Otaku ワールドへようこそ![290]利他性、前向き、頭いい ─ その業界で成功する三条件か
── GrowHair ──

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元の元の元をたどれば、ビッグバンに行き着くのは遡りすぎとして、最近、新たな交友が開けたのは、元はと言えば、もみのこゆきとさんを訪ねて鹿児島に行ったあたりが、ご縁の発端と言えそうだ。

2013年12月7日(土)のことだ。前々日に急に決めて行ったのだった。高見馬場にある「赤鶏炭焼 大安(だいやす)」というお店に連れていってもらった。

隣りの席の人が食べている、真っ黒いごつごつした小片の山盛りは、いったい何だろう。「赤鶏もも焼き」だという。自分も注文してみると、親鶏の硬い食感と、炭の黒い香りが絶妙だった。

記録を読み返してみれば、店の前をたまたま通りがかって、「一緒に写真を撮らせてください」と声をかけてきたおじさん集団は、静岡から来た消防士たちだったことが書かれている。静岡の消防士集団がなぜに鹿児島に?

https://bn.dgcr.com/archives/20131224140200.html






●ご縁の連鎖

あの真っ黒なもも焼きを出すお店は、東京にないだろうか。いろいろ探し回ったけど、鹿児島のものだと知らないお客から苦情が出そうなものを出す、勇気のあるお店はそうそうなく、市ヶ谷にある「播鳥」とウチの近くにある鹿児島郷土料理のお店のが、まあまあ近い線いっている。

後者は今もよく行く。そのお店は、噺家の三遊亭とむ氏の行きつけでもあった。今は引っ越しているが、実家があるので、たまには来るらしい。

とむ氏の独演会があることをお店から聞いて、半蔵門の「国立演芸場」で開催された『三遊亭とむ独演会 スーパー落語ラブファントム 2017』に行ったのは、2017年8月19日(土)のこと。

席は最前列だ。ステージからいじってくれたので、立ち上がって振り返り、「にゃんっ♪」とポーズをとったら大きな拍手がもらえた。

翌日、皇居を挟んだ東側、大手町を歩いていると、とむ氏がタクシーでたまたま通りがかって、「やぁ!」とあいさつしてくれた。最初、誰だか分からず、「人違いじゃないですか?」と大ボケをかましてしまった。

ヒゲを三つ編みにしてセーラー服を着たおっさんが、東京に二人も三人もいますかいな。その場面を、武盾一郎氏が写真に収めていた。これだ。

https://goo.gl/photos/XhUQBxoybZVZiFXa9


2018年1月21日(日)有楽町「よみうりホール」で開催された『三遊亭とむ独演会 ラブファントム 2018 冬』にも行った。席は最前列だ。前回の公演の翌日に偶然会ったことがネタに取り上げられ、武氏が撮った写真が大パネルで掲げられた。

休憩時間にロビーに出ると、他の来場者たちからすごーくたくさん写真を撮られた。その中に、着物をシャキシャキッとかっこよく着こなした集団がいた。写真を撮られること自体はよくあることで、たいていはその場限りになるのだが、この人たちとは、その後もつながりが続いた。

写真:
https://photos.app.goo.gl/P2r2N3aPQwdJAZjF7


向かって一番左が夏野苺さん、その右が鈴木翔子さん。鈴木さんは、着物デザイナーである紫藤尚世氏のショップ「SHITO HISAYO 青山店」の店長である。お店には、ときどきとむさんが来るそうである。

苺さんは写真家。以前は会社勤めをしていて、写真家になるなど考えもしなかったのだが、撮っている自分が夢に現れ、同僚に言うと、一眼レフを譲ってもらえる話になり、写真家になった。

7月8日(日)、共通の行きつけのお店でとむさんと飲む。

8月27日(月)、神田にある野菜居酒屋「玄気」にて飲み会が催され、苺さんや鈴木さんも参加した。メニューの主役は夏の苺のお好み焼き。

真夏にどうして苺が入荷できるのかは謎だ。生地に小麦粉やキャベツを使わず、代わりにベビーリーフがたっぷり使われている。夏野苺さん、それはひょっとして共食いではないですかい?

