[4670] 海を見る。の巻◇グッドデザイン賞受賞祝賀会に参加して

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《夜明けを見たのは何年ぶりだろう》

■わが逃走[227]
 海を見る。の巻
 齋藤 浩

■もじもじトーク[95]
 グッドデザイン賞受賞祝賀会に参加して
 関口浩之




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■わが逃走[227]
海を見る。の巻

齋藤 浩
http://bn.dgcr.com/archives/20181101110200.html
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穏やかな海を見ていると、心まで穏やかになってくるから不思議だ。

遅めの夏休みをとって瀬戸内を旅してきたのだが、何とも心地よい日々だった。あわただしくないって、いいものだなあ。

今回は島々を知るべく名所旧跡の類も訪ねたが、再訪するのであれば、ただぼーっと海を眺めるだけの旅もいいかもしれない。

10月21日、尾道の千光寺展望台から瀬戸内海を望む。何度も訪れているけど、この眺めを絶景と言わずしてなんと言おう。尾道水道は今日も穏やか。快晴。四国まで見渡せる。西を見た。はるか彼方の島々で瓦屋根が反射している。

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10月22日、レンタカーを借り、渡船で向島に渡る。車窓が舷窓になる。ハンドルから手を離してサイドウインドウから外を眺めると、まるでクジラの背中に乗っているような感覚だ。

向島からしまなみ海道に乗り、まずは生口島を目指す。向上寺三重塔も、そこからの眺めも国宝級。海は波一つなく、まるで湖のようだった。

港に降りる。どこかで見た橋だと思ったら、『転校生』のロケ地だ。家出した二人が降りたつシーン。

近くには平山郁夫画伯の生家があった。画伯は子供の頃、このあたりの道路に片っ端から絵を描いていたそうだ、とご近所のおばちゃんから聞く。

大三島に渡り、南回りで半周。途中、西からの日差しがあまりにも美しかったので車を停めた。

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この日の宿のすぐ裏手で日没を見る。

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四国はすぐそこ。

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気がつけば月が出ている。

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10月23日、松山泊。10月24日、新居浜から伯方島へ。この日の宿も海に面している。ゆっくりと日が暮れる。

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10月25日、再び大三島へ。いい天気。天気がいいと、気持ちがいい。あたりまえなんだろうけど、実感したのはひさしぶり。

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午後は因島に立ち寄り、再び尾道に着く頃は、すっかり日が沈んでいた。山の手の宿に初めて泊まった。「満月の間」から満月を見る。満月はまるいなあ。そして、けっこうな早さで高いところへ上る。

ただ月を眺めているだけなのに、映画を見ているようにおもしろい。空は広く、尾道水道は細く長い。

瀬戸内は潮の満ち引きの差が大きく、水面が3メートルも上下するという話を思い出しながら眠る。

10月26日、夜明けを見たのは何年ぶりだろう。

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人は小さく、地球は大きいなあ。といったことを心から思ったのも何年かぶり。

尾道には不思議な路地や面白い階段がたくさんあるので、訪れるたびに歩きまわってしまうが、海と空を眺めるだけの日を設定するのもいいかもしれない。なんてことを思った。


【さいとう・ひろし】saito@tongpoographics.jp
http://tongpoographics.jp/

1969年生まれ。小学生のときYMOの音楽に衝撃をうけ、音楽で彼らを超えられないと悟り、デザイナーをめざす。1999年tong-poo graphics設立。グラフィックデザイナーとして、地道に仕事を続けています。


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■もじもじトーク[95]
グッドデザイン賞受賞祝賀会に参加して

関口浩之
http://bn.dgcr.com/archives/20181101110100.html
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こんにちは。もじもじトークの関口浩之です。

今年も残すところ、あと二か月。「えっ、もう11月なの?」って感じですよね。今年もあっという間に一年が過ぎようとしています(汗)

時間があっという間に経つのは嫌いなことではないのですが、やりたいことがなかなかできないのがストレスですよね。

例えば、「天体写真撮影をする」とか、「たまには家族旅行をする」とか、「積んでる本を月に二~三冊は読破する」などなど。

がんばれば、できそうなことばかりですが、忙しさにかまけて、ぜんぜん実現できていません。来年こそは……。

さて、今日のテーマは「グッドデザイン賞受賞祝賀会に参加して」です。

●グッドデザイン賞受賞祝賀会

前々回のもじもじトークで、「グッドデザイン賞を受賞しました」と書きました。そして、昨日、グランドハイアット東京で、グッドデザイン賞受賞祝賀会が開催され、受賞メンバーとして参加してきました。

ところで、グッドデザイン賞って、毎年何件ぐらい受賞しているのでしょうか。今年は、こんな感じでした。

2018年度グッドデザイン賞受賞結果(カッコ内:対前年比)
・受賞件数:1,353件(-50件)
・受賞企業数:945社(-13社)
・審査対象数:4,789件(+294件)

