晴耕雨読[47]メカやキャラクターデザインの新しさについて/福間晴耕

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美大を出たものの長らく絵を描いていないと、驚くほど下手くそになっているのに気づいて、久しぶりにiPadを使って手で描く練習をしている。

それで気がついたのだが、音楽の好みや味覚などと同じように、絵のタッチも子供の頃に身近に接したものの影響を強く受けるらしい。

というのも、改めて自分の絵柄を見るとどうにも絵が古いのだ。洋服などと同じように絵のタッチも流行り廃りがあるのだが、どうやら自分の場合は90年代あたりの影響が強いらしい。




そこらへんの変遷は「絵柄 流行り」あたりでググってもらえば一目瞭然だが、あえて文字でも書くと90年代の頃は目のハイライトは大きめで、輪郭にメリハリがあり、鼻や口はくっきりしていて眉が太めなのに対して、2010年代は目のハイライトは小さめで、顔の輪郭の凸凹は少なく鼻や口はあっさりとしていて、全体的に幼めに描くといった違いがある。

これは色の塗り方や細部に渡るまで及んでいて、自分で今風の絵柄を真似して描いてみても、色を塗ると90年代風のこってりとした塗り方でかえってチグハグになってしまって、改めて影響の強さと範囲の広さを実感している。

ところでキャラクターに限らず他の分野、例えばメカデザインなどにも当然流行り廃りや新しさは存在する。

こちらは本業なのである程度トレンドもわかるのだが、メカについては単純に流行り廃りとは別に、現実の機械のデザインの影響があるのが面白い。

例えば、少し前の90年代ロボットアニメなどを見るとよく分かるのだが、現在よりも未来を描いたはずの作品でも、何故か現実のメカよりも古く見えると思って、さらによく見ると、現在なら当たり前になっている技術が一切デザインに反映されていないことに気づく。

要するに、現実が作品に描かれた未来を追い越してしまっているのである。

例えば、軍事部門ではステルス化、今では現実の世界で当たり前になっている継ぎ目のまったくない巨大スクリーンやグラスコクピット、NCマシンや3Dプリンターで初めて可能になった複雑な形状をした一体形成パーツなども、昔のSF作品ではまったく登場しなかったり、登場しても詰めの甘さ(巨大スクリーンに継ぎ目があるなど)がある場合が少なくない。

もちろん、作品によってはガンダムシリーズのミノフスキー粒子のように、もっともらしい設定で、現在では当たり前になっている技術が使えなくなった結果こうなったという設定の作品は多いものの、すべての分野で辻褄を合わせるのは難しい。

さてクリエイターの端くれとして、こうしたこうした流行り廃りと無縁ではいられない以上、これらを予想する方法はあるのだろうか。

そのヒントは、先程のメカデザインの話に隠れている。冒頭で触れたキャラの顔では、現実の顔と関係がないような書き方をしたが、実は芸能人などの顔の流行り廃りは、結構キャラクターの顔の流行と連動しているように見える。

現実の顔でも最近は「ソース顔」「醤油顔」と続いて今は「ヒラメ顔」がじわじわと人気を増してるらしいが、このヒラメ顔が結構キャラクターの流行り顔と共通点があるように見えるのだ。

ここで言うヒラメ顔は、目と目が離れ気味で鼻は低め、眉の幅が広く、口が大きくパーツが外側に配置されている顔で、特に女性の場合、これが童顔で可愛らしく見えることから人気が高い。

また現実の人の顔以外にも、ドコモダケやPSのゲーム「どこでもいっしょ」のトロのように、最近のマスコットキャラクターも目と目が離れ気味の、ヒラメ顔のキャラが増えている。

どうだろう、最近のアニメ・漫画の流行り顔と共通点があるように見えないだろうか。どうやら、現実世界の流行り廃りのアンテナを張っておくことが、やはり一番確実なように思える。


【福間晴耕/デザイナー】

フリーランスのCG及びテクニカルライター/フォトグラファー/Webデザイナー
http://fukuma.way-nifty.com/

HOBBY:Computerによるアニメーションと絵描き、写真(主にモノクローム)を撮ることと見ること(あと暗室作業も好きです)。おいしい酒(主に日本酒)を飲みおいしい食事をすること。もう仕事ではなくなったので、インテリアを見たりするのも好きかもしれない。