苺さんは「苺 Letter」というメルマガを書いていて、新月と満月の日に配信する。満月の日のは、音声もついている。

http://www.ichigo-natsuno.com/


9月24日(月)配信分の音声として、私へのインタビューをお届けしたい、とのことで、玄気飲み会の始まる前に収録が行われた。到着した他の面々は、階段の下で息をひそめて、収録が終わるのを待っていたらしい。

10月6日(土)、虎ノ門「ニッショーホール」でTBSラジオ主催『転身組落語会』が開催され、とむ氏を含む、お笑い芸人から転身した落語家三人が出演した。私の席は最前列ド真ん中だ。初っ端、行きつけのお店での飲み会のことが取り上げられた。「案外真面目な人でした」。

写真:
https://photos.app.goo.gl/KCQSYYuguSxsgJgv7


転身組落語会のことは、日刊スポーツで記事になっているが、私の取り上げられ方が、なんか大きくないかい?

https://www.nikkansports.com/entertainment/news/201810060001017.html


公演終了後、着物の人たちと銀座へ移動し、「なまはげ銀座店」で飲んだ。翌日、セーラー服を着ようとしたら、胸のポケットから千円札が五枚出てきた。あれ? 何のお金だ?

あ゛。飲み代を払いそびれてる。払おうと思って用意したタイミングで、写真撮影リクエストが来たので、とりあえずポケットにしまったけど、撮影後、そのまま忘れていたってことらしい。

鈴木さんに連絡する。しばらく会う予定がないけど、どうしましょ。じゃ、また飲み会やりますか、と鈴木さん。

10月12日(金)、市ヶ谷の「播鳥」で飲み会となった。鈴木さんは、苺さんを呼んでくれた。私は、上海出身の孫 艶燕(えんえん)さんを呼んだ。

孫さんは、つい二か月ぐらい前まで会社の同じフロアーの同僚だった。辞めて、しばらく中国を旅してから、日本に戻ってきた。日本の文化について、動画で中国に発信したいという。じゃ、着物の人たちをご紹介するのがいいのではないかと思いついて呼んだ。

中国では、知識市場が成長の途上にあり、800億円相当の市場規模になっているという。2.5億人のユーザーがいるプラットフォームで日本のことを発信すれば、収益化できそうだという。日本独特の何かについて語れる人を募集中とのこと。

写真:
https://photos.app.goo.gl/ReKuXixn7xgte9tP8


●苺さんが静岡のお友達の話を切り出す

苺さんは、世界的ヒーラーであるジュード・カリヴァン氏に会って、両手で握手したのが至高体験だったという話をした後、知り合いに風俗嬢がいるという話題を持ち出した。

なぜ急に風俗嬢が出てきたのか、そのときは分からなかったが、後から判明したのは、前日に一緒にランチしていて、その方が私に会って話をしたいと言ってきたのだということ。それを急に思い出したのであろう。

その方は苺さんのメルマガを購読していて、私へのインタビューの音声を聞き、もっと話を聞きたくなったのだという。

あかねさん。静岡在住。苺さんと知り合ったのは、ある文章講座を通じてだったという。橋口友比古(通称:トゥモロー)氏の主催する「売れる文章ライティング」を去年の10月から三か月間受講した。音声が12本送られてくるのに加えて、東京で三回、セミナーが開かれる。

あかねさんは第一回しか行けず、苺さんは第二回と第三回しか行けなかったので、そのときは会っていない。

グループLINEで先生に質問できるようになっている。あかねさんが投げた質問が、先生からほめられた。みんなのためにもなる質問で、ホスピタリティを感じる、と。苺さんが読んで、興味をもった。

苺さんがあかねさんに会いたくなった理由は二つある。ひとつは、アンダーグラウンドで生きている人と、いろいろ話してみたいということ。

これまで、雑誌の撮影を通じて、裸を売りにしている女優さんなどを知ってはいるけれど、あかねさんのように、世間に顔も名前も出さないような人とは親しくなる機会がなかったので、どんな考え方で生きてるんだろうと、とても興味を持ったというのがある。