えっ、そんなに! 毎年1,000件以上、グッドデザイン賞を受賞しているのです。

グッドデザイン賞というと、車やカメラ、医療機器、建造物、アプリケーションソフトなどの製品やサービスが頭に浮かびます。

例えば、今年のモビリティ関係の受賞は、以下の通りでした。

・スズキの軽乗用車「ジムニー」、乗用車「ジムニーシエラ」
・本田技研工業の軽商用車「N-VAN」
・トヨタ自動車の燃料電池バス「SORA」
・小田急電鉄の特急車両「70000形特急車両 ロマンスカー GSE」
・モリタホールディングスの消防自動車「小型オフロード消防車 RED LADYBUG」

この中で、小型オフロード消防車と小田急電鉄の特急車両が、僕のお気に入りです。
https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1146217.html

一方、取り組みや仕組みなどのプロジェクトも、デザインの形のひとつなので、審査対象になるんです。

今回、『次世代Webブラウザのテキストレイアウトに関する検討会』(通称:縦書きWeb普及委員会)の活動が評価され、グッドデザイン賞をチーム受賞しました。

これは、まさに、取り組みが評価されたということですね。では、今回の受賞メンバーを紹介させてください。

・次世代Webブラウザのテキストレイアウトに関する検討会 主査 村井純
・総務省
・NTTデータ経営研究所
・イースト
・ポーラー カワセタケヒロ
・川井田麻生
・ネオルド 真鍋智彦
・ソフトバンク・テクノロジー
・ワールドワイドウェブコンソーシアシム(W3C)
・柳明生

それでは、受賞祝賀会の様子を何枚かご紹介します。
http://bit.ly/2SwQhlg

●インターネットの父

慶應義塾大学教授の村井純さんをご存知でしょうか?

インターネットに関わる仕事をしている方であれば、誰もがご存知ですよね。日本のインターネットの生みの親、インターネットのパイオニアです。

僕は、今から23年前に、Yahoo! JAPANの立ち上げプロジェクトに参画していたひとりなので、村井先生のことはよく知ってました。

村井先生のこと、ご存知ない方は、ぜひ、ウィキペディアを読んでくださいね。今、我々がインターネットを使えるようになったのは、村井先生のおかげなのです。
http://bit.ly/2RpDMXf

昨日は、村井さんとたくさんお話ができて、とても素敵な時間でした。ありがとうございました。

●もうひとつの素敵な再会

今回の授賞祝賀会は、「受賞メンバーみんなで写真撮影して祝おう!」ってノリの集まりでした。

縦書きWeb普及委員会の活動で、過去にお会いしている方々がほとんどだったのですが、ひとり、気になる人がいました。彼は、過去に何十回も会ったことのある知人と超そっくりだったんです。

そっくりな人って、世の中、何人かいるはずだから、そっくりさんだと思ってしまったんです。ところが、30分ぐらい時間が経過した時に声掛けられて、知り合いの方でした(汗)

彼は、ひもりんこと下農淳司さんという方です。僕らの界隈(どんな界隈?)では彼のことを知らない人はいません。

「あの人はここに来るわけないよね」って、思い込んでしまうと思考回路が、そこで止まりますね。

彼とは、全国各地のウェブ系イベント等で何度もお会いしてますが、いつもはコスプレイヤー姿なのです。スーツ姿のひもりんは初めてでした(笑)

そんな事情もあり、本人であることを認識できるまでに30分ぐらい掛かりましたが、大好きな友に久しぶりにグッドデザイン賞で再会できたことは奇跡だったと思います。

そして、なんと彼は今日から、「村井純教授のところで仕事することになっている」と聞いて、さらに十倍、ビックリでした。

ということで、W3C/慶応の村井純教授、下農淳司(ひもりん)さん、芦村和幸さん、吉澤直美さんとの記念写真を掲載します。
http://bit.ly/2OgDHmT

では、二週間後に、またお会いしましょう。


【せきぐち・ひろゆき】sekiguchi115@gmail.com

フォントおじさん
https://event.fontplus.jp/about/hiroyuki_sekiguchi.html

1960年生まれ。群馬県桐生市出身。1980年代に日本語DTPシステムやプリンタ製品企画に従事した後、1995年にソフトバンク技研(現 ソフトバンク・テクノロジー)へ入社。Yahoo! JAPANの立ち上げなど、この20年間、数々の新規事業プロジェクトに従事。

