッセージにてお知らせします。ダイレクトメッセージができない方は無効となりますので、必ず「@dgcr」をフォローしておいてください。

配送先は当選者ご自身から、メールやフォームにて提供元のボーンデジタル様に伝えていただきます。ボーンデジタル様への連絡手段は、当選のお知らせに記載いたします。


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編集後記(10/18)

●古い映画DVDを見ると、その当時の予告編が冒頭にあるから見ざるを得ない。既に旧作だが。面白そうなタイトルはメモしておき、GEOで探す。その映画についてくる予告編(既に旧作だって)を見て、面白かったらその映画を見る。いつまでたっても新作を見ない無限ループに陥っているが、たった今の新作・準新作だっていつかは旧作棚に下りてくるのだから、それでいいのだ。

ホラー系だと思った「スプリット」を見た。シャマランという監督の名前は知っている。作品一覧を見たら、数本は記憶にある。この監督びいきの人は自他共にシャマラーと呼ぶ、らしい。まあ、なんらかのクセがあるのだろう。この映画の登場人物は少ない。主に五人である。主役の美少女ケイシーとクラスメートが二人、おばあちゃん博士、もう一人の主役である多重人格男である。

でも多重人格男は、成人男性、女性、子供など、様々な何役もやるから、登場人物は少なくない勘定になるが、何も知らずに見ていたわたしには、いま画面にいる坊主頭が誰だか分からない。解離性同一性障害の人間をよく知るカレン博士によれば、男の中に23もの人格があるというが、全部が出てくるわけではないらしい。別人格を騙るところもあるらしい。実にめんどうくさい映画だ。

事情を知らずに見ていて理解できる人はいるのか。いるらしい。シャマラーには絶賛の映画らしい。わたしはすぐに、この男が誰のキャラになっているかなど分からなくなった。こう名乗るときはこういうキャラだという一覧表があれば理解の助けにはなるかもしれないが、他人を(ってのも変な表現だが)装うこともあるようで、何が何だか分からない。観客は本当に理解できたのか。

主演のケイシーは常に冷静で、何を考えているのか分からない。彼女は男のある人格に干渉できても、別人格はそうはならない。なぜこの娘とあと二人が拉致されたのか、理由がよくわからなかったが、どうやら二人の方は不道徳な若者として罰したいということらしい。ケイシーは特別扱いのような気がする。なにしろアメリカ映画お得意の、身内による性的暴行の被害者なのだ。

どうしてそういう設定が好きなのかねえ、アメリカ人は。だからケイシーは虚無的というか、あまり物事に動じないキャラになっている。彼女は自分で自分の身体を傷つけている。肩や腹部に自傷跡が残っている。最強の邪悪な性格のキャラ(ビーストと呼ぶ)でさえ、それを見てひるんで彼女を見逃すほどだ。この女優、目が離れている、という微妙なバランスの崩れが妙に魅力的である。

いやまったく、ただ流れる映像を追うだけになった。一人の男が色々な人格に変わりながら彼女らに接する。博士によれば多重人格者の中の人格は、「照明」という権利を得て表に出て来くるが、すべての人格は違い、肉体も物理的に変化するんだという。すべてお見通しのような彼女も、誰かさんキャラに殺される。二人のクラスメートも殺される。獰猛な人食いキャラもいるらしい。

なんだよ、このわけの分からん映画は。そこでネットを探ってみたら、事細かにきっちり説明しているサイトがあった。どこで調べたんだ? 設定もストーリーも分かりやすい。監督に取材したのかと思うくらい。そういう話だったのか、じゃもう一度見直してみよう、とは全然思わなかったのであった。(柴田)

「スプリット」2016 アメリカ
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0741W3LCV/dgcrcom-22/



●火曜日の森さんのプレゼントのコメントでまだ悩む。/ボーンデジタルさんのプレゼントも気になる〜。

/芸術の続き。「アート」で身構えてしまうのは、何でも「アートです」でアートとして完結してしまい、否定や異議申し立てができないから。

もちろん素敵だと思うことは多数あるので、その時は「アートです」と言われたら、そうなんだろうなとは思ってしまうのだけれど。

あー、でも「アーティスティック」という言葉は使うわ。自分が心を動かされた、芸術的なものの形容動詞として。「アート」の形容動詞ではなく。

「芸術です」という人が少なく、そう言う人が見せる「芸術」は、私の概念とほぼ同じなのもあるかな。ということで、自分でも「アート」の守備範囲がわからないの。 (hammer.mule)