もうひとつは、撮影対象の可能性として。今まで芸能人を多く撮ってきて、最近は一般の人も多く撮るようになって、すごくたくさんの発見があった。だから、ここから先、アンダーグラウンドで活躍する人たちを撮影したら、さらに自分の世界が広がるだろうと思った。

しかし、自分の欲や野心のために利用しようという魂胆ではないという。

「私にとって写真とは、もちろん食べていくための仕事でもあるんですけど、もっと魂の深淵に触れる、静かな世界なんです。生きていて、わたしが一番大切にしてる自分の真ん中。そこにあるのが写真なんです」

苺さんがあかねさんとつないでくださいとトゥモローさんにお願いし、トゥモローさんがあかねさんに電話した。二人が最初に会ったのは、つい最近のことで、10月1日(月)。あかねさんは、苺さんに会うために、わざわざ静岡から東京に来た。

二回目が11日(木)。前日、セミナーを主催するために東京に来て、宿泊したので、翌日、ランチしましょ、という話になったのだそうである。で、その翌日、苺さんは私と会っているわけで、記憶が新鮮なうちに伝えることができたというわけだ。

この飲み会は、前回、私が飲み代を鈴木さんに払いそびれたところから持ち上がった話なのだから、ご縁というのは不思議なものだ。しかも……。

以前、鹿児島で鶏もも焼きを食べているときに静岡の人が通りがかったけど、今度は市ヶ谷で同じものを食べているときに静岡の人の話ですか。

ウチに帰ったら、あかねさんのほうからFacebook友達申請が来ていたので承認した。10月13日(土) 0:38am。

私に会いたいと言ってたようだけど、それって、お店にお客として行けばいいのかな?

店名を教えてください、とFacebookでメッセージを送ったのが13日(土)の8:35amだが、返事を待つまでもなく、Facebookの書き込みを遡って読んでいくうちに、自力で見つけ出すことができた。

「静岡 風俗 M 性感 Mirage」
http://netsi.org/

https://bananavi.jp/shizuoka/pc/dx/?shop_id=835


BANANAVIのウェブサイトには「普通の風俗では物足りない貴方へ...」とある。いやいやいやいや、普通の風俗自体、よく分かってないんですけど。そういうのに飽きるという境地は、まったく理解の及ばぬ、遥か彼方の世界です。

あかねさんは、お店の人気度ナンバーワンだ。公開されている39歳という年齢も最年長だ。このお店では、人気の順位が年齢の高い順だ。

14日(日)は特に予定が入っていないので行ってみようかと思ったが、あかねさんの出勤日ではなかった。残念。こういうのは、天の神様の思し召しに逆らわず、大きな運命の流れに身を任すのがよい。潔くあきらめよう。

「明日は休みでしたか」と未練がましく送ったのが9:38am。10:06amに返信が来た。「お店に遊びに来てくれるんですかー!? 嬉しいです。明日の日曜日、夕方からでよろしかったら出勤できますよ♪」。

おおっ。さらに「もしM性感に興味があるようでしたら遊びに来ていただけるとめちゃめちゃ嬉しいですが、触ったりチューしたりできないお店なので、趣味じゃなかったら無理しないでくださいねー」。

さらに、「私、苺さんのメルマガの音声を聞いてからおじさんに興味津々なので、一度ゆっくりお話ししてみたいです」。

M性感の何たるかは、さっぱり分からない。分からないけど、好奇心が下のほうからむくむくと湧いてきた。「行きます!」。「え!? お店ですか? あした??(大丈夫ですけどビックリしすぎて爆笑中)」。

交渉成立♪ というか、休日出勤させちゃって、ごめんなさい。

もちろん、通常のお仕事において、お客さんと直接やりとりすることはないし、休日出勤の交渉なんてのもありえない。特権にあずかれるのは、苺さんの介在とあかねさんの機転のおかげだ。しかし、苺さんには黙っておこう。「そういうつもりで紹介したんじゃないんだからね!」と怒られそうではないか。

ひとつ、ハードルがある。人に気づかれないよう、そういうサービスをこっそりと利用するにはどうしたらいいか? 常にパパラッチからつけ狙われているような有名人ではないにせよ、B面で街を歩いていても、見知らぬ人からよく声を掛けられる程度には公の存在だ。