現在、フォントメーカー13社と業務提携したWebフォントサービス「FONTPLUS」のエバンジェリストとして日本全国を飛び回っている。

日刊デジタルクリエイターズ、マイナビ IT Search+、オトナンサー等のWebメディアにて、文字に関する記事を連載中。CSS Niteベスト・セッション2017にて「ベスト10セッション」「ベスト・キャラ」を受賞。フォントとデザインをテーマとした「FONTPLUS DAYセミナー」を主宰。

フォントおじさんが誕生するまで
https://html5experts.jp/shumpei-shiraishi/24207/


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編集後記(11/01)

●山本龍彦編著「AIと憲法」を読んだ。意外な組合せだ、と思ったら。EUやアメリカではAIの発展がプライバシーに与える影響にとどまらず、それが少数派に差別的な影響を与えないか、民主主義に否定的な影響を与えないか、などが憲法レベルで真剣に論議されているという。AI開発において「憲法論」を重視するのが国際的なトレンドであるらしい。日本で「憲法論」を持ち出すと……。

「なにを青臭いこと言うのだ」「そんなことをぐだぐだ言ってると競争に負ける」「そもそもAIを技術的に理解しているのか」「AIを擬人化するな」などと言われるのがお約束らしい。「AI、AIって言うけど、それって本当に大丈夫なの?」と漠然とした不安を持つ人(わたしもそっち)に読んで欲しい本らしい。

AIと憲法問題、AIと個人の尊重・プライバシー、AIと自己決定原理、AIと経済秩序、AIと人格、AIと教育制度、AIと民主主義、AIと選挙制度、AIと裁判、AIと刑事法、という9章立て。う〜、めんどうくさい。だが、SFや映画でエンタメとして楽しんできた「人工知能がもたらすディストピア」が、本当に来るのではないかという怖れを抱くと、難解な内容も我慢して読まなければならない。

だが、大丈夫。最後に成瀬慧九州大学准教授による解説がある。「本書は自ずと法秩序の根底に置かれる概念、すなわち、権利義務の主体たる人格ないし人権の享有主体たる個人の位置づけと、そうした主体から構成される社会における集合的な意思決定とその実現を担う統治のあり方を問うものとなっている」

ありゃ〜、解説が必要なくらい硬い解説だが、我慢して読めば本書のタイトルがなぜ「AIと憲法」なのか、なぜこういう章立てになったのかがなんとなく理解できる。山本龍彦「AIと個人の尊重・プライバシー」では、AIネットワーク社会が個人の尊重原理に及ぼす脅威が検討された結果、「AIネットワーク社会に最も適合的な憲法体制は共産主義なのである」と刺激的見方が示された。

だが「中国に勝ち目のない戦いを挑む」ことを避けるという実践的な見地も踏まえ、「日本は個人の尊重原理を組み込んだAIネットワークを進めていくべき」という、日本国憲法の根底にある個人の尊重原理に適った結論が導かれている。突き詰めると憲法体制=政治体制の選択という政治論の根本問題に行き着く。

「AIと憲法」は意外な組合せではないことが分かった。このような「憲法論」の必要性は国際的な動きだが、日本人の多くは気づいていない。AIの予測精度やそれがもたらす効率性、経済成長ばかりが強調され、とにかく推進をとポジティブ・キャンペーンが展開される。日本で「憲法論」を持ち出すと……。

「AIネットワーク化を巡る世界的な対抗関係(EU/米国/中国)は、憲法の「型」を巡る対抗関係である。となれば国家としての情報政策をどう設定するかも、やはり─「この国のかたち」を巡る─憲法上の論点そのものということになろう」「AIがもたらすこの度の『第4次産業革命』も、憲法の観点から詳細に分析されなければならない」。「AIと憲法」は正しい組合せなのだった。(柴田)

山本龍彦編著「AIと憲法」日本経済新聞出版社 2018
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532134854/dgcrcom-22/

●齋藤さんの写真、やっぱ好きやわ〜。/村井純さんに一度もお会いしたことがない。そしてあの方の名前が〜。

/パスポートの更新続き。「Ki-Re-i」を選んだのは、パスポートセンターに行くまでの道にあったことと、ネーミングに自信を感じて、きっと綺麗に撮ってくれる(粗を飛ばしてくれる)んだろうな〜というのが理由。

あと、スマホに撮影データをダウンロード保存できるというのも大きかった。ボックスからプリントアウトされる証明写真にQRコードがついていて、アプリで読み込むとデータが保存され、いつでも再プリントできる。

ダウンロードできるってことは、Photoshopなどで加工できちゃうではないか。何かに使えるかもしれない。何年も証明写真を撮る機会なんてなかったが(笑)。

サイトには最上級メニューでの200円引きクーポンがあった。最上級って、自動でどこまで綺麗にしてくれるんだろう、と興味津々。歳とると、余計なお金がかかるわ……。 (hammer.mule)

証明写真機「Ki-Re-i」
http://www.dnpphoto.jp/products/kirei/