「あいつ、そういうとこ行くんだー」とか、鬼の首を取ったように言われても困る。

通常の利用形態だと、まず予約を入れ、その時間になったら一人でラブホテルなどに入り、ホテル名と部屋番号を電話で伝える。お店のドライバーが車で嬢を送り届け、コトの最中は車の中で待機している。

終わると嬢が先に帰り、一人でラブホを出る。入るときと出るときがあぶない。B面でもバレる私だ。変な変装したら、余計にバレる。

「駅で待ち合わせして、私の車で一緒にいけば大丈夫ですよ! ホントはそういうのやってないんですが、お店の人にお願いしてみます。新幹線の到着時刻がわかったら教えて下さい」。

なんて気の利くこと! 完璧な作戦だ! ありがたい。

お店のウェブサイトから予約を入れる。6:00pmから120分で。さて、出かけよう。この日は「シンギュラリティサロン」が大手町で開催され、大泉匡史氏(株式会社アラヤ)が講演する。それから「AI美芸研」が中野で開催され、渡辺正峰氏(東京大学准教授)が講演する。意識のダブルヘッダーだ。

真夜中近くになって一次会がお開きになった懇親会は、まだ残れる人たちによって同じ場所で二次会になだれ込み、渡辺先生も残っていたのだが、私は翌日静岡に行く用事があるからと言い訳して、先においとました。飲み過ぎて勃たなくなっては男の名折れだ。

●セーラー服を脱がされる

岩手県のブランド肉・門崎熟成肉の専門店「格之進」は都内にいくつか店舗がある。去年9月2日(土)に筑波で開催された「ニコニコ学会β サマーキャンプ2017」で格之進の社長である千葉祐士氏が『肉肉学会について』と題する講演をしたのを聴講し、行ってみたいと思っているのだが、まだ機会がない。

東京駅構内に格之進の弁当を売る店があり、新幹線に乗るときは、いつもここで買っている。「段違い肉膳」という三段重ねの輪っぱ飯が一番豪勢で2,929円するが、けっこうなボリュームだ。この日は2,160 円の「肉万両」にした。スタミナは大事だ。

静岡駅に停車する「ひかり」が一時間に一本ずつ出ていて、所要時間は一時間一分。一時間に二本ずつ出ていて、所要時間が一時間二十五分かかる「こだま」よりも圧倒的に速い。

予定よりも一時間早いのに乗れた。15:03東京発、ひかり477号岡山行。静岡到着予定は16:04だ。小田原から先は山がちで電波状態が悪く、持っていったパソコンから乗った列車を伝えるのがやっとで、返信は読めなかった。着いたら喫茶店にでも入って、あらためて連絡して待てばいいや。

静岡駅で、新幹線専用の改札口に向かって階段を下りていくと、改札口の向うにきれいな人が立っており、あの人だったらいいなぁ、と思っていると、その人だった。

後部座席がいいですか、と言ってくれたが、いやいや、助手席でだいじょうぶでしょ。安倍川左岸の土手の上の道を南下する。歩く人影もなく、のどかだ。高速道路をくぐると、ラブホテルが二軒あった。奥のほうにある「ホテル静岡アイネ」へ。

フロントの人とも他のカップルとも、顔を合わせなくていいシステムになっている。車一台分の駐車スペースと、脇の階段と、二階の部屋とがワンセットになっている。

パネルから空室を選んでボタンを押す操作も要らず、車を停めて、階段を上がると、部屋の電話が鳴り、終わるときに9番を押して、フロントに連絡してください、と言われる。

終わるときは、フロントに電話すると料金が知らされ、筒に現金を入れて、真空パイプでスポンと送る。子供のころ病院で見た、カルテを送るシステムだ。

あかねさんから、M性感というコンセプトについて、説明を受ける。SMから派生した、限りなくソフトな形態ということらしい。このジャンルの老舗としては、渋谷「Diana 〜悶絶快感風俗〜」があり、「元祖M性感」、「27周年」と謳っている。

https://www.shibuya-diana.com/


「静岡M性感 Mirage」は今年10年目で、あかねさんは開業からいた。禁止事項が書かれた同意書に署名する。下半分にはむずかしい専門用語が十数個並んでいる。

「アナルに指入れ」というのだけは勘弁してください。それ以外は、ぜんぶOKです。「男の潮吹き」というのも気になる。あと、2,000円の追加料金で「聖水」というオプションがあり、それもお願いします。

総額38,000円を先に渡す。高いと思うかどうかは微妙だ。何もできないキャバクラだって、うっかりしているとそのくらいの値段にすぐなるし、逆に、同じ料金でもっと直接的なサービスを受けられるお店もあるだろう。

あかねさんがお店に電話を入れたのが、4:42pmで、ここからプレイ開始。前置きが長くなったが、と断りを入れて、プレイ内容を微に入り細にわたりレポートしてもいいのだが、デジタルでもクリエイターズでもない、めくるめく官能世界に立ち入るのはほどほどにしておこう。

基本的に「じらし」プレイだ。こっちから見に行ったり触りに行ったりすることは禁止で、いわゆるマグロ状態。なすがままにされてないとならない。

「フェザータッチ」と言うらしいが、触っているかいないかのような超ソフトな触り方がぞわぞわして、よい。「ぴくぴくってなってるわよぉ」と言葉で追い打ちをかけてくる。

早期に果てないよう、我慢していないとならない。危ないところまで行っては緩める、絶妙の攻め方をしてきて、これが延々々々と続く。

ケツの穴周辺なんて、どちらかというと不快感領域かと思っていたが、ローションでぬるりんこぬるりんこされて、開発されかけた。

歯をみがくと歯は気持ちよくなるが、歯ブラシの側は別に気持ちよくない、のたとえもある通り、こと性に関しては、女性のほうがより大きな快感が得られるよう、神サマが設計されたようだ。産みの苦しみの代償だろうか。

どうも、後ろのほうの快感は、女性に授けられた特権的快感に質が近いようだ。男性の身体は、その種のに耐えられるように設計されていないのかもしれない。自我が崩壊しそうだ。

最後は、2,000円オプションのやつにまみれて果てた。自分が吹けなかったのは、ちょっと残念。「これで、だいたい90分コースです。120分コースだと、あと30分、じらされ続けるわけですが、インタビューしたいようなので時間を残しておきました」とあかねさん。

写真:
https://photos.app.goo.gl/3VyxPdkiwAN7Aey77


●聞きたいことがいっぱい

なにぶん、まるで馴染みのない世界なもんで、いろいろ聞きます。

◆Q.1

サラリーマンの感覚からすると、平日は仕事があるので、風俗遊びしづらい。土日を出勤日にしたほうがよいのでは? 平日にお客、来るの?

◇A.1

日曜に休むことが多いけど、決まっていない。平日でも週末でも、出ればお客がつく。平日の昼間でも意外と来てくれる。

ある社長さんは、朝、会社に顔を出してから、愛人のところか風俗へ。夕方から接待などへ。接客系のお仕事の人は土日に働いて、月曜が休みとか。ガテン系の人もいるし、幅広い職業・年齢にわたる。

多いときは一日に五人、お客を取る。五人のときはそれぞれの時間は短い。平均では一日に三人。体力の要る仕事だが、人としゃべると元気が出る。

◆Q.2

テクニックはどうやって身につける?

◇A.2

動画サイトで、お客さんが見るようなのを見る。あと、他店のプレイ動画とか。あるいは、お客さんから要望を聞いて、とか。「どう?」って聞きながら試す。リピータは仲良しなので、聞きやすい。

◆Q.3

頭がよさそうにみえるけど、学歴は高め?

◇A.3

生まれは静岡。高校まで地元。大学は関西にある四年制へ。文学部で心理学と社会学を専攻。旧友たちとはつながりが完全に切れている。

◆Q.4

大学卒業後は?

◇A.4

就職した。食品メーカーに営業として。楽しかったけど、女性の先輩は結婚して辞める。新しい子が入ってくるとふつうに業務が回る。自分のいる意義が感じられず、三年半で辞めた。

◆Q.5

コモディティ(代替可能な消耗品)化するのが嫌ってことかな? そこさえ我
慢すればラクな商売とも言えるんだけどなぁ、サラリーマンって。それから?

◇A.5

英語を勉強するために、留学。インターシッププログラムに乗っかって九か月間。プログラム参加費を最初に日本で払ってから渡航。

アシスタント・ティーチャーとして、学校で勤務。日本の文化を英語で伝える。それがちゃんと勤まるほど英語ができず、アシスタントしているふりをして、小学生たちと一緒に勉強。給料は出ない。

学校の先生のおうちにホームステイ。生活費を払うが、そんなに高くなく、月に一〜二万円かそこらだったかと。

◆Q.6

日本で英語を勉強すると、ベストでもマンツーマンだけど、それだと、どう聞かれたらどう答えるという、ネイティブどうしの自然な会話の流れを経験する機会がない。

ネイティブばっかりの中に、一人だけぽつんと置かれるのが、最高の語学学習環境。留学して英語が上手くなるかならないかの決定的な違いは、泣いたか泣かなかったかだ。泣いた?

◇A.6

そりゃ、もう、泣いた。小学生にとって、英語が分からない大人というものが分からない。子供のほうから話しかけてきても、うまく反応できないでいると、すぐにぷいっとどっか行っちゃう。隠れて泣いた。英語は上手くなった。

戻ってきて、英会話教室で先生をした。五〜六年続いた。六か月〜二歳のクラスだと、お母さんもいっしょにいる。先生がネイティブだと、親がビビるので、日本人のほうが受けがよい。

ノルマがあって、更新率は80%以上目標。自分の達成成績はけっこうよかったが、夏期講習など、必要ない子にまで勧めたくない。

自分で教室を開きたくなって辞めた。

◆Q.7

で?

◇A.7

英会話教室を開いた。最初はなかなか集客できなかった。だいぶ田舎なので。時間あるからバイトしようかな、と。それで初めて風俗へ。Mirageだけ。それ以外のお店にいたことはない。

二年間ぐらい、両方やってた。けど、こっちが楽しくなっちゃって。人気が出てくると、お店に出てくださいと言われた。今は風俗一本。

ほかに、風俗嬢向けの講習会を主催している。自己アピールのための文章の書き方とか、自撮り写真の撮り方のコツとか、性感マッサージの実技とか。

2.5時間で15,000円〜35,000 円。会場は、ハウススタジオとか、ホテルの女子会プランとか。

いろんなお店の風俗嬢の、写真と短い自己アピール文からなる小さい枠が縦横にばーーーっと配列された風俗ポータルサイトがある。閲覧者につついてもらい、詳しい情報ページに行ってもらうには、写真と文章がいのち。

◆Q.8

お客さんを一方的に気持ちよくさせた後は、今度は自分が気持よくなって、取り返しをつけたくなりませんか? ウチに帰って自分に続きをするとか、何かのサービスを利用するとか。

◇A.8

そういうの、ぜんっぜんないですね。お客さんとのプレイそのものが脳内SEXなんです。

◆Q.9 …以降は後から文字での質疑応答

お仕事が休みの日は主にどんなことをして過ごしてますか? お仕事で体力を使うので、疲労回復のため、一日中寝てすごすとか? いやいや、そうじゃない気が...。

◇A.9

お仕事がお休みの日は、、、ないですね。風俗嬢のお仕事は、一日六時間勤務で週三〜五日くらい。残りは風俗講師としてブログや記事を書いたり、セミナーやったり。毎日同じ時間に会社に通勤するほうが、私にはぜったい無理。おじさんスゴイと思う!!

◆Q.10

いやいや、サラリーマンは何の才能も努力も要らない、凡人向けの職業で、多少の我慢を要するだけです。仕事に休みの日がなくても、主体的に好きなことをやっているから苦にならないって、起業家精神に通じるものがあるような気が……。

稼いだお金って、主にどうしてます?

よく聞くのは、ある種の空虚感を埋め合わせるためにホスト通いに狂い、稼いだお金の大半を持っていかれるというものだけど、あかねさんに限って、それはぜったいにないな、と思い。海外旅行というのもアリな線かとは思うけど、それも無駄に豪勢にぱーっと使っちゃう、みたいなことはしそうもない気がするし。

増やそうとして、無謀な財テク投資とかもなさそうだし。不足感、欠乏感がぜんぜん感じられないもんで。堅実に貯金ですかね? 何かの計画への資金準備とか?

◇A.10

本当は日払いなんですけど、お財布がパンパンになっちゃうので(笑)一か月分まとめていただいています。使う分だけお財布に入れて、残りは貯金してますね。

財テク投資は、調べたり考えたりするのが面倒だし、数字にあんまり興味がないのでやらないです。あと、ホストもお買い物も興味ないです。

海外旅行は、もう10年くらい行ってないですし、国内もお仕事で出張するくらいしか、静岡からは出ていません。

なんかこうやって文字にしてみると、つまんない生活だなぁって思っちゃうけど、「ある種の空虚感」ってのがないからそれを埋めるためにパーッと使っちゃうことはないし、今自分の周りにあるもの(いてくれる人)で満たされてるから外に求める必要がないのかもしれないです。

お金は、大好きな人と楽しく過ごすために使います。みんなでゴハン食べに行ったらおごったりとか……。物を買うために使うよりは、知識や経験を増やすために使いたいタイプです。

◆Q.11

先々、何かやりたいという、夢とか計画ってあります? 今のが続けられれば大満足でしょうか?

◇A.11

風俗のお仕事は今のままでゆる〜く楽しく続けながら、風俗講師のお仕事をもっと拡大していきたいです。

今は、私がやっている講習会に参加できる人たち(主に都会の人たち)がほとんどなんですけど、地方在住で都会で開催されるセミナーに来れない風俗嬢さんや、シングルマザーで必死に頑張ってるんだけどなかなか稼げない風俗嬢さんたちのために、今やっているオンラインサロンを広めていきたいです!!

◆Q.12

苺さんや、そのまわりって、スピリチュアル系に割とどっぷりハマっている感じがするんですけど。あかねさんはスピリチュアル系とはどのくらいの距離感ですか? 苺さんのメルマガを購読しているから、ある程度肯定的なスタンスなのでしょうけど。

◇A.12

スピリチュアル系については、目に見えない何かはあるんだろうなぁくらいには信じています。私のお客様である風俗嬢さんたちは、スピリチュアルとか引き寄せとかそういう系の話が好きなので、いろいろ勉強していますよ。


他にもいろいろ聞いたけど、このくらいでもうすでに、あかねさんの人物像がよく立ち現れているのではないでしょうか。利他的、前向き、頭いい。

●さらに拡大していくつながり

静岡駅に戻る途上、あかねさんは、車を運転しつつ、お客さんの中に私と話が合いそうな人がいるという。

お店が風俗嬢を紹介する文章を統計的に解析して、潜在的な情報を浮き上がらせてどうのこうの……。うわっ、おもしろそう!

「25歳素人童貞 a.k.a 素童」と名乗る人。"a.k.a" は "also known as" の略で、「またの名は」という意味だ。ブログがある。

2018年1月1日(月) には、2017年を振り返る記事を上げ、「一番すげーって思ったのは、静岡のM性感ミラージュのあかね先生だった」と言っている。ケツを掘られながら、自我を放棄して快感に身を任せる恍惚を、エロス(生の欲動)とタナトス(死の欲動)まで動員して描写している。よぉ! 兄弟!

http://shirotodotei.hatenablog.com/entry/2018/01/01/022605


デリヘル嬢の「お店からの紹介文」を計量分析して読み解く記事は、2017年8月19日(土)と 9月2日(土)に上げている。

http://shirotodotei.hatenablog.com/entry/2017/08/19/175613

http://shirotodotei.hatenablog.com/entry/2017/09/02/205538


人気の高い風俗嬢グループと低い風俗嬢グループのそれぞれから、お店からの紹介文を拾い出して形態素解析し、統計処理にかけると、単語の含有比率に特徴が表れるというもの。

紹介文を書いた人自身はきっと意識していないけど、いいと思っている嬢とそれほどでもないと思っている嬢とでは、単語のチョイスが違ってくるのが明確にあぶり出されている。風俗嬢紹介サイトを眺めているお客の側としては、その単語さえ知っていれば、よしあしが見通せるというわけだ。

おおお!  めちゃめちゃおもしろいぞ! なかなかのデータ・サイエンティストだね。私も、形態素解析と統計学のコンビネーションで、ビッグデータから、潜在的に埋もれた情報を引っ張り出せるのではないか、という点には前々から目をつけていた。

しかし、ブログで紹介されている本については、ぜんぜん知らなかった。

樋口耕一『社会調査のための計量テキスト分析─内容分析の継承と発展を目指して』
ナカニシヤ出版(2014/03)

さっそくポチるとともに、著者の講演会の聴講を申し込んだ。

風俗嬢が頭いいと、お客も頭がいいという法則でもあるのだろうか。

2018年1月13日(土)にはテレビ朝日『タモリ倶楽部』に出演したとか。また、2018年11月10日(土)には、素童(しろどう)の著者名で、ぶんか社から『昼休み、またピンクサロンに走り出していた』という単行本が出るらしい。活躍しているではないか。

あかねさんが今度東京に来るタイミングで、ご紹介いただける話になった。私は風俗方面に詳しくないのだが、風俗嬢を介して、同じ学術領域に関心をもつ者どうしがつながる、って、よくあることなのだろうか。


【GrowHair】GrowHair@yahoo.co.jp

セーラー服仙人カメコ。アイデンティティ拡散。
http://www.growhair-jk.com/


サソリを食ってきた。

サソリへ至る道も、不思議なご縁の連鎖。

前々から食してみたいと思っていたが、中国に行くことはあっても、成都にはサソリを食う慣習がなく、なかなか機会に恵まれなかった。

9月8日(土)、新宿区立男女共同参画推進センターにて、三橋順子氏(性社会・文化史研究者)が『盛り場・新宿の歴史地理』と題する公演をし、聴講してきた。というか、主催と講師との間を私がつないだのであった。

三橋氏の話の中で、新宿の風林会館の南側の向かいに、ビルとビルとの間の隙間みたいな、入っていくのがちょっと恐いような狭い路地がある、という話があった。よく歩くエリアなのに、そんな路地があるとは気がつかなかった。

行ってみると、確かにある。入った瞬間、もう新宿ではない異空間だ。何もかもが古めかしくて簡素な作りで、ごみごみごちゃごちゃしていて、公共空間という感じがしない。昭和初期かいな。飲食店があるが、入ってみる勇気がなかった。

帰ってからネットで調べてみると「上海小吃(シャンハイシャオツー)」という中華料理店は、けっこうちゃんとしていて、人気店ではないか。

http://shanghai-xiaochi.com/


一般的な中華料理以外にも、鳩、蛙、豚の脳みそ、牛のペニス、蛇、サソリ、セミ、バッタ、蜘蛛、ムカデなどが食べられる。よし、今度行ってみよう。

http://shanghai-xiaochi.com/menu/rare/


孫 艶燕さんからfacebookメッセージが来たのが9月29日(土)。これから展開したいことについて相談したいという。10月8日(月)に会おうという話になった。じゃ、上海つながりということで、そのお店にしましょうか。

出てきたサソリ、うんと小さい。昆虫は食い物ではない、と思ってきたが、サソリは意外と美味いではないか。と思ったら、昆虫じゃないのね。

昆虫は、頭部、胸部、腹部の三つのパートに分かれ、胸部に六本の肢があることが条件になっている。サソリは頭胸部と腹部との二つのパートがくびれずにつながっており、歩脚は八本あるので、昆虫ではない。

大した違いじゃないようにも思えるが、味がぜんぜん違うとなると、やっぱり近くないんだな、と納得できる。昆虫は不味いが、サソリは美味い。

ところで、分類上、サソリは蜘蛛に近い。となると、私の理屈からすれば、蜘蛛の味は昆虫よりもサソリに近くなくてはならない。さて、どうなんだろう?  蜘蛛は食うのにちょっと勇気が要りそうだし、一生食わずに過ごしたとしても特に後悔しそうにない。しかし、味は気になる。どっちに近いのだろう。

「上海小吃」、渚ようこさんも好きで、よく行っていたのだという。10月17日(水)、ゴールデン街の「汀」に行ったとき、本宮映画劇場のU子さんから聞いた。店ではキャサリンという源氏名だ。